10年もの岩ガキ @象潟
鳥海山が育んだ海の加糖練乳・岩ガキ &
この道50年以上、加藤名人との出会い
にかほ市象潟町小砂川(こさがわ)は、山形県飽海郡遊佐町と県境を接する秋田最南端の地。沖合いの洋上には飛島を、緑の段丘の先には溶岩や火山灰が幾層にも重なった典型的なコニーデ式火山の扇形をした稜線を描く鳥海山が間近かに迫ります。海沿いを進む旧7号線・羽州浜街道沿いに人家が点在する小砂川は、農地には不向きな起伏に富んだ地形ゆえ、おもに漁業を生業とする280世帯が暮らします。
山形県境となる三崎公園の周辺は、鳥海山の溶岩流が日本海の荒波によって浸食された断崖の岩場となっています。かつては浜街道きっての難所とされた三崎峠も、現在はキャンプ場を備えた公園として整備されました。海沿いを走るR7にせよ、車窓に美しいオーシャンビューが広がる羽越本線を利用するにせよ、現在では想像すらつきませんが、1804年(文化元年)に発生した大地震で象潟一帯が隆起して陸地化する前は、松島のような幾多の浮島・九十九島(つくもじま)が織りなす見事な美観だったといいます。
【photo】砂浜の至るところから夏でも10℃ほどしかない鳥海山の清冽な伏流水が湧き出す。湧水が幾筋もの流れを砂浜に刻みながら日本海へと戻ってゆく小砂川海水浴場
今から322年前の1689年(元禄2)6月16日(陽暦8月1日)、俳聖・松尾芭蕉は、おくの細道の最終目的地・象潟を訪れます。景勝地として知られた象潟への道すがら、酒田からの道筋で最も難渋した三崎峠には、有耶無耶の関があったと伝えられます。9世紀に朝廷が蝦夷に備えた有耶無耶(うやむや)の関は、宮城・山形県境の笹谷峠に設置されたとする説もあり、時を隔てた今となっては、その在り処は文字通りうやむや...。

秋口の産卵を控え、たっぷりと抱卵したミルキーな岩ガキを目当てに象潟まで足を延ばした2年前の8月、県境手前の脇道を入った小砂川漁港を訪れました。港へと向かう道筋に数軒の番屋があり、午前の素潜り漁を終えた漁師たちが休憩時間を過ごしていました。そこでお会いしたのが、加盟する15人の組合員全てが夏は岩ガキ漁を行う小砂川漁協の組合長を務める菅原 光禧さん(75)。
【photo】松尾芭蕉を慕って明治26年におくの細道を巡り、紀行「はて知らずの記」を残した正岡 子規が象潟を訪れた際、ウチに立ち寄ったんだよと語る菅原 光禧さん
海流の関係で、湾内に砂が堆積しやすい小砂川は、定期的に浚渫する必要があるのだそう。漁港を維持するのもご苦労が絶えないのです。山形県吹浦から象潟にかけての一帯は、至る所で膨大な年間雨量に達する鳥海山の伏流水が湧出する地点があります。それは海中とて同じで、養分豊富な海水のもとで増殖する植物プランクトンを目当てに動物プランクトンが集まります。そうした場所にはプランクトンを餌にする天然岩ガキの群生がわんさと見られます。人家が多い象潟市街中心部や酒田市街から離れた小砂川のエメラルドグリーンの澄んだ海は、生活排水が流れ込む川が無いため、とりわけ岩ガキにとって恵まれた環境となります。

【photo】店頭で殻を開けサッと水洗い。産地ならではの鮮度抜群の岩ガキゆえ、レモンを利かせ過ぎないほうが、持ち味を満喫できる
例年6月末から7月上旬に解禁となる岩ガキ漁は、8月いっぱいが漁獲期。庄内浜から由利沿岸の天然岩ガキ漁は、素潜りで行われます。昨年「カワいすぎる海女」で有名になった岩手県久慈市小袖地区で100年以上の伝統がある北限の海女を挙げるまでもなく、素潜り漁は女性のイメージがあります。由利から吹浦にかけての漁場では、水深5~15mの岩場やコンクリート製テトラポットに張り付いた天然ものを専用の金具を用いて捕獲しますが、海に入るのはもっぱら男の仕事です。
【photo】どうです、この風格。今年で82歳ながら現役バリバリ素潜り漁名人、加藤 長三さん
「誰よりもいい岩ガキを採ってくる」と7歳後輩の菅原さんが語るのが、80歳を越えながら、海が荒れない限りは漁に出ているという加藤 長三さん(82)。加藤さんは現在のように岩ガキが一般に流通する以前から、半世紀以上に渡って素潜り漁を続けてきたのだといいます。海を知り尽くした寡黙な海の男は、多くを語るでもなく窓の外に広がるグランブルーな大海原へと目線を送るのでした。冬が旬のマガキ特有の香りが苦手な私をも虜にする今が旬の岩ガキ。冬ガキにはない甘味の強い風味が広く知られるようになりました。シーズンの週末ともなれば、岩ガキ目当ての長い行列が道の駅に出現します。

