あるもの探しの旅

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ルチアーノ・サンドローネ訪問記

記憶を呼び覚ますヴィーノ @Francesca by 非覆面調査員

 私もそうですが、つい飲みすぎてしまったワインで記憶を失った苦い経験ならば事欠かない方も多いのでは? 今回は逆に失った記憶を呼び覚ますワインに関するお話です。酒を呑んで記憶を取り戻すなんて、まるで「ア中」みたいですが、国内外問わずワイン産地や生産者を訪れたことがある方なら、きっと頷いて頂けるはずです。

 シチリアと北部山岳地域を除くイタリア半島のほぼ全域で栽培されるブドウ品種「Sangiovese サンジョヴェーゼ」を主体に、強靭な個性を主張する「Nebbioloネッビオーロ」や汎用性の高い「Dolcetto ドルチェット」など、イタリア原産ブドウ品種からなるセパージュで組成された血液が流れている特異体質ゆえ、免疫のないボジョレー・ヌーボーの摂取によって、急性中毒を発症した《Link to back number 》翌日のこと。カンフル剤となるヴィーノ・ロッソの摂取と口直しを兼ねて仙台市青葉区大町にあるイタリアン「Francesca フランチェスカ」を訪れました。

francesca_antipast2.jpg【photo】 自家仕込みしたフランチェスカのハム各種。奥から順に、コッパ、モルタデッラ、鴨の生ハム、赤ワイン漬けしたプロシュット

 ボジョレーを産する国の大手タイヤメーカーM社が発行するレストラン評価本のうち、アジア圏では初めてとなる同ガイドの東京版が、一昨年発行されて話題を呼びました。M社の行った事前の覆面調査は、3名のフランス人と2名の日本人調査員が担当したのだといいます。ん? Un moment s'il vous plaît!(ウン モメント シル ヴゥ プレ=「ちょっと待って」仏語)パンを主食とする3人のフランス人調査員は、自国ではほとんど栽培されないコメの味が分かるのでしょうか? どちらかといえば淡白な日本食をどれだけ客観評価できるのか、私には甚だ疑問です。自国の文化に絶対的なプライドを持つ「中華思想」にかけては、本家中国と並ぶ彼らが、自分の尺度でいかなる感想を抱こうと構いませんが、それをもとにランク付けした本を日本で発行すること自体が余計なお世話だし、時としてそうした不遜な姿勢は傲慢にすら映ります。

capo_harada_francesca.jpg【photo】 自ら仕込んだ県産ガーリックポークのプロシュットを切り分ける原田シェフ

 いっぽう米国発のレストラン評価本「Zagat Survey ザガット・サーベイ」(1979年創刊)は、一般の利用者によるアンケート結果から、ユーザー個々の嗜好や極端な意見を平均化した上で、専門スタッフが実際に足を運んで評価を検証する手法を取り入れています。最新の東京版では、5,500人超のユーザーが参加したアンケート結果をもとにしているのだといいます。12ヶ月に及ぶ食に関する研修を受けているとはいえ、日本の食に対する理解度にいくばくかの疑問を差し挟みたくなる3人の異邦人を含む5名の調査員による採点に比べれば、こちらのほうが客観性があり、信用度が高いと思うのですが、いかがでしょう。それにもかかわらず日本では後発となる仏国発のガイドのほうが売れているようです【注】。ここにもボジョレーに飛びつくのと同じ日本人特有の「おフランス信仰」が顔をのぞかせているように思えます。いくら日本が仏教国でも、そんなに「仏」を有難がたがらなくてもねぇ・・・(苦笑)

