あるもの探しの旅

« Giugno 2009 | メイン | Agosto 2009 »

2009/07/25

トロける夏の誘惑 イタリア編

Vacanze dolce @ sud Italia
  南イタリアのヴァカンスはひんやり甘いドルチェとともに

cocomeri.jpg【photo】真っ赤な果肉を連想させる赤いパラソルの露店でスタンド売りされるイタリアのスイカ、 Cocomero コッコメーロ(Anguria アングリーアとも呼ぶ)。この手の店は切り分けて売ってくれる場合もある。「Lo taglierà in pezzi? ロ タッリエーラ イン ペッツィ?=切り分けてくれますか?」と聞いてみよう。ジリジリした太陽が照りつける南イタリアは、 スイカの名産地

 オールイタリアロケを行った映画「アマルフィ 女神の報酬【Link to website】」の派手なPRのおかげで、すっかり南イタリアへの里心がついてしまった今年の夏(笑)。開局50周年記念事業作品としてCX系の放送局では主題歌となったサラ・ブライトマンの「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」に乗せて大量のスポットCMが投入されました。盲目のイタリア人テノール、アンドレア・ボッチェリが1995年のサンレモ音楽祭で初演したこの曲の原題は「Con Te Partirò コン・テ・パルティロ」。ズバリ「君と旅立とう」という意味です。あ゛ーっ、イタリアのまばゆい太陽が、輝く青い海が、美しい大地が、美味しいヴィーノや食べ物の数々が、私を呼んでいるぅーー!!!!
villa_rufollo_ravello.jpg【photo】映画の舞台として、日本でも一気に知名度が上がった"世界で一番美しい町"こと、世界遺産のAmalfi アマルフィから内陸側に7kmの急なカーブが続く坂道の先にある小さな村Ravello ラヴェッロ。「Villa Cimbrone ヴィッラ・チンブローネ」と並ぶ絶景スポット、かつてリヒャルト・ワーグナーの住居ともなった「Villa Rufolo ヴィッラ・ルフォロ」のテラスから望むアマルフィ海岸とサレルノ湾(上写真)/ アマルフィ海岸の急斜面で栽培されるレモンを絞った果汁をたっぷり使用するグラニータ・ディ・リモーネには砂糖もたっぷり(下写真)

Granita_limone.jpg 肌にまとわり付く湿気がうっとうしい日本とは違い、サラリと乾燥した地中海性気候のイタリアでも、体温を越えるような灼熱に見舞われる夏は、ともすると意識がボーッとしてきます。湿気が少ない分、抜けるように青い空からは強烈な陽射しが降り注いできます。発泡性のミネラルウオーターなしでは、体が干上がってしまいそう...。そんな時、ナポリの海岸通りなどで目にするゴロゴロと山積みされた露天売りのスイカに激しく心惹かれますが、連れが大人数でもない限りは、旅先でまるごと一個を攻略するには相手が大きすぎます(笑)。アスファルトが溶け出しそうな夏のイタリアでは、Gelato ジェラートやシチリア発祥のレモン風味が効いたGranita di Limone グラニータ・ディ・リモーネ(=レモンシャーベット)、Granita di Anguria グラニータ・ディ・アングリーア(=スイカシャーベット)など天然果汁を用いた氷菓子を乾いた体が要求します。イタリア仕様の砂糖の甘さが気になる左党の方は、グラニータ・ディ・リモーネにリモンチェッロを加えてもらうなど、ベストマッチなリキュールをプラスすればOKです。イタリア版かき氷ともいうべきグラニータは、酷暑で遠のいた意識をシャキッとさせてくれます。

【photo】ビーチに繰り出したグラニータの露店は人気の的。砂浜でかきこむGranita fragora グラニータ・フラゴーラ(イチゴのグラニータ)でリフレッシュ。一見かき氷と同じだが、「練乳がけ」は存在しないし、日本のかき氷に使われるシロップのドギツイ赤や緑に舌は染まらない granita_fragora.jpg 

