あるもの探しの旅

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2010/01/31

寒鱈汁、寒鱈汁、寒鱈汁。

雪ニモマケズ 風ニモマケズ
満腹ニモ冬ノ寒サニモマケヌ 鱈ノヨウナ丈夫ナ胃ヲモチ...。
@ 鶴岡 日本海寒鱈まつり

kandarajir2009.1.24.jpg というわけで、今年も行って参りました。「鶴岡 日本海寒鱈まつり」。庄内地方では、極寒の庄内浜で水揚げされる脂が乗ったマダラを寒ダラと呼び、とりわけ珍重します。そのため庄内浜に水揚げされるマダラには、万単位の浜値がつくことも珍しくありません。そんな高価なマダラの全身を余すところなく使った味噌仕立ての「どんがら汁」こと寒鱈汁は冬の庄内では欠かせない味覚。寒さが最も厳しい1月中旬から月末にかけて、庄内各地では屋外で寒鱈汁が振舞われる寒鱈まつりが催され、多くの人出で賑わいます。寒ダラと寒鱈まつりについてはコチラをチェックプリーズ。

【photo】脂が乗った寒ダラを味噌仕立てで頂く寒鱈汁は厳しい冬の庄内ならではの醍醐味

 昨年は大雪警報が発令される猛吹雪の中を駆けつけた酒田 日本海寒鱈まつり、一昨年は味の決め手となるアブラワタこと肝臓などの内臓や骨などのガラをたっぷりと使う地元で人気の高い由良の寒鱈まつり、その前4年間は鶴岡と掛け持ちで酒田・由良の寒鱈まつりに出掛けています。寒鱈汁は野菜の有無とガラの量、酒粕の有無など味付けが家庭ごとに異なります。寒鱈まつりは週末に催されるため、週替りで鶴岡・酒田と続く二週連続や、今年の鶴岡と遊佐のように開催日が重なる場合は、ダブルヘッダーを組むことを強くお勧めします(笑)。

kandara2009.1.24.jpg【photo】警報が発令されるほどの大雪ニモマケズ馳せ参じた昨年の「酒田 日本海寒鱈まつり」会場のひとつ、酒田中町商店街。雪を吹き飛ばす強風が吹かずに一晩降り続いた雪によって、様変わりした翌朝の酒田の様子はコチラ〈clicca qui。除雪した雪によって丈が3m はあろうかという雪山が出現した書店の駐車場に停車するalfa Brera はミニカーにあらず

 2003年に庄内デビュー果たして以降、春先に催される「庄内ひな街道」や8月の「赤川花火大会」と同じく、寒鱈まつりに関してはこれまで皆勤賞。市街中心部の銀座通り商店街で行われる鶴岡 日本海寒鱈まつりには3年ぶり5度目の訪問です。一杯500円の寒鱈汁2食分と抽選券付きの前売りチケットはこれまで同様、当日会場で購入するつもりでした。しかしながら前日までに全て売り切れたとのこと。例年2万人が繰り出し、1万食が用意される寒鱈汁を食べ損なうことのないよう、正午過ぎに会場に到着したのですが、これは計算外でした。とはいえ、遠来の参加者のために現金精算もできるため、さっそく多くの人出で賑わう商店街へとLet's go! お目当ての店を探すため、商店街の一部が歩行者天国となった300m 区間をまずはひと巡り。寒鱈汁のみならず物販を含めて19 団体の出店がズラリと並びます。そのうち寒鱈汁を提供するのは12 団体。よほどの大食漢でもない限りは、一度にすべてを食べ尽くすのは到底無理な相談です。

kandara_spa2005.jpg この季節には寒鱈まつり会場から程遠からぬ「アル・ケッチァーノ」風寒鱈汁とも呼ぶべき岩海苔と共にグリッシーニをトッピングした寒鱈のとろけるようなダダミ(白子)が入ったクリームソース風味スパゲッティが食べたくなる私ですが、まずは毎回欠かさず立ち寄っている「商店街婦人部」の行列に直行しました。

【photo】荒ぶる冬の日本海の恵みがたっぷり詰まったアル・ケッチァーノ冬の絶品スペチャリテ「寒鱈のクリームソーススパゲッティ」。プリプリッとした半生の白子がクリームと共にトロけ出したら、も~タイヘン(上写真) 寒鱈汁の濃厚なコク出しに欠かせないのが、このアブラワタ(下写真)。鶴岡 日本海寒鱈まつり 商店街婦人部の寒鱈汁

kandara2_2010.jpg すると7年前から幾度かアル・ケッチァーノでも遭遇している地元選出の大物政治家がやおら登場、最初に気付いた12歳の娘に握手を求めてきました。選挙区民であろうとなかろうと、ここは応じるのが礼儀。家族揃っていささか社交辞令的に笑顔で握手を交わしたのでした。肝心のお味のほうはといえば、味噌と共に酒粕が入った私好みの味付けながら、たまたまかもしれませんが、今年は白身部分が多くガラが幾分少ないお上品な印象でした。これは観光客向けの味付けと言えなくもありません。家庭ごとの味があり、作り手によって個性が表れる寒鱈汁ゆえ、12 団体それぞれに味付けが異なります。これも寒鱈まつりを訪れる楽しみといえるでしょう。