 ワインリストにボルドーやブルゴーニュが(→直接問い正してはいないが、ボジョレーは範疇外のはず)それなりに充実していないと、決して最高評価の☆☆☆を与えないのは、1956年に自国以外では初めて出版され、毎年版を重ねているM社によるガイドのイタリア版でも同様です。パスタやリゾットの命ともいえるアル・デンテが何たるかを、創刊半世紀を経てもなお理解しようとしないエスプリ(「Esprit(仏語)」→日本においては何故か言葉の知名度は高くとも、意味は謎 (゚_。)??ですよね)の国の尺度で語られる赤い装丁のガイドには、ゆえに興味はありません。そもそもが自動車旅行の普及で自社製品が売れることを目的に創刊した発行元のタイヤメーカーの動機を知ってかどうか、同社製のタイヤではなく、かといってイタリアのPIRELLI社製でもなく(→自国製自動車部品に対する自信の無さの表れか?)、米国GOODYEAR社製のEagle F-1 GS-D3を標準装備に選択したalfa romeo 車で東北を駆け巡りながら綴る当Viaggio al Mondo。持ち前の嗅覚で発掘したリストランテを、某ガイドの覆面調査員とは一線を画する以下に述べるような基準で取り上げてきました。

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【photo】 フランチェスカのPasta fresca パスタ・フレスカ(=生パスタ)二種。イノシシのラグー風味のピィチ(左)、ズワイガニのラザニア

 総合点を10点とすれば、その内訳は―― 形だけ取り繕うスタイルの模倣ではなく、こりゃ参った!と唸らせてくれるキラリと光る料理か⇒ 4.5割、ワインの充実度(品揃えだけでなく、実勢価格(≒おおよその仕入れ原価)に管理コストを上乗せしても2倍程度に留めた妥当な価格設定か、グラスの形状やサーヴする際の温度は適正か...etc)⇒ 3割、時として私が投げかけるマニアックな問いかけに、内心では舌打ちしつつも態度には出さず、うろたえた様子など決して見せずにフレンドリーな受け答えをしてくれるか、といった接客ぶり⇒ 2割、Pucara.jpg小物を含めた内・外装のクオリティとセンス(銀座コア7Fに広がるエレガントな「Enoteca Pinchiorri エノテーカ・ピンキオーリ東京店【本店のあるフィレンツェへワープできるWebサイトはコチラ」のようにとは言わないまでも、当然、そこで擬似イタリア体験できるほうが望ましい...)⇒ 0.4割、沈みゆく水の都ヴェネツィアが往時の繁栄を取り戻したかのように輝く黄昏時のラグーナが目に浮かぶアルビノーニマルチェッロのアダージョが、あるいはラテンの情熱を吐露するCore 'ngrato(カタリ・カタリ)などのカンツォーネが、かと思えばイタリアンポップスや早口でまくし立てるナポリのラジオ局のWebストリーミング放送が流れ、勿体ぶった響きでつぶやかれる陰気なシャンソンなどは決して流さないBGMの趣味⇒ 0.1割ぐらいの割合でしょうか。 ...ナンノコトヤラ(゚-゚;)

【photo】 蔵王土鶏と蔵王の裾野にあるボンディファーム
で育った野菜のしみじみとした旨みを味わえるプカラ

 パスタがメインの店は論外として、幾分ホスピタリティに難があるものの、共に正統派イタリアンを提供する「il Destino イル・デスティーノ」(青葉区本町)や「Marco Polo マルコ・ポーロ」(遠田郡涌谷町)、肩の凝らないイタリアのマンマの味を楽しませてくれる「il Golosone イル・ゴロゾ-ネ」(名取市相互台)と「Fiorentina フィオレンティーナ」(青葉区錦町→現在は子育てに専念するため閉店)といった僅かな例外を除いて、"もっと頑張らなきゃ!"というイタリアンレストランには事欠かない食材王国・宮城。街の規模からして、真っ当な店がもっと存在してしかるべきな仙台にも、赤・白・緑のTricolori トリコローリなイタリア国旗を店頭に掲げる店が、この10年でやっとこさ増えましたが、未だ玉石混交の感は否めません。

