あるもの探しの旅

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2011/02/28

サンタ・マリア・ノヴェッラ 仙台

お待たせしました。

◆ Viaggio al Mondo ご愛読者はすでにご存知かと思いますが、「サンタ・マリア・ノヴェッラ」についてはコチラで復習をば...。

SMN_7.jpg 諸事情により開店が延び延びになっていた「サンタ・マリア・ノヴェッラ仙台」が、2月25日(金)、仙台市青葉区一番町4丁目にオープンしました。聖母マリアの思し召しで(?)、プレス関係者では最も早く仙台進出の計画を知ったのが昨年。当初計画から3ヶ月遅れで一番町買物公園の一角にクラシックなイタリアそのままの異空間が誕生しました。

 病人救済のため、ドメニコ会修道士によってフィレンツェで誕生以来、800年もの歴史に彩られた現存する世界最古の薬局は、ヴァロワ朝アンリ2世のもとに嫁ぎ、当時最先端の文化をフランス王家にもたらしたカテリーナ・ディ・ロレンツォ・デ・メディチ(1519‐1589)など多くの貴顕に愛されてきました。これまでは東京に出向かなければ入手できなかった天然由来成分から生み出される香りの芸術品が、やっと仙台で入手することができるようになります。

SMN_1.jpg【photo】サンタ・マリア・ノヴェッラのシルクサシェで、フィレンツェの伝統工芸品である金糸の刺繍を施した絹織物のクッションカバーに相応しい優雅な香り付け

 イタリアン・セレクトショップ「Lo Spazio bianco」に続き、フランチャイズとして上質なフィレンツェの香りを届けて下さった(株)アイディール(仙台市宮城野区)の庄子 弘社長、本当にありがとうございます! グランドオープンに先立って行われたレセプションには、美しいケヤキ並木で知られる定禅寺通から至近の立地と、庄子社長のお人柄から仙台進出を決めたという(株)ヤマノ アンド アソシエイツ(東京都港区)関係者の顔もありました。

 ベージュの石壁と木製の扉が落ち着いた雰囲気を醸し出す店のファサードを飾るのは、人造大理石でできたサンタ・マリア・ノヴェッラのロゴを彫り抜いたプレート。こうしたイタリアらしい大人の演出には、好感が持てます。当初は店内の棚の上を飾る芸術品のような伝統的な薬壷は調達できないかも、と庄子社長は漏らしていましたが、いえいえどうして。ファエンツァ国際陶芸美術館《Link to backnumber 》に展示されていてもよさそうな薬壷が棚の上に鎮座しています。ちなみにこの美しい薬壷も、れっきとした商品。

SMN_2.jpg【photo】美しいガラス瓶に入ったリキュール類が有名なサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局のラインナップでは珍しく、紙の外筒とプラ製容器に入ったアックア・ディ・サンタ・マリア・ノヴェッラ エリジール

 仙台店初の買物は、サンタ・マリア・ノヴェッラのロゴが刺繍で縫い込まれたポプリのシルクサシェ(6,300円)にしました。これまで使っていた赤に続く2個目のサシェは、深い闇に落ちてゆく寸前のイタリアの空の色のような濃いブルー。独自の発酵・熟成を加えることで1年は香りが持続するサンタ・マリア・ノヴェッラのポプリは、別売のポプリに中身を換えることで、ずっと使い続けることができます。

 レセプションでは、お祝いのスパークリングワインで乾杯しましたが、真新しいポプリが薫りたつ自宅で、改めて祝杯を上げたのが、以前に銀座店で購入した「Acqua di Santa Maria Novella Elisir アックア・ディ・サンタ・マリア・ノヴェッラ エリジール」。Acqua アックア(=水)というものの、アルコール度数が70%以上という、れっきとしたリキュールです。

 アックア・ディ・サンタ・マリア・ノヴェッラ エリジールは、初代薬局長を務めたFra Angiolo ngiolo Marchissi フラ・アンジョロ・マルキッシが1614年に考案。スペアミント、ペパーミント、シナモン、キク科の多年草コストマリーといった植物成分を抽出しています。ミントやシナモンは馴染みがありますが、コストマリーは、葉の浸出液が風邪予防や胃痛緩和に効果があるとされる西アジア原産の植物だそう。容量が25mℓしかないので、そのまま飲むものではありません。コーヒースプーン1杯分をコップ半分程度の水で薄め、その香りを楽しむというもの。
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【photo】鎮静効果があるハーブ類を秘伝の処方で調合した「アックア・ディ・サンタ・マリア・ノヴェッラ エリジール」

