あるもの探しの旅

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オフヴィンテージ考

Podere Salicutti / Brunello di Montalcino Poggiopiano '02
ポデーレ・サリクッティ / ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ'02年
 @エノテカ・イル・チルコロ

 2009年は奇跡の年。 今年のボジョレー・ヌーボーの売り文句です。

 表現は違えど毎年グレートヴィンテージが宣言される唯一無二の産地、ボジョレーの新酒をお飲みになった方は、どんな奇跡を体感なさったのでしょう。商魂たくましい産地関係者が煽るお囃子に合わせ、"踊らにゃ損々"と盛り上がる11月の第3木曜日。一部インポーターや酒販店も加担して解禁日に向けたプロモーションが繰り広げられます。その動きを眉唾モードで受け流すことにしている私の記憶では、2、3年前にも聞いた記憶があるフレーズ、「50年に一度の出来!!」と、派手に持ち上げられても、どこ吹く風。総選挙で自民党が繰り広げたネガティブキャンペーン顔負けの「今年も当たり年? ボジョレー・ソードーは日本固有の祭りLink to back number」で持論を展開したのが昨年のことでした。その甲斐あってか(?)例年通り静観を決め込んだ今年の騒動は、いまひとつ盛り上がりに欠けた感があります。

selezione_hayashi.jpg【photo】イタリアワインを輸入業者に斡旋するエージェント、林 達史(たつし)氏が選んだモトックス社取り扱いのヴィーノが揃った「エノテカ・イル・チルコロ」でのワイン会。日に日に寒さが増してくる11月の3週以降ともなれば、しっかりとしたボディのある上質なヴィーノ・ロッソが一段と美味しく感じられる。どうせならこうした真っ当なワインを楽しみたいもの

 今年の商戦は解禁直前に大手スーパーが火花を散らした値下げ競争と、ペットボトル入りの低価格ヌーボーがトピックスとなりました。ブドウを原料とする醸造酒(→特殊な製法で速成醸造されるボジョレー・ヌーボーは"ワイン未満"であると考えているため、敢えてワインとは呼びません)カテゴリーでは、年間売り上げの重要な山場となるボジョレー商戦の売り上げ確保に躍起となる日本の酒販業界の努力もむなしく、ここ数年その売り上げは減少の一途をたどっています。今年の輸入量は、昨年比で15~20%の減少が見込まれるといいます。Bio (ビオ)だ自然派だと、特に女性を意識した付加価値をつけたところで、到底価格に見合った酒質が伴わない商材を持ち上げるかまびすしい商業主義が駆逐され、真っ当なワイン文化が日本に根付くまで、私の孤独な闘いは続くことでしょう(笑)。

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 前置きはこのぐらいにして、ワインの輸出斡旋業者であるクルティエの林 達史 氏をお招きして仙台市青葉区のイタリアン「エノテカ・イル・チルコロ」で行われたワイン会で出た一本のヴィーノが、今回の話題の中心です。1964年(昭和39)京都に生まれた林氏は、'90年代前半にイタリアワインと出合い、小規模な素晴らしい生産者が日本に紹介されていないことから、生産者と輸入業者の橋渡しを始めます。現在は一年の半分以上をフィレンツェの北隣りにある街Fiesole フィエーゾレに住まい、フィレンツェを拠点に自らの目と舌で選んだ生産者だけを紹介しています。

【photo】多彩なイタリアワインへの深い理解によって生産者から厚い信頼を得ているクルティエ 林 達史 氏

 その日のワイン会は、'95年に林氏がカンティーナ(=醸造所)に足を運んで日本に紹介したトスカーナの「Montevertine モンテヴェルティーネ」など優良生産者の中で、信頼のおけるインポーター「モトックス」が扱うラインナップからセレクトした6本のイタリアワインが出されました。特にヴィーノ・ロッソ(=赤ワイン)は、私が注目しているAzienda アジェンダ(=生産者)のワインを4種類も味わえるというので、万難を排して参加しました。

franciacorta_e_arneis.jpg【photo】スプマンテはロンバルディア州ラ・フェルゲッティーナのフランチャコルタ・サテン04(左)白ワインはピエモンテ州ブルーノ・ジャコーザのロエロ・アルネイス'07(右)ともに産地で品質面のリーダー格と目される生産者といえる

