あるもの探しの旅

« Ottobre 2011 | メイン | Dicembre 2011 »

2011/11/27

トスカーナが呼んでいるぅ~

罪作りで目の毒な本
FINE WINEシリーズ「トスカーナ」

NBCtoscana.jpg 【Photo】トスカーナ州を中心に90人以上の醸造家が美しい写真とともに登場する「FINE WINE シリーズ トスカーナ」。ワインの生産現場にある造り手の顔が見えるだけでなく、ブドウが育つ大地に吹き抜ける風の香りが感じられる一冊(右写真)

 ワインジャーナリズムが発達した英国で最も権威ある評価機関が「The Institute of Masters of Wine(略称:IMW)」。IMWが認定するワインのスペシャリスト「マスター・オブ・ワインには、世界中で299人のみが認定されているに過ぎません。その一人が1940年にLAで生まれ、現在は英国を拠点にワインジャーナリストとして活動するニコラス・ベルフレージ氏です。

 1970年代からイタリアワインの魅力にとりつかれ、英国の著名なワイン評価本「Decanter」誌や、ワイン関連書籍としては世界最多の累計部数を誇る英国きってのワイン評論家・ヒュー・ジョンソン氏の「Pocket Wine Book」で、イタリアワインに関する評価を担当していたこともありました。

NB1_toscana.jpg【Photo】風が吹き抜ける音しか聞こえない典型的なモンタルチーノの風景の中に佇む醸造所「Camiglianoカミリアーノ」。1957年に現オーナーであるゲッツィ家が入手した建物は、中世期には物見台として使われたという。そこは100haにも及ぶ屈指の広大なブドウ畑に囲まれている(「FINE WINE シリーズ トスカーナ」より)

 多種多様なイタリアワインに造詣が深いベルフレージ氏が2009年にロンドンの出版社「Fine Wine Editions」が発行するワインガイド「Finest Wine」のひとつとして出版したのが「The Finest Wines of Tuscany and Central Italy(=トスカーナと中部イタリア極上のワイン)」。いずこを切り取っても絵のように美しいトスカーナの風景や、醸造家たちの姿を写真に納めたのが、英国在住の写真家ジョン・ワイアンド氏です。

 本書はシャンパーニュを代表する造り手「ルイ・ロデレール」が創設した「International Wine Writers'Awards インターナショナル・ワインライター・アワード」9つのジャンルのうち、芸術性の高い仕事に対して贈られる「The Artistry of Wine」を2010年度に受賞しています。その和訳版「FINE WINEシリーズ トスカーナ」が日本で出版されたのが昨年11月。

NB2_toscana.jpg【Photo】歴史ある名酒「ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ」を産するモンテプルチアーノ郊外に建つサン・ピアージョ教会は、周囲の風景に溶け込むルネサンス様式の美しい聖堂(「FINE WINE シリーズ トスカーナ」より)

 前回の訪問から5年のブランクを置いて、重篤な禁断症状が出ている庄イタのイタリア欠乏症。その対症療法としてトスカーナ州モンテプルチアーノで2番目に古い1,000年近い歴史を刻むカンティーナ「Contucci コントゥッチ」の扉が表紙となったこの本を出版直後に購入しました。以来、あたかも極上のワインを味わうようなワクワク感を、この美しい写真集のようなワインガイドはページをめくるたびに体験させてくれます。

 国内での名声のみならず、ここ数年で国外でもワイン産地として脚光を浴びるようになったトスカーナ。高まる一方の需要と人気を反映するかのように、ここ15年ほどで価格上昇が最も著しいイタリアワインがトスカーナ産赤ワインだと言ってよいでしょう。しかしながら本書では、変貌著しいトスカーナワインの魅力の神髄は、著名な米国のワイン評論家ロバート・パーカーが95点以上の評価をつけて国際市場で引く手あまたとなる高級ワインではなく、多くのイタリア人が日々の糧とともに楽しむ85点前後のワインにこそあることを序説で押さえています。この点に関しては私も意を同じくするところです。

 本書で登場するのは、イタリアで最も著名ながら、1970年代半ばまで横行していた過剰生産の悪弊で、ボルドーやブルゴーニュを至上とするワインスノッブの人々から白眼視されたものの、いまや変貌を遂げたキアンティ・クラシコ、クラシコゾーン以外では最も熟成能力のあるキアンティを産するRufinaルフィーナを含むフィレンツェ東部・西部、シンデレラワインが次々と登場するマレンマなどの海岸地域、バローロと並び称される高級ワインの代名詞ブルネッロを生むモンタルチーノからオルチア渓谷沿いに絵画のような風景が続くモンテプルチャーノ、そして塔の街サン・ジミニャーノなど。
 
NB3_toscana.jpg【Photo】著者ニコラス・ベルフレージも絶賛するイタリアきっての素晴らしいデザートワインである「Vin San Giustoヴィン・サン・ジュスト」。陰干ししたブドウの果汁を6年間の眠りにつかせる樽を前に揃ったマルティーニ・ディ・チガラ兄弟。右から無愛想なフランチェスコ、エリザベッタ、私を快く迎え入れてくれたルカ(「FINE WINE シリーズ トスカーナ」より)

