あるもの探しの旅

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庄内系イタリア人的青森〈前編〉

燃え立つ夏2013@青森 Part1:南部編

hachinohe_sanjya2013.jpg 標高2000mのチロリアンアルプスに広がる楽園「アルペ・ディ・シウジ」や、古代ギリシャ・ローマ時代の遺構とグランブルーの海が美しいコントラストを描く南イタリアでのヴァカンツァは今年もお預けの庄イタ。里帰りを封印して目指した本州最北端の青森には、彼の地に生まれ、ねぶたを愛した棟方志功が板画に刻んだ情念のように熱く、生命力に溢れ、そして美味しい夏が待っていました。

【Photo】波をかき分ける千石船の波山車や中南米に見られるウルトラバロックのごとき過剰なまでの装飾を凝らした山車27台と神輿行列、神楽、虎舞などが次々と目抜き通りに繰り出し、一大スペクタクルを繰り広げる「八戸三社大祭」お還(かえ)り。高さ10mにもなる仕掛けが展開すると、沿道からはやんやの歓声click to enlarge

tachinebuta_2012.jpg 訪れたのは、極彩色の仕掛け人形山車と時代行列、厄祓いの一斉歯打ちが見どころの法霊神楽、ユーモラスな虎舞などが繰り出す重要無形民俗文化財「八戸三社大祭」、さらには「ヤッテマレ、ヤッテマレ」の掛け声に乗って、電柱よりはるかに大きい高さ23mの巨大な山車ねぶたが五所川原市街地を巡行する「立佞武多(たちねぷた)」。本州最北の青森各地は、8月の到来とともに熱く激しく燃え盛ります。

【Photo】平安の陰陽師、安倍晴明を題材にした今年の新作「陰陽 梵珠北斗星」よりは、東日本大震災発生前日に「立佞武多の館」で見て以来となった「義経伝説・龍馬渡海」の憤怒の形相や、迫力満点の昨年の新作「復興祈願・鹿嶋大明神と地震鯰」が個人的には好みclick to enlarge

michi_kaiihigashiyama.jpg この八戸と五所川原で開催される二つの夏祭りと、夏の味覚を求め、今月初旬青森を旅しました。今年5月、三陸復興国立公園に指定された種差海岸では、1940年に初めてそこを訪れた若き日の故・東山魁夷が描いたスケッチをもとに1950年に発表した名作「道」のモデルとなった海沿いの場所を訪ねました。波打ち際まで続く天然芝生地や鳴き砂で知られる大須賀浜など、恐らくは70年前とさほど変わらぬ風景がそこにはありました。戦後の復興期にあって人々の共感を呼んだ清々しい夏の早朝の道を描いた作品が生まれた地に、画家と同じ目線で立てたことは望外の幸せであり、心からの感動を覚えたのでした。

【Photo】大須賀浜沿いに延びる道を北へ進むと、見覚えのある風景が眼前に現れる。戦後の日本画壇で一躍注目を浴びる契機となった東山魁夷の出世作「道」の記念標柱が道沿いに立つ。この場所を訪れた新進気鋭の若き画家は、放牧される馬や地平線正面にある鮫角灯台などを省略し、潤いある一筋の道だけを描こうと今も残る大平牧場に泊まりがけで完成させたという。9月1日(日)まで青森県立美術館で開催中の三陸復興国立公園指定記念「種差 よみがえれ浜の記憶」でこの名作と出逢える

 昼食は予約していた八戸のイタリアン「Casa del Cibo カーサ・デル・チーボ」へ。これまで訪れた青森イタリアンは、それぞれに地域性や個性があっていずれもハイレベル。食材の宝庫・東北では最も粒が揃っていると庄イタは思っています。今回お邪魔したこちらの店のオーナーである池見シェフは、惜しまれつつ3年前の12月末をもって閉店した名店「エノテカ・ピンキオーリ銀座店」にも籍を置いたと聞けば、いやが上にも期待が高まるというもの。昼に伺った今回は初訪店ということで、3つのランチコースの中でプリモとセコンドが選べるプリフィックスのBコース(2,800円)をお願いしました。

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【Photo】下北産天然ホタテ、グリーンオリーブとズッキーニのタルターラ、ボッタルガ・ムジーネがけ(左) 八戸産エゾバフンウニとフレッシュトマトの冷製スパゲッティーニ(右)

 5つの選択肢から選べるアンティパスト。「下北産天然ホタテ、グリーンオリーブとズッキーニのタルターラ、ボッタルガ・ムジーネがけ」(+300円)は、半生に仕立てた鮮度抜群の下北半島産天然ホタテの甘味と、クリーミーなペースト状になった夏野菜が見事に調和した一皿。ボラのカラスミが風味に幅を生み、抑制の利いたピンクペッパーが香りの変化を生みます。同行した家族の注文品「活真ダコの厚切り冷しゃぶとテリーナ ドライトマトソース」と「ピオトジーニ社製パルマハム、ルーコラ・セルバティコ、パルミジャーノ・レッジャーノのピアディーナ」ら3品ではピカ一。

casa_cibo5.jpg【Photo】和牛頬肉のグーラッシュ(トマト・パプリカの煮込み)トレンティーノ=アルト・アディジェ風、カネデルリとポレンタ添え

 プリモは夏の人気定番メニューだという「八戸産エゾバフンウニとフレッシュトマトの冷製スパゲッティーニ」(+300円)。八戸周辺の潮汁料理「いちご煮」でも使われる濃厚な味が特徴のエゾバフンウニでも、ロシア産ではなく東北以北の寒流域で育った国内産は高級品です。鮮度の良い地物の生ウニとフレッシュトマトクリームを、細めのスパゲッティーニと和えたスペチャリテ。ひんやり・ツルツル・シコシコの食感はクセになりそう。盛りがお上品なので、すぐ食べ終えてしまうことが玉にキズ(笑)。

