あるもの探しの旅

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手前味噌な醤油の実

銀しゃり+吟醸+大吟醸
作ってみました、醤油の実。

 SNS などのバーチャルな人間関係を否定はしませんが、庄イタは根がアナログゆえ、顔を突き合わせたお付き合いには到底かなわないと信じる者の一人です。まして人が生きてゆく上で欠かせない食を通した繋がりは、いかなる時も揺るがぬ強固なもの。それを実感させてくれるのが、傾聴に値するストーリーを持つさまざまな生産者とのご縁で繋がった我がホームグラウンド庄内です。

watamae-gassan.jpg【Photo】吹き抜ける風に緑の稲穂がざわざわと揺れる夏の庄内平野。井上農場近くの鶴岡市渡前から東方に古来より死者の霊が集うとされた月山を望む。卯年御縁年の今年9月、庄イタは俗世を離れ、羽黒山伏最高位「松聖(まつひじり)」星野 尚文大先達のもと、開祖・蜂子皇子が修験を積まれた由緒正しき霊場・出羽三山に体験入山予定(上写真)

sunset_agricola.inoue.jpg【Photo】先月末、井上農場で東京八丁堀にある「てんぷら小野」の二代目・志村 幸一郎さんをお招きしてガーデンパーティが催された。名人が揚げる岩ガキ・ドジョウなど夏の庄内の恵みを堪能しつつ見上げた西の空。夏の庄内が黄昏時にみせる色彩の魔術に癒された(上写真)

2009.1.25@inoue.jpg 知己を得た2003年(平成15)以来、安全性と美味しさを追求する尊いお仕事ぶりに接するにつけ、我が家の定番銘柄となった特別栽培米「はえぬき」をお世話になっているのが鶴岡市渡前の井上農場さん。お米を譲っていただく際には、種々情報交換のため、農場主である井上 馨さん・悦さんご夫婦のもとを直接伺うようにしています。

【Photo】大雪となった2009年1月25日朝、初めて食べる人が小松菜の概念を変える比類なきジューシーな小松菜の収穫をハウスで行う井上夫妻(左写真)。被災直後、500把以上を無償で避難所に提供したことを先日人づてに知った。そんなことはおくびにも出さないのがまた井上さんらしいところ

sicilian_rouge.jpg 井上農場の耕作地19haでは、コメのほか小松菜・トマト・枝豆・ジャガイモなど転作作物も育てています。お米を購入すると、それら旬の作物をお土産に頂くのが常です。先日伺った折には、今年初めて栽培に挑戦しているシチリア原産の新品種「シシリアンルージュ」と中玉トマト「ハニーエンジェル」を収穫させて頂きました。旨みがぎっしり詰まるまで樹熟させるトマトは、最高の活力剤となります。

【Photo】生食でも充分美味しいシシリアンルージュは、オイルで炒めると甘味が増幅。ホールで缶詰にされる加工用トマトの代名詞サン・マルツァーノとは一味違うパスタに仕上がる

 海洋深層水成分を使ったプラントミネラル栽培など、理詰めで農業に取り組む井上さんのお米や生鮮野菜には、全国に多くのファンがいます。生鮮産品のみならず、地元業者に製造を委託する割れが生じた規格外のトマトを活用したジャムやゼリーといった加工品にも意欲的。大玉トマト「桃太郎」のシーズン最後は、畑に残った青トマトを軽いカレー風味のピクルスに仕上げますが、これがまたウマいんだっ!!
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【Photo】鶴岡市大山の菓子店「福田屋」さんに製造を委託した新商品トマトゼリー(左写真)の中には、丸ごと中玉トマトが入っている(中写真)。 甘酸っぱいカレーの香りとシャキッとした歯応えが後を引くピクルスに加工する青トマトのスライス(右写真)

 大吟醸酒を使う井上家お手製の逸品で味を覚えたゆえ、市販品ではどうにも物足りないのが「醤油の実」です。昨年市場に本格デビューした新品種「つや姫」の米麹を使った醤油の実を頂いたのが6月。そのレポート〈Link to backnumber 〉で触れた通り、第二弾として、はえぬきの醤油の実も用意するという嬉しい知らせが届いていました。

