あるもの探しの旅

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2013/09/16

心和む「かかしの里」@鯵ヶ沢

庄内系イタリア人的青森〈番外編〉
かかしの里 @ 鰺ヶ沢町中村

wasao_s2013.9.jpg【Photo】「元気になりました」by わさお (クリックで拡大)

 8月上旬、青森県西津軽郡鯵ヶ沢町を訪れた際、違うワンコがいるのかと思うほどの変貌ぶりに気をもませたブサカワ犬「わさお」。かつてのフサフサの毛並みが元通りに戻った近況にホッと胸をなでおろしている庄イタです。

 わさおが愛嬌を振りまく菊谷商店と並んで、鰺ヶ沢で思わず足を止めたくなるスポットがあります。前編後編の2回に分けてレポートした「庄内系イタリア人的青森」の番外編として、鰺ヶ沢町中村地区に期間限定で出現する「かかしロード」を今回ご紹介します。

kakashi0_nakamura.jpg【Photo】JR五能線と平行して走るR101は、鯵ヶ沢町舞戸で鯵ヶ沢街道と交差する。そこを岩木山方面に2kmほど南下、視界が開けた水田地帯が中村地区(上写真)。8月初旬から9月中旬に出現する「かかしロード」では、カワイイ巨大かかしが仲良く並んでお出迎え(下写真2点)

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 「かかしの里」こと中村地区は、今年ユネスコ世界自然遺産指定20周年を迎えた白神山地北側の山あいに開けた緑豊かな田園地帯。白神の森林地帯が源流となる清流中村川が南北を貫きます。流域の水田では、青森生まれのコメ「つがるロマン」が、頭を垂れ黄金色に色付き始めた稲穂が刈り入れの時を待っていました。8月末に東北の日本海側を襲った豪雨では中村川が警戒水位を越えて避難勧告が出る一幕もありましたが、稔りの季節を迎えた鯵ヶ沢でも稲刈りが始まりました。

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 小兵ならではの軽快な動きで意表をつく技を多彩に繰り出したことから、「平成の牛若丸」の異名をとった元関取・舞の海の出身地が、鯵ヶ沢町舞戸。そこから鰺ヶ沢街道を嶽温泉方向に2kmほど進むと、実は身長170cmに満たなかった舞の海が、3人がかりでやっと肩を並べる大きさ5mもあるジャンボかかしが出迎えてくれます。

 かかしロードの入口と出口それぞれの両端に2体が並んで立っているので、見過ごすことはないでしょう。かかしロードは、地元の地域おこし団体「せせらぎ中村委員会」が、2002年(平成14)に中村地区町内会連合会と共同で始めた取り組みです。かかしを出品できるのは、鰺ヶ沢町在住の個人・団体。

kakashi3_nakamura.jpg【Photo】岩木山(写真奥)方面へと向かう鯵ヶ沢街道の側道沿いにズラリと整列した56体のかかし。手前の「チカン、ダメ ゼッタイ許さないにゃん♡」は鰺ヶ沢町域学連携事業で8月に鯵ケ沢に滞在した麻布大学、「ミス法政」と「ふらっと来たよ鯵ヶ沢・一人ねぶた祭りらっせらー」は法政大学の学生によるもの

 今年は総務省が推進する「域学連携事業」の一環で、高齢化が進む地域に都市部の大学生を招いて交流を図る鰺ヶ沢町域学連携事業(通称:あじがく)で鯵ケ沢に滞在した法政大や麻布大の学生が中村地区の住民から手ほどきを受けて作成したかかしも華を添えました。

kakashi6_nakamura.jpg【Photo】かかしロードのかかしはどれも個性豊か。車が往来する鯵ヶ沢街道ではなく、側道側を向いて立っているので、田んぼに沿ってのんびりと散策しながら鑑賞できる(上写真2点)。今年の出品作から、"アベのミクス"のタスキが秀逸な「安倍首相・林対談 日本を変えるの今でしょ!」(左下)、NHK大河ドラマと朝の連続テレビ小説の顔「八重の桜」、「じぇじぇじぇ!!ウニだべー」(右下)。アキちゃんが手にしたウニのじぇじぇじぇな正体はなんとっ!!(Photoクリックで拡大)

