あるもの探しの旅

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2010/04/18

桜と名残り雪

北海道発「共働学舎」のチーズは
 春まだ浅い北国の香り

 ◆ はじめに m(_ _)m ◆
 ブログ開設以来最長となる2カ月近くに及ぶブランクを空けてしまいました。相変わらずネタはいろいろとあるのですが、なかなか更新出来ずにおりました。ご愛読者の皆さまゴメンナサイ。
 さて、年度が切り替わったところで心機一転、新たなスタートです!

sakura_2010.4.17.jpg【photo】ようやく咲き揃った桜と時ならぬ雪の競演が見られた4月17日朝の仙台。一面の銀世界と化した仙台市青葉区の錦町公園にて

 4月13日、仙台管区気象台がソメイヨシノの開花を宣言したものの、このところの寒さでいまひとつお花見気分が盛り上がらない今年。まだ冷たい風を切って自転車で駆ける私は、まだ冬物の服をクリーニングに出せずにいます。皆さんがお住まいの地域ではいかがでしょう?

 それにしても17日の雪には驚きましたね。関東では観測史上最も遅い41年前の積雪記録に並び、仙台では桜の開花宣言後の積雪としては30年ぶりとのことで、ほころび始めた花たちも時ならぬ春の雪に凍えていました。

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【photo】ここ数日来の寒波に加え、突如見舞った春の雪に耐えて咲く桜。4月17日朝8時30分すぎ仙台市青葉区錦町公園にて

こんな春と冬の入れ替わりが激しい今の季節にぴったりなのが、仙台市青葉区のフロマージュリー&カフェ「オー・ボン・フェルマン」で取り扱う「共働学舎新得農場」のオリジナルチーズ「笹ゆき」。そして「さくら」です。オーナーの足立 武彦さんがセレクトした世界各国のチーズのほか、デイリーユースに適した手頃な価格帯のワイン、パンや輸入食品類も置いています。輸入チーズだけでなく、国産で扱う生産者は信州松本の「清水牧場チーズ工房」と北海道の「共働学舎」のものがメイン。

 1974年(昭和49)、身心にハンディを持つゆえに競争原理が支配する現代社会で弱い立場に置かれる人たちの自活のために設立された共働学舎。設立から35年を経た現在では、信州2カ所、北海道3カ所の生産拠点と東京東久留米に加工所があります。そこでは合計150名の人々がひとつ屋根のもとで寝食をともにしながら勤労生活を送っています。かといって修道士のように外界と隔絶された小さなコミュニティではなく、地域社会との繋がりを維持しつつ生産活動を行っています。

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【photo】熟成が進んだ共働学舎新得農場産のカマンベールタイプのナチュラルチーズ「笹ゆき」(左写真)。雪を頂く熊笹が描かれたパッケージと同じ光景が4月17日の仙台でも見られた(右写真)。仙台市青葉区北山にて

 1978年(昭和53)、十勝平野の最北端にある北海道上川郡新得町(しんとくちょう)に共働学舎で4番目の牧場に5人の同志とともに入植したのが宮嶋 望氏。学舎の創設者、宮嶋 真一郎氏のご長男です。ヒツジやブタ、ニワトリと共に現在飼育する牛は搾乳用の主力となるブラウンスイス種とホルスタインが計50頭。牧場が広がる一帯にある新得山は通称「牛乳山」と呼ばれるほど酪農が盛んな地域ですが、そこはそばの生産量が日本一の町でもあります。

sasayuki.jpg 【photo】ビタミン、鉄分、ミネラル成分などの栄養成分を含む熊笹の粉末を熟成の過程で使用する「笹ゆき」

 共働学舎が掲げる理念は、"世界でひとつだけの花"である個々人の多様性を認め、健康といのちを大切にすること。互いに支えあうことで初めて実現できる新たな人間性溢れる社会の実現を目指すことにあります。その理念の実践のために、そこに集う人々は幅広い領域についての知識や技術が求められる農業を生業(なりわい)とするなかで、自らの役割を見出し、内面に抱えるそれぞれの問題を乗り越えてゆくのだといいます。

sakura-01.jpg 【photo】海外で多くの受賞歴をもつ「さくら」は、共働学舎のチーズ作りが世界レベルにあることを物語る。桜の季節だけの限定品

 農場の生産手法にも共働学舎の理想は見て取れます。野菜は完全無農薬・無化学肥料で自家生産され、草食動物の家畜には生理的に矛盾のない飼料のみを与えます。

 共働学舎新得農場では、牛糞を完熟堆肥にして自家生産する飼料用トウモロコシ、デントコーンやカボチャなども冬場の主食である干草を補完する飼料として与えますが、気候の良い季節の主食は牧草地で牛たちが思い思いについばむ青草。自分達で建てた木造の牛舎には仕切りがなく、繋がれることなくストレスフリーで清潔な環境のもとで飼育される牛たちから搾乳される牛乳は、搾りたての状態に加圧ストレスを与えないよう高低差をつけた移送路で隣接する加工場へと運ばれ、さまざまな乳製品に生まれ変わります。