 鶴岡魚市場青年部・鶴岡鮨商組合・授産施設 作業所月山など、おなじみの出店に混じって、終了間際に駆け込んだ3年前〈Link to back number〉には見かけなかったニューフェースな出店団体をいくつか見かけました。建設業から農業に新規参入、2007年より鶴岡市湯野浜温泉に隣接する庄内砂丘で神奈川の農業ベンチャー企業「アニス」がライセンスを持つ「アニス農法」を導入した「窪畑ファーム」もその一つ。

kandara1_2010.jpg【photo】鶴岡 日本海寒鱈まつり「商店街婦人部」テント内の舞台裏では、お母さんたちが次々と舞い込む注文に追われて忙しく立ち回る

 農場長の佐藤 光浩さんの説明によると、アニス農法は乳酸菌など有益な微生物の働きで土壌改良した培土を用い、IT技術で気温・湿度のみならず潅水量・日照・培土温度などの栽培環境を最適な状態に制御します。トマトの慣行栽培で使用される化学肥料や殺菌剤を排除し、ハウス内で熟して赤く色付くまで収穫しない窪畑ファームの桃太郎・カンパリ・アランカといった大玉・中玉種トマトは、甘味とアミノ酸成分の数値が通常の栽培法と比べて高いのだといいます。春先に定植したのち5月には出荷が始まり、農場の直営店と昨年オープンした庄内映画村オープンセットの直売所でも入手可能。寒鱈まつり会場でも売られていたドライトマトや無塩・無添加トマトジュースなどの加工品類も揃います。

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 寒鱈まつりには初出店だという窪畑ファームのそれは、必然的にトマトスープがベースです。どんがら汁に欠かせない岩海苔が控えめに入っているものの、一杯目に頂いた味噌ベースに酒粕を入れ、濃厚な旨みが凝縮したアブラワタの入ったどっしりとした寒鱈汁とは見るからに別物。寒鱈が野菜と共演するトマト風味のポトフのような寒鱈汁は、寒鱈由来のダシが効いており、コクがありながらも比較的あっさりとした優しい味付けで、これはこれでアリかな、という印象でした。

【photo】窪畑ファームの寒鱈汁はトマト風味のカラダに優しい味付け。寒鱈まつりで寒鱈汁のハシゴをするなら、バリエーションの一つとして面白いだろう

 新旧タイプの異なる寒鱈汁2杯をぺロリと平らげ、使用済みP&P容器を戻しに行った回収ステーションでは、県立鶴岡工業高校の野球部員たちがボランティアで容器回収・ゴミの分別作業を行っていました。彼らが回収している容器の内側には、燃やしても有害物質が出ないCPPフィルムが貼られており、使用後に容器から剥がされたフィルムだけが廃棄されます。容器自体は再生原料用のペレットとなり、再び容器の元となるポリマー樹脂に加工されます。リサイクル可能な容器に入った骨以外は捨てるところがない寒ダラ。日本海寒鱈まつりは、こうして資源の有効活用にも配慮しているのですね。

kandara3_2010.jpg【photo】使用済みの容器と残飯の回収にあたる高校生たちも寒鱈まつりには欠かせない働き手となる
 
 冬の屋外で行われる催しゆえ、各店頭ではアツアツの鱈汁だけでなく、お酒も提供します。かつて東北の灘といわれた造り酒屋街大山を擁する地だけに、ここは鶴岡の地酒を味わいたいもの。そこで立ち寄ったのが、利き酒師と日本酒学講師の資格を有する店主 佐野 洋一さんがおいでの「やまがたの地酒専門店 佐野屋」でした。鶴岡銀座商店街に面した店頭では、酒田酒造「上喜元 純米」燗酒、佐藤仁左衛門酒造場「奥羽自慢 槽前酒 黒川能の里」、月山ワイン「村民還元ワイン」など数種の酒が一杯200円で売られていました。前回訪れた3年前と同じく、ちょうど蔵出しされたばかりという渡會本店の純米吟醸「和田来 美山錦 おりがらみしぼりたて 生原酒」の一升瓶を一本購入しました。

watarai_2010.jpg【photo】鶴岡大山にある渡會本店の基幹銘柄「出羽ノ雪」とは異なり、一部酒販店のみが扱う数量限定の「和田来」。んめのー(*゚∀゚*)

 店頭で売られていた素朴などぶろくと共に、もう一杯だけ寒鱈汁を味わうつもりでした。ちょうど佐野屋の目の前にあった出店のテントに立つノボリに、これまで寒鱈まつりでは見ることのなかった「宝谷カブ」の文字があるのを認め、即座に3 杯目はココと決めました。鶴岡市(旧櫛引町)の高台、宝谷地区でひと頃は唯一の生産者であった畑山 丑之助さんが受け継いできた在来のカブを使った寒鱈汁についてはまた機会を改めて。

宝谷カブ in 寒鱈まつり」に続く

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2010/01/10

春から縁起が良いのぅ

当たり年の予感 再び

 前年に引き続き行って参りました。7年連続で我が家の年末恒例行事となった"歳末食べ納め@al.chè-cciano アル・ケッチァーノ"(以下、アルケと略)。隣接地にil.chè-cciano イル・ケッチァーノ(以下、イルケと略)を開店して以来、原則として土田料理長がアルケの厨房を預かります。「本丸」の庄内で私は充分なので、およそ行く気がしない東京・銀座のアンテナショップ2Fに県の意向で出店したYAMAGATA San-Dan-Delo ヤマガタ サンダンデロも加わり、従前より明らかにオーバーワークな奥田シェフが鶴岡にいる時にイルケで料理を作るシステムが定着しています。