dolcetto_sandrone_francesca.jpg【photo】ルチアーノ・サンドローネのドルチェット・ダルバ'06

 ナポリ庶民の味を伝えるピッツェリアに関しては、本家本元で育ったナポレターノ、パンツェッタ・ジローラモ氏が「アソコはホンモノのピッツァ。オイシイデスネェ~」と、2001年当時私に太鼓判を押した「Pizzeria de Napule ピッツェリア・デ・ナプレ」を挙げておきましょう。Laura PausiniやEros Ramazzotti などのイタリアンポップスが流れる店は、今も変わらぬピッツェリアそのものですが、オーナー・ピッツアイオーロ(=Pizzaiolo ピッツァ職人)の香坂師匠が健康路線に目覚めた近年、素材をオーガニックに切り替えました。それまで同店が大切にしてきたピッツァの命、本場仕込みのモチモチした生地の食感が、小麦粉を替えたことでいささか変化しています。生地の外周「Cornicione コルニチョーネ」がパンのような点が気にかかりますが、薪の香り漂うナポリピッツァの片鱗には、富谷町富ヶ丘の「薪窯焼ピッツァ屋」こと「Pizzeria del Sol ピッツェリア・デル・ソル」でも出合えることでしょう。

 素材選びに心を砕き、日々料理を提供してくれるプロに対して甚だ不遜な閻魔帳など、実際につけてはいませんが、個々の飲食店に関するネガティブな情報をこの場で書き連ねることは本意ではありません。皆様にもオススメできる美味しい時間を過ごせるお店だけをこれからもご紹介してゆきます。
barolo_la_morra.jpg【photo】 朝霧にかすむランゲの丘。王のワインと例えられる風格あるバローロの中でも、土壌の違いで比較的しなやかな酒質を生むLa Morra ラ・モッラ村付近にて

 そんな店のひとつ、Francescaのオーナー、シニョール鳥山の勧めでその夜選択したのは、開店一周年を記念する「1st Anniversary Dinner」なるプリフィクスコースでした。プロローグは「お味見のひとくち」ことスプーンに載ったオーガニックなブラックオリーブとドライトマトのオイル漬け。アンティパストの「自家製生ハムの盛り合わせ」は、全て一周年に引っ掛けたおよそ12ヵ月の熟成期間を経たコッパ、モルタデッラ、鴨の生ハム、プロシュット赤ワイン漬の盛り合わせ。ガーリックポークの尻から脛にかけての部位を自家加工し、熟成11ヶ月目だというフレッシュな生ハムは、弘前「オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ」【Link to back number】の笹森シェフのもとで肉の加工を仕込まれた原田シェフが切り分けてくれました。「自慢のスープ」は村田町で自然循環農法に取り組むボンディファーム【Link to back number】から届く驚くべき糖度に達する白カボチャのポタージュ。

comune_barolo.jpg【photo】 威容を誇るカステッロ・ディ・ファレッティ城(通称:バローロ城)(写真右)はバローロ村のシンボル。ほまれ高き王のワインBaroloは、現在680人ほどが暮らすこの小さな村の名から付けられた
 

 プリモピアットは手打ちパスタ「Pici ピィチ」をイノシシのラグーソースで、...と、ここまでの料理には、原田シェフの古巣「ダ・サスィーノ」の雰囲気が明らかに感じられます。メインとなるセコンドピアットには、蔵王産土鶏とボンディファームの季節野菜をハーブで蒸し焼きにしたポルトガル料理「Pucara プカラ」を頼んだこともあり、さして強いワインを合わせる必要はありません。そこでワインリストからチョイスしたのが、北イタリアきっての銘醸地、ピエモンテ州Cuneoクーネオ県Baroloバローロ村にあるカンティーナ、「Luciano Sandrone ルチアーノ・サンドローネ」のDOC(統制原産地呼称)ワイン「Dolcetto d'Alba ドルチェット・ダルバ'06 」です。メインの鶏料理との相性には、トリ繋がりの(?)シニョール鳥山も太鼓判を押してくれました。

cantina_sandrone_luciano.jpg【photo】1999年に最新の醸造設備を導入する大規模な改装がなされたルチアーノ・サンドローネのカンティーナ