 登場する生産者のヴィーノの多くは日本にも入ってきており、実用書としての役割を十分に果たします。醸造家の言葉と写真が並ぶ本書を眺めているだけで心はトスカーナへとトリップしてゆくかのよう。すでに確固たる地位を築いていたオルネッライアをさらなる高みに引き上げたアクセル・ハインツ氏や、アヴィニョネージと並ぶ珠玉の極甘口ワイン「Vin San Giustoヴィンサンジュスト」を心行くまで試飲させてくれたルカ・マルティーニ・チガラ氏、昨年仙台に来てくれたキアンティ・クラシコ協会会長のマルコ・パッランティ氏ら、お会いしたことがある醸造家たちの懐かしい顔も登場します。

 ヴィーノを飲みながら彼らの言葉を読み返しているうち、醸造所を訪問して肉声を聞いているような錯覚すら覚えます。そんな儚い酔いから醒めた時、思うに任せない籠の鳥のような境遇を恨むとともに、かえって禁断症状が悪化することを承知の上で、手に取らずにはいられなくなる、とっても罪作りな本なのです。

***********************************************************************
FINE WINEシリーズ トスカーナ
ニコラス・ベルフレージ(著) 水口 晃 (監修) 佐藤志緒 (翻訳)
出版社: 産調出版 320ページ
本体価格:3,400円(税別)


baner_decobanner.gif

2011/11/20

ボジョレー騒動はさておき...

地球上で唯一オフヴィンテージが存在しない奇跡のブドウ産地・ボジョレー
VS 解禁日に飲んだ今年のヴィーノ

※商戦が盛り上がりに欠けた昨年は、怒りの矛先を向けずにスルーしましたが、ユーロ安が追い風となって関係者の鼻息が荒い今年は負けずに行きまっせーっ!!  Boooo...q(`ε´q)

georgesduboeuf.jpg 今月18日、仙台では平年と比べて8日遅く初霜を観測しました。こうして寒さが増してくると本格的な赤ワインシーズンの到来です。そこに巡ってきた11月の第3木曜日。そう、ボジョレー・ヌーボーの解禁日ですね。今年もプロモーションのため、ボジョレー地区最大手のネゴシアン(=酒商)「ジョルジュ・デュブッフ」が、ヌーボー最大の得意先であるニッポンにオーナー自らやって来ました。

【Photo】ボジョレーの帝王ことジョルジュ・デュブッフ氏 (大きな声では言えないが、我がホームグラウンド庄内ではお目にかかれないタイプのアクが強いこの御仁。ブドウを手にほくそ笑む表情からは、畑仕事に精を出す醸造家よりも商売人の印象を受ける。仮面ライダーに登場した悪役・死神博士に似ていると思うのは私だけ?)

 商魂むきだしのボジョレー・ソードー(=騒動)に黙っていられないのが、真っ当に造られた美味しいワインを愛する庄イタなわけで...(笑)。したたかなフランス人に踊らされている日本に警鐘を鳴らすべく、これまで2度ほどViaggio al Mondoで孤独な戦いを繰り広げてきました(2008年9月27日「今年も当たり年? ボジョレー・ソードーは日本固有のお祭り」、同年11月28日「ボジョレー後日談&自然派ワインよもやま話」参照)

 自国の文化や価値観が最も優れていると考える中華思想においては、本家中国と肩を並べるフランス。東京電力福島第一電子力発電所の事故直後、日本では菅首相(当時)が原発推進路線からの転換を表明したのとは対照的に、サルコジ仏首相は自国の重要な産業である原子力発電の推進にご執心です。

lacrima_1morro.jpg【Photo】イタリア・マルケ州の在来ブドウ「ラクリマ・ネラ」を使った「ラクリマ・ディ・モッロ・ダルバ」3種。家族経営による「ジュスティ・ピエルジョヴァンニ」の「ルッビヤーノ」(写真右)「ルイジーノ」(写真左)、マルケ州最大手の「ウマニロンキ」の「フォンテ・デル・レ」(写真中央)

 東大名誉教授の故・木村尚三郎は、米国は "巨大な島国に過ぎず、自国と相いれない文化を決して受け入れようとはしない国家"と評しました。この戦後を代表する西洋史研究家の洞察は、20世紀末に顕在化したイスラム文化圏との衝突や、実態は自国の権益を押し通そうという意図が明白なTPP交渉をみれば、正鵠を射た慧眼であったと納得がゆきます。

 日本の輸出産業に打撃を与えんとする米国主導の円高誘導と、信用不安に端を発したユーロ安を追い風に、今年もJaponで荒稼ぎしようと、フランス食品振興会(SOPEXA)や酒販業界は一丸となって多様な販促活動に躍起です。東京港区白金台にある「八芳園」で、17日の午前零時にブドウジュース もとい、ヌーボーで乾杯する派手な解禁イベントを仕掛けたのは前述のSOPEXA。仙台でも地元プロスポーツチームのスポンサーになっている大手流通が、ベガルタ仙台手倉森監督などをゲストに深夜のカウントダウントークショーを実施するなど、今年も日本各地でお祭り騒ぎが繰り広げられました。

lacrimautumno.jpg【Photo】収穫期を迎えたラクリマ・ネラ

 それにしても喧伝されるボジョレー・ヌーボーの作柄を自画自賛する誇大表現には、ほとほと閉口します。天候による劇的な品質向上など望むべくもない酒質のヌーボーをして、今年も判で押したようなお約束の「グレートヴィンテージ」だそう(デュブッフ社の日本輸入元サイトはコチラ