 まずはキメ細やかで持続性の高い泡が立ち昇り、淡いクチナシと明確なアーモンドのニュアンスがあるイタリア北部ロンバルディア州Bresciaブレシア県産のスプマンテ「Franciacorta Saten '04 フランチャコルタ・サテン」から。自家栽培したシャルドネの中から最良の状態のブドウおよそ35%だけを選別してステンレスタンクで一次発酵させ、1割をオーク樽にて熟成。36ヶ月の長期瓶内熟成を経てリリース後、わずか3ヶ月で完売してしまうというこのスプマンテの造り手は、Erbusco エルブスコで優良なDOCG(「統制保障原産地呼称」イタリアワイン法の最高位)Franciacortaを生産する「La Ferghettina ラ・フェルゲッティーナ」。Ca'del Bosco カ・デル・ボスコと並び称されるBellavista ベッラヴィスタで栽培・醸造責任者を20年務めたロベルト・ガッティ氏が'91年に興したカンティーナ(=醸造所)です。

 青リンゴのような香りが後を引くヴィーノ・ビアンコ(=白ワイン)はPiemonte ピエモンテ州の固有品種Arneis アルネイスを復活させた立役者、名醸地として知られるCuneo クーネオ県Neiveネイヴェに醸造所を構える「Bruno Giacosaブルーノ・ジャコーザ」の「Roero Arneis '07 ロエロ・アルネイス」。1929年生まれの現当主ブルーノ氏は、誰よりもLangheランゲ地区の畑を知り尽くしており、ランゲの伝統を重んじる醸造スタイルは、一貫したものです。天候に恵まれない年は、自社ブランドの醸造は行わず、すべてバルク売りしてしまいます。自社畑のほかに一部生産を委託しているブドウ生産者とは、作柄の善し悪しに関わらず、常に一定量を買い取りしており、地元で厚い信頼と尊敬を集める生産者でもあります。吉田シェフの作る有機野菜のパレット仕立てとホワイトアスパラガスの茹で上げ・茹で卵とパプリカのソース掛けとともに、ワイン会は上々のスタートを切りました。

dopoteatoro_e_rosso.jpg【photo】赤ワインはトスカーナ州ポデーレ・サリクッティのカベルネ・ソーヴィニョンをメイン品種とするIGT(=地域特性表示ワイン)ドーポテアトロ'04(左)と、翌'07ヴィンテージから格上のブルネッロ同様、畑名のSorgente が最後に付くようになったロッソ・ディ・モンタルチーノ'06(右)。エチケッタに描かれるのは古代ギリシア・ローマ時代のTeatro (=円形劇場)。いずれも素晴らしい作柄のブドウが収穫された年らしい深みのあるしっとりとした血筋のよさを備えている

 いやが上にも期待が高まるヴィーノ・ロッソは「Podere Salicutti ポデーレ・サリクッティ」の4本。何をおいても参加した私のお目当ては、旗艦となるヴィーノ「Brunello di Montalcino ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」でした。ローマで科学教師をしていたシチリア人のフランチェスコ・レアンツァ氏が、'90年にトスカーナ州最南部の名醸地Montalcino モンタルチーノに土地を購入して移住、Podere(=「農場」の意)にブドウを植えた4年後に誕生したカンティーナは、伝統ある産地モンタルチーノでは新参ながら今では揺るがぬ名声を築いています。19世紀初期の古地図に同じ名が認められるというPodere Salicuttiでは、科学者でもあるフランチェスコが栽培から醸造・ラベリングまで全てを自らの手で行っています。

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【photo】1.5haの区画Piaggione ピアッジョーネは風通しのよい南斜面に1haあたり4,500本の密植度でブルネッロ種ことサンジョヴェーゼ・グロッソ種が栽培される(右写真)  畑に立つオーナー兼醸造家フランチェスコ・レアンツァ(中央写真)  開花期のサンジョヴェーゼ・グロッソ(左写真)