6_291209.jpg【photo】ズワイガニの内子・外子とブロッコリーのリゾット。アルデンテな庄内産「はえぬき」、ふんわりしたズワイガニの身、プチプチとした内子・外子の食感の違いが楽しめる

 4年前までは月平均2.5 回のヘビーローテーションで通っていたアルケですが、最近2年ほどはぐっと店を訪れる頻度が減りました。TV・雑誌でのメディア露出が重なるにつけ、店の混雑に拍車がかかった一方で、シェフが厨房を空けざるを得ない外部からの依頼が舞い込み、料理人の本業以外に割く時間が増えた結果は、そのまま料理に反映されます。本人は料理より菓子作りのほうが好きだと語っていたドルチェ類だって、雪化粧した月山をイメージした「Monte Luna」ひとつをとっても、ひと頃から比べると随分と東京ナイズされたコンパクトサイズになったしなぁ。(羽黒でサフォーク羊を育てる丸山 光平さんに飼育を委託するシェフ所有のヤギ「ロッソ」と「ビアンコ」の搾乳したてのミルクで作るジェラートを添え、櫛引産の佐藤錦を載せた'06年6月のモンテ・ルーナはコチラ) 厨房とフロアが絶妙の一体感で来店客を出迎えていたかつての姿を知らない一見客は、現在のアルケに感激しているようではありますが...。

7_291209.jpg【photo】庄内麩とマグロのソテー 辛子マヨネーズとバルサミコ風味。シェフいわく突然降りてきた料理。ミディアムに火を通したマグロの中落ちを庄内麩で包み、辛子菜と辛子マヨネーズの辛味と、バルサミコの酸味が複雑に入り混じる。ダイス状にカットしたレアのマグロと粒マスタードがアクセントに

 昨年10月中旬、連休を利用して食通の知人から勧められた(旧朝日村)鶴岡市大鳥の「青嵐舎」を訪れました。地元のご出身でかつて東京でフードライターをしていた経歴をお持ちの篠 育さんが、手付かずの自然が残る周囲の山々からご主人が採ってくる天然キノコをさまざまに調理する「キノコご膳」で楽しませてくれました。

 その翌朝のこと、たまたま目にした日本テレビの生放送番組に、芋煮とアケビを使った料理を紹介する奥田シェフらアルケの厨房スタッフが出演していました。栽培アケビの特産化に取り組み、河川敷に建設用重機を持ち込んで巨大な芋煮鍋を作り、"日本一"を売りに客寄せしているのは山形内陸です。いささかバリエーションに欠ける内陸とは全く食文化の質が異なる食の都・庄内を私が訪れている一方で、実りの秋を迎えた連休だというのに、店を空けて東京に行き、目的を推し量りかねるテレビ番組に出演している奥田シェフ。そんな逆転の構図に複雑な思いにとらわれたものです。

10_291209.jpg 期待と不安が入り混じる中、かつてない丸一年という長いブランクを置いてイルケを夜に訪れたのは、2009年12月29日のことでした。昨年のお任せコースの料理は「今年も当り年!」でご紹介しています。夜の営業は年内最後だというその日は「ぜひとも奥田シェフが作る料理を」と指名していました。

【photo】山伏豚と小野川豆もやしのクスクス風 白トリュフの香り。優しい火加減のふんわりとした山伏豚、米沢郊外の小野川温泉の伝統作物「小野川豆もやし」を具として、デュラム小麦に卵白を混ぜ水を加えた生地を大粒のクスクス風に仕上げる。白トリュフ(タルトゥフォ・ビアンケット)の何と魅惑的な香り!

 店の周囲が猟場にもなっているため、冬場にアルケを訪れると、さまざまなジビエが登場します。この夜はシベリアから渡ってきたアオクビ君こと、真鴨とゴボウのスープが出てきました。ムース状になったカリフラワーをスープに溶かして頂くというスペチャリテです。カリっと揚げたカッペリーニには、アオクビの砂肝が串刺しに。一年前のレポートにある通り、アルケで頂くジビエには、狩り物の証である散弾が残っていることがあります。9_291209.jpg狩猟文化が発達したヨーロッパでは、肉料理に紛れ込んだ散弾は幸福をもたらすとされます。かといって料理のプロが故意に弾を残すわけでは当然なく、仕込みの際、丹念に弾を取り除きますが、チェックをかいくぐって料理に紛れ込んだ散弾は、むしろ歓迎されるというわけです。

【photo】真鴨とゴボウのズッパ カリフラワーのムース風味。濃厚なアオクビの肉と内臓が野生的なゴボウの香りとあいまって、ズッパ(=スープ)に溶かし込んで頂くカリフラワーのムースと見事に調和する

 かつて「奇蹟のテーブル」で明かした通り、泣けるほどの感動にうち震えた「山伏豚と藤沢カブの焼畑風」がメインディッシュとして初めて出たのが2004年の食べ納め。その庄内の風土と作り手の思いが詰まった明確なメッセージが込められた空前絶後の「在来作物フルコース」は別として、近年では最も積雪量が多く、気象庁が「平成18年豪雪」と命名した記録的な豪雪の中を訪れた2005年の年末以降、仕事納めを終えてから毎年アルケで年末にジビエが登場しています。私にとっては、西銀座デパートのチャンスセンター以上の当選確率で当たりが出るアルケのジビエ。それを年末に頂くのは、新たな年の運試しも兼ねています。

