あるもの探しの旅

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2013/06/30

潮騒ダー

みんな一緒に~ 「イチ,ニー,サン,シオサイ・ダー!!
海の男のサイダーはちょっぴり塩辛かった

shiosai_da1.jpg 海岸段丘の切り立った断崖が続き、このほど三陸復興国立公園に指定された北三陸では、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」に登場する「潮騒のメモリーズ」ことアキちゃん&ユイちゃんが歌う「潮騒のメモリー」で盛り上がりを見せている昨今。同国立公園の南端にあたる南三陸・気仙沼から新登場したこの夏オススメの海塩入りサイダー「潮騒ダー」にちなんだアントニオ猪木風コールにご唱和いただけたでしょうか?

【Photo】この夏、南三陸でブレイクしそうな「潮騒ダー」。そのラベルに描かれるのは、昇る朝日を背景にカツオが威勢よく跳ねる荒ぶる海。そして大漁と書かれた赤フン一丁の姿で腕組みをして仁王立ちする海の男。そんな彼が口にくわえるのが「潮騒ダー」。良い子はこんなワイルドな飲み方をしてはイケマセン

 相当にひねりの効いたネーミングとラベルが目を引くこのサイダーは、気仙沼市松川にある牛乳販売店「千葉一商事」の千葉清英さん(43)が、仙台市宮城野区の「トレボン食品」に製造を委託した新商品。シュワシュワの泡と、昭和を思い起こさせる懐かしいサイダー風味に、熱中症予防にピッタリな塩味がしっかりと加わっている点がミソ。そこに使われているのが、大潮ともなると高さ10m以上まで岩場から海水をクジラのごとく吹き上げる「潮吹き岩」で知られる観光地、気仙沼市階上(はしかみ)の岩井崎で採取した海水をろ過して作った海塩です。では何故に岩井崎の塩なのか?

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【Photo】気仙沼市観光キャラクター「ホヤぼーや」が、ギフト用途に震災の記憶を書き記せるスペースがとられた潮騒ダーのラベル

 東日本大震災で愛妻・幼い二人の娘・義父母と義妹らを揃って亡くした千葉さんは、昨年9月11日付河北新報朝刊の連載企画「これから-大震災を生きる」に、唯一無事だった息子の瑛太君とともに紹介されています。同年8月26日付の河北「3.11記憶 あなたを忘れない」では、気仙沼市階上観光協会による岩井崎での塩作り復活に向けた取り組みがスタートしたことが報じられました。この連載は、震災で犠牲となった市井の人々の足跡を偲び、生きた証を語り継ぐのが目的です。

 藩制時代には仙台藩の御塩場(おしおば)として、今回の震災で全壊した気仙沼向洋高校が建つ場所で入浜式製塩が行われていた階上。1896年(明治29)に発生した明治三陸大津波で御塩場が壊滅して以降、塩作りの伝統は久しく途絶えます。文献をもとに薪と平釜による伝統的な塩造り復活に取り組んだのが、同市波路上上明戸の遠藤伊勢治郎さんLink to Website。納得のゆく出来栄えが得られた2005年、「伊勢治郎こだわりの塩」として製品化にこぎつけるも今回の津波で帰らぬ人となりました。享年81歳。

iwaisaki_1.jpg【Photo】大津波に堪えて残った第9代横綱秀ノ山像と龍の被災松のシルエットが夕陽に浮かび上がる

seien_iwaisaki.jpg 東京目黒の名物催事「目黒のさんま祭」で提供されるサンマ5,000尾分の振り塩や、地元の菓子舗サイトウの「しぶきの舞」などに広く使われたのは、定年退職後にゼロから始めた遠藤さんの塩作りにかける情熱とたゆまぬ努力が編み出した柔らかな塩味が好評を博したがゆえ。伊勢治郎名人の遺志を継いだ観光協会の有志が伝統を絶やしてはならないと、県やNPOなどの助成を受け、レンガ造りの製塩体験施設がボランティアの協力のもとログハウス併設で整備されたのが昨年11月。