 1967年に発足した「Consorzio del Vino Brunello di Montalcino ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ協会」【Link to website】では、産地全体としての作柄を5段階で自己評価し、毎年☆の数を公式に発表しています。毎年のようにグレートヴィンテージ五つ星を約束され、今年のような自称・奇跡の年に至っては六つ星すら付きかねない地球上唯一の産地ボジョレーとは違い、天候が比較的安定しているトスカーナ南部にあってすら、至極当たり前なことですが、年によっては厳しい天候のもとでブドウを育てなくてはなりません。直径16kmのエリアに24,000ha の耕作面積が広がるトスカーナきっての名醸地モンタルチーノ。協会に加盟する216軒の生産者は、標高や土壌など地域によって微妙に栽培条件が異なるため、brunello_02_03.jpg強靭なタンニンを備えた長期熟成型のヴィーノとなるサンジョヴェーゼ・グロッソ種(ブルネッロ種)だけを原料とするブルネッロ・ディ・モンタルチーノでも、一般的傾向として西側がエレガントで、ブドウの成熟が早い南側ではアルコール度数が高めになるなど、味に微妙な差異が生まれます。

【photo】ポデーレ・サリクッティの名を一躍世に知らしめたのが、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生産を始めて2年目、良作年として話題になった'97ヴィンテージ。この夜は水浸しの年と渇水と酷暑が襲った年という違いはあれど、困難な年だったと多くの生産者が振り返る'02ヴィンテージ(左)と'03ヴィンテージ(右)を試飲

 ブドウが熟する過程から収穫期に雨が降り続いた'02年が'92年以来の☆☆二つ星評価で、作り手によっては、最良のグランヴァンにあたるブルネッロの生産を諦め、セカンドクラス Rosso di Montalcino ロッソ・ディ・モンタルチーノに格落ちさせざるを得ませんでした。セカンドクラスはブルネッロの半値程度で販売されるため、その決断は生産者にとって痛手以外の何物でもありません。翌'03年は☆☆☆☆四つ星評価ですが、欧州全体が記録的な猛暑に見舞われ、夏の間に降水が全く無かったイタリア中部以南ではブドウが干しブドウ状になる高温障害が発生。そのため糖度が高くジャミーな(=ジャムのような)ワインに仕上がるケースも散見され、インパクトはあるものの、長期熟成に耐えうる重要な要素となる酸味の乏しいヴィーノも見受けられました。

back_rabel.jpg【photo】権威あるイタリアの有機認証機関「ICEA」からビオ認定を受けているサリクッティのブルネッロは、バックラベルに「Con uva da agricoltura bioligica(=有機栽培のブドウを使用)」と記載される

 近年では'97年・'04年と、まだ法定熟成期間中で未リリースながら'06年・'07年のように最高評価☆☆☆☆☆五つ星の理想的な気候のもとでは、健全に育ったブドウからバランスの良い味わいを備えた偉大なヴィーノが生まれます。生産者によっては、☆☆☆☆四つ星の'99年・'01年にも素晴らしいブルネッロをリリースしました。

vigna_piaggione.jpg【photo】南方50km にある標高1,732m のアミアータ山は、地中海からの海風を遮り、安定した気候をモンタルチーノ周辺にもたらしている。ポデーレ・サリクッティのブドウ畑、Piaggione ピアッジョーネでは、主にブルネッロ用のサンジョヴェーゼ・グロッソが栽培され、例年10月5日ごろに収穫が行われる(上写真)

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 ポデーレ・サリクッティは、モンタルチーノ中心部から標識を頼りに世界遺産の「Val d'Orcia オルチア渓谷」方向に4.5kmほど進んだ高台にあります。すぐ近くにはイタリアで最も美しいといわれるロマネスク様式の修道院「Abbazia di Sant'Antimo サンタンティモ修道院」〈clicca qui〉がブドウ畑と草原に囲まれて建っています。キアンティ・クラシコ地域よりも年間降水量が50mmほど少ないモンタルチーノ特有の乾いた風が吹き抜けてゆくブドウ栽培に適したサリクッティ農場では、4つのブドウ畑のほか、オリーブも栽培しています。農村体験型の宿泊施設「Agriturismo アグリツーリズモ」を併設した建物の南側からは、火山としてはシチリアのMonte Etnaエトナ火山(3,315m)に次ぐ高さのMonte Amiata アミアータ山が遠望されます。

colori_vini.jpg【photo】1 泊から利用できる宿泊施設アグリツーリズモを併設したPodere Salicutti (上写真)
カベルネベースのドーポテアトロ'04(写真右)は、サンジョヴェーゼ・グロッソ100%のブルネッロ'03(写真中)'02(写真左)と比較すると、幾分黒味がかったガーネットをしている