 ジョルジュ・デュブッフ社サイトでは、2011年のボジョレー・ヌーボーを "Full,Smooth body with a fine,silky harmonious texture and exceptional richness."と表現しています。これはボージョレ地域の主力ブドウ品種「Gamayガメ」以外のブドウで造られるワインは口にしたことがない中華思想の持ち主による評価なのでは??と勘ぐりたくなる内容です。

 ボジョレー・ヌーボーは、普通のワインとは全く異なり、通常で2~5日の極めて短期間の発酵で仕上げる突貫工事のような特殊な製法で醸造されます。私が思うにボジョレー・ヌーボーは、どう転んでも複雑味に欠けるタンニン成分が少ない軽くsmoothとも言う)平板なsilkyとも言う)味わいの酒です。間違ってもジョルジュ・デュブッフ社が言うところのフルボディのワインでは断じてありません。

az.ag.giusti.piergiovanni.jpg【Photo】糖度が上がってくる収穫期に実割れを起こしやすく、栽培が難しいラクリマ・ネラ種から熟成能力の高い素晴らしいヴィーノを生産するジュスティ・ピエルジョヴァンニ醸造所。アンコーナ・ファルコナラ空港近くのアドリア海から2kmほど内陸に入ったそこは、比較的平坦な地形だが、海風による昼夜の気温差がブドウ栽培に適した微気候を生む

 SOPEXAが言うように2011年ヴィンテージが「3年連続のとても偉大な品質〈Link to website〉」だとしても、それは通常の醸造法で醸された「Morgon モルゴン」「Chénas シェナス」「Fleulie フルリ」といった素性が明らかなクリュ・ボジョレーに限った話。2~3ヵ月の寿命しか持ち合わせていないヌーボーに偉大という賛辞を当てはめるのは土台無理な相談でしょう。

 一部のスーパーが競って導入しているペットボトル容器と円高ユーロ安の恩恵で、現地価格(2€~5€)に近い価格で出回っている今年のヌーボー。酒販業界では前年比2%増の60万ケースの売り上げを見込んでいるといいます。お手並み拝見といったところですが、解禁初日の売り場には、ヌーボー目当ての来店客がそれなりに群がっていたように思います。そんな人たちを煽るかのように前例踏襲の各メディアも、ヌーボー解禁を毎年ニュースとして取り上げます。自分がメディアに身を置くゆえに声を大にして言いたいのです。「もうやめませんか、"売らんかな"の片棒担ぎは」と。今年も私の闘いはまだ道半ばであることを思い知らされたのでした。

lacrima_tagawakabu.jpg【Photo】ジュスティ・ピエルジョヴァンニの「ルッビヤーノ・ラクリマ・モッロ・ディ・ダルバ'03」を頂き物の田川カブ甘酢漬とともに。和洋の希少な在来種同士の組み合わせだが、これがまたピタピタと合う

 そんなお寒い状況の中、赤ワインが一層美味しくなる季節となる11月第3木曜日に庄イタが開けたボトルはこれ。古来から中部イタリア・マルケ州アンコーナ県のごく限られた地域に伝わる土着品種「Lacrima Nera ラクリマ・ネラ」を使って「ジュスティ・ピエルジョヴァンニ」という真摯な作り手が仕込んだ「Rubbjano Lacrima di Morro d'Alba 2003 ルッビヤーノ・ラクリマ・モッロ・ディ・ダルバ'03」。

 神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世は、拠点となる港湾都市アンコーナ攻略のため、アドリア海から10kmほど内陸側の丘陵地帯にある「Morro d'Alba モッロ・ディ・ダルバ」の要塞に拠点を構えます。そこで出合ったのが、うっとりするようなバラやスミレの顕著な香りがするこのヴィーノ。その特徴的なアロマに魅了されたフリードリヒ1世は、このヴィーノを愛飲したという12世紀の記述が今に残ります。

 霜害のリスクが高い早春に発芽する上、収穫時期の見極めが難しいこの品種。熟した顆粒からあたかもLacrima(=涙)のように果汁がしたたり流れることから、この名が付いたともいわれます。19世紀に欧州のブドウを壊滅させる猛威をふるったフィロキセラ禍以降に導入せざるを得なかった台木との適合性が判明するのに時間を要したことも、このブドウ品種が作付を減らす要因となりました。

giusti_piergiovanni.jpg【Photo】父親が早逝したため、23歳からワイン醸造の世界で独り立ちしたというジョヴァンニ・ジュスティ

 1985年にDOC(統制原産地呼称)指定を受けた際、イタリア各地で栽培される代表的な赤ワイン用品種サンジョヴェーゼと、マルケ州で最良の結果を生む品種モンテプルチアーノを15%までは混醸が認められたラクリマ・モッロ・ディ・ダルバですが、当時ほとんど栽培されなくなっていた品種「Lacrima nera ラクリマ・ネラ」の可能性に着目、一時は幻とまで言われたこの品種の復権と品質向上に携わったのが、1920年代に先々代が興した醸造所を継いだ父ルイジーノの傍らで幼少時代を過ごした現当主のジョヴァンニ・ジュスティでした。