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【Photo】温度管理が難しい米麹(左写真)の製造は、町内長沼地区の麹屋に委託。悦さんも加入するJAたがわ婦人部の皆さんが大豆を蒸して殻むきを行った上で麦と混ぜる

 快晴に恵まれた7月18日、海の日の休日を利用して庄内へと遠征しました。岩ガキを目当てに遊佐町吹浦を目指す道すがら、井上さんのもとを訪れました。購入したはえぬきと共に悦さんが差し出したのは、醤油の実の完成品ではなく、はえぬきの米麹でした。好みの醤油と大吟醸で自家製の醤油の実作りに挑戦してみたら? というわけです。

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【Photo】醤油と酒を加えた直後(左写真) 室温で毎日こうしてかき混ぜて発酵を促すと、10日ほどでとろみが出て来て食べ頃になる(右写真)

 おぉ、これはハンドメイド大国のイタリアで前世を送った庄内人にシンパシーを持つ仙台人(⇒ちとややこしいか?)のハートをくすぐる心遣い。ここはオリジナルに敬意を表して、仕込みに用いる大吟醸は庄内の蔵が醸した酒にするつもりでした。冷温下に置いた米麹に加える酒と醤油を同量加え、混ぜてからは室温に置き、もろみを毎日かき混ぜるよう悦師匠から指示を受けました。

 吹浦に向かう足で、旬を迎えた在来野菜「鵜渡川原キュウリ」の粕漬けを調達しようと立ち寄ったのが、酒田市の山居倉庫敷地内にある産直「みどりの里 山居館」。お目当ての鵜渡川原キュウリは置いていませんでしたが、店内の一角にある地酒専門店の「木川屋」さんで購入したのが地元酒田の銘酒「初孫大吟醸」です。醤油は最初から決めていたので、これで材料は揃いました。

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【Photo】もろみ作りに使った残りの初孫大吟醸は、仕込みの成功を祈りつつ、こうして呑み干された(左写真) 吟醸つながりで、仕込みに使ったのは全国醤油品評会で最高賞の農林水産大臣賞をこのところ毎年のように受賞している宮城の逸品、加美町今野醸造の「吟醸」(右写真)

 後日レポするご縁を感じさせる出会いがあった酒田から自宅に戻り、すぐ取り掛かった仕込みで使った醤油が、宮城県加美町の「今野醸造」さんの醤油「吟醸」。そう、井上農場の銀しゃり+今野醸造の吟醸+初孫大吟醸という勝利の方程式です。師匠の言いつけ通り160mℓずつの醤油と大吟醸酒を加えたもろみをかき混ぜながら寝かせること約2週間。液体にとろみが出てきたところでご飯に載せて味見をしてみました。

buonissimi_shoyunomi.jpg う・う・う・うま~っ!!

 初めてにしては出色の仕上がり、と悦に入ったのも束の間。仙台市青葉区一番町のJAみやぎ産直レストラン「COCORON(ココロン)」産直コーナーで最近扱うようになったという醤油に目がとまりました。まばゆい金ラベルのその醤油は、「老松」銘柄で知られる亘理町亘理の永田醸造「老松十一代 大吟醸」。昨年10月に開催された全国醤油品評会で濃口醤油部門にエントリーした170点から4本だけが選ばれた最高賞、農林水産大臣賞を受賞したという特級濃口醤油です。

oimatsu_daiginjyo.jpg【Photo】庄内産と宮城産の材料で仕込んだ庄イタ家初はえぬき自家製醤油の実。銀しゃりは井上農場のはえぬき(上写真) 亘理町 永田醸造の11代目永田 洋代表取締役常務が手掛けた「老松十一代 大吟醸」(右写真)

 我が家の定番醤油「吟醸」と似て非なる大吟醸。うーむ、これは気になる。まずは味見のため、さっそく購入。井上農場の銀しゃり+老松十一代 大吟醸+庄内の酒蔵が醸した大吟醸という鉄板醤油の実に来年は挑戦するぞ! と野望は広がる・・・。

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井上農場
住 : 鶴岡市渡前字白山前14
Phone & Fax : 0235-64-2805
URL : http://www11.ocn.ne.jp/~inoue-fm/index.html

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