 まずはコリコリした砂肝と香ばしいカッペリーニを頂き、真鴨の旨みと土の香りがするゴボウの風味が生きたズッパを一口。「ムースを溶かし込んで一緒に召し上がって下さい」というシェフに促され、スープ皿の縁にあるムースを合わせると料理の印象が一変しました。一般的なアイガモとは全く異質な引き締まった肉質のアオクビとゴボウの野生的な持ち味を、カリフラワーのクリーミーなムースが柔らかく中和し、心地よい香りと旨味が広がります。こうしたデリケートな演出は奥田シェフならでは技でしょう。腿肉を口に入れ、神経を集中させて肉を味わっていると、小さな金属質の異物を感知しました。

felice_nuovoanno.jpg【photo】家族で頂いた真鴨とゴボウのズッパ。三皿の中で唯一、私の皿の腿肉に一粒だけ隠れていたゲンの良い散弾

 キタキター、また当たりっ!!! 家族3人で食べていた皿の中で、私だけにまた散弾が一つ入っていたのでした。散弾は金属製ゆえに金運がアップするという人もいますが、昨年のキジ君から出てきた弾には、あまり金運面でのご利益はなかったようです。それでも大過なく一年を過ごせたことや、多くの人と食を通した尊いご縁が続いていることは、何よりのこと。「毎年当たりが出るなんて珍しいですね」とフロアの斎藤マネージャーも笑顔で祝福してくれました。

 紆余曲折を経て現在のスタイルとなったアルケ&イルケですが、今年3月ぐらいから奥田シェフが以前のようにアルケの厨房に入る予定とのこと。一年前の食べ納め同様、納得できる味と出合えたこの夜のように、ファンタスティックな輝きを取り戻してくれることを期待したいものです。食後にそんな事前情報を聞き出したうえ、鴨からは当たり玉も飛び出しただけに、今年は新春から縁起が良いカモ。 オソマツ...(д;)

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◇2009年食べ納めお任せメニュー@ イル・ケッチァーノ

  の番号をClickすると画像が出ます
1 :羽黒わんぱく卵の黄身と蔵王産カボチャのクリームペースト 生クリームとユリの蜂蜜
2 :60℃でじっくり炒めた玉ネギ グラナパダーノチーズと黒胡椒風味
3 :ズワイガニと・米沢雪菜・グレープフルーツのサラダ
4 :アラと岩手釜石産キャビアの冷製カッペリーニ
5 :温製ハマグリと櫛引安野農園のリンゴ デリケートなオイルの香り
6 :ズワイカニの内子・外子とブロッコリーのリゾット
7 :庄内麩とマグロのソテー 辛子マヨネーズとバルサミコ風味
8 :アラの頭グリエ フレッシュバジル風味のジャガ芋ペーストとともに
9 :真鴨とゴボウのズッパ カリフラワーのムース風味
10:山伏豚と小野川豆もやしのクスクス風 白トリュフの香り
11:庄内牛のロースト炭化させた平田赤ねぎの香り 京人参のムース
12:粉糖と頂くカラドリイモのモンテ・ビアンコとラフランスのジェラート

※Bevandi
1:Vino bianco 白ワイン
Esino bianco Roberta '08 / Azienda agricola Mognon Floriano
エジーノ・ビアンコ・ロベルタ '08 / モニョン・フロリアーノ

roberta_291209.jpg 1980年、イタリア・マルケ州アンコーナ県カステル・コロンナにヴェネト州から移住したフロリアーノ、ロベルタ夫妻が運営する小規模なカンティーナ。厳格な審査基準を設けているIstituto Mediterraneo di Certificazione(地中海認定協会)の有機認証を受けたVerdicchio ヴェルディッキオ種やMontepluciano モンテプルチアーノ種などから造るモニョン家の家族名を付けた日常使いに適したヴィーノはビオワインのコンテストで受賞多数。奥様の名前を付けたこのRoberta は隣接するマルケ州Jesi イエージ原産のブドウ、ヴェルディッキオと山岳地域を除くイタリア全土で栽培される白品種Trebbiano トレッビアーノの混醸
URL:http://www.vinimognon.com/

2:Vino rosso 赤ワイン
Grattamacco Bolgheri rosso superiore '04 / Podere Grattamacco Collemassari
グラッタマッコ ボルゲリ・ロッソ・スーペリオーレ'04 / ポデーレ・グラッタマッコ

grattamacco_291209.jpg カベルネ・ソーヴィニョンやメルローにとって理想的な栽培環境にあるトスカーナ州最南端ティレニア海に面したワイン産地としては新興ながら、国際的に高い評価を受けるボルゲリ。グラッタマッコは異業種から参入したピエルマリオ、パオラ夫妻が1977年に始めたカンティーナ。Sassicaia、Ornellaia、Le Macchiole などと共に、国際市場を意識したいわゆる「スーパートスカーナ」のスター的存在のひとつ。この天候に恵まれた'04ヴィンテージは高い次元で調和のとれた素晴らしい味わい。国の有機認証機関「AIAB」の認定を受ける有機栽培のカベルネ50%+サンジョヴェーゼ30%+メルロー10%の混醸
URL :http://www.collemassari.it/spaeng.htm