 かつては若飲み向きとされたこのヴィーノ。ジュスティ家では、フローラルに香り立つラクリマ・ネラの美点を活かした体躯のしっかりとした極めて香わしく、数年の熟成に耐えうるヴィーノを他品種との混醸なしで醸します。この日セラーから取り出した2003年は、この希少なブドウとオリーブの畑が連なるなだらかな丘陵地が広がるモッロ・ディ・ダルバや隣町の「Monte San Vito モンテ・サン・ヴィート」などを訪れた思い出深い年。イタリア全土が酷暑に見舞われてブドウが焼けた中、作柄に恵まれた'03vinのマルケ州産ヴィーノはしっかり確保してあります。

 映画「よみがえりのレシピ」庄内公開初日、後藤勝利さんの藤沢カブ畑に伺った帰りに湯田川温泉に立ち寄った折、定宿の「ますや旅館」の女将・中鉢泰子さんから頂いたのが、焼畑で作られた比較的辛味の少ない在来種「田川カブ」のお手製甘酢漬。自家製ならではの心和む自然な味付けの漬物をつまみながら、8年の熟成を経て角が取れたはずのこの作り手のミドルレンジに当たるラクリマ・ネラ100%の年産わずか3,400本しかない「Rubbjano ルッビアーノ'03」を開けました。

rubbjano03_2011.jpg【Photo】かつては若飲みといわれたラクリマ・モッロ・ディ・ダルバ。ジュスティ・ピエルジョヴァンニの手になる瓶詰め後7年を経たルッビヤーノ'03は、快活で魅力的な作り手そのままの生き生きとした素晴らしい香りと風味で楽しませてくれた。フラッグシップとなる「Luigino」は敬愛する父の名を冠した更に熟成能力が高いヴィーノ。我がセラーに眠る3本の'03vinをいつ開けるかが思案のしどころ

 手摘みされたブドウだけを除梗・発酵後、バニラ香の強いバリック新樽を4割使用、10ヵ月の樽熟成と6ヵ月の瓶熟成を経てリリースされます。抜栓直後はその優美な香りが閉じた印象でしたが、1時間を過ぎる頃には蕾が花開いて芳醇な色香を漂わせ始めました。キメ細やかなタッチ、目の詰まったシルキーなタンニン、適度な樽香が溶け込んだインクのようなスモーキーなフレーバーの後、スミレ・バラ・湿った落ち葉の香りが幾重にも重なり、ブラックチェリーやカシスのような澄んだ綺麗な酸が長い余韻を残してゆきます。う~ん、オイシイ。

 前回「よみがえりのレシピ」で述べたように、経済効率とは関係なく、自分が生まれ育った土地固有の資源の価値を大切にしようという思いは世の東西を問いません。ボジョレー・ヌーボーの販促活動に見られるような行き過ぎた商業主義とは無縁の人々とその仕事をこれからもViaggio al Mondo ではご紹介してゆきます。

***********************************************************************
Azienda Agraria Giusti Piergiovanni
アジェンダ・アグラリア・ジュスティ・ピエルジョヴァンニ

Via Castellaro, 97
60010 MONTIGNANO
- (AN)
Phone&Fax: +39 071 918031
Fax: +39 071 918031
URL:http://www.lacrimagiusti.it/italiano/home.html


大きな地図で見る


baner_decobanner.gif

2011/11/13

よみがえりのレシピ

山形発・在来作物と種を受けつぎ守る人々の記録

 プロの役者でも大根役者でもなく、ココロ震える値千金の千両役者ぶり発揮する出演者で占められる映画「よみがえりのレシピ」をご存知でしょうか? 鶴岡市出身の映像作家・渡辺智史さん(30)が、山形県内各地の在来作物の種を受け継ぎ、次代に伝えようとする人たちの営みに焦点を当てた95分のドキュメンタリー映画です。

 「藤沢カブ」後藤勝利さん、「宝谷カブ」畑山丑之助さん、「外内島キュウリ」上野武さん、資源低投入型循環有機農業のパイオニア「月山パイロットファーム」相馬一廣さん...。これまで「Viaggio al Mondo~あるもん探しの旅」でもご紹介してきた私の琴線に触れる尊い仕事をなさっておいでの生産者の皆さんが数多く登場するとあって、製作段階からその完成を心待ちにしていました。11月5日(土)から始まった山形市での一般公開(~18日)に続いて、12日(土)からは「鶴岡市まちなかキネマ」での公開が始まりました(~25日)。

recipi1_tsuruoka.jpg【Photo】鶴岡での公開初日の初回上映後、舞台あいさつに立った渡辺智史監督、冨樫裕子さん、畑山丑之助さん、「この映画を観るのは3回目だけれど、同じ場面で感動する」と感極まって涙ぐむ後藤勝利さん