【Photo】2011年11月、岩井崎伝統の塩づくり復活の狼煙(のろし)を上げたレンガ造りの製塩施設

 人力で汲み上げた海水500kgを薪で煮詰めること丸5日。平釜からはおよそ10kgの海塩「岩井崎の塩」が得られます。天日干しをするなど、文字通り手塩をかけて塩作りをしていた遠藤さんが行っていた塩づくり体験学習も復活しています。そこは風光明媚な海原に面して銅像が立つ郷里出身の第9代横綱秀ノ山や、昇り龍のごとき形状で残った被災松のすぐ近く。

iwaisaki_2.jpg【Photo】海と共に生きる町・気仙沼。「けせもい」の不屈の気概を示すかのように、今にも海に向けて動き出しそうな龍の被災松

 「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」は6月末をもって幕を閉じました。荒砥沢ダム付近で山体崩落が発生し、祭畤(まつるべ)大橋が落橋、17名が犠牲となった震度6強の大地震があったことが、ともすると忘れられがちな「平成20年 岩手・宮城内陸地震」の発生から5年を経た今も客足が途絶えたままの栗駒山周辺を含め、復旧途上にある被災地を、これから先も応援してゆかねばなりません。今年の夏は潮騒に誘われて海の幸の宝庫・南三陸や栗駒周辺を訪れてみてはいかがでしょう。旅のお伴は潮騒ダーで決まり!!ですね。

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◆潮騒ダー
 340mℓ 復興祈願価格230円
 問:トレボン食品お客様相談室
 Phone:022-256-4137

◆岩井崎 塩づくり体験学習
 問:気仙沼市階上観光協会 
 Phone:0226-27-5410


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2013/06/25

水が合うハナシ

力水@湯沢 vs 神泉の水@遊佐

 
 食べ物・飲み物ではなく、湧水に関するトピックスが続いて恐縮ですが、カテゴリーのタイトルにある通り"水はすべての始まり"です。出張先の旧久保田藩(秋田藩)で、栗駒水系の伏流水と出合うも、結局は旧庄内藩領内で鳥海水系の湧水の類い稀な魅力を再認識した次第。

kurikoma_buna.jpg【Photo】岩手・秋田・宮城の3県にまたがる栗駒山(1627m)秋田県側の標高1000m付近。6月上旬とはいえ直射日光が射さない斜面には雪が例年以上に多く残る。幾層にもなったブナの腐葉土は保水力が高く、地中へと浸透してゆく。ブナの森は豊富な伏流水の供給源でもある

 出張で秋田県南部の湯沢市稲庭を訪れた先日、次なる目的地にかほ市へ車で移動する道すがら、湯沢市古館山にある名水百選「力水」に立ち寄りました。鎌倉期に小野寺氏が古館山の頂きに築いた湯沢城は、関ヶ原の合戦以降、佐竹南家の三代目佐竹義種の居城となるも、1620年(元和6)の一国一城令により廃城となりました。現在は散策コースとして整備された古館山の一角が中央公園となり、市民憩いの場となっています。酒処・秋田だけあって人口24,000人弱の湯沢市街地には、爛漫で知られる秋田銘醸の大きな醸造所のほか、大小7軒の造り酒屋が点在しています。

fukukomachi_yuzawa.jpg 欧州最大かつ国際的に最も権威ある酒類評価会とされるインターナショナル・ワイン・チャレンジSAKE部門の金賞受賞酒「純米大吟醸 雪月花」を醸す両関酒造、同鑑評会出品292蔵元689銘柄の最高峰「Champion Sake チャンピオン・サケ」に昨年度輝いた「大吟醸 福小町」や「角右衛門」銘柄などを展開する木村酒造など、栗駒山系の豊富な水資源を活かした酒造りが行われています。

【Photo】秋田湯沢・木村酒造の福小町(右写真)。馥郁としたコメの旨味と酸味が醸し出す綺麗な造りの純米吟醸(左)、山田錦を精米率40%まで磨き、伝統の寒造りで頂点を極めたチャンピオン・サケ大吟醸(右)

chikara_mizu1.jpg【Photo】古館山を居城とした佐竹南家の御用水として使われた力水は、緑豊かな山裾に今もこんこんと湧き出す(左写真)

 名水百選・力水の標柱が建つ山裾の水場からは二筋の清らかな伏流水が湧き出ており、そこが水汲み場として整備されています。手入れが行き届いた水場の入口には「飲むと力が出る」という力水の由来を記した石碑があり、それによるとこの水は佐竹南家の御膳水として用いられ、殿様はこの水を「体に力がつく」と好んで愛用したのだとか。されば鳥海高原を越え、日本海に面するにかほ市まで移動後、仙台へと日帰りする力を得ようと飲んでみました。

 力水は年間を通して水温12℃前後、硬度約39、pH8.2の中性の軟水です。毎分およそ20ℓの湧出量がありましたが、次第にその量が減少しているとのこと。きりっと冷えた力水は、その名の通りロングドライブで疲弊した交感神経を覚醒させるのでした。

