あるもの探しの旅

« 甘党も左党も納得 | メイン | Road to だだちゃ豆食べ比べ会  »

Yeti イエティ @気仙沼

深遠なるスパイスのラビリンス(迷宮)
ネパール・インド料理レストラン「Yeti イエティ」

 北カフカス(コーカサス)のイングーシ共和国でYeti(イエティ=雪男)を捕獲したという、耳目をそばだてるような出来事をロシアのインタファクス通信が伝えたのが昨年末。捕えられ、奇声を上げながらオリを両手でゆするのは、全身を黒い毛に覆われた体長2mのUMA(未確認動物)のメスだとする触れ込みの生物。
 
     

【Movie】イングーシ共和国で捕獲されたYetiの正体が暴き出される衝撃の結末をお見逃しなく

 ここはロシア人のジョークに世界が振り回された格好ですが、それも無理からぬこと。極寒のツンドラ地帯であるロシア・西シベリア地方ケメロヴォ州で、ロシア・中国・モンゴル・アメリカ・カナダ・スウェーデンなど7カ国の専門家による国際会議が催されたのが同年10月。大規模な捜索が行われた上で、足跡や毛といった存在を示す物証が得られたことから、95%の確率で雪男が同州に存在するという結論が導き出されていました。

     yeti1.jpg yeti2.jpg
【Photo】1951年にイギリス隊のエリック・シプトンらによって足跡が発見されて以降、空想による雪男=類人猿のイメージが出来上がった。日本のヒマラヤ登山隊を案内するシェルパのテントをイエティが夜襲した(左写真)、などと報じる当時のゴシップ誌

 ヒマラヤの山岳民族シェルパ族の呼び名でYeti 、北米ではBigfootと呼ばれる雪男。このイングーシでの噴飯もののイエティ捕獲劇はともかく、その存在の真偽はどうなのでしょう。今年6月に山と渓谷社から興味深い一冊「イエティ = ヒマラヤ最後の謎『雪男』の真実= 」が出版されました。長年にわたる現地での聞き取り調査を踏まえてその正体に迫ったのが、弘前市の登山家・ルポライターの根深 誠氏。そこで導かれる結論はここでは伏せますが、いずれにしても今回のタイトルから、"すわ一大事、気仙沼に雪男が出没したのかッ!?"などと早合点しないで下さい(笑)。

yeti_outlook.jpg【Photo】山岳用品をメインとするアウトドア用品店を併設する「Yeti イエティ」では、ネパールの定番料理「Daal bhaat ダルバートセット(1700円)」とネパール風居酒屋メニューが充実した夜も狙い目

 その正体は「Yeti イエティ」という名のネパール・インド料理店。内偵を進めていたYetiの実態に迫るため、このほど気仙沼を訪れて確認したのは、フカヒレやホルモンで知られる水産の街・気仙沼こそが、南三陸地域のみならず東北を代表するネパール・インド料理の紛れもない聖地であるという意外な事実。香辛料を多用するインド料理は日本でもポピュラーですが、気仙沼Yetiで食することができるのは、厨房を預るデバック・ケーシー氏の出身地であるネパールと料理と隣接する北インドの料理。

 Yetiとの邂逅は3年前の夏。家人の里帰りでお盆に訪れる気仙沼では、マンボウなどの新鮮な魚介中心の食事となります。生ものが続くと、夏場はスパイシーな料理が欲しくなるもの。そんな時に出合ったのが、田中前の表通りを少し入った路地裏に突如として現れたYetiでした。

yeti_setA.jpg

【Photo】大きなナンはフレームアウト(笑)。ある日のランチAセット。気仙沼Yeti にて

 どことなく場違いな印象がありながらも、美味しそうなオーラを放つその店。吸い込まれるようにドアを開いた初訪問では、定番インド料理をワンプレートで組み合わせたターリーを、ヒマラヤで発見されたYetiの足跡のように大きくフカフカのナンと組み合わせて頂きました。

yeti_2011.8.jpg【Photo】2011年8月のお盆休み、被災した店を同年7月末に再開して間もないYetiをランチタイムに訪れた際の忘れがたい再会のワンプレート。この時も5辛でお願いしたマトンカレー(写真奥)はほとんど真っ赤(笑)。串焼きにするシシカバブやタンドーリチキンと同じく、タンドール(石窯)で焼きたてをハフハフさせながらカレーと頂く大きなナンもまた美味で食べごたえ十分