 公開と機を一にして、TPP参加の是非に関する議論が巻き起こっています。賛否渦巻く交渉のテーブルに日本をつかせようという米国は世界に冠たる農業国。東北のように中山間地が多く地理的制約で経営規模が小さな農業者が多い島国日本で、いかに大規模集約化をしたところで、その営農規模は日本の比ではありません。

frier_resipe.jpg【Photo】映画のポスター・フライヤーには、寒河江市風間地区が発祥とされる「山形赤根ホウレンソウ」が登場(写真撮影:東海林晴哉氏)

 我が国にも国内法人がある米国の巨大企業が、自社の除草剤とセットで遺伝子操作で耐性を得たF1種子の販売権を独占しています。農業分野における米国の狙いは明白なのです。TPP推進派の経済界をはじめ、日本中に蔓延している効率優先の考え方や拝金主義とは対極にある世界をこの映画は淡々と描いています。登場するのは、経済最優先の時代には金にならないからと生産農家が消えていった在来作物を今も作り続ける生産者と、加工業者・研究者・料理人ら、互いに支えあう周囲の人々の人間模様。

fujisawakabu_2010.8.jpg

 二粒入りの鞘のうち、巾着型でシワの寄った種だけを選び、選抜を重ねてゆく鶴岡市白山の「だだちゃ豆」生産農家・冨樫裕子さんの自家採種の模様や、孫が通っている小学校で子どもたちと栽培から種採りまで一緒に行うことで、作物の一生を学ぶ機会を持たせた外内島キュウリの生産農家・上野武さん、安い輸入材に押されて森林が放置され山が荒れてゆく中、藤沢カブの収穫後に植林まで行う後藤勝利さんの伝統的な焼畑農法が、化学肥料や農薬を一切必要とせず、森の再生を促す自然のサイクルにかなった農法であることなどが、山形大学農学部 江頭宏昌准教授による解説などを交えて描かれています。

【Photo】まっ暗いうちに始まる焼畑作業があらかた終わったところにノコノコ伺う羽目になった2010年8月9日朝6時過ぎ。鶴岡市湯田川近くの金峰山中で行われた藤沢カブの火入れの模様を撮影するよみがえりのレシピ渡辺監督らスタッフ

 昨年、真夏の鶴岡の夜空を彩る赤川花火大会が催された翌朝、藤沢カブの火入れが行われるというので、投宿していた鶴岡市西荒屋の「知憩軒」から、土地勘のある金峰山の山中へと夜がまだ明けやらぬ早朝に車で向かいました。前夜の酒も手伝って到着が遅くなってしまいましたが、そこには後藤さんご夫妻や江頭先生や在来作物の撮影を続けている写真家の東海林晴哉さんの顔もありました。その現場に渡辺監督ら映画の撮影クルーもちょうど居合わせたのです。

seedtalk1_nagai.jpg seedtalk2_nagai.jpg【Photo】「未来への種まきトーク in 置賜」より。進行役は渡辺監督、基調講演後はコメンテーターを務めた島村菜津さん(左写真)、吉田昭市さん、鈴木徳則さん、井沢良治さん(右写真)

 昨年12月、よみがえりのレシピ製作委員会の主催で山形県長井市で行われた「未来への種まきトーク in 置賜」では、映画では山中で藤沢カブにかじり付く姿が登場するノンフィクション作家の島村菜津さんが「スローな生き方」と題して講演。その後、米沢雪菜の生産者・吉田昭市さんや、高畠町二井宿小学校で11年前から子どもたちに自分たちが食べる給食の野菜栽培を行う取り組みを行なった元校長先生・井沢良治さん、スローフード山形事務局長・鈴木徳則さんらが、島村さん・渡辺監督とともに登壇し、トークセッションを行いました。

recipe2_tsuruoka.jpg 【Photo】鶴岡公開初日の初回上映後「鶴岡まちなかキネマ」でのアフタートーク。23年前に後藤さんの奥様・清子さんに「この種をあなたが守ってほしい」と託した近所に暮らす渡会美代子さんが、ご自身も出演したこの映画の完成を待たず、今年の9月に急逝されたことが渡辺監督から明かされた。10年後・20年後を考えた時、この映画は貴重な映像記録となるはず

 80名が観賞した鶴岡での初上映後は、渡辺監督と映画に登場した冨樫裕子さん、畑山丑之助さん、後藤勝利さんの舞台あいさつがありました。心揺さぶられる映画の内容が素晴らしいことは勿論、ご縁あって「未来への種まきトーク」打ち上げと鶴岡初上映後、市内の知る人ぞ知る超・穴場の蕎麦店を貸し切って行われた昼食会に居合わせた関係上、恩義のあるこの映画は応援しなくてはなりません。酒田・仙台でも上映に向けた機運があるといいます。今後の詳細については、下記公式サイトを参照願います。