賢明なViaggio al Mondo 読者は、そうした長蛇の列には並ばず、象潟や吹浦にある鮮魚店を覗いてみることをオススメします。小砂川・象潟・金浦などの産地名・船名など、トレーサビリティ情報を表示した保冷ケースから取り出した鮮度抜群のリーズナブルな岩ガキを店頭で食することができます。
最後に私の握りこぶしよりも遥かに大きな小砂川産10年もの岩ガキのあで姿お見せしましょう。養分豊かな海水温が低い海域の岩場に張り付き、長い時をかけてじっくりと栄養を蓄え、卵を孕んだ熟女ならではのフェロモンがムンムン(笑)。いかがです? ヨダレが垂れてくるでしょ?!


世界第3位・銅メダルの妙技。
【photo】イタリア各地はもちろん、アメリカ・ブラジル・日本・スペイン・フランス・イギリスなどからピッツァ職人世界選手権に出場した各国のピッツァイオーロ
【Photo】競技に臨む千葉 壮彦さん(左)と、昨年の世界最優秀ピッツアイオーロ牧島 昭成さん(右)
【photo】昔ながらの山里の暮らしが息付く「バッタリー村」こと岩手県久慈市山形町荷軽部。放牧される牛が厩舎で過ごす冬に与える飼料用デントコーンと牧草が山あいの耕作地で育つ。岩手北東部では、3年に一度は冷害に見舞われ、栽培技術が向上する大正時代までは稲作が困難であった。五穀豊穣の五穀が、水稲・麦・アワ・小豆・大豆の5種類を指すように、弥生時代にコメが伝来する以前より、人々の命を支えた雑穀の豊かな文化が育まれた
【Photo】内陸へ物資を運ぶ古道「塩の道」が通っていた山あいに開かれた久慈市山形町の牧草地で放牧される黒毛和牛と短角牛
制約ゆえですが、言い換えれば、目が届く範囲の牛を手塩にかけて育てていることを意味します。
【Photo】標高900m前後の山間地になだらかな草原が広がる岩泉町早坂高原。冷涼な高原性の気候のもとで放牧される日本短角種(左写真)
【Photo】「ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」を標榜する葛巻町のシンボル、風力発電の風車が回る袖山高原に放牧されるホルスタイン
【Photo】今年5月下旬に完成した岩泉乳業のヨーグルト製造専用工場


Piatto7月号で特集したCover Story 「ハートを届ける手紙」の撮影が行われたのは、仙台市青葉区立町にあるレターグッズと雑貨の店「yutorico(ユトリコ)」。オーナーである高橋 智美さんのセンスが投影されたかわいらしい店内をお借りしました。
お店では陳列台として使っているヴィンテージもののデスクを店の入口に移動させて準備完了。そこで手紙を書き始めた場面を押さえる予定でした。モデルを務めたのは、編集スタッフのSさん。(左写真)
次に光を吸収する黒っぽい服装だったSさんに土俵入りで力士が着ける化粧まわしのように(笑)白いシーツを巻きつけたのです。これで右から差し込む光が和らぐとともに、左手のレフ板、前面の白い壁、そして手前からの四方から光が交差し、腕の内側にできる影を消すわけです。うーむ、これぞプロの技。
仙台で開催される特別展「フェルメールからのラブレター展」(10/27~12/12)で出合えるのは、現存する真作が30点ほどしかない寡作の画家が、円熟期に描いた光の微妙な陰影をとらえた静謐な人物画「手紙を読む青衣の女」「手紙を書く女」「手紙を書く女と召使い」の3作。奇しくもPiatto今月の特集テーマ「手紙」を題材とした作品ばかり。手紙を読む青衣の女(上左写真)は本邦初上陸で、公開直前に本国オランダでの修復が完了したそうです。当時は極めて高価な顔料だった天然ウルトラマリンやラピスラズリを使ったフェルメールブルーが鮮やかに蘇ったとのこと。



空気・水・火・土という当時いわれた四大元素や、四季を寓意化した要素から構成された肖像画の数々。デフォルメされない写実的なモノたちが、複雑にコラージュされることによって、肖像画へとメタモルフォーゼしてゆくさまはトリックアートそのものです。このマニエリスムの画家は、まるで視覚の魔術師のようではありませんか。
お腹がすく切手・飲みたくなる切手 
【Photo】イタリア統一運動で赤シャツ隊とも呼ばれた千人隊を率い、目覚ましい活躍をみせた英雄ジュゼッペ・ガリバルディの統一150周年記念切手
ローマにある「Museo Nazionale delle Paste Alimentari (国立パスタ博物館)」の切手もイタリアらしい絵柄。世界中で愛されるパスタの歴史や製造機の変遷などを展示する世界で唯一のパスタ専門博物館の切手には、蝶の形をしたパスタ「Farfalle ファルファッレ」が舞っています。ローマが州都のラッツィオ州とアブルッツォ州の境にあるアペニン山脈に抱かれた小さな山里 



ゼロがやたらと多い「
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