あるもの探しの旅

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Road to だだちゃ豆食べ比べ会 

湯田川朝ミュージアム6 「続だだちゃ豆」

 鶴岡市羽黒町手向(とうげ)にある月山パイロットファームの研修施設で恒例の「だだちゃ豆食べ比べ会」が8月26日(日)に催され、会の存在を知ってから足かけ10年目にして念願の初参加を果たしました。だだちゃ豆については3年前のレポートをチェック・プリーズ《Link to Backnumber

compe12_dadacha.jpg【Photo】今年で17回目を迎えた「だだちゃ豆食べ比べ会」。並みいる腕自慢の挑戦を押しのけ、これまで高い勝率を誇ってきた月山パイロットファームの相馬一廣氏。食べ比べに臨む表情は真剣そのもの。果たしてその結果はいかに

 平成の大合併で鶴岡市と藤島町が合併する前の2003年(平成15)、藤島町の助役であった月山パイロットファームの相馬一廣氏から、8月の最終日曜日に開催される食べ比べ会に参加しないかとお誘いを頂いたことがあります。山形営業所が開設され、当時は月~金で仙台から山形まで通う毎日。山形県全域を車で回るなかで、内陸とは全く異なる庄内へと頻繁に訪れていた頃のことです。

【Photo】イタリア・マルケ州から2006年3月に有機農業を通じた民間交流を促進しようと訪れた一行の歓迎会。(写真奥から)相馬氏、スパール山澤清代表、鯉川酒造佐藤社長ら、食に関して一家言を持つお歴々が集ったテーブルの話題は「だだちゃ豆はどの旬が最も美味であるか」

benvenuti_arcevia.jpg その年は都合がつかず参加を見送りましたが、食べ比べ会で供される日本酒の調達係だという鯉川酒造の蔵元・佐藤一良氏や相馬氏らと、その3年後に鶴岡で催されたイタリア・マルケ州からのゲストご一行をお迎えする会合でご一緒しました。席上話題となったのが、だだちゃ豆食べ比べの会のこと。

 会の発足は、20年近く前に所用で郷土紙の・荘内日報社を訪ねた相馬氏が、当時の編集局長で園芸家としての顔を持つ松木(まつのき)正利氏と交わした会話がきっかけでした。だだちゃ豆栽培の最適地として地元で知られるのが、赤川に合流する大山川の支流・湯尻川沿いの白山から矢馳地区の一帯。収穫が行われる早朝に立ち込める朝霧の湿気と肥沃な土壌とが、一味違うだだちゃ豆を生むのです。それに相馬氏が、ご自身がだだちゃ豆を栽培する月山中腹の畑も負けてはいないと応じます。

dadacaha_watamae.jpg【Photo】次回のレポートで明かされる今年の食べ比べ会で栄冠を勝ち取った生産者が所有する畑に隣接する井上農場の「白山だだちゃ」。だだちゃ豆の商標を持つJA鶴岡のエリア外ゆえ、「たかくんの茶豆」として出荷。だだちゃの名を語らずとも、こだわりの土作りと糖蜜散布など、独自の工夫がもたらす風味の違いは歴然!!

 ならば味の優劣は、食べ比べによる投票で決めようと両者合意。だだちゃ豆という名の由来〈Link to Website〉からも、代々庄内藩主を務め「酒井の殿はん」と呼ばれ、鶴岡市民の敬愛を集めた酒井忠明(ただあきら)第17代当主(1917-2004)の参加は必須でした。腕自慢の育種家に声をかけ、毎年の恒例行事となって以来、スタート当初から事務局は、現・荘内日報社社長の橋本政之氏で、今年もお世話役を買っておいででした(一番上の写真で相馬氏の背後の階段に陣取り、参加者名簿の照合に余念がないお方デス)

dadacha_otaki.jpg【Photo】3年前に99歳で亡くなった鶴岡市小真木(こまぎ)の大滝武氏は、大滝ニンジン・金峰だだちゃなどの作物を選抜育種した篤農家。義父が遺した畑を守る大滝小菊さんを訪ねた8月26日早朝。ただ一人種を受け継ぎ、7月初旬に播種した大滝ニンジンの間引きの手を休め、こうして白山だだちゃを土産に下さった

 食べ比べ会には、長い歳月をかけ自家採種による選抜を重ねる地元の腕自慢が持ち寄る自信作が揃うと聞けば、いやがおうでも興味をそそります。早生から晩生種まで出回る時期と風味の特徴が異なるだだちゃ豆。それぞれ旬の走り・盛り・終盤で、いずれのだだちゃ豆が最も美味であるかという、相馬さんらが繰り広げる真剣な議論は、次第に熱を帯びてゆくのでした。

