あるもの探しの旅

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酔って候

食の都・庄内 豊かな実りと癒しのツアー 第2幕
 @竹の露酒造場 月山伏流仕込水

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【photo】蔵の敷地奥や孟宗筍の産地である高寺地区一帯まで広がる竹林が蔵名の由来となった竹の露酒造場

 稲刈りを終えた田んぼに囲まれた鶴岡市羽黒町猪俣新田にある「竹の露酒造場」【Link to Website 】では、代表社員の相沢 政男さんにお出迎え頂きました。蔵の敷地に最近整備された水飲み場には、地下300mから汲み上げている仕込み水が引かれています。月山山系のブナ原生林が水源となり、世界的にも珍しい火山性の石英質砂礫地層を通ったこの伏流水は、温泉法の定める25℃未満ギリギリの22-23℃と水温が高いのだそう。そういえば蔵から500mほどの距離に日帰り入浴施設「やまぶし温泉ゆぽか」があります。クリスタル地層でろ過された弱アルカリ性ph7.7、硬度19mg / ℓの超軟水は、一旦6基の貯水タンクで冷却ろ過した上で仕込みに使用しているそうです。

aizawa_kuramoto.jpgshikomimizu_takenotsuyu.jpg【photo】
ご案内頂いた竹の露酒造場 代表社員の相沢 政男さん(左写真) 蔵敷地内に湧く無菌超軟水の仕込み水。蔵元の話に耳を傾けながらもそのまろやかな味を確かめる参加者(右写真)

 蔵の中に取水口がついた導水管があり、声を掛けてから水を汲ませて頂く機会が多い竹の露酒造場の仕込み水は、湯田川の岩清水と並んで、鶴岡近辺では私が好きな湧水のひとつです。味の透明感が高く甘く柔らかなその水は、吟醸クラスではない例えば「特撰純米酒 白露垂珠」がそうであるように、精米歩合55%まで磨いた地元羽黒の米「出羽の里」と出合って酒として醸されると、より一層柔らかさが増すから不思議。sakamai_takenotsuyu.jpg口腔に広がる透明感のある柔らかな香り高い酒は、スッと綺麗に咽喉へと吸い込まれてゆきます。その元となる弱アルカリ性で健康増進と美肌効果も期待できるという水を皆さん美味しそうに味わっておいででした。

【photo】蔵には竹の露の酒造りで使用される地元の酒米が展示される

 民間育種が盛んであった庄内地方では、記録が残っているだけでこれまでに60人以上の育種家によって160種ものコメ品種が生まれています。一地域でこれほど多くの新品種を民間人が育種した例は他になく、研究熱心で進取の気風に富んだ庄内の一面を物語ります。その代表格が、近代日本が生んだ優良食用米の祖にあたり、近年では酒米として復活している「亀ノ尾」を創選した阿部 亀治の存在です。食する物の背景を知るのが目的である今回のツアーでは、竹の露で試飲用に亀ノ尾の酒をご用意頂き、亀ノ尾の原種となった3本の稲穂が発見された羽黒山の東、庄内町立谷沢の熊谷神社を二日目に訪れることになっていました。

daiginjyo_hakurosuishu.jpg【photo】IWCインターナショナルワインチャレンジ2009で金賞を受賞した「純米大吟醸 はくろすいしゅ」

 1858年(安政5)創業の歴史ある蔵では、自家栽培する亀ノ尾・京ノ華・改良信交・出羽燦々・出羽の里・美山錦の酒造好適米6種を始め、全て地元羽黒の米を使用した「地の酒」造りを行っています。同じ酒米でも作り手によって最適な水の浸漬が異なるため、仕込みはそれぞれ専用のタンクで行う徹底ぶりが、山田錦以外の酒米で競われる全国新酒鑑評会第一部で6年連続金賞受賞という輝かしい結果を生んでいます。今年の4月に162蔵元が359銘柄の酒を出品してロンドンで開催された「IWCインターナショナルワインチャレンジ2009」の

degstazion_takenotsuyu.jpg「sake部門」純米吟醸・純米大吟醸のカテゴリーで、最高賞のGold prize 金賞 全8銘柄のひとつに竹の露酒造「純米大吟醸 はくろすいしゅ」が選ばれました。精米歩合を40%まで高めた酒米の出羽燦々を蔵のお膝元で栽培したのは羽黒杜氏の本木 勝美氏。地の米・地の水が、地の技によって比類なき味わいを生み出します。