 グラッパグラスに注いだ透明な液体は、爽やかなミント系の香りのあとにエキゾチックな苦味が残ります。割り水は、ここ2ヵ月ほど珍しくご無沙汰している庄内の湧水でも、イタリアのミネラルウオーターでもなく、仙台市に隣接する富谷町某所の口当たりが優しい湧水を使いました。合わせる水によって、印象が異なりそうなので、水を変えてみると面白いかもしれません。

 仙台の一等地ということもあり、オープン翌日の土曜日に改めて訪れたショップは、なかなかの盛況ぶりでした。私と同じくフィレンツェ本店を訪れたことがあるというお客様もいたとか。一方で開店を告げるサインボードを目にした20代と思しき女性の二人連れが、「何? 新しい紅茶屋さん??」と、店内を興味深げにのぞき込みながら語り合う姿も。

 知名度が上がってゆくのは、これからでしょうが、一人でも多くの皆さんに時代を超えて愛されるイタリア伝統の香りの芸術に触れて欲しいと願う庄イタなのでした。

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サンタ・マリア・ノヴェッラ仙台
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住:仙台市青葉区一番町4-4-27
営:10:00-19:00 不定休
Phone:022-398-8535
Fax:022-398-8210
URL:www.santamarianovella.jp/
右ショップphoto、クリックで拡大表示します

2011/02/20

Super Shonai(スーペル・ショーナイ)

知る人ぞ知るメルロ100%の逸品

 ブドウ品種の多様性を縮図で見るようにバリエーション豊かな品種のワインが生産されるイタリア。いち早く国際市場を意識したヴィーノ・ロッソを生み出した産地といえば、トスカーナ州西部、Maremmaマレンマ海岸地域にあるBolgheri ボルゲリを忘れるわけにはいきません。700年以上前から名醸地として名を馳せていたChianti Classicoキアンティ・クラシコ、Montepliciano モンテプルチアーノ、19世紀後半から頭角を現したMontalcino モンタルチーノといった内陸の産地とは環境が全く異なるティレニア海沿いの海洋性気候のもとで、世界最高水準にあるワイン群が生まれています。

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【photo】湿地帯が広がる典型的なマレンマ海岸の風景

 ボルゲリ一帯は、近年までマラリア蚊が発生する湿地帯だったために開発の手が及ばず、イタリア国内ですら、「Maremmano マレンマ馬」の産地としてしか認知されていなかったといいます。そんな辺境の地がワイン産地として世界の檜舞台に突如として登場したのが、1978年のロンドンでのこと。英国の権威あるワイン情報誌「Decanter」が催した試飲会に11ヵ国33本のカベルネ・ソーヴィニヨンが出品され、ヒュー・ジョンソンら名だたる評論家が頂点に選んだのが、名前すら知られていなかった「Sassicaia サッシカイア」'72ヴィンテージでした。

strada_bolgheri.jpg【photo】古代ローマが敷設したピサとローマを結ぶアウレリア街道の名残りを「via Aurelia 」という別名に残す国道1号(Strada Statale 1)をSan Guidoサングイードで内陸側の脇道へ。このBolgheriボルゲリへと伸びる5kmほどの直線道路の両側には、ノーベル文学賞を受賞した19世紀の詩人ジョズエ・カルドゥッチが愛した糸杉の並木が続く