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2010/01/02

ソムリエ from トリノ

スローフード宮城 食談会

 イタリア本国では日本で意味するところの全土にあまねく存在するイタリア料理が存在しないかわりに、質の高い郷土料理が各地に群雄割拠しています。そんなイタリアにあって、ピエモンテ州は屈指の洗練された食文化を誇ります。

tartufi_bianchi2009.jpg 名だたる産地の黒トリュフが寄ってたかっても及ばない唯一無二の強烈な芳香と希少性ゆえに重量あたりの単価が最も高価な食材「Tartufo bianco pregiato タルトゥフォ・ビアンコ・プレジャート(別名:Tuber magnatum Pico トゥベル・マグナトゥム・ピコ)=白トリュフ」。

 その濃厚な香りと霧に包まれる晩秋ともなると、白いダイヤモンドの別名をもつ白トリュフの最高の伴侶となるバローロ・バルバレスコといった高貴なヴィーノと共に味わおうという美食家が世界中から白トリュフの聖地Alba アルバを目指します。

【photo】日本での業務用仕入れ価格がキロ50万円(!)というピエモンテ州アルバ産白トリュフ「Tartufo bianco pregiato タルトゥフォ・ビアンコ・プレジャート」(写真右上) より香りと価格が控えめながら、イタリア中部トスカーナ、エミリア・ロマーニャ、マルケなどではアルバ産の代用品として珍重される「Tartufo Bianchetto タルトゥフォ・ビアンケット」 (別名:Tuber albidum Pico トゥベル・アルビドゥム・ピコ(写真手前))

 イタリア北部ロンバルディア州パヴィーア県Casteggio カステッジョからVarzi ヴァルツィ一帯のポー川沿いからアペニン山脈北端にかけての地域と、エミリア・ロマーニャ州Ravenna ラヴェンナ・ Forlì フォルリ・Bologna ボローニャ周辺、中部イタリア・マルケ州Acqualagna アックアラーニャ、トスカーナ州San Miniato サン・ミニアートなど、良質の亜種を含めた白トリュフの産地はイタリア各地にあります。

 自国のぺリゴール産黒トリュフこそがトリュフの頂点と信奉するフランス人はさておき、世界の美食家がひれ伏すのは、アルバ産白トリュフにとどめを刺します。香りと重量を失わせる大敵である乾燥を避けるため、リストランテではガラス製の蓋で覆われて登場するそれは、形こそゴツゴツとしたジャガイモのよう。カメリエーレがうやうやしく蓋を外すや否や周囲10mに立ち込めるクラクラさせるような強烈な芳香は、人生で一度は体験すべきもの。あの香りに浸れるなら来世はトリュフ犬に生まれ変わってもいいなぁ...。

castello-Costigliole.jpg 【photo】発祥の地トリノから1997年にコスティリオーレ・ダスティに移転。ブドウ畑に囲まれた小高い丘の上に建つ築1000年というCastello di Costigliole コスティリオーレ城にICIFの本部がある。内部は最新設備を備えた研修施設に改装されている

 ピエモンテ州の州都トリノから東へ伸びる高速A21を進むと、モンフェラート丘陵地帯で作られる発泡性ワインの一大産地として知られるAsti アスティ県へと至ります。アスティから10kmほど南下したCostigliole d'Asti コスティリオーレ・ダスティにある「ICIF イチフ(Italian Culinary Institute for Foreigners)【Link to website】」は、外国人のためのイタリア料理研修機関です。

 そこで学ぶ者には、美食の粋が集うピエモンテ州を中心とした一流講師陣による講習や生産現場の見学、提携先のレストランでの研修などのプログラムが用意されます。高品質のイタリア産食品やワインに肌で触れることで理解を深め、イタリア各地の郷土料理が世界に紹介され、真の姿を伝えることを目的に1991年に北イタリア・ピエモンテ州の州都トリノで設立された非営利団体です。

Daniela_ Costantino.jpg【photo】ダニエラ・パトリアルカさん(写真左)とコスタンティーノ・トモポウロスさん(写真右)

 リゾットほかピエモンテ料理を得意とする「OSTERIA Cucinetta オステリア・クチネッタ」橋本 俊シェフや、オーセンティックな正統派を志向する「Piu Sempre ピュ・センプレ」高橋 義久シェフなど、仙台にもICIFでの研修経験のある料理人がいます。

 ICIFの立ち上げに関わったのがDaniela Patriarca ダニエラ・パトリアルカさん。現在は1995年に設立した自身の会社「Italian Culinary Toursイタリアン・クリナリー・ツアーズ【Link to website】」で、イタリア各地を周遊しながら料理を学ぶ独自の研修スタイルを取り入れています。北は万年雪に覆われた4,000m 級のアルプスの峰々、南はアフリカ大陸から吹き付ける夏の季節風シロッコで灼熱の大地と化すシチリアまで南北1,200km、山あり海ありのイタリアは食の万華鏡さながら。同社の研修にはこれまでに600人以上の料理人とソムリエが参加しているといいます。