やまがた発長編ドキュメンタリー映画
よみがえりのレシピ公式サイト
 http://www.y-recipe.net/

baner_decobanner.gif

2011/11/10

祝・初出荷。仙台せり

香り高き和製ハーブ「仙台せり」
 @朝市・夕市ネットワーク合同市

 宮城県内の農漁業者50名ほどで構成されるNPO法人「朝市夕市ネットワーク」(本部:仙台市)では、毎月1回、生産者が直接対面販売を行う定期合同市を開催しています。会場は仙台市青葉区の勾当台市民広場。頻繁に催しが行われるそこでは、今週も8日・9日の2日間、県内各地から自慢の鍋料理が揃った「仙臺 鍋まつり」Link to websiteが催され、多くの人出で賑わいました。

takahiro_miura.jpg【Photo】本日11月10日(木)、恒例の「朝市夕市ネットワーク合同市」に今季初出荷となるセリを出品した三浦隆弘さん

 有機農法で栽培された新鮮な農産物や、私が知る限りにおいて三陸随一の美味しいワカメ産地である石巻市北上町十三浜の漁業者、糖度15度にもなる県産ミヤギシロメの豆乳と伊豆大島のにがりで作る濃厚な豆腐など、いずれ劣らぬこだわりの生産者が集います。15年に渡って開催されている催しだけに、固定ファンが多く、午前中には売り切れることも珍しくありません。ゆえに可能な限り早めに足を運ぶようにしています。


 東日本大震災では、朝市夕市ネットワーク加盟生産者のうち10名ほどが命を落としたり、漁具を津波で失うなどしました。灌漑施設が津波で壊滅したため、コメの作付を見送った生産者もおり、春先は合同市の開催を見送らざるを得ないこともありましたが、夏以降は出店可能なメンバーが出店するようになりました。

seri1_miura.jpg【Photo】今シーズン初物となる三浦さんのセリ。来月にはシャキシャキした茎とゴボウのような風味がある根がもう一回り太くなる

 仙台市役所で打ち合わせを終えた今日、目の前の勾当台市民広場で合同市が開催されていました。震災前の半分ほどの出店数ではありましたが、旬の新鮮な作物やこだわりの加工品類が並んでいます。ざっと見渡した中に、河北新報朝刊に連載された「食でつなごう」執筆者の一人で、名取市下余田の専業農家・三浦隆弘さん(31)の顔がありました。現在は地域SNS「ふらっと」 Link to websiteで、被災後の東北の声を発信する「オピのおび」ブロガーとしてお世話になっています。

 ミョウガタケ、セリ、仙台長ナスといった特徴ある在来作物が作られる名取市下余田地区は、震災で多くの犠牲者が出た閖上(ゆりあげ)から2kmほど内陸側に位置します。堤防のような盛り土構造の仙台東部道路のお陰で、津波による直接の浸水被害はありませんでしたが、農業用水の確保に欠かせない灌漑施設が壊滅したため、コメの作付ができなかったといいます。

seri2_miura.jpg

 名取川水系の豊富な地下水脈を利用して江戸初期から下余田地区周辺で栽培されてきたセリは、宮城が全国一の生産量(2010年)。その大方が名取で栽培されています。およそ40軒の農家が一斉にセリの植え付けを行うのが3月から4月。寒さが増す年の瀬に出荷のピークを迎えます。ハゼの焼き干でダシをとった澄まし汁に千切りにした凍り豆腐・ゴボウ・ニンジン・大根といった野菜にハラコ(イクラ)とともにトッピングされるセリは、伝統的な正月料理「仙台雑煮」の具として無くてはならないもの。ここ数年、三浦さんが仕掛け人となった「せり鍋」や「せりしゃぶ」といった新メニューも登場しています。

 7代続くセリ農家を継いだ三浦さんは、子どもやその親に農業生産現場を知ってもらうため、2004年(平成16)に「なとり農と自然のがっこう」を開講。削減対象農薬や化学肥料を使わない有機農法を通して、食べる人の安全に配慮した持続可能な農業に取り組んできた三浦さんにとって大きな心配の種となったのが、東京電力福島第一原子力発電所の放射線漏れ事故でした。原発から85kmの下余田で暮らす三浦さんは、震災直後から複数の線量計を常に携帯、今日も3台の線量計を合同市に持参していました。

 先月末、東京の専門調査機関に根付きの状態で送って検査を依頼したセリの残留放射性物質検査の結果は、放射性ヨウ素(I-131)・放射性セシウム(Cs-134・137)・放射性カリウム(K-40)とも、1kg当たり1ベクレル以下の測定可能下限値で測定されない「検出せず」というもの。国が定めた暫定基準値が2,000ベクレル以下ですから文句なしの結果です。これで出荷のメドがつきました。 

seri3_miura.jpg【Photo】東京電力福島第一原発事故の影響が気になる方は、こちらをご確認の上、安心してお召しあがり下さい。東京の専門機関に委託した検査報告書のコピー ※Photoクリックで拡大

 蔵王からの冷たい風が吹き抜けるセリ畑の水は冬でも12~13℃ほど。腰まで水に浸かって全て手作業で行われる収穫作業は、否応なしに体温を奪ってゆきます。寒さが募るこれからの最盛期から見れば、まだ茎や根が細く、香りも優しいセリですが、まずはおひたしにで旬の到来を感じたのでした。