 日焼けした肌へ憧れるイタリア人バカンス客で賑わう南イタリアのビーチで見かけるグラニータの移動式屋台は手押しのため、売り子は比較的若い男性の二人組みがほとんど。砂に足を取られながらビーチで屋台を引くには、相応の体力も必要です。対して砂浜ではなく路肩に立つグラニータの屋台にいるのは、50代以上の男性が多いように思います。グラニータで忘れていけないのは、以前「Bar バール」【Link to back number】で取り上げたローマのカフェ「Tazza d'Oro タッツア・ドーロ」の「Granita di caffè con panna グラニータ・ディ・カッフェ・コン・パンナ」です。ローマで一番美味しいとの呼び声が高いカッフェをシャリシャリに凍らせ、ホイップクリームをたっぷりとトッピングしたもの。ザラついた感じがしないキメ細やかな氷のカッフェをスプーンで頂くと、ひとときの涼と共に口の中で薫り高いエスプレッソとクリームの甘さが溶け出し、甘くほろ苦い「これぞイタリアンDolce vita!」という幸せな時間を過ごせます。

granita_tazza_d'oro.jpg【photo】古代ローマが残した建築史の奇跡、パンテオン近くにある「タッツア・ドーロ」。世界中から観光客が訪れるローマ有数の観光スポットにある店だが、夏の定番「グラニータ・ディ・カッフェ・コン・パンナ」(€ 2.50)(右写真)は、根強いローマっ子の支持を集める

ナヴォーナ広場に面した「トレ・スカリーニ」の絶品ジェラート「タルトゥフォ」もぜひ! (下写真)
trescalini_tartufo.jpg

 暑さで消耗した体力を回復させるには、甘いものが一番。ここはGelato ジェラートの甘い誘惑にトロけてみましょう。タッツア・ドーロを左に出た角を北上すると、ほどなく恐らくはローマで最も有名なGelateria Psticceria ジェラテリア・パスティッチェリア(ジェラート店菓子店)の「Giolitti ジオリッティ」があります。店内では白い制服に身を包んだGelatiere ジェラティエーレ(ジェラート職人)が立ち回り、1900年創業の歴史を感じさせるクラシックな雰囲気が漂います。今月イタリアで行われたG8では、オバマ米大統領の二人の娘が同店を訪れ、ブラックベリーとバナナのジェラート作りを教わり、合計6kgの自作ジェラートを持ち帰っています。タッツア・ドーロを出て右折、バロック彫刻の天才、ベルニーニ作「四大河の噴水」で名高いナヴォーナ広場にあるバール「Tre Scalini トレ・スカリーニ」には、シロップ漬けのチェリーを忍ばせた濃厚なチョコレートのジェラートにホイップクリームをのせたTartufo タルトゥフォという魅力的な選択肢もあります。いずれも有名店だけに夏場は観光客に占拠されるのが玉にキズ。ならばタッツア・ドーロをロトンダ広場側に出て Via della Rotonda をしばらく南下すると、テヴェレ川に架かるガリバルディ橋の手前にローマっ子の評判が高いBar Gerateria バール兼ジェラテリア「Pica Alberto ピーカ・アルベルト」があります。Zabaione ザバイオーネやこの店オリジナルのシナモン風味のお米が入った食感が面白いRiso alla cannella リーゾ・アッラ・カネッラは、観光スポットにありがちな量産ジェラート特有のgranita_catania1994.jpg不自然な強い粘りやどぎつい着色がなく、控えめな甘さで好感が持てます。"Gelati artigianali"(=職人気質のジェラート)は、店を切り盛りする 仏頂面のオジ様が手作りしているのが妙にアンバランスかも。サマータイムの夏は21時をまわる時間帯まで明るいイタリアゆえ、石畳の照り返しが強烈な真昼を避けてジェラテリアをハシゴするのも一興です。

【photo】 シチリア東海岸、カターニアのビーチに登場したグラニータ売りの二人組み。シチリア名産の大ぶりなレモンを日よけにぶら下げ、足をとられながら屋台を引く姿は、どう見ても体力勝負。売り子の彼らも売り物が欲しくなるだろうに・・・(上写真)