 Sassi(=小石)だらけの土地を意味するそのワインの造り手は、20世紀最高の競走馬として語り継がれる「Ribot リボー」の馬主であったマリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ侯爵が所有する「Tenuta San Guido テヌータ・サン・グイード」。第二次大戦前に旅先で出合ったボルドーワインをえらく気に入った侯爵が、ボルドー原産のブドウ、カベルネ・ソーヴィニヨン(以下CS)とカベルネ・フラン(以下CF)をボルゲリに所有する2,500haもの広大な領地のCastagneto Carducci カスタニェート・カルドゥッチというコムーネの一角に植えたのが1944年。最初は自家消費用に1ha のみを植えたに過ぎませんでした。

vini_bolgheri_98.jpg 【photo】GAJAやAntinori など、国内外から進出が相次ぐボルゲリと南隣りのスヴェレート。成長著しいこの地域でシンデレラ・ストーリーを打ち立てたワインたち。女性醸造家エリザベッタ・ジェペッティが運営するファットリア・レ・プッピレが、ジャコモ・タキスの監修のもとで誕生させたSaffredi サッフレディ'98、伝説の'85vinに匹敵する可能性を秘めるサッシカイア'98、ワインスペクテイター誌が2001年度に世界の頂点に選んだオルネッライア'98、ワインアドヴォケイト誌が100点を献上したレディガッフィ'00。いずれも我がセラーで睡眠中(写真左より) 

 競走馬の生産とオリーブ栽培が主で、趣味の域で始めたブドウ栽培に、次男のニコロとともに1968年から参画したのが、昨年第一線を退いた著名な醸造家ジャコモ・タキス博士でした。二人は当時としては常識外れの1ha当たり30hℓ以下という低収量に抑えたCS85%・CF15%の比率でブドウを混醸、熟成にはそれまで主流であったスロベニアオークの大樽ではなく、フランス産225ℓ容量のバリック樽を導入します。

cantina_orenellaia1.jpg【photo】 無国籍な雰囲気を色濃く漂わせるオルネッライア。当時はGambero Rosso から「インターナショナルだ」と酷評されたものの、7割を国外に輸出するという製品はいずれも高い評価を受ける

 VDT(Vino da tavola=テーブルワイン)からIGT、DOC、頂点のDOCGまでのランクに分けられるイタリアワイン法の規定に捕らわれない品種や醸造法で造られる高品質なVDTを総称する「Super Tuscan スーパー・タスカン(イタリア語では Super Toscana スーペル・トスカーナ)」の象徴として、高まる一方のサッシカイアの名声とともに、後に続いた「 テヌータ・デッラ・オルネッライア」「Le Macchiole レ・マッキオレ」や、20kmほど南にある小村Suveretoスヴェレート近郊の「Tua Rita トゥア・リータ」「Fattoria Le Pupille ファットリア・レ・プッピレ」などの成功により、新興地ボルゲリの国際的な評価は高まるばかり。

ornelloornellaia.jpg【photo】「オルネッライア」の名前の由来となったOrnello(=トネリコ)の大木が、ティレニア海を望むブドウ畑に囲まれてぽつんと立つ

 世界で最も影響力のあるといわれるワイン評論家ロバート・パーカーは、主宰する「Wine Advocate」誌1997年2月号において、'85年ヴィンテージのサッシカイアに対し、イタリアワイン初となる100点満点を献上します。同ヴィンテージは、'96年に非営利法人「Grand Jury Européen グラン・ジュリ・エウロパン」が行ったブラインドテイスティングで、ラトゥール、ラフィット、マルゴーら五大シャトーはおろか、最も高価なボルドーであるペトリュスをも打ち破り、第一位に輝きます。

azienda_ornellaia.jpg 【photo】緩やかな傾斜を描くオルネッライアの畑は、表層部が石灰岩質の鉄分を含んだ粘土質、基底部が水はけの良い砂というブドウにとって理想的な土壌に恵まれている

 大方のニューワールド産ワインには無い複雑味があり、高貴かつ厳格。なれども和食とイタリアン中心の自宅ごはんと共に楽しむには、あまりに重苦しく埃っぽく、時としてカビ臭い(と、私は感じる)ボルドー。かたやボルゲリで生産されるボルドー品種のヴィーノは、母国とは一線を画する明確な個性を持っています。ボルゲリのCS、CFは、熟成を経てなお若々しく親しみやすい優美な香りを備え、ヴィーノ単独で楽しむのは勿論、食事と合わせる場合でも守備範囲の広さが身上です。

cellar_ornellaia.jpg【photo】空調の行き届いた清潔極まりないオルネッライアの熟成庫。フラッグシップのオルネッライアは新樽と一年樽で14-18ヶ月、メルロのマッセトは100%新樽で24ヶ月の熟成