 フランチェスコ・レアンツァ氏は、有機認証を受けた飼料のみで育てられた地元の牛舎から提供される堆肥を通常の1/4程度の使用にとどめ、ブドウの畝で栽培されるマメ科を中心に15種類ほどの草花を緑肥として活用しています。除草剤や化学肥料に依存することなく、自然に対して謙虚さを忘れず、いかなるヴィンテージでも最良の結果へと導くアプローチを忍耐強く探る姿勢を貫いています。欧州でも重要な有機認証機関の一つ「ICEA」からBio (ビオ)認証を受けるブルネッロ・ディ・モンタルチーノのファーストヴィンテージが'96年。米国の権威あるワイン評価誌「ワインスペクテイター」は、軒並み高評価を与えた'97年のブルネッロの中で、最高得点の98点をポデーレ・サリクッティに与えました。それまでほとんど無名であった創業間もない小さなカンティーナは、こうしてイタリア屈指の名醸地モンタルチーノの協会加盟のワイン生産者216軒の頂点として名乗りを上げたのです。

 【photo】ニクヤキスタこと吉田シェフの本領発揮、久慈市山形町産短角牛の肉料理

 プリモピアット「岩手産ホロホロ鶏のラグーソース風味パッパルデッレ」、セコンドピアット「岩手久慈市山形町産 短角牛リブロースの炭焼・同テールの赤ワイン煮込、レバーのソテー」が運ばれると、いよいよ料理とお互いを高めあうイタリアワインの美質を発揮するVini rossi (=赤ワイン・複数形)の登場です。4つの区画では最も標高が高いために成熟が遅く、糖度とポリフェノール成分が幾分少ないブドウとなるSorgente ソルジェンテのブドウを主に用いた「Rosso di Montalcino '06 ロッソ・ディ・モンタルチーノ」、カベルネ・ソーヴィニョンを9割使用し、トスカーナ原産とされるサンジョヴェーゼとキアンティでも補助品種として使用されるカナイオーロを各5%ずつ混醸したIGT「Dopoteatro '04 ドーポテアトロ」、ヴィンテージ違いの「Brunello di Montalcino Piaggione '02と'03 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・ピアッジョーネ」という4種のヴィーノ・ロッソが次々とテーブルに並びました。

vigna_sorgente.jpg【photo】標高460~480 m の畑Sorgente ソルジェンテでは、0.8haの区画にサンジョヴェーゼのほかに外来種Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニョンと混醸用に用いられる品種Canaioloカナイオーロが栽培される

 太古は海底であったために貝殻の多い砂礫粘土質土壌のブドウ畑は、4箇所に分かれています。合計4haの畑で栽培するブドウだけを使用するサリクッティのヴィーノは、生産本数が極めて限られます。高い評価を得るブルネッロは、国内外で争奪戦が行われており、これだけの種類を一度に飲む機会はそうありません。マニア垂涎のラインナップが揃ったこの日、ともに最高の天候に恵まれた'04と'06 のヴィーノが期待通りだったのは申すまでもありません。そのなかで最も輝いていたのは、イタリアワイン愛好家の間では天候に恵まれなかった不作年として知られる'02ヴィンテージのBrunello di Montalcino Piaggioneでした。

salvioni_pacenti.jpg【photo】生産本数が限られるため、滅多に市場に出回らないサルヴィオーニとシロ・パチェンティのブルネッロ'01ヴィンテージ(私物。ウフッ)。天候に恵まれなかった翌年は、生産されずにセカンドクラスのロッソ・ディ・モンタルチーノに格下げしてリリースされた

 この年、完璧主義者の「Salvioni サルヴィオーニ」や「Siro Pacenti シロ・パチェンティ」のように高い評価を受ける生産者のいくつかは、ブルネッロの水準に達しないと判断、その生産を見送りました。愛好家を裏切りたくないというその英断は称えられるべきでしょう。一方で、サリクッティのフランチェスコ・レアンツァ氏は水浸しの天候のもと、実に高水準な渾身のブルネッロを作り出していたのです。