 産地は同じでも、バローロ、バルバレスコといった偉大なワインを生み出すブドウ「Nebbiolo ネッビオーロ」とは異なり、ニュートラルで幅広い料理に合わせられるヴィーノとなる「Dolcetto ドルチェット」。このブドウはピエモンテで最も栽培が盛んな「Barbera バルベーラ」と同様に、日常の食事の伴侶として飲まれるヴィーノの原料となるブドウです。一般にドルチェットは柔らかなタンニンと華やかな果実の香りが特徴の若飲みに適したヴィーノとなります。作り手のもとを訪れたヴィンテージだったのでオーダーしたサンドローネのドルチェット・ダルバは、前夜に飲んだヌーボーと同じ2千円台後半の小売価格帯のワインでした。
 
 早生種のドルチェットは、ルチアーノ・サンドローネが手掛ける一連のラインナップでは最も早い時期に収穫されます。私がカンティーナで試飲した'05vinは、9月20日から30日にかけて収穫作業が行われ、およそ30,000本がリリースされたそうです。「Dolcetto d'Alba ドルチェット・ダルバ」の醸造では、甘く華やかな香りを持つこの品種の風味を活かすため、ステンレスタンクだけで翌年の7月まで熟成させます。ネッビオーロやバルベーラの熟成には、甘くウッディなバニラ香を適度に付加する目的でピエモンテで伝統的に用いられてきた600ℓサイズの「Fusutoフスト」と呼ばれるオーク樽を使用します。世界的な潮流で一頃はイタリアでも急速に導入が進んだ225ℓサイズのバリック樽は、液面と樽の接触面積が大きくなるために、熟成期間が短縮できる半面、一般に樽香が強くなりがちです。ピエモンテでは第二次大戦期を挟んで2,000ℓ容量以上barbara_sandrone.jpgもの縦に長い楕円形の大きなオーク樽「Botte ボッテ」が普及します。混乱した世相下、略奪を防ぐ意味もあったといいますから、イタリアらしい話です。伝統の大樽熟成では、10年未満では強烈な渋味として感じられるタンニンが落ち着くまでに時間を要するものの、活き活きとしたブドウ本来の持ち味が20年・30年と持続する偉大なヴィーノが造られてきました。

【photo】 ルチアーノに代わって歓迎のご挨拶を頂いた娘のバーバラさん(右)

 ルチアーノ・サンドローネのドルチェットがリリースされるのは、瓶詰めされた2ヶ月後の毎年9月。収穫から一年でリリースされるわけです。カンティーナを訪問した'06年ヴィンテージの中で既にリリースされているドルチェット・ダルバは、若飲み用に一本すでに確保済みです。ドルチェットは、我が家のセラーアイテムとなって久しい「Barolo Cannubi Boschis バローロ・カンヌビ・ボスキス'98年」のように長期熟成向きのヴィーノにはならないため、天候に恵まれグレートヴィンテージの呼び声が高い'06年といえども、そろそろ飲み頃を迎えているはず。フランチェスカでこのヴィンテージのドルチェットを選んだのは、自宅でストックするドルチェットが既に楽しめる状態かどうかを見極める毒見を兼ねていました。

sig_luciano.jpg【photo】醸造所の壁面に描かれたブドウ畑でスクーターに乗るルチアーノの肖像とはご対面(?)が叶った

 私のワイン道楽のひとつに、(イタリアを訪れた年には)" 訪れた土地で収穫されたワインを必ずストックする"という鉄則があります。それは、ワインを通して、自分が一度はそこに身を置いて陽射しや土の香りを感じた濃密な時間を追体験できるからです。ブドウ畑を取り巻く風景や作り手を記憶していれば、時を越えたタイムスリップがいつでも可能です。実際に目にした畑で育ったブドウが収穫され、芳醇なワインとして生まれ変わり、数年後に飲み頃を迎えた時、もはや記憶の彼方へと押しやられた季節の恵みが凝縮された一杯を味わうことは、幸福なワインラヴァーだけの特権でしょう。