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 11月末から12月上旬にかけて仙台市青葉区一番町の「Antreffen アントレッフェン」で催された「スローフード宮城 秋の食談会」と同エクセルホテル東急が会場となった「宮城・ローマ交流倶楽部 クリスマスパーティ」のゲストとして、ダニエラさんとパートナーのイタリアソムリエ協会AISAssociazione Italiana Sommelier)公認のソムリエ資格を持つ Costantino Tomopoulos コスタンティーノ・トモポウロスさんのお二人が仙台を初めて訪れました。

【photo】「秋保そば愛好会」の佐藤 栄一会長

 スローフード宮城は、蕎麦をテーマに今年度活動しています。今回の食談会には、仙台市太白区秋保町野尻地区で在来種の「長治そば」を栽培する「秋保そば愛好会」佐藤 栄一会長が参加しておいででした。藩制時代、仙台と山形を最短で結ぶ二口街道の国境警護に当たる足軽集落であった面影を残す中山間地域の野尻地区では、戦前までコメを作らず、蕎麦を主食にしていたそうです。16回目を迎えた「そば祭 in 野尻」が11月3日に町内の集会所で催され、そば打ち体験(1500円/おひとり)のほか、在来種を使った手打ち蕎麦(500円)や、そばがきにあたる「そばねっけ」(350円)が提供されました。

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【photo】二口街道の最深部にある仙台市太白区秋保町野尻地区

 1613年(慶長13)、海外との交易を求めて宮城県石巻市月浦から帆船「サン・ファン・バウティスタ」でアカプルコを経由してローマへと渡航した慶長遣欧使節。その史実をもとに姉妹県となった宮城県とイタリア・ラッツイオ州ローマ県特産の葉物野菜「プンタレッラ」を宮城県丸森町で栽培する宍戸 志津子さんは、「食WEB研究所」のフードライターpuntamamma さんと一緒にお越しでした。宍戸さんのシャキシャキとしたプンタレッラは、この日アンチョビ風味のサラダで頂くことができました。

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【photo】宮城県丸森町でプンタレッラを栽培する宍戸 志津子さんは野菜ソムリエの資格を持つ生産者 

 日本食のイメージが強いそばですが、国内消費の8割近くは中国とアメリカからの輸入で賄っているのが実情です。滋味に乏しい痩せた土地でも栽培が可能で、播種から収穫までの期間が短いソバは、アジアからヨーロッパ、北米にかけて栽培される穀物です。スイス国境に近いイタリア最北部ロンバルディア州Valtellina ヴァルテリーナ渓谷には、トルコからサラセン人がそばをもたらしたといわれます。

 少なくとも17世紀初頭から栽培されているソバ「Grano saraceno グラーノ・サラチェーノ」を石臼で挽いた代表的なパスタ「Pizzoccheri ピッツォッケリ」がこの日は参加者に紹介されました。当Viaggio al Mondoでは、3年前にお年越しの話題として、標高800mを超える山あいの村ソンドリオ県Teglio テーリオが発祥とされるピッツォッケリを取り上げました。〈2008.1拙稿「すったもんだのお年越し」参照〉

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【photo】 中にチーズを詰めたそばがきを揚げたようなヴァルテリーナ地方の郷土料理「sciatt シャットゥ」(右写真)この日アントレッフェンで出されたピッツォッケリもチーズがたっぷりと使われていた(左写真)

luigi_gufanfnti.jpg そば粉と小麦粉を8対2の割合であわせ、平たいパスタ「タリアテッレ」のように形成し、ボイルしたジャガイモとキャベツと共に溶かしバターやチーズで味付けして食べられるピッツォッケリ。トウモロコシの代わりにソバを使う「Polenta taragna ポレンタ・タラーニャ」として食するほか、この地方で1300年以上の歴史を持つ牛乳製チーズ「Valtellina Casera ヴァルテリーナ・カゼーラ」、または「Bitto ビット」をそば粉に混ぜ込んで揚げた団子状の「Sciatt シャットゥ」など、寒冷な気候と痩せた土壌ゆえ小麦の栽培ができないアルプスのヴァルテリーナ地方では欠かせない穀物として珍重されています。

【photo】ルイジ・グファンティ社5代目のGiovanni Guffanti-Fiori ジョヴァンニ・グファンティ・フィオーリ氏。技術革新が成し遂げられた21世紀の今日でも、創業以来の技と伝統を受け継ぐチーズ作りにかける情熱は変わらない

 この日は、ソムリエのコスタンティーノさんがピッツォッケリとあわせる前提でセレクトした日本にはまだ紹介されていないイタリアワインと稀少な北イタリアのチーズを味わえるというので、早々に参加の意思を表明していました。当日はロンバルディア平原がアルプスの峰々と交わる絵ハガキのように美しい風景が広がる湖水地方で、Lago di Como コモ湖と並び称される景勝地Lago Maggiore マッジョーレ湖の南端にある町、Arona アローナで1876年に創業したチーズ工房「Luigi Guffanti ルイージ・グファンティ」社製のチーズ4種類が紹介されました。
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【photo】食談会で登場したチーズ4種。右上から時計回りにチヴィダーレ・フリウリ・ラッテリア、リコッタ・アッフミカータ・カルニカ、ビットヴァッリ・デル・ビット2008、ロビオーラ・ディ・カプラ

Robiola di Capra ロビオーラ・ディ・カプラ(ピエモンテ州ランゲ地方Roccaverano ロッカヴェラーノ村産。放牧されたヤギ乳のみを使用したソフト外皮チーズ。新鮮なうちはヤギ特有の柔らかな酸味と甘みを感じるが、一ヶ月以上熟成させると青草の香りが現れる)