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 この催しは、山形県上山市で9月14日(土)に開幕した「かみのやま温泉全国かかし祭」のように、頂点のグランプリを目指すコンテストを実施して優劣を競うのではありません。8月初旬から稲刈りを控えた9月中旬までの間、地域おこしと五穀豊穣、安全祈願を目的に、町民手作りのかかしが展示されます。過去のかかしロードの模様はコチラ

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【Photo】今年の出品作から、鳥獣の食害抑止効果が最も薄いと思われるかかし2点。お孫さんが生まれた(?)まんじの嫁作「こんにちは赤ちゃん私がバァバァよ」(左上)、昨年かかしとは呼び難い東京スカイツリーを出品したグループホーム百沢ハウスは、今年も関東地方をテーマに船橋市非公認キャラクター「ふなっしー」(右上)を出品(Photoクリックで拡大)

 本来は鳥獣の食害からコメなどの農作物を守る役目のかかしが、安全運転の啓発や地域の話題づくりなど、本来の職責を離れて道沿いなどに立つ例は、全国各地で見られるようです。秋保温泉へと向かう仙台市太白区生出地区のR286沿いでは、9月7日(土)から月内いっぱい交通安全協会の主催で「生出かかしまつり」が開催されています。気仙沼市の内陸部では、赤岩迎前田地区にある産直「いろどり」が住民に呼びかけて50体ほどのかかしを作成、来月半ばまで路肩に立ち続けます。

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【Photo】今年の出品作から、ビジュアル系かかし2点。美輪明宏にうり二つの「美輪明弘」(⇒誰?)は中村婦人学級の作品(左上)。別れた女性を忘れることができない匿名の男性が出品したと思しきベストドレッサーものの「乙女像」(右上)には未練タラタラの切ないポエムが....。(Photoクリックで拡大)

 嶽温泉を発って初めて中村地区を通りかかった時、保母さんに引率された保育所の子どもたちが、お揃いの黄色い帽子姿でユーモアたっぷりのかかしを眺めているところでした。心和むその光景につられ、思わず車を停めました。

 子どもたちは、かかしを前に瞳を輝かせて歓声を上げています。それもそのはず、ずらりと並んだかかしの中には、今年のご当地キャラコンテストで優勝した「ふなっしー」、ゆるキャラグランプリ2011王者「くまモン」、ディズニー映画「モンスターズインク」に登場した一つ目モンスター「マイク・ワゾウスキ」、女性お笑い芸人「キンタロー。」など、子ども受けの良さそうな作品も含まれます。

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【Photo】今年の出品作から、やっぱり外せないNHK朝ドラ「あまちゃん」系かかし2点。「ウニ、とったぞぉ\('jjj')」と手にしたタワシを掲げる「あまりん」は、海女としてはまだまだ甘ちゃん(左上) キョンキョンが社長を務める芸能プロダクション、スリーJプロダクションのマネージャー「水口琢磨」(右上)は、似ているような、似ていないような(Photoクリックで拡大)

 出品されるかかしは、年ごとに時の人や話題のキャラクターをテーマとしており、街道と田んぼの間に伸びる側道沿いに今年は56体が出品されています。かかしは車が往来する鰺ヶ沢街道ではなく、田んぼに向かって側道の方を向いて立っているので、路肩に車を停めて歩きながらじっくりと鑑賞できます。

 500体を越えるかかしが出品され、温泉地を挙げての観光行事として、1971年(昭和46)から市民公園を会場に手入れの行き届いた芝生上で繰り広げられる全国かかし祭。かかしに対してなんと内閣総理大臣賞(!!)まで奮発される一大イベントは、それなりに楽しめるでしょう。しかーし、作り手が楽しみながら作っていることが手に取るように伝わるかかしが、のどかな田園風景に溶け込む中村のかかしロードが醸し出すほのぼのとした雰囲気に、より心惹かれた庄イタなのでした。