【photo】Giolitti ジオリッティからテイクアウトしたジェラートを手に、近くにあるパンテオン前のロトンダ広場への道を急ぐも、夏のローマでは見る見るジェラートが溶けてくる(下写真)

melting_gelato_panteon.jpg 甘くトロけるイタリアでのヴァカンスは今年も白日夢に終わりそうなので、今年4月に日本初上陸のジェラテリアを東京新宿にオープンさせた「GROM グロム」【Link to website】への訪問をせめて果たしたいところ。北イタリアを中心に国内23店舗、N.Y・パリへも展開を進める店ながら、最高の素材を無添加で仕上げるジェラートが北イタリアを中心に人気を呼んでいます。しかしながら、人口過飽和な東京ゆえ、長蛇の列ができているとの噂も(×_×;)。と、いうわけで次回は、もはや亜熱帯性気候と化した東京の酷暑の中を並ばなくても済む、秋田発の移動式ジェラテリア・ジャッポネーゼこと「ババヘラ」のレポートです。(⇒何という落差・・・)
baner_decobanner.gif

2009/07/12

応援しよう! こめ育ち豚

祝・平田牧場 仙台店オープン
  &祝・畜産大賞最優秀賞受賞

 2004年3月に進出を果たした東京を除くと、本拠地の山形以外では初出店となる「とんかつと豚肉料理 平田牧場 仙台ファーストタワー店」が昨日オープンしました。これからは仙台でも(株)平田牧場(本社:酒田市)が自社施設で品種開発、子豚の生産から肥育・加工まで一貫生産する同社を代表する銘柄豚「平牧三元豚」と、イタリア産 Prosciutto di Parma プロシュット・ディ・パルマ、スペイン産 Jamón Serrano ハモン・セラーノと並んで世界三大ハムに数えられる中国浙江省産の金華火腿(ヂンホアフォトェイ・日本名:金華ハム)を作る目的で開発された希少な金華豚を独自に交配した「平牧金華豚」などを存分に味わうことができます。

kinka_tonnya.jpg【photo】豚肉の美味しさを味わうには、やっぱりコレ。平牧金華豚 ロースかつ膳(2,000円)。二種類のオリジナルソースのほか藻塩でも。平田牧場とんや(酒田市みずほ2-17-8)にて

 樹齢300年を超える古民家の部材を取り入れた広々とした空間でジューシーなとんかつを頂ける同社の直営店「とん七 鶴岡こぴあ店」で、キメ細やかな赤身と淡雪のようにサラリと甘い白身の「平牧金華豚」に打ちのめされて以来、平牧三元豚や平牧金華豚のさまざまな部位を炭火で頂ける酒田の「焼肉・しゃぶしゃぶ平田牧場」では、霜降り牛肉と違い、脂身が軽いため、いくら食べても全く胃にもたれません。
 
 「焼肉・しゃぶしゃぶ平田牧場」(旧・やきとん酒場 三元豚)の通り向いにある「平田牧場本店」には、同社の製品が勢揃いしており、真っ白な霜降りの白身が特徴の桁外れの肉質が際立つ豚しゃぶをお試し頂きたい「純粋金華豚」も入手できます。ただし希少価値の高い純粋金華豚しゃぶ用ロースは100g 1,200 円というお値段ゆえ、懐具合が寂しいときは、ぐっとリーズナブルな平牧金華豚の切り落としをどうぞ(笑)。

jyunsui_kinka.jpg 【photo】しつこさを全く感じさせない真っ白な脂身と淡い桜色の赤身にサシがびっしりと入った純粋金華豚は異次元の旨さ。国内では平田牧場のほか、一社が生産するのみという。融点が低いため、口の中でサラリとトロけてゆく。平田牧場本店で入手可のほか、同社のWebサイトで限定販売