Cividale Friuli Latteria チヴィダーレ・フリウリ・ラッテリア(オーストリア・スロヴェニア国境に近いフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州産のハードチーズ。「Lo Spadone ロ・スパドーネ」「Latteria del Diavolo ラッテリア・デル・ディアボロ」「Il Goloso イル・ゴローゾ」「Il Cividale イル・チヴィダーレ」などのタイプに分類される。牛の生乳または脱脂乳を使用)
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Bitto valli del bitto 2008 ビットヴァッリ・デル・ビット2008(ロンバルディア州ヴァルテリーナ地方産。Albaredo アルバレード渓谷からGerola ジェローラ渓谷地域にある標高1400m~2000m 級の山で放牧される牛の乳にOrobica オロビカと呼ばれるヤギの乳を10~20%混ぜる。世界でも類を見ない10年にも及ぶ長期熟成が可能だが、この日は2008年産を頂いた。スローフード協会がプレジディオに認定している)

Ricotta affumicata carnica リコッタ・アッフミカータ・カルニカ(フリウリの一部地域で作られる牛の乳清を煮詰めて作る柔らかな味わいが特徴のリコッタチーズを軽くスモークしたもの)

 これらのチーズとピッツォッケリにあわせるためにご主人のコスタンティーノさんが選んだのは、フリウリ地方産の白が1本・赤2本、ウンブリア地方産の赤1本の計4本(下写真)。3本は日本未輸入の作り手によるもので、私が飲んだ経験があるのは、日本におけるイタリア食品商社の草分け「モンテ物産」が扱うイタリア中部ウンブリア州の優良生産者「Colpetrone コルペトローネ」のSagrantino di Montefalco サグランティーノ・ディ・モンテファルコだけ。

vini_sfmiyagi2009.jpg 香りの強いビットとよく合う強靭な体躯を備えたサグランティーノ・ディ・モンテファルコは、ペルージャの南西モンテファルコ周辺で作られ、1992年にイタリアワイン法最上位のDOCG(統制保証原産地呼称)に昇格。タンニンが多い長熟向きの土着品種サグランティーノ種のブドウを陰干しして作られ、最良のものは30年を優に越える熟成にも耐えます。

 イタリア最東北部の港町Triesteトリエステは、随筆家 須賀 敦子の著作にも地名が登場します。通常の州よりも大きな自治権を与えられた特別自治州フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の州都になっている人口20万人ほどのこの町は、女帝マリア・テレジアに港湾都市として整備されたハプスブルグ帝国時代の遺構を色濃く残します。

castelvecchio_azienda.jpg【photo】ヴェネツィア・ジューリア地方サグラーノ北方の高台にあるAzienda Agricola Castelvecchio のブドウ畑

 オーストリア領下で参戦した第一次世界大戦の激戦地となったヴェネツィア・ジューリア地域がイタリア領となったのは1918年。今でも歴史的・地理的につながりが深かった国の言語であるドイツ語・スロベニア語がイタリア語と共に飛び交う独特の雰囲気があります。第二次大戦後、ベルリンのように市街地の中をユーゴスラビアとの国境線が通っていた町Gorizia ゴリツィアでは、スラブ文化圏との辺境に来たと実感するに違いありません。

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【photo】ブドウの葉が色付く秋のカステルヴェッキオ醸造所と作り手のテラーネオ一家

 ゴリツィア周辺のCollio Goriziano コッリオ・ゴリツィアーノ地域は世界に冠たる白ワインの産地として、近年急速に名声を高めています。特異な風味で熱烈なファンがいる「Miani ミアーニ」「Radikon ラディコン」などは別としても、水晶のように繊細なワインを生むTerritorioテリトーリオ(=その土地の気候風土に由来する個性。仏語ではテロワール)の特質を感じさせる「Vie di Romans ヴィエ・ディ・ロマンス」「Jermann イエルマン」「Villa Russiz ヴィラ・ルシッツ」「Venica & Venica ヴェニカ&ヴェニカ」などを飲むだけで、理想的な栽培環境に恵まれたこの地域の白ワインがいかに素晴らしいかが、どなたでもお分かりいただけるはずです。

 ワインのほかオリーブオイル・ハチミツも生産する「Azienda Agricola Castelvecchio カステルヴェッキオ」は、ゴリツィアを高速A4方向に向かって南西に15kmほど進んだSagrano サグラーノの町外れでTerraneo テラーネオ家が40haの畑でブドウを栽培しています。

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 この日はトリエステの南、第二次大戦終結前はイタリア領であったイストリア半島地域に伝わるブドウMalvasia Istriana マルヴァジア・イストリアーナ(上写真/左側)が紹介されました。除梗したブドウに最小限の圧力を加えて雑味が出ないようソフトプレスし、ステンレスタンクで発酵させ若飲みに適した味に仕上げるこのワイン。2008年という一番新しいヴィンテージとあって微かに発泡しており、華やかなトロピカルフルーツのようなフローラルで上品な香りが広がります。

cantina_ivan_ragazzi.jpg【photo】Muzic ムージチの当主イヴァン・ジョヴァンニと二人の息子

  Isonzoイソンツォ川を挟んだゴリツィアの北方5kmの高台にあるSan Floriano del Collio サン・フロリアーノ・デル・コッリオの作り手「Muzic ムージチ」は、二度の大戦によって荒廃した16世紀まで遡る畑で1960年からムージチ家がブドウを育ててきました。