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 佐竹南家の屋敷跡に建っていた小学校では、飲用水として用いたこの水を「おしず(=清水)さん」と呼び、水温10~15℃の湧水でしか棲息できない淡水魚イバラトミヨを飼っていたのだといいます。力水を水源とする池には日本各地で生息数が激減するモリアオガエルも棲息していたといいますから、よほど自然豊かな環境だったのでしょう。

 佐竹の殿様が愛でた力水で元気回復、西馬内盆踊りで有名な羽後町から矢島街道と鳥海高原を経て、最終目的地にかほ市役所に駆け込んだのは17時をわずかばかり過ぎた頃でした。打ち合わせを終え、そこから仙台に戻るには、酒田みなとICから山形自動車道を使うのが時間的には最も早いルートとなります。その経路となるR7の遊佐町女鹿には、Viaggio al Mondo~あるもん探しの旅~で幾度か登場した湧水ポイントがあります。そう、女鹿集落のシンボルともいえる「神泉の水(かみこのみず)」です。

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 「水が合う、水が合わない」という言い回しがあります。あわただしく出張帰りに寄ったこの日、つくづくその言葉を実感しました。口あたりが極めて柔らかいだけでなく、飲み込んだ水がすぅ~っとカラダに浸み込んでゆく独特の感覚を体感できる稀有な湧水が神泉の水なのです。そのため、庄内系にメタモルフォーゼした10年前に初めてここを訪れて以来、神泉の水は過剰な塩分を含むスポーツドリンク類よりも遥かにスムーズに最もカラダに同化し、しっくりと馴染む水として私の中では最上位に君臨する水であり続けています。

【Photo】地区の暮らしとともにある遊佐町女鹿「神泉の水」

 熱帯に匹敵する年間降水量がある鳥海山周辺には、湧水ポイントが数多く存在しています。火山性土壌の影響で酸性度が高く飲用に適さない北側の湧水を除き、そのいずれもが庄内きっての美味しい伏流水ばかり。これまでViaggio al Mondoに登場しただけでも、牛渡川Link to backnumber、釜磯Link to backnumberゆりんこ・湯ノ澤霊泉Link to backnumber、胴腹滝Link to backnumber、さんゆう・鳥海三神の水同左etc ・・・。

 仙台に帰着するまで150km以上の距離を残し、すでに400kmを走破していたこの日。飲み込んだ神泉の水は、特異な浸透圧を備えた分子構造なのか、体感的には胃壁からたちまちにして体と同化してゆきます。その独特な感覚はこの湧水特有のもの。力水が交感神経を活性化させるムチ入れの水ならば、神泉の水は緊張が解き放たれカタルシスが得られる水。いわば副交感神経のスイッチが入る癒しの水。

kamiko_mizu-3.jpg【Photo】できることなら仙台の自宅まで誘引したいくらいの(笑)塩ビ製のパイプから直接水が注ぐ最上段が飲用。とりわけそこは汚さぬように気をつけたい

 夕刻を迎え、鍋やペットボトルを手に地区の人たちが水を汲んでは持ち帰ってゆきます。佐竹南家の殿様が愛飲した力水も間違いなく美味しい伏流水ですが、神泉の水ほど速やかにナノレベルの細胞にまで水が浸透してはゆきません。それほど水が合う庄内系にとっては奇跡の水である神泉の水は、集落から離れた上手の湧出地点から水場へと引かれています。不動尊が見守る水場は、女鹿の人々が大切に伝えてきたもの。

 6段に分かれた神泉の水は用途がそれぞれ決まっています。最上部は水汲み用、次が食べ物の冷却保存用、3・4段目が食品の洗浄、次が生活用具の洗浄、最下段がおむつ洗い。水場の周囲は人家なので、車は路肩に停車させアイドリングストップ。水場を守る地元の方優先です。


より大きな地図で 栗駒水系「力水」 vs 鳥海水系「神泉の水」 を表示

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2013/06/09

水無月の森の湧水@川崎町ブドウ沢

緑したたる「ブドウ沢清水」 
  蔵王水系の湧水を訪ねて【中級編】

 二口渓谷「磐司の湧水」を芽吹きの季節に訪れた前回レポートに次ぐ今回は、同じく北蔵王山系の雁戸山(がんどさん)山麓の小屋ノ沢林道沿いにある湧水を今月初旬に訪れた探訪記です。タイトルに中級編とあるのは、初級編と銘打った前回よりもアプローチしにくい湧水ポイントであることを意味します。よってランボルギーニやフェラーリは当然のこと、車高の低いヤンキー仕様車やオンロードバイクでは今回ご紹介する「ブドウ沢清水」へは到達不能であることを最初に申し上げておきます。

budosawa_S1.jpg【Photo】R286から「新東北笹谷渓流つり」の看板を目印に小屋ノ沢林道の方向へ。橋の入口には「北蔵王登山道案内図」があるので、あらかじめブドウ沢清水の位置を確認しておきたい