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【photo】共働学舎新得農場のチーズ加工場の地下は人工的な温度・湿度の管理が不要で、ナチュラルチーズの熟成に最適な環境が保たれている〈左写真〉 およそ3カ月間、静かに熟成の時を待つラクレットは、1998年(平成10)「第1回オールジャパン・ナチュラルチーズコンテスト』で最優秀賞を受賞。さらに世界20カ国から2,300品以上が出品して今年3月にアメリカ・ウィスコンシン州で開催された「ワールドチャンピオンチーズコンテスト」では、これまで国産チーズにとっては難関とされてきたSmear Ripened Semi-soft Cheeses(セミハード部門)カテゴリーで第2位の栄誉に浴した〈右写真〉

 自家生産した安全で新鮮な原料を用いて、確かな製造技術と厳格な衛生管理のもとで生産される共働学舎新得農場のチーズは、農場が軌道に乗り始めた1984年(昭和59)から生産を始めました。

 フレッシュなクリームタイプから、出来うる限りフランスの伝統製法に近づけた「ラクレット」、「プレジール」、「カマンベール」、そしてアイヌの言葉で農場の地名をさす「シントコ」、風が集まる場所という意味の「レラ・ヘ・ミンタル」などのハードタイプまで、チーズのタイプは多種多様。熟成庫は加工場の地下に設けられ、人工的な空調管理を必要としない自然石で覆われた空間になっています。

sakura_con_LUDI.jpg 【photo】共働学舎新得農場の「さくら」(写真皿の下)と同じ、ほのかな桜の香りで意外な組み合わせの妙が楽しめる相方(写真皿の上)のタネ明かしは次回。(ヒント:写真をとくとご覧あれ。チーズと同じ発酵食品です)

 遊び心のあるこの組み合わせをリッチに演出するのは、中部イタリア・アドリア海側が原産とされるモンテプルチアーノ種にボルドー品種のカベルネ・ソーヴィニョンとメルロをブレンドしたユニークなセパージュで、ラテン語で〝PLAY〟を意味するヴィーノ「LUDI ルディ'03」。最初は500本だけを半ば冗談で造ったところ好評を博し、プレステージワインの仲間入りをしたという逸話が残る。作り手はマルケ州のトップ生産者との呼び声が高い「Velenosi Ercole ヴェレノージ・エルコレ

 イタリアのフレッシュチーズの代名詞「モッツアレラ」やひょうたん型の「カチョカバロ」は、2003年(平成15)から技術提携している中川郡幕別町の「新田牧場」に併設されるチーズ工房「NEEDS」に生産を移管しています。気温や天候によって出来具合が左右され、いずれも機械化による大量生産がきくものではないため、オー・ボン・フェルマンには週末に少量が入荷するのみです。

au_bon_fermant1.jpg【photo】Fromagerie & Café Au Bons Ferments フロマージュリー&カフェ 「オー・ボン・フェルマン」。ショップオーナーの足立 武彦さんはフランスチーズ鑑評騎士とシニアワインアドバイザーの資格を有しており、各種セミナーを店内で随時実施。ケースの中にズラリと並ぶチーズの中からお客の好みや希望に応じて優しく的確なアドバイスをしてくれるので安心だ

 丹精こめて手作りされる共働学舎新得農場のチーズは、欧州のコンテストで多くの受賞歴を持つまでになりました。

 チーズ作りの長い伝統を持つ本場に敬意を払いつつ、新得町の風土を活かした独自の製品が「笹ゆき」と期間限定で製造される「さくら」です。

 笹ゆきは純然たるカマンベールチーズ「雪」をベースに粉末化した熊笹を混ぜ込んだ塩を仕上げに使用し、笹の葉を巻いたもの。桜の葉に包まれたさくらは、新得では皐月になってからやっと咲き始め、5月中旬には山一面に咲き誇る桜の名所でもあるという新得山のエゾヤマザクラの香りがほんのりと漂うプレジールをベースにした逸品です。

 さまざまな問題を抱えながらも、牛を慈しみチーズ作りに打ち込む北の大地で働く人々に桜の便りが届くのは5月10日ごろ。白カビに覆われた直径7cmほどの小ぶりなチーズには、エゾヤマザクラが一輪。今はまだ淡雪に覆われた北の大地にもまもなく訪れるであろう春の味わいなのでした。次回はさらに春を感じられるこのチーズの楽しみ方をご披露しましょう。
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Fromagerie & Café Au Bons Ferments
フロマージュリー&カフェ 「オー・ボン・フェルマン」

仙台市青葉区上杉1丁目4-10 庄建上杉ビル1F
Phone : 022-217-2202
営) PM0:00~PM10:00 月曜定休

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