 セコンドは「和牛頬肉のグーラッシュ(トマト・パプリカ煮込み)トレンティーノ=アルト・アディジェ風、カネデルリとポレンタ添え」。これぞアルト・アディジェ料理!!と唸らせる深みのある牛肉にハンガリー風のパプリカとトマトの旨味が加わったホッとする優しい味付け。前回アップしたサン・ミケーレ・アッピアーノ講習試飲会で登場したサンクト・ヴァレンティン・カベルネ・ソーヴィニョンと完璧な相性を見せるでしょう。

 付け合せは北イタリアではポピュラーなポレンタとカネデルリ。南ドイツ・バイエルン地方やオーストリアの「Knödelクヌーデル」は、牛レバーのすり身を使う肉団子ですが、イタリア北西部ではパン生地を丸めたニョッキのような「Canederliカネデルリ」と変化します。味付けが重くなりがちなドイツやオーストリアの煮込み料理とは違い、軽やかでもコクのある絶妙のバランスは、味にうるさいイタリアならでは。こうして庄イタ流"また行きたい店リスト"イタリアンカテゴリーで、青森では4番目に新規登録を果たしたカーサ・デル・チーボを後にしました。

1er_renshuki.jpg 八戸から移動した三沢では、青森県立三沢航空科学館を見学しました。そこで2年前に公開された映画「連合艦隊司令長官山本五十六」で実際に使われた零式艦上戦闘機二十二型復元機と共に展示されていたのが、昨年9月、十和田湖の湖底から69年ぶりに引き揚げられた旧日本陸軍「一式双発高等練習機」。能代から八戸までの訓練飛行中、エンジントラブルで十和田湖に不時着したという機体です。乗員4名のうち3名が犠牲となったという色褪せた銀色の機体には、くっきりと日の丸が。

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 軍属230万人・一般市民80万人が尊い命を失った太平洋戦争の終結から68年。今年も8月が巡ってきました。日本全体で8割を占める私たち戦争を知らない世代は、平和な世の中がさも当たり前であるかのように思っています。時の経過による腐食が進みながらも原型を留めた機体は、それが多くの犠牲の上にあるのだという史実を思い起こさせてくれました。

 石窯焼本格ナポリピッツァの店「ピッツェリア・マッシモ」訪問も、必須のミッションです。店が入居する複合施設「スカイプラザミサワ」は、三沢駐留の米軍基地正面ゲート正前にあります。軍払い下げのミリタリーグッズやアメリカンサイズな米国製品などを扱う店が入居する同施設1Fにあるピッツェリア・マッシモは、多くの客で賑わっていました。テーブル席は一杯とのことで通されたカウンター席と背中合わせのテーブルにはネイティブ・アメリカン男女4人連れ。これも基地の町ならではでしょう。

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 赤のタイルモザイクで装飾された石窯は、ナポリの石窯工房Stefano Ferrara ステファーノ・フェッラーラにオーダーメードしたもの。気取らないナポリの下町にありそうな雰囲気の中、庄イタが注文したのは「マリナーラ」(600円)。ナポリピッツァの生命である生地の味を知るには、ナポリ伝統のピッツァであるマリナーラが一番。プロの料理人からの信頼が厚い六戸町にある「大西ハーブ園」の野性味溢れる香り高い「ルッコラ・セルバティコのインサラータ」(450円)も追加です。連れの家人は手堅く「マルゲリータ」(650円)を、肉食系の娘は、「ラニチキン」(半身・700円)と「グリーンサラダ」(280円)を所望。飲み物はジンジャエールで決まりです。

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 炭火焼ラニチキンは、鶏一羽の半身ゆえ、娘1人では持て余す結構なボリュームなのでした。ケージ飼いのブロイラーのごとき体型で山盛りのラニチキン(一羽・1300円)にコーラ片手にかぶりつく共喰いさながらのネイティブの姿にゲンナリしながら、「ええい、ままよ!!」とアメリカンサイズの肉塊を手づかみで助太刀喰いし完食。ハワイ・ホノルル生まれの屋台料理「フリフリチキン(別名:バーベキューチキン)」の味を再現したスパイシーでジューシーな照り焼きチキンは初体験でしたが、ホノルル出身のスリムなオバマ大統領もお好きなのでしょうか?

 翌朝、日本初の近代洋式牧場を三沢の荒野に切り開いた旧会津藩士、廣澤安任(ひろさわやすとう)の功績を軸に斗南藩開墾の歴史を紹介する「斗南藩記念観光村」内の先人記念館で会津の歴史に触れ、八甲田を越えて青森市に移動しました。2泊3日の行程のうち、八戸・三沢の旧南部藩エリアに関するレポートはここまで。次回あるもん探しの旅は津軽編へと続きます。

To be continued ...

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イタリア料理 Casa del Cibo カーサ・デル・チーボ
  住:青森県八戸市湊高台1-19-6
  Phone:0178-20-9646
  営: 11:30-13:30(L.O.) 18:00-20:30(L.O.)
     日曜・毎月第2月曜定休
  URL: http://www.casa-del-cibo.com/index.html

石窯薪焼き本格ナポリピッツァ Pizzeria Massimo ピッツェリア・マッシモ
  住:青森県三沢市中央町2-8-34 スカイプラザミサワ 1F
  Phone:0176-51-7270
  営:月~土/11:00-21:00(14:00-16:00はピッツァお休みのカフェタイム)
     日・祝/11:00-20:00(15:00-16:00はピッツァお休みのカフェタイム)
     火曜定休
  URL: http://beresford.co.jp/pizzeriamassimo/shopinfo.html
      (上記URLに記載のビル名「MGプラザ」は旧名称)


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