 「Tignanello ティニャネロ」「Solaia ソライア」を生んだ名門「Marchesi Antinori マルケージ・アンティノリ」を率いるピエロを兄に持つロドヴィコ・アンティノリ侯爵が、世界に通用するプレミアムワインを造ろうと醸造所テヌータ・デッラ・オルネッライアを興したのが1980年。そこは母方が姻戚関係にあるテヌータ・サン・グイードに隣接する土地でした。カリフォルニアで多大な業績を残していたロシア人醸造家アンドレア・チェリチェフを招聘、ポムロルの土壌とカリフォルニアの気候に近いボルゲリに適したCS、CF、メルロ(以下M)、ソーヴィニヨン・ブランなど、ボルドー原産品種ばかりを植樹します。'86年に完成した現在の醸造所に伝統的なイタリアらしさが微塵も感じられないのも、目指す先が国際市場であったがゆえでしょう。
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【photo】熟成中のバリック樽から、Masseto 用のメルロをサンプルとして抜き出し、試飲を勧めてくれた才能あるドイツ人醸造家アクセル・ハインツ。その名の通り、彼の起用によって、オルネッライアの品質向上が一段と加速した

 '99年にカリフォルニアの大手ワイナリー「Robert Mondaviロバート・モンダヴィ」が資本参加('05に撤退)、米国の「Wine Spectator」誌が毎年発表するWine of the year で、'98ヴィンテージが2001年に世界の頂点に選ばれた翌年、ロドヴィコが経営から退きました。現在運営に当たるのは、モンダヴィとのジョイント・ヴェンチャーで話題を呼んだ「Luce ルーチェ」を軌道に乗せていたフィレンツェの名門貴族「Marchesi de' Frescobaldi マルケージ・デ・フレスコバルディ」。モンダヴィ撤退後、フレスコバルディ家による単独経営となった'05年にミュンヘン出身の才能ある若き醸造家アクセル・ハインツを迎え入れ、CS55%・M27%・CF13%・Petit Verdotプチヴェルド5%という基本セパージュに落ち着いた近年の「Ornellaiaオルネッライア」の完成度と安定感は特筆すべきものです。
 
 海風により、年間を通して温暖な気候に恵まれ、砂礫交じりの粘土質土壌のボルゲリで、近年最も成功を収めているブドウ品種がメルロです。偉大なワインに共通するフィネスを備えたオルネッライアの「Masseto マセット」、レ・マッキオレの「Messorio メッソリオ」、トゥア・リータの「Redigaffi レディガッフィ」・・・。元祖スーペル・トスカーナといわれるサッシカイアが築いたボルゲリの名声をより一層高めたこれらの立役者たちは、CSよりタンニンが少なくまろやかで早熟なメルロ(以下M)の聖地と考えられてきたジロンド河右岸域Pomerol ポムロル産の希少性ゆえ高値を呼ぶ「Le Pin ル・パン」や「Petrus ペトリュス」の実力に比肩するまでになりました。

masseto_06.jpg【photo】「イタリア版ポムロール」ともいわれるメルロ100%の「Massetoマセット」。天候に恵まれたこの'06ヴィンテージは、ワインアドヴォケイト誌で、ほぼパーフェクトである99点のハイスコアをマーク

 設立当初より特別顧問として迎えられた仏国の著名な醸造コンサルタント、ミシェル・ロランは、当初ブレンド用に植えた7haの区画「Masseto マセット」で収穫されるメルロの品質が目覚しいものであったため、単独でのボトリングを指示します。区画の名を冠したそのワインは、樹齢が上がると共に品質の向上が著しく、初ヴィンテージとなる'87年以降、最新ヴィンテージ'06年がWine Advocate 誌で99点、'04年は97点、Wine Spectator 誌が'01年に100点を付けるなど、非の付けどころのない評価をほしいままにしています。あえて欠点を申すなら、上昇の一途をたどる市場価格ぐらいでしょうか(笑)。そう遠くない将来、ボルゲリとスヴェレート一帯は、メルロの新たな聖地として、ワインラヴァー垂涎の地となることでしょう。