 開墾に着手した'94年から'95年にかけての最も早い時期に傾斜20度の南斜面1.5haにブドウの植え付けをした区画、Piaggioneで栽培するSagiovese Grossoサンジョヴェーゼ・グロッソを、一房ごと一粒ずつ手で選別し、アリエ産とスロヴェニア産のオーク樽で3年の熟成を経た後、5,333本だけがリリースされました。雨に祟られた年であることを感じさせないsalicutti_0102.JPG完熟したブドウ由来の加熱したバルサミコのような甘さの後、ベリー系の香りが現れ、ダークチョコレートのようなスパイシーな余韻が続きます。

【photo】エノテカ・イル・チルコロで昨年頂いたポデーレ・サリクッティのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ'01。抜栓後、時間と共に開いてゆき、多彩な表情を見せた果ての最後の一杯が一番美味しかった

 シルキーな柔らかさと強靭な体躯を備えた素晴らしい出来映えとなった'01ヴィンテージのサリクッティのブルネッロをエノテカ・イル・チルコロで頂いたことがあります。それと比較すればわずかにボディは細く、柔らかさはあるものの、いささかの破綻もきたさない高い次元で融合したバランスの良さは、見事というしかありません。恵まれた天候のもと、質と量が両立した'01ヴィンテージが9,300本あまりの生産本数だったことを考えれば、いかにブドウの選果が厳格に行われたが分かります。

    tank_salicutti.jpg francesco_leanza.jpg tonaou_salicutti.jpg
【photo】ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ'02 は、ステンレスタンク(左写真)で自然酵母を用いた主発酵後に乳酸菌によるマロラクティック発酵。モストを500ℓ容量のオーク樽に移し、12ヶ月を経た後、4,000ℓ容量のオーク樽(右写真)にて24ヶ月熟成される。仕上がったヴィーノを試飲するフランチェスコ・レアンツァ氏(中央写真)

 降雨状況の把握とカビの発生を抑制するための風通しを確保する細やかな剪定作業の積み重ねによって、過酷な自然を克服せんとした真摯な作り手の努力が詰まった珠玉の作品。それがポデーレ・サリクッティのブルネッロ'02です。中部イタリア以北のアジェンダが、おしなべて困難な年だったと口を揃える'02の翌年、欧州を多数の死者が出るほどの稀に見る猛暑が襲いました。過剰なまでの日照にさらされたブドウの選別は、前年同様に厳しく行われ、2年連続で少量しか確保できなかった健全なブドウから、ブルネッロ'03が生産されました。

con_hayashi.JPG 【photo】ワイン会終了後、モトックスの梶本氏(写真左)ら居残ったメンバーで美味しい料理をご用意頂いた吉田シェフと林氏を囲んで歓談後、感銘を受けたサリクッティのワインボトルを手に記念撮影

 米国の著名なワイン評論家ロバート・パーカー氏は、インパクトのあるワインに高い評価を与える傾向があります。案の定、試飲した'03ヴィンテージのブルネッロ22点に92ポイント以上のハイスコアをつけました。ポデーレ・サリクッティのブルネッロ'03は、93ポイントを獲得しています。(良年の'04年には95ポイントを献上)イタリアワインに造詣が深い林 達史氏は、サリクッティのブルネッロの特徴として、瓶熟による熟成能力の高さを指摘した上で、オーナー兼醸造家のフランチェスコ自身も驚くほどの出来だというしなやかな'02ヴィンテージのほうが、パワフルさを感じる'03ヴィンテージより寿命の長いヴィーノとなるでしょうと語ります。穏やかなタンニンの内に秘めたブドウのポテンシャルの高さは、穏やかで真摯なフランチェスコの人柄を偲ばせるものです。

 意図的に新酒の作柄を美辞麗句で飾り立てる産地がある一方で、☆☆二つ星で自己評価する決してブドウの作柄が良くなかった'02ヴィンテージのブルネッロ。しかしサリクッティのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ'02年は、いかなる装飾語を用いるでもなく、たとえ困難な状況にあっても、造り手の情熱はそれを乗り越えるのだ、という真実を物語るかのように長く複雑な余韻を残すのでした。


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Podere Salicutti
Azienda Agricola di Francesco Rosario Leanza
Località Podere Salicutti, 174 - 53024 - Montalcino (Siena)
Phone / Fax:+39 0577 847003
URL: http://www.poderesalicutti.it/
email:leanza@poderesalicutti.it

協力:㈱モトックス
Phone:本社 06-6723-3131  東京オフィス 03-5771-2823
URL: http://www.mottox.co.jp/
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