あるもの探しの旅

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ありったけの竹の露 =後篇=

Whole lotta ♥ HAKURO-SUISHU.
「鶴岡食文化女性リポーター」オフ会打ち上げ @手打ちそばしげ庵

shigean_2012.2.jpg【Photo】鶴岡市街中心部から羽黒山方面へと向かう羽黒街道を東進、赤川に架かる羽黒橋を渡り、3つ目の信号が黒瀬交差点。「手打ちそば しげ庵」は、旧藤島町渡前方向に左折し、黒瀬川を背に右手に建つ

 4杯の日本酒カクテルで幕を開けた「大山新酒・酒蔵まつり」Link to Backnumberの日。2つの蔵元で搾りたての新酒を味見した後、純米大吟醸の原酒ばかりを舐めつくした竹の露酒造場で3時から2時間半をかけて仕込み現場をひと通り見学。不肖 庄イタを含め、蔵元の説明を聞いてか聞かずか、恍惚の表情を時おり浮かべて試飲を続ける鶴岡食文化女性リポーターの皆さん。その脇で、ずーっと呑まずにいた女将の相沢こづえさんが運転する車で、すぐ近くにある「手打ちそば しげ庵」に移動しました。
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【Photo】鼠ヶ関の岩ノリ採取体験をしたメンバーからなる鶴岡食文化女性リポーターオフ会は、竹の露酒造場からほど近い「手打ちそば しげ庵」に会場を移し、蔵元の相沢政男・こづえ夫妻を囲んで和やかに第二幕が開けた。さぁー呑むぞっ!と臨戦態勢の女将(奥左から2人目)の脇で甲斐甲斐しくお燗の準備に余念がない蔵元

 羽黒街道は頻繁に通るゆえ、かねてより店の存在は認識していましたが、訪れるのはこの日が初めて。庄内系に突然変異して以来、蕎麦屋とラーメン店ばかりが目立つ山形内陸をスルー、食の都・庄内を訪れると、内陸地域でほとんど食べ尽した蕎麦とはどうしても違う系統に足が向くのですLink to Backnumber。ゆえに濃密な庄内での食遍歴で、蕎麦を食したのは10回にも満たないはず。旧櫛引町時代の「宝谷そば」、鶴岡「大松庵」、酒田生石「大松屋」など、訪れた蕎麦屋は6~7軒がせいぜい。

 「そば街道」と称し、板蕎麦を観光の売り物にしている村山地域と境を接しているため"山形イコール蕎麦どころ"と擦り込まれている仙台では、私が庄内の食事情に明るいと知った方から「庄内で美味しい蕎麦屋はどこ?」とよく訊かれます。海・里・山の美味に溢れた庄内に足を延ばしてまで、元来は山間地などの土地が痩せた地域の食糧であった蕎麦を食するのは、もったいないと思っていました。つい最近までは...。

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【Photo】冬季限定・300本限定醸造の「白露垂珠 無濾過純米 超にごり活性微発泡23BY」(上左写真)口に含むと炭酸ガスの刺激を感じ、タンクの醪(もろみ)をそのまま呑み干す気分(上右写真)

 新潟県境にほど近い旧朝日村大鳥は、1193年(建久4)に伊豆から落ち延びた武将・工藤大学の末裔が暮らす落人の里Link to Backnumber 。その地の出身だという工藤姓のご主人が営む手打ちそば しげ庵。蕎麦&山海のおかずバイキングという画期的なシステムで、食い倒れ寸前になること必定の鶴岡市山王町の旅館山王荘の主人が蕎麦を打つ「野房 そばの木」同様、"もっと早くこの店に来ればよかったのに" と後悔するまで、さして時間を要しませんでした。

shigean2012.2_2.jpg【Photo】蕎麦屋とはいえ、豊かな山海の幸を味わうことができる小鉢が並ぶのは食の都・庄内ならでは。これら地元の直材は、地の米・地の水で醸す白露垂珠の絶好の肴となる