 愛好家なら知らぬ人の無い傑出したヴィーノばかりが登場したところで、話題は急転直下、知る人ぞ知る日本が生んだメルロワインの逸品に移ります。とはいえ、国産最高峰といわれる長野県塩尻市桔梗ヶ原地区の「メルシャン 桔梗ヶ原メルロ」がお題ではなく、タイトルにある通り「Super Shonai(スーペル・ショーナイ)」が今回の主役です。あらかじめお断りしておきますが、このスーペル・ショーナイ、ごく初期のサッシカイアがそうであったように、自家消費用に造られる超・限定の非売品につき、一般には入手不可能である点をお含み下さい。
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【photo】佐久間良一さん・みつさんの畑で実を結んだメルロ

 顆粒が小さいため、醸造用の品種であることが明らかなブドウを山形県東田川郡櫛引町の佐久間 良一さん・みつさんの畑で目にしたのが今から8年前のこと。日々厨房に立ち、料理人としての本分を貫いていた頃のアル・ケッチァーノ奥田シェフに「こちらが契約しているブドウ生産者の畑です」と情報誌「ALPHA」の取材で案内された時のことです《 Link to backnumber 》。

 日本で一般的な棚式栽培で育つ佐久間さんのブドウ畑を改めて訪れた際、みつさんからそのブドウが県内のワイナリーに醸造を委託しているメルロであることを伺いました。醸造用の品種とはいえ、ブドウに変わりはありません。庄内産メルロの味やいかにと、生食用に毎年少量を収穫させて頂いています。山寄りにある旧櫛引町は夜間に海風が対流して吹き降ろすために昼夜の寒暖差が生じ、ブドウ栽培に適した土地です。夏季の日照時間が日本でも屈指の多さである庄内地方は、芽吹きが早いゆえ春先の霜害さえ注意すれば、早熟な品種であるメルロに有利な条件を備えているのです。

 同じ畑で育つ大玉ブドウの果粒と比較すれば、1 / 5 にも満たない大きさでしかなく、種無しにするジベレリン処理も施さないメルロだけに、房からつまんで食べる際に若干せわしないのが文字通り玉にキズですが、そんな些細なことはなんのその。糖分が十分に乗ったメルロは生食しても極めて美味しいブドウです。'98ヴィンテージ生まれの我が娘は、何故かこのメルロがお気に入り。私から受け継ぐDNA がそうさせるのでしょうか??

vina_sakuma.jpg【photo】期待以上のパフォーマンスを発揮した佐久間さんが2006年に収穫したメルロで仕込んだワイン

 本来の用途を伺っていたので、ワインの存在は知っていながら、少量生産ゆえ実際に口にしたのが最近のこと。降雨量が多い我が国では、生食用のブドウは雨除けを施した棚式栽培が主流です。棚式は収量が見込めるため、生産効率からも農家から歓迎されました。

 対してスーペル・トスカーナのように国際市場を意識したワイン醸造用のブドウは、房の数を減らして葉に日光がよく当たるように剪定しながら垣根式で栽培されるのが一般的。イタリアでも棚式栽培と構造が同じPergola ペルゴラ仕立てまたはTendone テンドーネ仕立てで有機栽培するブドウを使い、白ワイン用のTrebbiano トレッビアーノに至っては、今なお足踏みによる破砕を行う、"自然派"などという軽佻なジャンル分けを拒絶するような並外れた「Montepulciano d'Abruzzo モンテプルチァーノ・ダブルッツオ」を作り出す「Emidio Pepe エミディオ・ペペ」のような例外はありますが、今では少数派となりつつあります。

super_shonai_toscana.jpg【photo】スーペル・トスカーナ「マッセト'98(中央)」とスーペル・ショーナイ「佐久間良一さんの秘蔵ワイン'06(右)&'08(左)」

 しかるに棚式栽培のメルロ100%のワインはどうだったのか?「今、'06年はいいカンジになってっからね~」と頂く時に佐久間さんが仰っておられた言葉通り、いや、予想をはるかに上回るその出来には正直驚かされました。リーデルのボルドーグラスから立ち上がる香りは、まさにメルロそのもの。ゆっくりと黒味がかったガーネットの液体をスワリングすると、豊富なミネラル分をうかがわせる筋が幾重にもグラスの内側を垂れてゆきます。青臭さや鋭いエッジのきいた酸味など微塵もなく、しっとりと見事なまとまりを見せてくれます。