 秋田が生んだ魚醤の傑作「しょっつる」で味付けするきりたんぽ鍋の主役は、日本海の荒波を乗り越えてやってくるハタハタですが、隠れた主役の座にあるのが三浦さんのセリ。今年もこのかぐわしい和製ハーブとともに季節が巡ってくることに感謝しつつ、この週末は鶴岡でいよいよ公開される在来作物の生産者を追った山形発ドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」Link to Website公開初日に向けて庄内入りです。

baner_decobanner.gif

2011/11/05

ショウガパワーで節電の冬を温かく

Piatto 11月号こぼれ話
目指せ!! まばゆい「冬美人」

piatto11uno.jpg 本日発行Piatto11月号では、女性にとってお肌の大敵である寒さと乾燥に負けない冬美人を目指しましょう! という特集を組みました。撮影は仙台市青葉区一番町の藤崎ファーストタワー館3Fビューティスクエアにある「インフェイシャス」Link to websiteのご協力で行いました。隣接するアトリウム棟2Fに「とんかつと豚肉料理 平田牧場 仙台ファーストタワー店」Link to backnumberがあり、1Fに「GUCCI」、2Fには「セルジオ・ロッシ」&「イヴ・サンローラン」、4Fがテラス席もある「メゾン・ド・ブラッスリー・ヴェランダ」がテナントとして入居する藤崎ファーストタワー館で、これまで唯一足を踏み入れていなかったのが3Fでした。

【Photo】高以亜希子さんの輝く笑顔で、ぱっと華やかさが増した明るく開放的な「インフェイシャス仙台藤崎店」ウエイティング・スペース

 それもそのはず、そこは女性専用サロンなのですから。フォトグラファーのAさんや、庄イタほか取材に立ち会った4人の男が女性専用スペースをウロウロしてお客様を驚かすことのないよう、開店前に撮影が終了しなければなりません。そのため、今月号でも輝く美しい笑顔を振りまいて下さったモデルの高以亜希子さんには、オープンの1時間半前にお越し頂き、撮影を始めました。

piatto20011.11_due.jpg【Photo】スタイルスパ・ガウシェル仙台藤崎店のまばゆいウエイティング・スペース

 
 インフェイシャス仙台藤崎店での取材目的はネイルケアでしたが、同じフロアには、系列のエステティックサロン「スタイルスパ・ガウシェル」があります。見る物すべてが新鮮な女性専用エステティックサロンで私が注目したのが、アーバンクラシカルモダンをテーマにしたというウエイティング・スペース。ロンドン在住で英国インテリアデザイン協会(BIDA)正会員、王立建築家協会準会員のインテリアデザイナー澤山乃莉子氏が手掛けた内装は、洗練された上質感漂う空間でした。

 シルバーに輝くビロード調のソファーや銀色のロココ調猫足テーブルや椅子などが配置され、銀色を基調に白と淡いモノトーンで統一されています。J・S・バッハのゴルドベルク変奏曲をBGMに、磨き上げた純銀製のアンティークなティーセットで淹れる紅茶の香り漂う午後のひと時が似合いそう。アストン・マーティンを乗りこなす英国貴族が暮らしていそうなこんな部屋が似つかわしい日本人は、叶姉妹かデビ夫人?あとは假屋崎省吾か美輪明宏ぐらい??

piatto2011.11_tre.jpg【Photo】温感効果が高いショウガを摂取できる「ヴェーダヴィ ジンジャーシロップ」

 輝く部屋と同様、美しくまばゆい女性を目指すアナタにこれからの季節にふさわしい一品を最後にご紹介しておきましょう。それはインフェイシャスでも取り扱っている「ヴェーダヴィ ジンジャーシロップ」(380g 税込2,940円)。冷えが気になる女性に嬉しい温感効果が高いショウガをふんだんに使ったという濃縮シロップは、6~8倍のお湯や炭酸水、牛乳、紅茶などで割って飲むのはもちろんのこと、調味料としてさまざまな料理に用いることも可能。加糖してありますのでヨーグルトやアイスクリームとの相性もよさそうです。

 夏に引き続き節電が求められる今年の冬。ショウガや唐辛子などカラダの中から温まる食品を積極的に食生活に取り入れ、免疫機能を高めて元気に乗り切りましょう。

◆Web Piatto : http://piatto.kahoku.co.jp/piatto/

baner_decobanner.gif

2011/11/03

il Clistero dello fico

サンマのタリオリーニ &
イチジクとマスカルポーネのドルチェで深まる秋を堪能
@CEPPA(チェッパ)

※イタリア語が堪能な方でなくとも、タイトルの意味は最後にお分かりになるかと。

antipast_ceppa.jpg【Photo】ふんわり火を入れた岩手県産いわい地鶏とマコモタケのこんがりロースト ブロッコリーソース風味 @CEPPA

 離陸したものの、高みに至らぬ水平飛行が続いたマッシュしたカボチャを絡めたシンプルなマルタリアーティをこれまで唯一の例外に、いつも納得の料理を出してくれるのが、仙台市青葉区本町にあるイタリア料理店「CEPPA(チェッパ)」です。一昨年のオープン当初から何度か足を運びながら、佐藤篤シェフが一人で店を切り盛りするゆえ、軌道に乗るまでは当Viaggio al Mondoでのご紹介を控えてきました。