 1980年代に押し進められたバローロ改革の主導者の一人でもあるルチアーノ・サンドローネのカンティーナへは、3年前の訪伊メンバーと共に訪れています。ピエモンテ州Langhe ランゲ地方では、秋から冬にかけて頻繁に著しい濃霧が発生するにもかかわらず、抜けるような青空が広がった2006年10月27日の朝。Barbaresco バルバレスコから白トリュフの街として名高い Alba アルバを南西に進むと、両サイドの丘陵一面にブドウ畑が広がってきます。そこはイタリアきっての銘醸地Barolo バローロの心臓部、La Morra ラ・モッラ村とCastiglione Faletto カスティリオーネ・ファレット村の間に伸びる道なのでした。ピエモンテーゼが世界一美しいと自慢する手入れの行き届いた畑が広がる美しい丘陵風景を目にしながら、道沿いに立つBarolo の標識に従って進むと、前方の高台にバローロ村のシンボル「バローロ城」ことstainless_tank.jpg「Castello di Faletti カステッロ・ディ・ファレッティ城」が見えてきます。内部がその地方のワインに関する展示・試飲販売を行う州立の「Enoteca Regionale エノテカ・レジョナーレ」となっている城へは立ち寄らず、手前の枝道を左へ折れた先の明るいイエローの外壁の建物が目指す「Azienda Agricola Sandolone Luciano アジェンダ・アグリコーラ・サンドローネ・ルチアーノ」でした。

【photo】 醸造所の地下一階に並ぶ発酵用ステンレスタンク

 約束の朝10時過ぎに私たちが到着した時、当主のルチアーノは留守でしたが、娘のバーバラさんが一行を出迎えてくれました。バローロを代表する生産者の一人としてサンドローネの名を世界に知らしめることになる「Cannubi Boschis カンヌビ・ボスキス」の畑をルチアーノが取得したのが'76年のこと。日本でも'50年代から'60年代にかけてのバローロをたまに見かける大手醸造所Giacomo Borgogno ジャコモ・ボルゴーニョなどのもとで四半世紀近く醸造の仕事に携わった後に、自ら興した醸造所での初収穫は2年後の'78年からだといいます。醸造施設と貯蔵庫がある地下一階へ降りる階段の手前には、現在とは異なる意匠のSandolone 醸造所'70年代のボトルが床面に埋め込まれたアンモナイトをかたどったガラスケースに納められていました。屋外のテーブルの上に試飲用として用意されていたのは、「Dolcetto d'Alba'05 ドルチェット・ダルバ'05」「Nebbiolo d'Alba'04 ネッビオーロ・ダルバ'04」「Barbera d'Alba'04 バルベーラ・ダルバ'04」「Barolo Le Vigne '02 バローロ・レ・ヴィーニェ'02」の4種。'02年は天候に恵まれず、最も高い評価を受ける単一畑のバローロ 「Cannubi Boschis カンヌビ・ボスキス」が生産されなかった年ゆえ、残念ながらそこで試飲することはできませんでした。