 おお、これは素晴らしい! かつてSuper Tuscan なる造語を生んだワインジャーナリストであれば、このメルロに「Super Shonai スーパー・ショーナイ」の称号を与えることでしょう。熟成のピークを過ぎ、枯れ果てたオールドヴィンテージ以外の良いワインほど、抜栓した翌日の2日目、3日目が美味しいことがよくあります。実力を見込んだ佐久間さんのメルロでも過度の酸化を防ぐためバキュバンを施してから、日を改めて頂きました。すると、初日より更に厚みが増し、ましてやフィニッシュが腰砕けになることもなく、長い余韻を残し、「さすがスーペル・ショーナイ」と唸らせる期待通りの変化を見せてくれました。もう一本残っている'08ヴィンテージにも大きな期待が広がります。

 そういえば、このワインのエチケッタ(=ラベル)、どことなくMesseto に似ていませんか?

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2011/02/06

来たれ 肉食系女子

Piatto こぼれ話 vol.2 (当篇のダイジェスト版 web Piatto はコチラ

comfy_2.jpg Piatto2月号「食材手帳」のお題は仙台味噌。「美人をつくる味噌」では、健やかな女性美を生み出す味噌の効能を中心にご紹介しました。実践篇として取り上げたかったのが、仙台味噌を使った料理。その候補探しをする中でキャッチしたのが、味噌風味のクリームソースパスタの存在でした。

【上photo】螺旋階段を上がった2Fが北欧ビンテージ家具を配した居心地の良い飲食スペース

 発酵食品の味噌と乳製品の相性の良さは容易に想像がつきます。即断即決、パスタだけではなく、ピッツァやドリアにも味噌を取り入れているというカフェ・レストラン「COMFY(コンフィ)」に取材のアポを入れました。

comfy_3.jpg【photo】COMFY店内のファイヤーキングコレクションの一部。小売する商品も含まれる ※photoクリックで拡大

 店に伺ったのが、ディナーの営業開始直前。店一番の人気メニュー、「仙台味噌のクリームパスタ」は、7年前のオープン当初から続く川村 義之シェフのスペシャリテです。川村さんは蔵王連峰を望む白石の自家農園で無農薬栽培する野菜類を積極的にメニューに取り入れています。時には野菜を店内で直売することもあるのだそう。北欧ビンテージ家具やファイヤーキングのカップ類がディスプレーされた店内は、およそ9 割を占めるという女性客の女子ゴコロをくすぐる味付けあちらこちらに。

Miroton_comfy.jpg【右photo】「豚肉のミロトン風」。一般にビーフをオーブン焼きにするが、COMFYではポークを使って日本人好みの味に仕上げる

 ランチ限定の「レディースセット」もそんなひとつ。豚の角切り肉をトマトとチーズで煮込んだフランスの家庭料理「豚肉のミロトン風」と仙台味噌のクリームパスタが頂ける欲張りなセットです。ともにハーフサイズゆえ、どちらも頂けちゃうという仕掛け。スープ、サラダ、パンorライス、ミニデザートがついて1,580円也。よく聞かれるそうですが、レディースセットは男性でもオーダー可能とのこと。美味しいものには目がない世の男性諸氏、ミッツ・マングローブやマツコ・デラックスのように女装はしなくても大丈夫ですよ。

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【photo】作り置きすることで、味噌クリームソースの風味が短冊切りした大根とベーコンに浸透し、一体感を生む(左写真) 味噌の香味が飛ばないよう、たっぷりのホウレンソウの食感が残る程度にパスタと馴染ませる(右写真)

 数が出る人気メニューゆえ、あらかじめソースは仕込んでおきます。ソースには短冊切りした大根とベーコンが入っており、オーダーを受けてから新たに生クリームと青菜を加えます。ソースを加熱して茹で上がったスパゲッティと馴染ませ、味噌と和風だしを混ぜて乾燥させたオリジナルのドライ味噌とわけぎをトッピングすれば完成です。クリームソース系パスタではありますが、ほんのり味噌の香りが和のテイストを醸し出します。

spaghetti-miso.jpg【photo】仙台味噌のクリームパスタ(単品950円)

 女性客が多いだけにヘルシー路線かと思いきや、COMFYの人気シリーズ企画が「食べ放題」だと聞いてビックリ。スープ、サラダ、ライスorパン、デザートが付いた月替わりのメインディッシュを異なる味付けで楽しめるというもの。