 平田牧場が出店した藤崎ファーストタワー館には、人気イタリアンブランドのGUCCI 、高級靴ブランド Sergio rossi セルジオ・ロッシなどが同時オープン。隣接するアトリウム棟に出店した平田牧場のブランド豚ともども、妙に親近感が湧く「庄内系」で「イタリアン」なブランドに期待するところです。

 平田牧場 仙台ファーストタワー店は、美味しい豚肉料理を提供するだけの店ではありません。同社は2004年(平成16)度から耕土保全と食料自給率の向上に寄与する「飼料用米プロジェクト」を推し進めているからです。我が国の食の安全保障上からも注目されるこの飼料用米プロジェクトに参画する構成メンバーは、同社のほか、2004年に国から「食料自給率向上特区」に認定された山形県飽海郡遊佐町・JA庄内みどり農業協同組合・生活クラブ事業連合生活協同組合連合会・JA全農山形県庄内・北日本くみあい飼料・独立行政法人 山形大学農学部・庄内総合支庁酒田農業技術普及課・NPO法人 鳥海自然ネットワークの計9 団体。

kinka_sangen.jpg【photo】平牧三元豚ロース(左)と平牧金華豚ロース(右)。とん七 鶴岡こぴあ店にて

 国策としてのコメの減反と就農者の高齢化、米価の低迷によって、いま耕作放棄地が全国で拡大し続けています。一方で国内で飼育される家畜の飼料自給率はわずかに25%程度しかなく、バイオエタノールの需要増によって、この2年間で5割以上も高騰したトウモロコシの価格は、畜産農家の経営を直撃しました。かつては輸入飼料にも依存していたという平田牧場では、'96年の中国産トウモロコシの輸入停止を受けて、飼料用米の作付けを始めました。飼料の自給自足を達成している同社直営豚舎が、庄内町狩川近くにある「千本杉農場」。

 そこではきれい好きな豚のため開放されたストレスフリーな環境のもとで徹底した品質管理を行っています。非遺伝子組換・防カビ剤などポストハーベスト農薬を使用しないトウモロコシ・大麦・大豆粕など、国産の植物性飼料だけを肥育飼料として与えています。排泄物は無臭完熟発酵堆肥として、同社の飲食店から出される廃油を農機具のBDF(バイオディーゼル燃料)として活用している月山パイロットファーム【Link to back number】などで使用されています。飼料用米プロジェクトでは、減反対象となった地元産の水田で転作栽培された飼料用米を平田牧場が全量買取り、飼料に10%のコメを混ぜて与えた「こめ育ち豚」として生活クラブ生協が2006年より安定供給しています。飼料米プロジェクトは、資源循環型農業のモデルとしても先駆的な取り組みでもあるのです。

tontoro_sangenton.jpg【photo】平牧三元豚トントロを炭火で炙り焼き。んめぞー!! 焼肉・しゃぶしゃぶ平田牧場にて

 私たちが口にする食用米と比較すれば、飼料用米「ふくひびき」や「べこあおば」の買取価格はおよそ1/5 程度だといいます。転作作物に対する国の「産地づくり交付金」や、県が独自に設けた補助金を上乗せした農家の手取額は、10a あたり7万3千円あまり(平成20年)。水田で作られるコメは、連作障害が出ない唯一の農作物です。消費が減退し、コメ余りといわれる昨今、農家にとっては、食べ手のいないコメ作りに見切りをつけるよりも、飼料用とはいえコメを作り続ける喜びは何物にも代えがたいのです。

 昨年飛躍的に作付けを増やした酒田市も加わり、庄内一円で500ha 以上まで増産されている飼料米。プロジェクトの試算によれば、国内の減反田で100万ha の作付けを達成すれば、穀物自給率を20%押し上げる効果があるといいます。現状は公的な補助金に支えられている飼料米だけに、猫の目農政にこれまで振り回されてきた農家には、補助の打ち切りという一抹の不安も残ります。子孫に美田を残すためにも、食べ支えることでこの有意義な取り組みを応援したいものです。

mokkiri_sangenton.jpg【photo】焼き上がったトントロを肴に頂くもっきりは、遊佐町の地酒「杉勇」。やきとん酒場三元豚オリジナルの特別純米酒「十七代」clicca qui(590円)。コクのある上喜元・鯉川・大山など、ボディがしっかりした庄内の地酒が上質の脂身が楽しめる豚肉にはよく合う