 "こんな四股名の力士がいたっけか?"と、どうでもいい考えが浮かぶ酒造好適米「出羽の里」を精米歩合77%に留めた冬季限定「白露垂珠 無濾過純米 超にごり活性微発泡」で、まずは乾杯。火入れをしておらず酵母が生きており、瓶内でも発酵を続けるために発生する炭酸ガスで、下手をすれば中身を噴出させる憂き目に遭うこの酒。冷温状態でも必ず噴き出る酒、田酒を醸す青森・西田酒造店の地元向け銘柄「外ヶ濱 吟醸生にごり FLOWER SNOW」ほどでないにせよ、取扱いには注意を要します。

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【Photo】うっすらとした澱が漂う「純米吟醸 雪ほのか 無濾過本生 出羽の里初しぼり」は、醪を搾ったままで濾過せずに瓶詰めされる。料理を引き立てるまろやかな味わいは冷やで楽しみたい(右写真) 蔵元が燗をつけた「はくろすいしゅ 純米吟醸無濾過原酒 生詰 亀ノ尾」は、しっかりした香りとうま味が際立ち、食中酒としての実力を遺憾なく発揮(左写真)

 やっと参加できた大山新酒・酒蔵まつりの打ち上げに、F1レースの表彰式ばりにシャンパンシャワーならぬ"超にごり酒シャワー"も悪くないなぁ(*゚゚)ノλ*・'゚'・*、などと思ってみたり(笑)。そんな邪念を抱く若干1名が潜り込んでいることを知るはずもない蔵元は、一滴も噴出させることなく開栓してしまいました。(⇒こんな言い回しは不謹慎極まりない)鼠ヶ関で岩ノリ採取を体験した女性リポーターの皆さんにとっても、岩ノリの板海苔が出来上がったお祝いにもなったのに。・・・うーん、残念!?

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【Photo】一昨年の12月に購入した「白露垂珠 無濾過純米 超にごり活性微発泡 21BY」。うめっけのぅ~。(左写真) 天然マイタケとゼンマイの和え物、蕎麦切りの唐揚げ(右写真)

 精米歩合77%の出羽の里で仕込んだ300本の最後だというこの1本は、にごり酒なれど日本酒度+4という辛口。鶴岡銀座にある酒販店で一昨年12月末に購入したオレンジ色ラベルの白露垂珠 無濾過純米 超にごり活性微発泡21BYが、精米歩合65%で日本酒度+-0だったのとは異なる仕上がりです。ベタつかず綺麗に後味が引いてゆくのはこの蔵らしいところ。きりっと冷えた芳醇なにごりならではのトロリとした旨さが沁みわたります。

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【Photo】香ばしくカラっと揚った天ぷら(左写真)は、しっかりとした旨味を感じる「はくろすいしゅ 純米吟醸原酒 生詰 改良信交」(右写真)とも好相性

 相沢さんが持ち込んだ白露垂珠は合計9種類。「古い酒米から呑んでゆきましょう」という蔵元自ら、燗をつけて下さったのが「はくろすいしゅ 純米吟醸無濾過原酒 生詰 亀ノ尾」。竹の露では、醪(もろみ)を搾ったままの純米吟醸クラスの原酒は平仮名書きで「はくろすいしゅ」、特撰純米などの吟醸以外が漢字の「白露垂珠」。その酒が一番旨いと蔵人が感じるまで加水したのが白ラベル。原酒のラベルは酒米の種類別に色分けされているので、選ぶ際の目安にしやすいかと。

shigean2012.2_9.jpg【Photo】蕎麦がき入り鴨鍋。醤油ベースのつけだれに練り粕ペーストを加えると、より一層のコクが加わる

 燗と冷やの両方で頂いた「白露垂珠 無濾過純米原酒 生詰 京ノ華」とも合った天然物のマイタケやゼンマイの和え物、「ひろっこ」または「きもど」と庄内では呼ばれるアサツキとイカの酢味噌和えなどの小鉢料理も美味しかったのですが、蕎麦がきの入った鴨鍋と燗酒との相性は抜群。ここで相沢さんが取り出したのが、白露垂珠の酒粕をペースト状に加工したオリジナルの練り粕でした。