 今月は17日から「手羽カルビ食べ放題」を実施。1月は和風ガーリックソース・特製カレーソース・ねぎ味噌ソース・わさびマヨネーズソースという4種のソースで変化を付けた「ビーフステーキ食べ放題」2,480円、直近では12月「ハンバーグ」1,980円、11月「チキンカツ」1,980円、10月「ポークソテー」1,980円... と見事なまでに肉料理のオンパレード。

tabeho-dai_comfy.jpg【photo】1月の食べ放題はビーフステーキ。ちなみにロケ地は「バイキング食べ放題」で知られる全国チェーン「すたみな郎」ではないので、念のため

 「魚料理で食べ放題をやったこともあるのですが、お肉の方が皆さん喜んで頂けるみたいで」と川村シェフは苦笑い。「ステーキなら4、5枚は皆さん召し上がりますよ」というシェフの話に、肉食系女子の旺盛な食べっぷりに感心することしきり。スイーツ食べ放題も随時実施しているようですので、気になる方はCOMFYのブログをチェックして下さいね。
http://comfy-blog.blogspot.com/

 COMFYでは、市営地下鉄主要10駅や仙台市内大型書店などに設置しているのと同様、リアルPiatto をお手にとってご覧頂き、お持ち帰り頂くこともできますので、ぜひどうぞ(数量限定)

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COMFY (コンフィー)

住:仙台市青葉区北根黒松1-20 神山ビル2階
Phone:022-301-7856
営:ランチタイム 11:30-15:00
  ティータイム 15:00-17:00
  ディナータイム17:00-22:00(L.O. 21:30)
定休日:火曜日 / 年末年始 P4台分

URL :http://colorstown.biz/shop/cmf/index.html

2011/02/05

新カテゴリー 「Piatto こぼれ話」

 昨年10月に新創刊した大人女子のためのマンスリーマガジン「Piatto(ピアット)」。Web とモバイル限定コンテンツに「こぼれ話」という人気コーナーがあります。不肖・庄イタが誌面制作を手掛けており、取材の舞台裏や誌面化できなかった情報などを「Viaggio al Mondo ~あるもん探しの旅」とは一味違った軽いタッチでまとめています。
◆ web Piatto ⇒ http://piatto.kahoku.co.jp/piatto/
◆ mobile Piatto ⇒http://piatto.kahoku.co.jp/piatto/m/       または下記QRコードから

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 更新ペースを上げるため、Viaggio al Mondo ~あるもん探しの旅に、新カテゴリー「Piatto こぼれ話」を新設することにしました。こちらには web Piatto の内容を少し変えてアップします。本日2月5日(土)発行の2月号では、仙台味噌を取り上げ、庄イタがふたつのこぼれ話をご披露しています。今回はそのうちのひとつから。

味噌屋さんの味噌ランチ

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 美と健康を気遣う女性にウレシイことがいっぱいある味噌の話をあれこれ伺ったのが、今年で創業157年を迎える仙台味噌の老舗「佐々重」。青葉区本町にある本店には、安心安全なこだわりの食材がさまざまに揃い、100g から量り売りしている無添加の生味噌だけでも12種類が揃います。使い道が分からなければ、てきぱきとした応対がいつも気持ちよいお店の方に相談に乗ってもらえる上、試食もできるので、店頭で味噌の味を確かめられます。

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【photo】のれんを受け継ぐ9代目、佐々木 淳一郎 社長のこだわりを形にした限定品「淳朴」(1kg2,600円・左写真)。宮城県登米市米山町産で特別栽培の認証を受けたササニシキ一等米と宮城を代表する大豆品種ミヤギシロメ一等大豆、沖縄の海塩を使用。通常の仙台味噌は大豆6:米麹4 の配合だが、5:5 の同量配合と塩分含有率11.5%の減塩化により、上品な甘味と大豆本来の旨味が味わえる。 外皮を取り除いた国産大豆と米麹を贅沢に使用、鮮やかな山吹色の甘口味噌「特吟」(1kg1,470円・右写真)

eatin_sasajyu.jpg【photo】佐々重 本店イートインスペース

 発酵食品は微生物の働きで豊富な栄養素がヒトの体に取り込まれやすく変化するのみならず、老化の原因となる活性酸素を非活性化する働きもあるといいますので、毎日の食事に積極的に取り入れることで、サビつかないピカピカの若さを保つことができるわけです。