 日本国内では庄内地域が突出して作付けが先行している飼料米を与えた豚には、思わぬ副次的な効果が生まれました。脂肪酸組成において、血中コレステロールを減らし、旨味を向上させる働きをするオレイン酸が増加することが理化学分析によって判明したのです。加えて、ランドレース種とデュロック種を交配した母豚にバークシャー種を掛け合わせ、それぞれの長所を引き出した結果、高い食味評価を得ていた従来の平牧三元豚と比較しても、こめ育ちの平牧三元豚はより一層優れた食味を生み出すのだといいます。こうして、飼料用米プロジェクトは地域の農家に活力を与え、持続可能なコメ作りを通した耕土保全に寄与し、豚肉の食味をさらに向上させるという、いいことずくめの結果をもたらしています。

 この春、(社)中央畜産会が選定する畜産大賞の平成20年度 地域畜産振興部門最優秀賞に「食料自給率向上モデル飼料用米プロジェクト」が推進する「『こめ育ち豚』で広げる水田農業と消費の輪-食べる手・作る手・つないで食の再興計画 遊佐モデルのチャレンジ-(通称:飼料用米プロジェクト)」が選ばれました。
 
 中央畜産会は、畜産経営者の技術向上と経営の安定化を図るために1955年(昭和30)に設立され、経営指導や資金援助、広報活動などを行っています。会は116の正会員と59の賛助会員から構成され、模範となるべき事業モデルや有意義な研究成果に対して、経営・地域畜産振興・研究開発の3つの分野における「畜産大賞」を設けて、平成10年度より毎年優れた取り組みを表彰しています。

 東北からは三部門の中で最も優れた成果に贈られる大賞には、平成17年度に岩手の葛巻町畜産開発公社が選ばれています。各分野の最優秀賞には、これまで青森・秋田・福島から選定されており、今回の飼料用米プロジェクトの受賞によって、いまだ受賞の栄誉に浴していないのは宮城だけとなりました。Forza Miyagi !!

kinka_tonshichi.jpg【photo】古民家の部材を取り入れた店で頂く鶴岡とん七の平牧金華豚特厚ロースかつ膳(2,700円)

 飼料用米プロジェクトに関してアレコレ述べましたが、まずはこめ育ち豚の美味しさを体感頂くのが先決です。これから夏本番を控え、体の組成の元となる必須アミノ酸や疲労回復効果が高いビタミンB1が豊富で脳血栓防止や肝機能向上も期待できる美味しくヘルシーな豚肉と緑黄色野菜を積極的に取り入れたバランスの良い食生活を心掛けたいもの。"豚肉=太る⇒生活習慣病の一因"というイメージをお持ちの方がおいででしょうが、豚肉の消費量が全国で最も多いのは、長寿県として知られる沖縄なのです。誤解を恐れずに申し上げれば、こめ育ち豚の美味しさの真髄は、脂身にこそ存在すると私は断言します。まずは仙台ファーストタワー店で、凡百の黒毛和牛など凌駕するそのうまさに触れていただき、さらにはぜひ酒田の炭火やきとん酒場 三元豚へも足を延ばして、絶品のトントロを塩味で召し上がってみてください。あまりの美味しさにさぞ食が進むと思いますが、そこは大丈夫。胸焼けや胃のもたれとは無縁であることは、私が幾度も実証済みですので。 v (`( 0 0 ) ´ )