fusto_sandrone.jpg【photo】 空調設備で温度管理がなされた熟成庫に整然と並ぶフスト樽で眠りに着くヴィーノたち

 低温と降り続く雨で厳しい年となった中、所有する3地区の畑からブドウを厳しく選別の上ブレンド、平年の半分にあたる8,800本だけを造ったというレ・ヴィーニェ'02は、高貴なネッビオーロらしい陰影のあるしっとりとエレガントな印象のヴィーノに仕上がっていました。天候に恵まれれば、更に奥行きが増すのでしょうが、厳しい条件下でよくぞこのレベルまで仕上げたと言うべきでしょう。サンドローネでは、除草剤の使用を最小限に留め、有機肥料を積極的に取り入れた畑でブドウを育てています。そんなブドウの持つ可能性を再認識させたのがバルベーラ・ダルバ'04でした。土壌の違いから東のAsti アスティ地区よりも骨格がしっかりとしたヴィーノに仕上がるAlbaアルバに所有する2つの畑で栽培する樹齢30年から40年のバルベーラ種から造られます。このブドウの特徴である酸味だけでなく複雑味も充分で味わいのバランスが取れたもの。目の詰まったキメの細かいタンニンが心地よい余韻を長く残します。バローロ、バルバレスコを生み出すネッビオーロの名声の陰で目立たないバルベーラですが、サンドローネのみならず「Hastaeハスタエ」や「Giacomo Bolognaジャコモ・ボローニャ」などの素晴らしいワインを生み出す生産者の労作を含めて、要チェックのブドウ品種です。恐るべし、イタリアの地方品種。

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         valmaggiole_nebbiolo_04.jpg le_vigne_barolo_02.jpg 

【photo】試飲アイテム4種。ヴィーノの若さを表すガーネット色が印象的なドルチェット・ダルバ'05(上左)、凝縮度の高い秀逸な味わいを示すかのような深みのある色合いのバルベーラ・ダルバ'04(上右)、淡い特有の色調を呈するネッビオーロ・ダルバ'04(下左)、豊富なエキス成分由来の高い粘性を伴うバローロ・レ・ヴィーニェ'02(下右)

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【photo】試飲テーブルに揃ったサンドローネの逸品

 ワイン単体で光り輝くネッビオーロやバルベーラのように強い自己主張をしないものの、さまざまな素材を拒絶することなく受け入れ、料理を引き立てる名脇役ぶりを発揮するドルチェット。理想的な天候の下で素晴らしい出来のブドウが収穫できたと語っていたサンドローネを訪ねた'06ヴィンテージのドルチェット・ダルバは、フランチェスカでの晩餐で期待に違わぬ役割を果たしてくれました。活き活きとしたベリー系やザクロのような果実味と、落ち着きある口当たりの良さからグラスが進み、セコンド・ピアットが出る頃には残りわずかになっていたのですが、抜栓後1時間あまりを経過し、立体的な複雑味を増してゆきました。ボンディファームのカブやジャガイモ、クリームピーマンなどの野菜たちの優しい旨みが、強めのローズマリーの香りをまとった地鶏のしっかりとした肉に染み込んだその夜の主役の料理を一層引き立て、より美味しく感じさせてくれました。

 満ち足りた時間の中で、前夜のボジョレーがもたらしたモヤモヤは、そうしていつしか雲散霧消していました。あたかも私がカンティーナを訪れた日の澄み渡った秋のすがすがしい青空が、グラスの中から広がってゆくかのように。Gazie gentile Dolcetto.

    
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Azienda Agricola Sandrone Luciano
Via Pugnane,4-12060 Barolo(CN) Piemonte ITALIA
phone:+39 0173 560023
info@sandroneluciano.com
URL / http://www.sandroneluciano.com
カンティーナの見学は要・予約。畑を含めて最低二時間はみる必要あり

Francesca フランチェスカ
仙台市青葉区大町2-5-3 コーポラティブハウス大町202
phone:022-223-8216
営) 11:30-14:00 17:30-22:00 月定休
URL / http://www.francca.jp/
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【注釈】Amazon.co.jp ランキング: 本カテゴリー中 M社のガイド2009年版が2,170位に対して、ザガット・サーベイ2009年版は8,889位に過ぎない。レストラン評価本として内容的には全く遜色がないのだが・・・

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