 そこで訪れたのが、本店内にあるイートインコーナー。味噌の色で(?)統一された一角では、仙台味噌を取り入れた「特製焼きおにぎり・サラダ定食」(880円)、「特製味噌ロースカツ重定食」「特製味噌のロース焼き重定食」「極上の味噌カツサンド重セット」(各1,200円)、味噌かつ丼(1,000円・1日限定10食)といった豚肉を使ったランチが用意されます。

 豚肉と味噌は組み合わせることでさまざまなメリットがあります。味噌で漬け込んだ豚肉は、味噌のアミノ酸と酵素の働きにより、ビタミンB1などの栄養吸収が促進されます。味噌に含まれるグルタミン酸は、豚肉のイノシン酸との相乗効果で肉の旨みを増す効果があり、味噌に含まれる酵母が肉の繊維質を柔らかくする働きも。

katsudon_sasajyu.jpg【photo】限定10食の味噌かつ丼。週替わりの味噌汁や日替わりの自家製デザートも魅力

 11:30~15:00のランチタイム限定で、味噌おにぎりに味噌汁がついた「お持ち帰りセット」(300円)のほか、特製焼きおにぎり・サラダ定食以外のメニューは、テイクアウトも可能(1,000円・事前予約がベター)です。

 多くの皆さんがそうであるように、"限定"という言葉に弱い私がオーダーしたのは、味噌かつ丼。長期熟成により大豆の旨味を引き出した辛口米麹味噌の定番「本場 仙臺味噌(粒)」を挟み込んだ宮城県産もち豚を用いています。ご飯は宮城のひとめぼれ。量の加減をお好みで調整してくれます。

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【photo】佐々重 本店のベストセラー、本場仙臺味噌(粒)を宮城県産もち豚に挟み込んだ味噌かつ丼(写左真) 味噌と一緒に摂取することで野菜の栄養分が吸収されやすくなる効果が期待できる具だくさんの味噌汁(右写真)

 ワカメ・大根・豆腐・油揚げ・ネギが入った味噌汁には、食に関する造詣が深かった藩祖・伊達政宗公が、仙台城築城の際に造らせた味噌蔵「御塩礎蔵(おえんそぐら)」に由来する味噌が使われていました。辛口の「ごえんそ」は、具だくさんに負けない奥行きのあるしっかりとした風味が魅力。味噌汁は週替わりで味噌が変わるそうなので、仙台味噌のバリエーションも楽しめます。

 辛口味噌というと塩分を気にする方もおいででしょうが、一杯の味噌汁に含まれる塩分はおよそ1.4g。日本人の平均塩分摂取量である1日12~13gと比較してもさほど気になる数値ではないことはPiatto 2月号でもご紹介した通りです。

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【photo】付け合せはユズ風味の大根の浅漬けと、胡桃味噌を青シソで巻いてサッと揚げた宮城県北の伝統食しそ巻き(左写真) ほうじ茶と共に食後に供される自家製デザート。デミサイズの味噌チーズケーキ(右写真)

cake2_sasajyu.jpg【photo】ランチにセットされるのはデミサイズの味噌チーズケーキ
 
 食後のデザートには、日替わりで自家製の焼き菓子やケーキが用意されます。この日はタルト生地の上に敷かれた黒ゴマがアクセントになり、コクのあるねっとりとした蔵王産クリームチーズの旨味が、ほのかな酸味を伴う甘口味噌「みかく」とベストマッチな味噌風味のチーズケーキでした。
 
 さすがは味噌屋さん自らプロデュースするランチセットだけに、どれも味噌の風味を上手に取り入れたたものばかり。1854年(安政元年)創業の老舗・佐々重 本店さんの味噌づくしランチで味噌使いの奥深いワザを学び、味噌を使いこなしてこそ、伊達な文化が息づく城下町仙台の一人前の大人女子ですぞ。

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佐々重 本店

住:仙台市青葉区本町2-9-7
Phone:022-264-3310
営業時間:10:00~18:30
ランチ:11:30~15:00
不定休 Pあり
URL: http://www.sasaju.co.jp/index.html

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