************************************************************************
とんかつと豚肉料理 平田牧場仙台ファーストタワー店
 住所:仙台市青葉区一番町3-1-2仙台ファーストタワーアトリウム棟2F
 phone:022-399-8029  
 営:11:00-15:00 (L.O.14:30)17:00-22:00 (L.O.21:00)
 URL:www.hiraboku.com
 ▼主なメニュー
  平牧三元豚 ロースかつ膳 1,300円 ヒレかつ膳  1,400円
  平牧金華豚 ロースかつ膳 2,000円 棒ヒレかつ膳 2,700円
  平牧三元豚 和風ハンバーグステーキ膳 1,300円  生ハム 700円
 ※予約限定メニュー(前日までに要予約・2名~)
  平牧三元豚 しゃぶしゃぶコース 4,500円
  平牧金華豚・平牧三元豚しゃぶしゃぶコース 5,500円
  平牧金華豚 しゃぶしゃぶコース 7,500円

平田牧場 とん七 鶴岡こぴあ店
 住所:鶴岡市余慶町1-6 phone:0235-29-1529
 営:11:30-15:00 (L.O.14:30)17:00-22:00 (L.O.21:30)

焼肉・しゃぶしゃぶ平田牧場(旧三元豚 酒田店)
 住所:酒田市みずほ2-18-8 phone:0234-21-2919
 営:月~土 17:00-24:00(L.O.23:20) 日・祝 17:00-23:00(L.O.22:20) 


baner_decobanner.gif

2009/07/05

秘密の花園@深山

花盛りの「藤沢カブ」を訪ねて

yakihatasummit.jpg

 仕事の都合がつかずに私は参加できなかったのですが、昨年11月に鶴岡で総合地球科学研究所(本部:京都)と山形在来作物研究会(鶴岡)・東北文化研究センター(山形)・鶴岡市の共催による「第二回焼畑サミット」が行われました。焼畑と野焼きの文化-今、東北が熱い!-と題するフォーラムの告知ポスターには、まだ真っ暗な早朝、山の斜面に火を放つ人の姿が写っています。炎に照らし出された眼鏡をかけた男性の横顔には見覚えがありました。それは紛れもなく2年前に「藤沢周平の故郷の味」Link to backnumberでご紹介した湯田川温泉街に隣接する鶴岡市藤沢地区で在来野菜「藤沢カブ」を栽培しておいでの後藤勝利(まさとし)さんでした。  【クリックで拡大⇒】

 焼畑によるカブ作りには、森林資源保持のために計画伐採される区画の確保がまずは必要です。消防署に届けをした上で、山焼きを行う前日までに切り株だらけとなった急斜面の下草を刈って整地するきつい作業〈clicca qui 〉を終えなくてはなりません。藤沢カブは連作障害が出やすいため、栽培する場所を毎年変えています。6年前、鶴岡市金峰山中の急峻な斜面に切り開かれた畑というよりはカブが一面に生えた山の一角を訪れて以来、後藤さんご夫妻の素敵な笑顔にお会いしたくて後藤さんのもとを毎年訪れて来ました。

yamayaki_06.jpg【photo】好天に恵まれた2006年(平成18)8月9日早朝。鶴岡市湯田川郊外、山谷地区の急斜面で行われた焼畑の火入れ 

 「焼畑農業」にどのようなイメージをお持ちでしょう? 未開地の非文明的な耕作法だという印象を持つ方や、環境保全型農業とは程遠い否定的な見方をされる向きが多いのではないでしょうか。これには、南米アマゾンや東南アジアの一部で横行する自然の回復サイクルを無視した無計画な伐採で熱帯雨林が失われており、伐採の主たる目的である焼畑が地球環境を破壊する元凶だとする情報が影響しているように思われます。対して、東北各地では雑草を燃やした草木の灰を肥料に地力を上げ、持続可能な循環サイクルのもとで雑穀や根菜類の栽培が古来より広く行われてきました。岩手・宮城を貫流する東北最大の川、北上川河口域には、茅葺屋根や葦簀(よしず)の材料となる国内最大級のヨシの原群落があります。収穫されないまま立ち枯れしたヨシに火を放ち、新たな芽吹きを促す野焼きが行われるのが、4月中旬。こうした「火耕」の知恵は、昭和末期までにわずかな例外を除いてほとんどが失われてゆきました。