 鼻腔から脳天まで鋭角的に突き抜ける辛さのワサビは別にして、唐辛子系の辛さに対する耐性が常軌を逸しているとまでいわれる庄イタ(爆)。特産のPeperoncino ペペロンチーノ(=唐辛子)を使った料理が多いイタリア南部カラブリア州出身Calabrese カラブレーゼの身内がどうやら前世では存在したようです。ゆえにこの時も、ネパールを離れたのち、北海道から岩手・滝沢村を経て気仙沼に来たという達者な日本語で話しかけてくるタカリ族のフロアスタッフに「辛さはVery very very Hot ね」などと図に乗って口走ったものです。

yeti_colors.jpg【Photo】最近Yetiでは、辛味の調整を後盛り可能なシステムに変更した

 マイルドな日本人仕様ではない満足のゆく辛さ、深みのある万華鏡のようにスパイスが渾然一体となってフルオーケストラのようにフォルテシモで響きあう美味しさ。予期せぬ本物との出合いでした。それからというもの、選択可能な7段階の辛さで一番ホットな「5辛」をお願いするのが常でした。現在は辛味調味料を後盛り可能な日本的システムに変更したので、どなたでも安心です。

yeti_setB.jpg

【Photo】充実のタルカーリが追加となるある日のランチBセット。気仙沼Yeti にて

 根深 誠氏とは同郷の出身で長年交流があり、ヒマラヤ山中の6,000m付近の雪渓で、イエティと思われる足跡をかつて目撃したと語るのが、店のオーナーである小野一太さん。ネパール人スタッフが本場の味を気仙沼で提供する店を胸まで届く高さの津波が襲ったのが昨年3月11日。山とカレーを愛する小野さんは、揺れが収まるや否やスタッフにパスポートを持って近くの高台に避難するよう促したのだといいます。彼らの無事を被災後まもなくTwitterで教えて下さったのが、仙台市泉区高森にある「カレーと珈琲の店 あちゃーる」のご主人、森 好宏さんでした。

 世界の屋根と呼ばれるエベレストをはじめとする8,000m級の山々と深い谷に囲まれた多民族国家ネパール。未曾有の津波を経験しながら、厳しい環境で生き抜く術を知っている山岳民族ならではのタフネスゆえか、再び気仙沼に戻ってきたスタッフのデバック・ケーシー氏を中心に店の再開に漕ぎ着けたのが昨年7月。

misoramen_hikadoshokudo.jpg 長いこと復活を待ちわびた滋味深い味噌ラーメンを食べさせてくれる気仙沼市本吉町日門「南三陸ドライブイン ひかど食堂」と同様、昨年の気仙沼へのお盆の帰省の折、営業を再開した南三陸ドライブイン ひかど食堂とYetiを訪れたのは申すまでもありません。

【Photo】気仙沼市本吉町日門のR45沿いに建つ「南三陸ドライブイン ひかど食堂」には、1m50cmほどの津波が襲い、自宅にいた先代が亡くなった。寄せられた支援と関係者の熱意で昨年も披露された地元の伝統芸能「平磯虎舞」復活にも奔走したご主人が研究を重ねた味噌ラーメン(700円)は、庄イタも20年来食べ続けている変わらぬ美味しさ

 気仙沼を訪れた先日、念願のネパール料理「Daal bhaat ダルバート」を食することができました。あちゃーるでも東京・小岩にあるネパール料理「サンサール」仕込みのスパイシーなダルバートに震災後力を入れています。

yeti_darburt.jpg

【Photo】気仙沼Yeti のダルバート

 ダール(Daal=挽き豆を使った香辛料スープ)、バート(Bhaat=インディカ米飯)が語源となるダルバートは、ダールとバートに加えて香辛料を多用するタルカーリ(Tarkaarii=野菜中心の副菜・カレーといったおかず)、アチャール(Acaar=大根などの漬物)をワンプレートに盛り付けたネパール伝統の家庭料理。

