あるもの探しの旅

« 「Salone del Piatto」へのお誘い | メイン | 修験道体験@出羽三山 »

Attenzione, questo non è espresso.

A turisti italiani イタリア人旅行者の皆様へ
ご注意ください、 これはエスプレッソではありません

冒頭から言い訳をしておきます。何かと気ぜわしい年の瀬ということもあり、今回は事象を掘り下げる時間が無く、いつになく他愛のないネタですが、ご容赦のほど。

te1_espresso.jpg

 エスプレッソ好きには奇異に思える商品が今年相次いで登場しました。まずは紅茶飲料のトップブランド、キリンビバレッジ「午後の紅茶」シリーズの新商品「午後の紅茶 エスプレッソティー」。エスプレッソといえばコーヒーと相場が決まっているものと思っていた前世イタリア人にとって、これは驚天動地の商品でした。

 なぜに紅茶をしてエスプレッソたらしめるのかというと、紅茶葉のブレンド比率を見直し、高温・高圧のエスプレッソ抽出により紅茶葉の良質な苦味をアップさせたのだといいます。紅茶葉のしっかりとした香り・味わいと、すっきりとしたキレのある後味が特徴だとか。う~む...。

 カッフェを愛する前世イタリア人として、エスプレッソを名乗る紅茶がいかなるものか気になりました。ただし、缶からそのまま飲んだのでは、よほどのことがない限りは手を出さない缶コーヒー飲料を口にするのと気持ち的に変わりません。さて、どうしたものか...。

te2_espresso.jpg

 バリスタがマシンで抽出するエスプレッソには、表面にクレマと呼ばれる細かな泡が浮かんでいます。いささか強引ですが、まずは缶を数回シェイク。無理やり泡立たせ、エスプレッソ用のデミカップに注いで気分を盛り上げてから飲むことにしました。(; _ _)彡U

 先行して春に発売された「リプトン EXTRA SHOT 深煎ストロング紅茶」同様、茶葉の風味をまず感じます。強めに抽出した紅茶は、ともするとタンニン由来のいがらっぽい渋みが残るもの。このエスプレッソティーは、缶コーヒーのような後を引く重苦しさはなく、ミルクの風味がふんわりと残ります。

te3_espresso.jpg【Photo】缶を数回シェイクして強引に泡立てたものの、高性能のエスプレッソマシンが作りだすキメ細やかなクレマの足元に及ぶはずもなく...(,,-_-)。 少しでも気分を出すため、ジノリのデミカップに移して味見した「午後の紅茶 エスプレッソティー」(写真左上)と「午後の紅茶 エスプレッソティー・冬のほろにがラテ」(写真右下)

 10月をもって製造を終了した「午後の紅茶 エスプレッソティー・アイスラテ」と交代で「冬のほろにがラテ」なる派生商品も登場。ミルク成分がより多いこちらのほうがよりマイルドで、商品名にある通り「カフェラッテ(シアトル系ではカフェラテ)」的な位置づけなのでしょう。

 3年前の春、料理研究家の栗原はるみ氏プロデュースという鳴り物入りで東京恵比寿に登場した「tea espresso HATEA ティーエスプレッソ ハッティー」は、紅茶用にチューニングしたエスプレッソマシンで渋みを抑えたコクのあるエスプレッソティーを出す紅茶専門店でしたが、あえなく2年あまりで閉店しました。

ocha_espresso.jpg コーヒーの飲み方としてニッポンでもすっかり市民権を得たエスプレッソではありますが、英国人やインド人が聞いたなら、さぞ驚くであろう紅茶のエスプレッソという大胆な発想が受け入れられるのかどうか、私には正直??です。

 そこに現れた紅茶のエスプレッソを凌駕する驚愕の第2弾は日本茶のエスプレッソ。寛政2年創業の老舗「京都 福寿園」が監修したサントリー「伊右衛門」シリーズの意欲作、その名も「Green ESPRESSO(グリーンエスプレッソ)」。

 茶摘みする1週間ほど前に覆いをかけてから収穫された渋みが少なく甘みのある「かぶせ茶」を高温短時間で抽出、石臼挽き抹茶をブレンドすることで、深いコクと長い余韻が楽しめるのだといいます。茶せんで豊かに泡立つように点(た)てる裏千家のお抹茶は、モノクロームにすればエスプレッソを連想させなくもありません。

ocha2_espresso.jpg サントリーGreen ESPRESSOは、ほかの伊右衛門シリーズとは違って、ペットボトル入りは存在せず、400g容量のボトル缶のみ。これにはちゃんと理由があるのでした。

 豊かな抹茶の香りを連想させるデザインのスクリューキャップには「上下に5回振ってから開けてください」との注意書きが。静置すると抹茶成分が底に沈殿するため、それを全体に混ぜるためと、表面に泡を立たせるためと推察。指示通りに5回シェイクした後にカップに注いでまず驚くのは、中身が見えるペットボトル入りでは恐らく誰も手を出さないと思われるビミョーなその色合い(笑)。

ocha3_espresso.jpg エスプレッソを名乗る以上、エスプレッソのようなトロリと濃厚で甘さすら感じる緑茶の風味を優先し、お茶自体の見た目にはこだわらなかったのでしょう。実際、香り高いお茶のうま味は十分に感じられます。パッケージングはマットな艶消しのブラックと鮮やかなグリーンを基調とする高級感あるデザインでまとめられており、なかなかのセンスを感じさせます。

 今回は、Espressoという商品名に飛びつかないよう、日本を訪れるイタリア人観光客に注意喚起する内容でした。「tè verde テ・ヴェルデ」とイタリアでは呼ばれる緑茶は、イタリアのみならず海外では多くの場合、砂糖を加えて飲まれます。少量のミルクを加える場合もあるようですので、紅茶や緑茶のエスプレッソを作ってしまう日本とて、エスプレッソの本場イタリアからすれば"お互いさま"といったところかもしれません。茶道を確立した千利休も「これは切腹ものじゃ」と苦笑いしていることでしょう。


baner_decobanner.gif

Luglio 2018
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

archive.gif

Copyright © KAHOKU SHIMPO PUBLISHING CO.