2003.11.3fujisawa-kabu.jpg【photo】 20年前に当時60代半ばを過ぎた近所に暮らす女性から盃一杯分の種を託された後藤清子さんが、ご主人と採種を繰り返しながら大切に育ててきた藤沢カブ。2003年(平成15)11月、アル・ケッチァーノ奥田シェフの案内で初めて訪れたこの後藤さんの畑〈clicca qui 〉で勧められるままに土からもぎたてのカブにかじりつくと、すがすがしい辛みがパキッとしたみずみずしい食感と共に口腔いっぱいに広がった

 一帯を森林に覆われた鶴岡市温海(あつみ)の山あいにある一霞(ひとかすみ)地区では、400年以上前から伝統野菜「温海カブ」作りが行われています。湯田川温泉の南方、虚空蔵山を挟んで隣接する少連寺地区には、形状は温海カブ同様に丸いものの、より赤みと辛味が強い「田川カブ」、温泉街の東方に位置する藤沢地区でも地上に露出した部分が赤くなる細長い「藤沢カブ」、これら赤カブ系統ではなく、白く細長い形状の「宝谷カブ」は、同市宝谷地区にお住まいの畑山丑之助さんによって作られてきました。これらのカブに共通するのは、全て焼畑農法で作られているということ。これら以外の地区でも作付けされる温海カブ系統の品種は、焼畑ではない普通の畑で栽培されます。夏場は幾分品薄になりますが、晩秋から春先にかけて、鶴岡IC近くの「庄内観光物産館〈 Link to website 〉」では、各地の生産者が栽培した温海カブや同市大山の漬物専門店「本長」が製品化した藤沢カブの甘酢漬やたまり漬などを試食しながら選ぶことができます。私の好みは、焼畑で作られる藤沢カブや一霞産の温海カブですが、一口にカブの甘酢漬といっても造り手によって味はさまざま。どうぞお好みのカブラ漬をじっくりと選んで下さい。

yamayaki_2006-3.jpg

ojiichan_no_kabu_zukuri.jpg【photo】火の勢いを注視しながら山焼きの指揮をとる後藤勝利さんの凛々しい立ち姿。物腰が柔らかで小柄な後藤さんがいつになく大きく見えた     

(上写真)

後藤さんのお孫さん、ほのかちゃんの目を通して描かれた藤沢カブ作りが絵本化された「おじいちゃんのカブづくり」

(右写真)


 農村から都市部へ働き盛り世代の流入が続いた高度成長期、それまで各地に伝わっていた焼畑で栽培される在来種のカブの多くが、残された高齢者の手では重労働の焼畑で作ることができなくなり、多くの種が消滅してゆきました。庄内では珍しい赤く細長い系統のカブの種をただ一人作っていた近所の知人から「種を絶やさないで」と託された奥様の清子さんと共に後藤さんが作り続けてきた藤沢カブは、徐々に需要が広がり、作付けを増やしてきました。そんな後藤さんご夫妻にとって、大きな励みになったのが、昨年2月に鶴岡市出身の絵本作家 土田 義晴さんの手で、後藤さんをモデルにした絵本「おじいちゃんのカブづくり」(そうえん社刊 1260円)が出版されたことでした。現在は郷里の鶴岡を離れて東京で創作活動を行っている土田さんは、1年半に渡って後藤さんの畑に足を運んで精力的にカブ作りの模様を取材されたのだそうです。