【photo】「こりゃ美味いわ」、「こっちは飲み口が柔らかいぞ」と熱気渦巻く試飲タイム

 待ちかねた試飲には、IWC金賞受賞酒の「出羽燦々 純米大吟醸 はくろすいしゅ」・「同 大吟醸 白露垂珠」・地元限定の「亀ノ尾 氷温三年熟成 純米吟醸 かすか」・「同 純米吟醸はくろすいしゅ」・県が独自に定めた基準に基づき、歴史風土を反映した優れた製品に与えられる戦略ブランド「山形セレクション」選定酒「出羽の里 純米吟醸 はくろすいしゅ」・現在では山形だけで栽培される酒米「改良信交 純米吟醸 はくろすいしゅ」・栽培地としては最北の「鶴岡山田錦 純米吟醸 はくろすいしゅ」・大正期に庄内で育種された「京の華 無濾過純米 白露垂珠」・出羽燦々の祖先に当たる「美山錦 純米吟醸 白露垂珠」の9種類の酒が用意されました。酸の立ち方や含み香などに酒米ごとの個性が表現されますが、いずれもこの蔵の特徴である芳醇端麗なキレの良さを持ち合わせているのが印象的でした。

tutti_takenotsuyu.jpg【photo】
食WEB研究所のフードライターとしても活躍中の女性利酒師、早坂久美さんもツアーに参加。地元以外では入手困難な「亀ノ尾 氷温三年熟成 純米吟醸 かすか」など、この日試飲した全アイテムを前にご満悦

 正直に白状すると、いつものように自分が運転する立場ではないのをいいことに、もはや試飲の域を超えてしまったワタクシ。居並ぶ美酒を前にしてほとんど仕事を忘れそうになる自分を葛藤の末にやっとの思いで引き戻し、再びラッシャー木村ばりのマイクパフォーマンス(?)を繰り広げながら向かったのは旧藤島町(現鶴岡市)が循環型農業の実践などを通して実現を目指すエコタウン構想の旗振り役であった相馬 一廣さんがおいでの「月山パイロットファーム」です。

 その夜、太田 政宏グランシェフ自ら解説付きでフランス風郷土料理の神髄を魅せて頂いた「レストラン欅」と、オプショナルツアーで訪れた"生ける伝説のバーテンダー"井山 計一さんの店「喫茶・バー ケルン」での一部始終はまた次回。

食の都・庄内 豊かな実りと癒しのバスツアー 第3幕 美味な名匠三重奏 に続く
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» 観光ガイドブックに出ていない食の都・庄内ツアー〔前編〕 from おっかぁ~の「食ネタ一直線」!!
 という事で、タイミングが遅れてしまいましたが、10月23~24日に行われたかほ... [詳しくはこちら]

コメント

そんなにメモをとられていないようにお見受けしましたが、すごく緻密なデータですね~。
参考になります。

米違いであそこまでの銘柄を試飲できる機会もそうそうないので
すごく勉強になりました。
ありがとうございました!

▼おっかぁ早坂様

 竹の露酒造の水脈の先にある水で育つ井上農場のコメが主食の我が家では、そのコメを竹の露の仕込み水で炊く場合が多いゆえ、結果的に和食系に合わせる酒は、竹の露の出番が多くなります。

 ソムリエならぬノムリエを自認する庄内系なりに、銘酒竹の露を教材に実践する飲み合わせ・食べ合わせに関する日々の研究を決して怠らないよう、自分を戒めています。

 ・・・ってただの酒飲みの言い訳にしか聞こえませんよね。 

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