 当主Ivan Giovanniイヴァン・ジョヴァンニは醸造を学ぶ二人の息子ともどもワインに全情熱を傾ける生産者です。「Bora ボラ」と呼ばれる大陸からの風が昼夜の温度差を生む温暖な微気候にあるこの地域は、白ワインだけでなく、19世紀にフランスよりもたらされたカベルネやメルロの栽培に適しており、DOC(統制原産地呼称)Friuli Isonzo フリウリ・イソンツォに指定されます。この日紹介されたのがボルドー品種のカベルネ・フラン(上写真/右側)。その個性である植物的なニュアンスがあり、青草の香りがする熟成したロビオーラ・ディ・カプラとの好相性を見せてくれました。

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【photo】ダニエラさんからスローフード宮城に贈られたブォンリコルド協会の絵皿を手にする若生裕俊 同協会会長

 州都トリエステに次ぐ人口10万人の都市Udineウーディネから北西20kmには、繊細でとろけるような味わいの私が大好きな生ハム「Prosciutto di San Daniele プロシュット・ディ・サン・ダニエーレ」の産地として知られる「San Daniele del Friuli サン・ダニエーレ・デル・フリウリ」があります。Principe社のサイトで製造の模様をご覧あれ)

 彼の地ならではの個性を感じさせるヴィーノの作り手「Emilio Bulfon エミリオ・ブルフォン」は、フリウリ地方Pordenone ポルデノーネ県 Valeriano ヴァレリアーノの打ち捨てられた古い畑を再興し、16haの畑で白品種のCividìn・Sciaglìn、赤品種のCjanòrie・Forgiarìn・Cordenossa・Refosco del Peduncolo Rosso などの土着品種だけを栽培しています。

Emilio_bulfon.jpg 当主のエミリオ・ブルフォン(右写真)は、全てのワインに地元の教会に残る13世紀のモザイク画「最後の晩餐」をモチーフに自らデザインしたエチケッタを使用しています。

 この夜コスタンティーノが選んだのは、Piculìt Neri ピコリット・ネーリという土着品種100%のエキゾチックな赤ワイン。生き生きとしたブーケと若々しい味わいが印象的でした。
 
 数多くの日本人を迎え入れてきた親日家でもあるダニエラさんから、スローフード宮城に贈られたのが「Unione Ristoranti Buon Ricordo ブォンリコルド協会」がローマのレストラン用に製作している絵皿でした。

 Buon Ricordo( =伊語で「よき思い出」の意)とは、郷土料理の良さを食べる人に伝えたいという願いを込めて1964年に発足した団体です。およそ400年前、伊達 政宗の命を受けてローマに渡った家臣 支倉 常長の存在や、プンタレッラの特産化に取り組んでいる宮城とイタリアのご縁を意識したダニエラさんの心配りです。

decantare_costantino.jpg【photo】食談会の翌週催された宮城・ローマ交流倶楽部クリスマスパーティの席上、澱が出たオールド・ヴィンテージワインのデキャンタージュを実演するコスタンティーノ

 スローフード宮城の知人にワガママを言って本場の美味しいピッツォッケリを是非とも食べたいと事前に伝えていました。そこでダニエラさんにご用意頂いたのが、スローフード協会が「Cittàslow チッタスロー(スローシティ)」に指定しているソンドリオ県 テーリオで作られるMolino Tudori 製の乾燥パスタです。翌週行われた宮城・ローマ交流倶楽部のパーティでは、デキャンタージュの実演をご披露頂いたコスタンティーノいわく、この製造業者のピッツォッケリは大変美味しいとのこと。

 年越し蕎麦として頂こうかな、とも思いましたが、年末に訪れた鶴岡で、同市田川地区で作られるソバ粉100%の「鬼坂そば」を同小真木(こまぎ)にある「産直こまぎ」で入手、一家総出でご自宅脇のハウスで作業中の平田赤ねぎ生産組合 後藤 博組合長のもとを訪れて譲って頂いた収穫したての平田赤ねぎを薬味に頂きました。ピッツォッケリはそのうちチーズとバターで頂くとしましょう。

 イタリアン・クリナリー・ツアーズでは、これまで培ったプロの料理人やソムリエ対象の研修のノウハウを活かし、一般の日本人観光客がイタリアが誇るアチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレやプロシュット類、オリーブオイルから200種以上あるブドウ品種から作られる多種多様なヴィーノなど、さまざまな伝統食材の生産現場を視察できる日帰りツアーやレストランでの料理講習などのイタリア本国で参加できるプログラムを用意し、日本における窓口を東京に設置しました。

pizzoccheri_valtelina.jpg ここぞとばかりにイタリアソムリエ協会AIS認定のソムリエに浴びせるマニアックな質問の内容から、イタリアワインに関する私の傾倒ぶりを見込まれ、コスタンティーノが「Carlo(→私のイタリア名)が次回トリノに来るのはいつだ? オレが車で小規模な素晴らしいカンティーナを案内するから必ず連絡をくれ」と言い出す始末。さて、どうなりますやら...

【photo】発祥地テーリオ製のピッツォッケリ
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