あるもの探しの旅

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Riparazione del Lampadario Veneziano

インフルエンザで閉門蟄居の間に
DIYでムラーノグラスの修復

door_casa-ecching.jpg 年明け早々A型インフルエンザに罹患、先週火曜日から自宅謹慎のお沙汰が出た庄イタ。医者からタミフルを処方され、外部との接触を禁じられたなかで取り組んだのが、破損してずっと手つかずにいた家具2点の修復でした。

 ひとつは19世紀の英国製エッチングガラスを組み込んで、「K'sアンティーク」に作成したもらった屋内ドアのノブ。シリンダー内部の金属が摩耗して動きが悪くなっていたものを分解し、不良個所をDIYで直しました。ドアノブの作業はあっという間に終わりましたが、もう一つは難易度が高く、なかなか着手できずにいたムラーノグラス製シャンデリアの補修でした。

door_casa-knob.jpg【Photo】購入時は宮城県岩出山町にあったK'sアンティークで一目惚れした19世紀英国製エッチングガラス(上写真・画像クリックで拡大/click to enlarge。自宅を新築する際に購入したエッチングガラスドアとともにオーダーメードしたドアに組み込んで居間へ通じる屋内ドアに使った。新品だった真鍮製ドアノブ(左写真)は、表面のコーティング樹脂をヤスリで剥離し、薬品処理でアンティーク加工を施した。それから10年使っているうち、押し下げてドアを開ける際に上への戻りが悪くなってきたため、インフルエンザで外出を控えなければならない間にDIYで調整。ガラス越しに見える代用品の素っ気ない英国製シーリングライトが下がる位置が、今回取り上げるムラーノグラス製照明の定位置だった

 東日本大震災では震度6強の揺れに見舞われながら、落下を免れた居間を照らすシャンデリア。ともにラグーナを覆い尽くす濃霧の色あいのような淡い水色を帯びた軽やかなヴェネツィアン・グラスで作られたものです。なかでもお気に入りは、'96年にデッドストックもので購入した熟練の職人技がなせる繊細な造形の薄く軽い吹きガラスの5灯タイプ(下写真手前)。もうひとつは現在の住まいを新築した10年あまり前にインターネットで入手した5灯シャンデリア(下写真奥側)です。

lampadari-murani.jpg【Photo】ここは水の都ヴェネツィアのカナル・グランデに面したパラッツォ? いいえ、栄華を誇ったヴェネツィア共和国の憂愁を旋律に刻んだアルビノーニをBGMに、黄金の国ジパングの一角で前世イタリア人が夢想に耽る灯火 ・・・アホカ (゚c_゚`;)(上写真)

parts_lampadari.jpg ところがネットで購入した方は、8年目に石膏で固定されたアームと灯火部分の接続部分が1箇所外れてしまいました。落下しなかったのは、ガラス製アームの中は空洞で、中心軸から枝分かれした電線が通っており、ふたつのパーツが繋がっていたから。首の皮一枚に等しい危うい状況を放置するわけにもいかず、一般的な瞬間接着剤で修復を試みましたが、熱で変性するためか、すぐに取れてしまいます。

【Photo】シャンデリア修復前夜、各パーツをバラバラ状態にしたムラーノグラス(右上写真)
この夜NHKで放送された番組に登場した深海に生息する海洋生物、ないしは古典的SF映画に登場する宇宙人にソックリ?? 質量とも世界一のクラゲ展示を誇る鶴岡の加茂水族館の水槽にこの状態で沈めておいても、容易にはわかるまい( ̄ー ̄)

 そこでK'sアンティークと共に助言を仰いだのが、仙台市太白区秋保で創作活動を行うガラス工芸作家の鍋田尚男さん。手をかけてレストアした4台のヴィンテージものをこよなく愛するVespaフリークでもあり、ガラスの特性を知り尽くした鍋田さんは、耐熱性に優れ、ガラスに負荷がかかる硬化収縮度が少ない30分硬化タイプの化学反応型接着剤を勧めて下さいました。

   socket_lampadari.jpg cemedain30min.jpg 
【Photo】アームから外れた灯火部分のガラスが落下しなかったのは、熱で変性してヒビが入る危険な状態にあった樹脂製ソケットから伸びる電線でアームとかろうじて繋がっていたため(左写真) ガラス工芸作家の鍋田尚男さんから勧めて頂いたのは、硬化開始に30分を要する強力タイプのガラス・金属用接着剤(右写真)

 当然のこと5灯は同じ構造ゆえ、外れなかった残り4本も付け直しをした方が得策です。ホームセンターで入手した接着剤を使って修復に着手したのが、タミフルの薬効によって、ほぼ体調が戻った今日。しんしんと降り続く雪で、窓の外は白銀の世界。久しく抱えていた懸案を解決するにはもってこいの修理日和でした。

   centro_lampadari.jpg riparazione_ranmadari.jpg  
【Photo】ソケットに接続する金具の外周とガラスの内側を接着(左写真中心部分) 金具の外周とガラスの内側を接着後にアームと接続してビニールテープで固定し静置。イタリアの国民性が表れるためか、灯火部分の大きさやアームの高さがまちまち(笑)(右写真)

 アームと灯火部分のガラスを繋ぐ部分に忍ばせるのが、ソケットを取り付けるネジ山を切った直径8mmほどの金属製パーツ。上の大きな画像のように最終的には斜め下向きとなる灯火部分の受けとなる金具をネジ山に沿って通します。その金具の外周部分とガラスの内側を接着剤で固定するのです。もともとの樹脂製ソケットは、熱で劣化しており要交換のため、接着後の配線と一緒にK'sアンティークにお願いする段取りです。

 金具固定後は最大の山場となるアームと灯火部分の接続。接着面は大きくないので接着剤の良し悪しが勝敗を分けます。硬化が始まるまではビニールテープでガラスの部品同士を固定します。ただしムラーノガラスは吹きガラスで形作られるハンドメード。アームの受けの角度と吹きガラスの大きさはすべて均一ではありません。そのため接着面を最大にすると、灯火部分の反対側の支点部分の高さがすべて違ってくるのです。そこで活躍したのが、高さに合わせて横積みした雑誌。これで待つことしばし。

   joint_ranpadari.jpg finito_riparazione.jpg  
【Photo】アームと灯火部分の固定を完了させた状態(左写真) 修復にあたって最大の難関を越えた状態(右写真)。配線の上で遅くとも来月には天井に再装着する運び。これで居心地が良いベッラ・ヴィスタな部屋に戻る予定

 室温が低いと硬化に要する時間が長いので、仕上げに温風ヒーターの暖気が届く位置に静置して実用強度に達するまで待ちました。そうして5本の接着は無事終了。あとは配線を終えてから再び天井に取り付けをすれば元通りのヴェネツィアンな明かりが戻ってきます。光源は世の趨勢に従ってLEDにするか、ここだけは光が柔らかい白熱灯のままで通すか、答えはまだ出ていません。インフルエンザで転んでも、タダでは起きない雪の休日が明けると、病み上がりでナマった体を押して社会復帰です。

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