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【Photo】 藤島川沿いの笹川扇状地の田んぼで蔵元が育てる「京ノ華」は、昭和初期に鶴岡で生まれた酒造好適米。「白露垂珠 無濾過純米原酒 生詰 京ノ華」(左写真) 酒どころゆえ、練り粕を用いた食文化が根付く庄内地方。我が家の常備品、はくろすいしゅ吟醸粕と、この日お土産に頂いた練り粕ペースト(写真右)

 水と米を庄内の生産者から直接調達する我が家では、酒粕食文化が発達した鶴岡に見習えと、山伏豚ロースのブロックハムを漬け込んだり、自家製の鵜渡川原キュウリLink to Backnumber 粕漬けを仕込むため、「はくろすいしゅ吟醸練り粕」を常備しています。この日お土産としても相沢ご夫妻から頂いた練り粕は、はくろすいしゅ吟醸練り粕よりも白色度が高く、より滑らか。タンパク質・各種ビタミン・アミノ酸など、うま味成分と栄養素の塊とも言うべき酒粕を醤油ベースの漬け汁に加えた鴨鍋は、具材から滲みだした風味に更なる深みが加わります。

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【Photo】「白露垂珠 生詰 純米吟醸 美山錦」を‐3℃で2年間氷温貯蔵した「21BY瓶囲ゐ」(右写真)と「23BY寒造り」(左写真)。ふっくらとした味わいの熟成酒と、溌剌とした新酒それぞれに良さがある

 おりがらみ「雪ほのか 純米吟醸 初しぼり 出羽の里」に続いて開けたのは、「はくろすいしゅ 純米吟醸原酒 生詰 改良信交」。生まれ故郷の秋田より、誕生して50年を経た現在では、山形と新潟のごく限られた蔵元が使う酒造好適米「改良信交」で仕込んだ酒です。丈が長いために倒伏しやすく、秋田ではほとんど姿を消していますが、持ち味であるふっくらとした味わいに魅せられた一部の蔵元によって、吟醸クラスの酒に用いられます。「白露垂珠 純米吟醸 生詰 美山錦 瓶囲ゐ」は、‐3℃で氷温貯蔵した平成21年醸造年度の1本。今年搾ったばかりでフレッシュな香りがはじける「寒造り」との対比では、寝かせた日本酒のしみじみとした旨さが冴えわたるのでした。

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【Photo】 芳醇淡麗なこの蔵らしさが極まった綺麗な仕上がりが素晴らしい「はくろすいしゅ純米大吟醸 生詰 出羽燦々」(左写真) 燗上がりする「白露垂珠 生詰 無濾過純米 ミラクル77 出羽の里」(右写真)

 2009年4月、162の蔵元が359銘柄の酒を出品し、ロンドンで開催された「IWCインターナショナルワインチャレンジ」「sake部門」純米吟醸・純米大吟醸のカテゴリーで、最高賞であるGold prizeを受賞した「はくろすいしゅ 純米大吟醸 生詰 出羽燦々」までが登場した頃、トドメの蕎麦が出て来ました。ダシが効いた辛めのタレで頂く二八だという香り高く咽喉ごしの良いこの蕎麦、庄内で食べた蕎麦では間違いなく指折りの旨さ。んめものの宝庫、食の都・庄内で、また行きたい店のバリエーションが広がったのは収穫でした。

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【Photo】 蕎麦はコシのある二八(左写真) デザートのバニラアイスには蕎麦の実が入る(右写真)
 
 蔵元ご夫妻を交え、女子会ならではの和やかな雰囲気のもと、話に花が咲いたオフ会も23時前にはお開きとなりました。雪の降りが一層強くなる中、宿の部屋に入るや、胸一杯になるまで杯を重ねた白露垂珠の心地よい酔いが回り、Whole Lotta Love (邦題:胸いっぱいの愛を) by Led Zeppelin が頭の中を駆け巡り、ほぼ12時間に渡って日本酒を堪能しきった長~い1日を反芻するうちに、やがて意識が混濁し、zzzzzz...。

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手打ちそば しげ庵そば(蕎麦) / 鶴岡)
夜総合点★★★★ 4.0

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