あるもの探しの旅

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風光明媚、風味絶佳

日本海 干物名人街道 @新潟・笹川流れ~寝屋漁港

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【photo】 澄みきった青い海と奇岩が変化に富んだ景観を生み出す「笹川流れ」

 鶴岡市湯野浜から由良を経由し、三瀬・五十川・小岩川とR7を南下してゆくと、緑がかった海が次第に青くなり、透明度が増してゆくのが分かります。勿来・白河とともに奥州三古関で、歌舞伎「勧進帳」の舞台としての異説が伝わる鼠ヶ関の先は新潟県村上市。sugawarasengyo_neya.jpgR345 と分岐するT字路を右折後、寝屋漁港に面した左急カーブに「菅原鮮魚店」はあります。鮮魚店とはいうものの、店頭に鮮魚は並んでおらず、軒先に魚介の干物がぶら下がっているだけなのですが。

【photo】ともすると見逃してしまいそうな菅原鮮魚店の目印は、通りに面した軒先の味ダコ

 そこは2008年(平成20)4月に市町村合併がなされる前は、山北町(さんぽくまち)寝屋と呼ばれていた新潟最北端の小さな漁港です。私が心惹かれたのは、いやがおうにも目を引くタコの干物でした。店を預かる菅原千鶴子さんの手になる干物の白眉は、道路に面した軒先に下がり、看板の役割も果たしている味ダコ。赤茶けたタコの丸干しは、いかにも美味しそうなオーラを放っています。ラインダンスのように一列に並んだタコが潮風に吹かれた揺らめくさまは、あたかも手招き(⇒「足招き」と言うべきか?)をしているかのよう。

ajidako_sugawara.jpg【photo】 北越後の干物名人、菅原 千鶴子さんと日本海の潮風が珠玉の風味を生み出す菅原鮮魚店の味ダコ

 沖合いが漁場となる秋から2月上旬まではトローリングによる底引き網漁で、産卵のため沿岸に寄ってくる2月中旬以降はタコ壷や刺し網漁によって、庄内浜から山北地域では年間通してタコが水揚げされます。ミズダコよりも身が締まってより美味しいとされる新鮮なマダコを塩もみして、口や目玉、ワタを取り、汚れのつきやすい吸盤まわりを丁寧に洗浄します。3kg以上の比較的大型のタコは、食べやすいように頭と足が切り離されますが、下写真のような小ぶりなタコは丸ごと仕込まれます。甘辛い特製タレに漬け込んでから、S字フックに吊るされて風干しすること2~3日。干し過ぎると硬くなりますが、店頭に並ぶタコはジューシーさも残り、ちょうど按配の良い柔らかさ。

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 大きさにもよりますが、一匹2,000円前後とリーズナブルなお値段。先だっても菅原さんに食べ頃のタコを教えて頂き、脂が乗ったカマスの干物(⇒これまた超・美味!)と共に購入しました。車の中で、味ダコの足をちぎってほおばると、タレと凝縮したタコの旨味が絡み合い、口の中で美味さが踊り出すかのよう。生のまま刺身で食すより、湿度を含んだ潮風と天日に晒して干物にすることで、旨みが増し、読んで字の通り絶妙な"風味"が生まれます。

【photo】 購入したばかりの味ダコを車内でパクリ。干物を作り続けて35年という味わい深い名人技に心満たされ、alfa Brera 車内は色合いの似た味タコの香りに満たされる...

 名人入魂の味ダコを噛み締めながら、沖合い20kmほど離れた水平線上に粟島を望む海沿いを進むと、この海域のみならず、新潟県下で最も海の水が澄み切った名勝「笹川流れ」に至ります。淡いピンク色の花崗岩が浸食された奇岩と砂浜が、青松と入り混じりながら11kmに渡って続く海岸線は、国指定の名勝天然記念物に指定されています。儒学者・頼山陽の三男で文人の頼三樹三郎(らい みきさぶろう)は「松島は この美麗ありて 此の奇抜なし 男鹿も この奇抜ありて 此の美麗なし」と、両者の美点を兼ね備えたその景観を称えました。

028208_20090313_202925_1.jpg 【photo】沖合い20kmに浮かぶ粟島を望む笹川流れを代表する奇岩「眼鏡岩」。R345沿いに建つ東屋の脇に笹川流れの景観を愛でた頼三樹三郎の碑がある

 JR羽越本線 桑川駅に併設された「道の駅 笹川流れ」向かいにある、「大滝マサエ商店」もまた、店主自ら「日本一無愛想な店」と認める ( ̄△ ̄;)素通り厳禁のスポットです。干物と大きく手書きされたベニヤ板の看板とカラフルなのぼり旗が目印。この道30年以上の干物作り名人、大滝マサエさんは、新潟県下では知らぬ人がいない有名人。帽子からはみ出した鮮やかなパープルのアフロヘア(⇒パーマとカラーリングを強めにかけただけで、ご本人はアフロとは指定していないと思われる)がトレードマークです。

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masae_otaki.jpg【photo】 カラフルな大滝マサエ商店の店頭には、さまざまな干物がズラリ(上写真) 伝説の干物名人、大滝マサエさん(右写真)

 俗化した観光地にありがちなキッチュな蛍光色の色紙に油性マジックで手書きされた品書きと、「試食は3品まで」と記された店頭の赤い張り紙にたじろいではイケマセン。一夜干のイカ、アジ、ハタハタ、シマホッケ、そして味ダコ・・・(おっと、試食は3品までだっけ)と味見をすれば、名人と呼ばれる理由がご納得頂けるはず。早朝から取り掛かる丁寧な下処理の上、秘伝のタレで煮ては干し、煮ては干しを3~4回繰り返してから日本海の潮風に晒した大滝さんの干物は、まさに風が生み出す芸術品。

 いつも美味しい干物の食べ方を気さくに教えて下さる大滝さんですが、昨年秋に体調を崩され、入院されました。通院のため現在は休業中ですが、季節が良くなる3月には店の再開を期しておいでです。二・二六事件の半月後にお生まれになったという大滝さんは今年で75歳。ここはじっくりと養生して下さい。定期的に連絡を取り合っており、何でも言い合える仲だという大滝さんと菅原さん。互いに認め合う熟練の技で、末永く私たちを魅了し続けてほしいものです。

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 より大きな地図で 菅原鮮魚店と大滝マサエ商店 を表示

菅原鮮魚店
住:新潟県村上市寝屋 47-37
Phone:0254-77-2002

大滝マサエ商店
住:新潟県村上市桑川 975-50
Phone:0254-79-2157

大滝マサエ商店から20kmほど先にあるのが、鮭の町・村上の哲人、かの吉川 哲鮭氏の店、味匠 喜っ川Link to backnumber》である。・・・う~む 恐るべし、日本海 干物名人街道。

コメント

いつもいつもおいしそうな魅力あふれる記事をありがとうございます。

楽しみにしています。

とのさき様

金龍蔵でご一緒して以来でしょうか。お久しぶりです。これからも空腹時接触不可な内容で飛ばして参ります。

ご期待ください。

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