 Yeti ではディナー限定で登場するダルバート(1,700円)は、以下の組み合わせとなります(ランチタイムにダルバートを希望する場合は、AM11:00までにお店にTELのこと)。さらっとした食感のインディカ米と混ぜて頂く2種類のスープ風カレー2種。鶏肉が入った野菜たっぷりのネパールカレーと、レンズ豆・ヒヨコ豆・皮なし緑豆ムングダルの3種豆入りダルスープ。

   yeti_curry1.jpg yeti_curry2.jpg
【Photo】スープカレーのようなさらっとした食感が特徴のネパールのカレー。野菜たっぷりなチキンカレー(左写真) 豆を用いるダルスープ(右写真)はネパールでは馴染み深い料理。ネパール人は右手だけを使ってご飯とルーをせっせと混ぜながら食する

   yeti_talcurry2.jpg yeti_talcurry1.jpg

 おかずとなるTarkaariiタルカーリはホウレンソウのカレー炒め物・サーグ(左上写真)と、ジャガイモのマサラ風味炒め。つけ合わせはダイコンとトマトのネパール風スパイシーな漬け物アチャール2種(右上写真)。締めはシナモンが香る<ミルクティー(右下写真)

   yeti_samosa.jpg yeti_chai.jpg

debag&sunita.jpg 故国の味を忠実に再現したダルバートは、まさに珠玉の逸品でした。連れがオーダーしたインドカレーも、サモサ(左上写真)などを含めて被災前と比べて更にワンステージ上がった印象。ふっかふかのナンの美味しさも以前と変わりません。デバックさんいわく、5辛が自分たちのスタンダードな辛さであり、その辛さが伴わないと本当の美味しさは生まれないとのこと。エスニック系の辛い物好きの方は、ぜひそのウマ辛ぶりをご堪能下さい。

【Photo】本国の調理師免許を持ち、カトマンズの有名ホテル、ジ・エベレスト・ホテルで腕を磨いたデバッグ・ケーシー氏と奥様のスニータ・ケーシーさんがYetiの厨房を預かる

 ラーメンと並ぶニッポン人の国民食カレー。その発祥の地インド・ネパールのマザーフードに触れ、その目からウロコの美味しさにノックアウトされたければ、昼食はひかど食堂の味噌ラーメン、夕食はイエティでダルバートと、飛びきりな国民食のハシゴができる気仙沼へ今すぐGo!

***********************************************************************
ネパール・インド料理レストラン Yetiイエティ
住:宮城県気仙沼市田谷20-11
営:11:00~15:00 17:00~22:00
   月曜定休  P有り
Phone:0226-25-7096

   
大きな地図で見る

baner_decobanner.gif

Yetiインド料理 / 不動の沢駅南気仙沼駅

夜総合点★★★★★ 5.0
昼総合点★★★★ 4.5

コメント

残暑very,very,hotでやんす。
内偵情報をありがとうございました。かつて南気仙沼駅前には本当に純粋な食堂カレーがあったことを思い出しました。こりゃ、やっぱり、いかねばならないでしょう。もちろん仙台、駅東のカトマンドゥは行きつけの一つと斟酌するところでござんすが。

▼とのP様
残暑お見舞い、そしてコメント御礼申し上げます。
今回登場した気仙沼のYeti、私が担当している情報誌の11月発行号でも取り上げる予定です。(⇒仕事にかこつけてダルバートを食べに行くという不純な動機がないとは言い切れません(^o^;))
これまでのFacebookなどでのカレー関連ネタに対する喰いつきぶり、さらには駅東カトマンドゥへも出没されておいでとくれば、とのP様の前世は、ネパール・インド周辺在住、よもや捕獲されたYetiのご先祖だったのでは??

庄イタ管理人様、日々、お疲れ様です。
過分なお褒めの言葉ありがとうございました。
どちらかというと、体型的にみて、ガネーシャと巷では言われております。
会いたい人は、カレー番長。この前泉高森、つかさやに出現した際には視察中で、、、、とほほほほほ。
いずれにしても、更なる内偵情報、期待いたしております。

▼とのP様

東京カリ~番長については、食WEB研究所みやぎの「ご当地グルメ発見伝」でも前之園さんがレポされておいででしたね。
http://blog.kahoku.co.jp/shokuweb/logu/2010/08/post-44.html

それにしても思わず手を合わせたくなりました。
ガネーシャに合掌。
http://www.santabanta.com/photos/lord-ganesha/9101034.htm

管理人様、いやはや、我ながら本人に似てましたので、ちょいと赤面(#^.^#)
いずれにしましても、あるもん探しの旅、愛読者として、今後とも御指南くださいまし。

▼とのP様
ははーっ、引き続き東北各地にて日々クンクンと内偵を進め、これからも美味しいネタのタレこみに精進いたします。

Luglio 2018
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

archive.gif

Copyright © KAHOKU SHIMPO PUBLISHING CO.