【photo】私たちが今日この美味しいカブを食することができる恩人自らが漬け込んだ甘酢漬は、一般の流通には乗らない限定品。譲って頂いた藤沢家富(カブ)〈clicca qui 〉と、お土産にと頂いた美味しさはなんら変わらない不揃いのカブ。この藤沢家富 甘酢漬のラベルにある通り、「まぼろし」のカブにまつわる物語を知るにつけ、味わい深さもまたひとしお
fujisawakabu_2008.jpg 
 杉材が切り出された区画を選んで下草を刈り、8月の夜が明けきらぬ早朝から行われる山焼きに始まる後藤さんのカブ作り。自家採種した種を撒いてから2ヶ月弱で収穫が始まる藤沢カブが、収穫の最盛期を迎えるのは10月末から。火入れによって土壌から病害虫が駆逐されるため、肥料や農薬などの人工的な要素は一切使用せずに育つカブの収穫は、山一面が雪に覆われる頃まで続きます。昨シーズンは生育が遅れ、丈の短いカブしか収穫されず、思うように出荷できなかったご苦労を年末にご自宅で伺いました。

fujisawa_29_12_2008.jpg【photo】昨年12月29日朝に訪れた藤沢カブの畑(上写真手前)。2003年にカブを栽培した畑があったのが奥の白い山肌を見せる山。例年より積雪が少ないものの、一面を雪で覆われたそこは、静寂が支配していた。それから4ヶ月あまりを経た今年5月初旬、上記と同じ畑を再訪した(下写真)。丸5年を経過して緑の潅木が回復しつつある奥の山を見ても明らかなように、茫漠とした冬とは打って変わって生命の再生を感じさせた

fujisawa5_2009-1.jpg

 カブの焼畑栽培が行われる地域では、5月になるとアブラナ科特有の菜の花に似た花を咲かせるカブに出合えます。温海カブを焼畑で作っている一霞地区では、道沿いに黄色い花が咲き乱れています。地元の有志が3年前から始めた「蕪主制度」で再評価の機運が起こり、長らく唯一の栽培者だった畑山さん以外にも栽培を再開する生産者が出始めた宝谷カブは、棚田の畦道に花を咲かせます。いずれも比較的身近かな所で栽培されるカブです。一方、後藤さんの藤沢カブは、ほとんど人が足を踏み入れない金峰山周辺の山中で栽培されています。人里離れた山の中でひっそりと花を咲かせる藤沢カブの菜の花畑は、私が大好きな春の風景です。

primavera_fujisawa2.jpg【photo】周囲の木々のバリエーション豊かな緑色の中に黄色いじゅうたんを敷き詰めたような愛らしい藤沢カブの花。人知れず深山に咲く花々は、北国にようやく訪れた春と、やがて種を結んで命の連環を果たす喜びに満ちている

 人を容易に寄せ付けない山中ゆえ、雪が積もる季節には、かんじきを履いて山に入り、雪の下から甘みの乗ったカブを掘り出すこともあるといいます。昨年12月29日の朝、例年より積雪が少ない山に入って畑の様子を見に行きました。そこはキツネやカモシカはもちろん、クマも生息する場所です。新雪の上に点々と続く野生動物の足跡の先にある畑で、藤沢カブたちは雪の下で眠りについていました。

 そして金峰山が一斉に芽吹きの季節を迎えた5月上旬。私が初めて後藤さんのもとを訪れた2003年(平成15)にカブを作っていた区画の手前に作られた新たな畑では、藤沢カブが種をつけるために精一杯黄色い花を咲かせていました。「 誰も知らない秘密の花園...」というアイドル時代に松田聖子が放ったヒット曲はもちろん(?)、小鳥のさえずり以外は何も聞こえてきません。深山の木々は、萌黄や浅緑など多種多様な緑のパッチワークで彩られています。鬱蒼とした木々に囲まれた畑の一角だけが、黄色に輝くありさまは「金の峰」というその山の名にふさわしい光景でした。
primavera_fujiswa3.jpg

 詳細は追ってご案内しますが、この秋、収穫作業真っ只中の藤沢カブの畑を訪れる行程を組み込んだ仙台発のバスツアーを計画しています。ツアーのプロデュースは庄内の魅力を知り尽くした庄内系イタリア人。実りの季節を迎えた旬の美味の数々と癒しに満ちた庄内の魅力を一泊でたっぷりと味わって頂けますので、どうぞご期待ください。
baner_decobanner.gif

Giugno 2016
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
Copyright © KAHOKU SHIMPO PUBLISHING CO.