 通りから見える看板を出さず、ビルの2階にあり、表通りから外れたロケーションゆえ、ちょっとした隠れ家的なこの店。昼から気の利いたZuppa ズッパ(=スープ)やアンティパスト、手打ちパスタ、そしてドルチェを頂くことができます。仙台の南隣り、名取市下余田にある佐藤シェフのご実家は、恵まれた地下水を利用した特産のセリを栽培する農家。ゆえにセリをハーブとして使ったムール貝のズッパなどの料理はお手のものです。

primo_ceppa.jpg

 聞けば、「アロマフレスカ」「カーザ・ヴィニタリア」「エッセンツァ」「カッフェ・アロマティカ」など、次々と人気店を手掛け、日本のイタリア料理界をリードする原田慎次シェフのもとで研鑽を積んだのだといいます。イタリア人も一目置くトーキョー・イタリアンの人気店で腕を磨いた佐藤シェフが、「いわい地鶏とマコモタケのローストブロッコリーソース」がアンティパストとして登場した先日のランチタイムに私を唸らせた2品をサックリとご紹介します。

【Photo】定番の塩焼きもいいけど、こんな意外な組み合わせはいかが? 思いのほかシンプルな調理法なので自作にもチャレンジしたい「秋刀魚とトマトのタリオリーニ」@CEPPA

 まずは「秋刀魚とトマトのタリオリーニ」。秋刀魚とトマトの意外な組み合わせが絶妙のハーモニーを生むシンプルなれど目からウロコな一品。(ウロコがない)秋刀魚の皮面をしっかり焼いた秋刀魚に少量のアサリのブロードとジューシーなフレッシュミディトマトを加えれば、スライスしたトマトのジュレもまたソースになる仕掛けです。適度にほぐして麺になじませ、香り付けにディルを散らせばイタリアンカラーのパスタ料理の完成です。

 材料はフツーに入手できるものばかりなので、ご自宅でも挑戦しやすい一品かと。生パスタにこだわる佐藤シェフは、卵入りの手打ちタリオリーニを使っていましたが、スパゲッティーニやフェデリーニなど入手しやすい細めの乾燥パスタでもいけるでしょう。お供には難しいことは考えず、トレッビアーノやマルヴァジアといったポピュラーなブドウ品種を使ったイタリア産の気軽な白ワインが合うはずです。

    fico_ceppa.jpg  fico2_ceppa.jpg
【Photo】ソルベの上に鎮座したイチジクにナイフを入れると、中から桃太郎でもイチジク太郎でもなく、トロリとしたマスカルポーネチーズが現れる。「イチジクのマスカルポーネ風味」@CEPPA

 その日のドルチェは、イタリアではこの季節ポピュラーな果物イチジクを使ったものでした。イチジクの果汁を凍らせたソルベの上に、コロンとした花イチジクが乗っています。ナイフを入れると、赤い果肉の中にはトロリとしたフレッシュチーズが詰め物として入っていました。

【Photo】中部イタリア・ウンブリア州の古都オルヴィエートのドゥォーモ。イタリアンゴシックの最高傑作といわれる聖堂のファサード左側には、蛇にそそのかされてイチジクの実を口にするアダムとイブの浮彫りなど、14世紀初頭にロレンツォ・マイターニと弟子が完成させた旧約聖書の逸話が表現される.。アダムとイブが口にした禁断の果実は、リンゴではなくイチジクだったというのがイタリアでは一般的な考え方(下写真)
duomo2003.Orvieto.jpg

 爽やかな完熟イチジクの風味と、ミルキーなマスカルポーネチーズの穏やかな甘さが、満ち足りた食事の充足感を更に高めてくれます。佐藤シェフによれば、イチジクのお尻からマスカルポーネを注入したのだとか。外見上は穴が見当たらないイチジクの中にどうやってチーズを入れたのかをシェフに確かめたかった私は、その答えを聞くやいなや、昼食を共にした後輩の女性社員2名から顰蹙を買うイチジクつながりな禁断のギャグを口走ってしまいました。

 「それって、文字通りのClistero dello fico じゃないですかっ!!


 敢えてここではイタリア語表記にした箇所は、実際になされた会話では当然のこと日本語でした。ご参考まで単語の意味のみ列記しますと・・・

 ・clistere  (=浣腸・ここは語尾変化でclistero)
 ・dello (=男性名詞の冠詞) 
 ・fico (=イチジク)

 これで意味不明だったタイトルの意味がめでたく判明、clistero dello fico の効能のようにスッキリしたでしょ?

*********************************************************************** 
CEPPA (チェッパ)
住:仙台市青葉区本町1-9-23 アートスリービル 2F
Phone:022-263-7113
営:11:30~13:30  18:00~20:30(L.O.)
  日曜・第3月曜定休
  店内禁煙・カード不可 


大きな地図で見る
baner_decobanner.gif 

CEPPAイタリアン / 広瀬通駅あおば通駅勾当台公園駅
夜総合点★★★☆☆ 3.5
昼総合点★★★☆☆ 3.5

Settembre 2016
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
Copyright © KAHOKU SHIMPO PUBLISHING CO.