 今年の新物を漬けた民田ナス辛子漬特別仕様の調達に相馬さんのもとを訪れた8月25日(土)のこと。朝採りならではの風味豊かな自家製だだちゃ豆をご馳走になりながら、翌日食べ比べ会があることを教えて頂きました。千載一遇の幸運とはまさにこのこと。日帰りの予定を変更し、食べ比べ会に急遽混ぜて頂くことになったのです。

 食べ比べ会当日の26日朝は、湯田川温泉の若手が中心に旬の地域資産を見直す取り組みとして、昨年9月から実施している「朝ミュージアム」が開かれていました。6度目となる今回のテーマは第1回と同じくだだちゃ豆。その企画のひとつがテーマに沿った「朝カフェ」。ワンコインでだだちゃ豆が主役の定食が食べられるほか、葛餅、だだちゃ豆シェイク、変わったところではコーヒー豆ではなく、だだちゃ豆を焙煎したコーヒーも味わえるというもの。

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【Photo】毎回設定されたテーマに沿って展示やガイドツアーが実施され、見て・聞いて・体験できる仕組みが用意される。だだちゃ豆に関する豆知識の掲示(上左写真) 早生種の「小真木だだちゃ」の種(上右写真) だだちゃ豆の豆乳を使った「だだちゃ豆シェイク」(300円)は、朝カフェのおめざにふさわしい爽快な風味(下左写真) 日本酒がテーマとなった前々回は「SAGE(さげ)」(笑)。取り上げるテーマのスタンプが開催ごとに増えてゆくスタッフTシャツ。この逞しい後ろ姿は前回テーマの孟宗掘り名人・ますや旅館の齋藤 良徳専務(下右写真)
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 個人的に嬉しかったのは、前日の夕刻、湯田川郊外の畑にお邪魔したばかりの小田茂子さんが育てた「萬吉ナス」が田楽で登場したこと。今年は久方ぶりに納得のゆく出来だと語った小田さんが、大滝小菊さんと同じく先祖伝来の萬吉ナスを一人で受け継いでいます。ナス特有のアクやエグミがない透き通った味と爽快な香りが特徴の萬吉ナスと共に運ばれてきたのが「緑のいくらご飯」です。

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 【Photo】ワンコインで旬の恵みを頂ける充実の朝カフェ定食

 これはエビなどに見られる緑色の魚卵が入った炊き込みご飯などではなく、サヤからはじいただだちゃ豆を白飯に混ぜ、醤油をかけて頂くという極めてシンプルな鶴岡の郷土料理。ご飯と一緒にだだちゃ豆を炊き込む本格的だだちゃ豆ご飯もありますが、簡易版ともいうべきこの食べ方も一般的。炊きたてのご飯と茹でただだちゃ豆の濃厚な風味に、香ばしい醤油味が重なることで醸し出される、えもいわれぬ三位一体の旨さに言葉を失いました。

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【Photo】「萬吉ナス」の田楽(左写真) 緑のイクラご飯こと、お手軽だだちゃ豆ご飯の作り方に目を凝らしていると、お隣りの食卓ではアラ、山形大学農学部の江頭宏昌(ひろあき)准教授がご家族連れでお食事中(右写真)

 だだちゃ豆ご飯にはどうやら流儀があるようで、小皿に豆をのせてから醤油をかける派は、朝ミュージアムでお会いした在来野菜の写真を多く手掛ける写真家の東海林晴哉さん。ご飯に豆を直接はじいてから醤油をかける派は、厨房と客席との間を行き来していた理太夫旅館の太田百合若女将。旨みを倍増させる醤油の量はお好みでどうぞ。

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【Photo】サヤからはじいただだちゃ豆を小皿に載せて醤油を適量(左写真) 温かいご飯に載せて口に運ぶと...。旨いのなんのって、も~タイヘン!(右写真)

 鶴岡にある山形大学農学部の阿部利徳教授が著した「ダダチャマメ おいしさの秘密と栽培(2008:農山漁村文化協会刊)によれば、うま味成分であるグルタミンやアラニンなど遊離アミノ酸が、ほかの枝豆よりも元来だだちゃ豆には多く含まれ、新鮮なだだちゃ豆には芳香成分の「2-アセチル-1-ピロリン」という物質も通常の枝豆の含有量と比べて4~5倍に達するのだといいます。この物質は、炊きたてのご飯の香りと同じだといいますから、相性が悪かろうはずがありません。

 いつも変わらず湯触りの優しい湯田川の湯で癒された全身の細胞が、一口ごとに目覚めてゆくかのよう。カニ汁の風味に変化するはずの(⇒本当です)味噌汁に入っただだちゃ豆が、いささか加熱時間が長かったためか、栗のような味に感じられる新たな発見もありました。だだちゃ豆シェイクをデザート代わりに頂いてから、はやる気持ちを抑えつつ、11時の集合時刻に間に合うよう、食べ比べ会が行われる月山へと向かいました。

 白熱の食べ比べ会の模様はPart2でご報告!

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