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【Photo】Y字の橋を渡ると、左手に養魚場があり、すぐにこの分岐がある。そこは新東北笹谷渓流つりの立て看板のある左方向へ(上写真) 杉木立の間を進むダート道を進み、1kmほどで右手の斜面から水が湧き出している。沢水ではなさそうなので、飲用できそうだが??(下写真)

budosawa_3.jpg 宮城県柴田郡川崎町から山形方向にR286笹谷街道を進むと、「新東北渓流つり」の看板が左手に見えてきます。今回の湧水への経路となる「小屋の沢林道」の入口は、並走する山形自動車道古関PAを過ぎたあたり。山形方向からは、辛味噌ラーメンでお馴染みの「天狗山」の系列店「ラーメン渓流」を通過し、カーブの先すぐ右手に入口があります。いずれの方向から入ってもY字の橋を奥へ進み、最初の分岐を左方向に直進すると、間もなく舗装路は途切れます。R286から脇道のダートに入って1.3kmほどの山肌から塩ビパイプが引かれ水が流れ出ていますが、飲用に適するかどうか不明につき、スルーしました。

budosawa_4.jpg【Photo】謎の流水から600mほど進むと視界が急に開け、植林された杉木立に「キリンビール水源の森」の看板が立っている(上写真)。その分岐点は進入禁止の左方向にではなく、砂利道を迷わず直進。やがて新東北笹谷渓流つりの巨大な看板が登場(下写真)
 budosawa_5.jpg およそ300m先には「新東北笹谷渓流つり」の大きな看板が立っています。右手に牧草地があるそこから先は、さらに凹凸の激しい悪路となるため、路面を常に注視し、速度を落として慎重なハンドル操作が求められます。

 左手を流れる小屋ノ沢(別名「金山川」)の瀬音は耳に届きますが、崖下の流れを目にすることはできません。植林された杉林が途切れると、鬱蒼とした広葉樹林帯となります。途中むき出しの岩肌が今にも崩れそうな箇所があり、そこには転落防止のガードレールなどないので、注意して進みましょう。

budosawa_11.jpg【Photo】悪路を進むこと4.7km。マイナスイオンたっぷりの沢沿いにブドウ沢清水は突如として現れる

budosawa_14.jpg 新東北笹谷渓流つりの看板を過ぎて悪路を進むこと更に2.5km。山形県境となる南雁戸山(1486m)南面の八方平付近から流れるブドウ沢に架かる「葡萄沢橋」手前の右手のブナの森の山肌から、今回目指す「ブドウ沢清水」は湧き出しています。岩から浸み出た湧水は、塩ビパイプから2筋、苔むした石盆からも勢いよく流れ出しています。その手前には間伐材でのり面を保護された箇所があり、そこからも地下水が滲み出しているので、付近一帯に地下水脈があるのでしょう。そこは川崎町が建てた標柱があるので一目瞭然です。

budosawa_12.jpg【Photo】人の手が及ばないブナの原生林に囲まれたブドウ沢清水。付近の深山はクマ出没注意の領域につきご用心を(上写真) 岩肌から清らかな伏流水が流れ落ち、塩化ビニール製のパイプと石盆から水を汲みやすいよう整備されている(下写真)

budosawa_10.jpg 川崎町が過去に実施した水質検査では、水道用水源では3mg/ℓ以下とされる水のきれいさを示す指標のひとつ、化学的酸素要求量(COD)は1mg/ℓ。pH7.2の中性から弱アルカリ性、硬度12mg/ℓの超軟水であることがわかっています。周囲に人工的な施設がないことから大腸菌類は検出されていません。大好きなブドウ発酵液(=Vino\(^-^*))と比べるべくもありませんが(笑)、岩肌から流れ出るブドウ沢清水は、クリスタルガラスのようにひんやり爽快なもの。硬度からして、蔵王の急峻な山塊で滞留する時間は長いものではないでしょう。口に含んだ印象は、遊佐町の名水として名高い「胴腹滝」左側の伏流水に近い味でした。

 蔵王水系の湧水を訪ねて【初級編】【中級編】と続いた以上、続編があるかも。(と、思わせぶりに締めくくってみる)

     
より大きな地図で 宮城蔵王周辺の湧水マップ を表示
 

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