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【Photo】今年の出品作から、甲乙つけがたい秀作2点はいずれもデイサービス施設の作品。デイサービスセンターつくし荘制作による「金太郎」(左上)は、足柄山の金太郎ではなく、表情から顔の大きさまで女性お笑い芸人キンタロー。がモデルのはず。 鰺ヶ沢出身で伊勢ヶ濱部屋に所属する十両力士、誉富士がモデルの「どすこい誉富士」(右上)。デイサービスセンター健康倶楽部メンバーによる古典的なかかしの顔立ちと化粧まわしや体の作りこみなど、秀逸な出来栄え(Photoクリックで拡大)

 廃材や着古しの服などを活用した手作り感満載のかかしは、実に個性豊か。12回目を迎えた今年。会期となった8月1日~9月18日までの間、雨ニモ負ケズ風ニモ負マズ、夏ノ暑サニモ負ケズに道行く人の目を楽しませました。吹く風に秋の気配が深まり、稲刈りシーズンとなる最終日。役目を終えるかかし達は出品者が引き取ります。その際に「五穀豊穣かかし供養祭」が執り行われます。それもまた心温まるエピソードですね。

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2013/09/07

キミだけを想ってる

 Ti penso sempre.(=キミだけを想ってる) ...星の数ほどの女性と浮名を流したカサノヴァを生んだ国、イタリアの男が複数の女性に対してパラレルに使う常套句。そのDNAを受け継ぐ庄イタはここ最近、寝ても覚めても明るい黄金色の輝く美肌とクリーミーな甘さで夢見心地へと誘う愛しのキミだけを想ってます。あ、お岩木山育ちの麗しのキミ・・・。

リターンマッチ第2ラウンド
 嶽きみ from 嶽高原

dakekimi_mt.iwaki.jpg 「庄内系イタリア人的青森〈後編〉〈拙稿2013.8参照〉」でレポートしたように、お盆の前週に岩木山麓の嶽温泉を訪れた時は、嶽地区で産出する濃厚な甘さと香味が魅力のトウモロコシ「嶽きみ」はまだ出回る前でした。

 やむなく購入したのが、近接する標高の低い弥生地区産の「きみ」(=トウモロコシの津軽弁)、名付けて「ほぼ嶽きみ」。トウモロコシは収穫後、本来の甘さが日を経るごと半減するといわれます。ゆえに産地で茹でたてを食するのが理想。それだけに朝採りされて店に持ち込まれたほぼ嶽きみは、帰宅後すぐ茹でて食したので美味ではありましたが、それだけで夏を終わらせる庄イタではありません。

【Photo】庄イタが嶽を訪れた8月上旬、すでに営業していた「柳田とうもろこし店」裏手の嶽きみ畑。岩木山南麓の傾斜地にあり、豊富な日照と高地ゆえの昼夜の気温差が高い糖度を生む

 いま一つ納得しかねた「アムさんメロン」のフラストレーションを、素晴らしい香味で魅了する「ゆうかメロン」〈拙稿「ゆうかメロンでリベンジマッチ」2013.9参照〉で晴らした後は、また新たなる野心が頭をもたげていました。・・・ついぞ思いもしなかったその考えは、生まれると同時に、たちまち力を増し、巨きさを増した。むしろ私が玉蜀黍の萌黄色をした外皮に包まれた。その想念とは、こうであった。「嶽きみを喰わねばならぬ」 Special thanks Kinkaku-ji by Yukio Mishima


dakekimi_gmart.jpg そうして前回購入した店から盆明けに満を持して送ってもらったのが、食用で最も普及しているスイートコーンでも、糖度が高く旨味が強い品種「恵味(めぐみ)」です。ギッシリと目が詰まった実を包む粒皮の薄さゆえの食感の良さ、濃厚かつ上品な甘味は、やはり一味違います。

 標高1,625mの山頂から、眼下に広がる津軽平野、そして白神山地と八甲田、さらには日本海まで360度見渡す岩木山。その裾野の嶽では、食味の良さで定評あるこの品種が、更なる味の高みへと達しているかのよう。山そのものがご神体である岩木山ゆえの神がかり的な美味しさとでも言えばよいのでしょうか。

dakekimi_mitsukoshi.jpg【Photo】皮の緑が濃いものが美味とされるトウモロコシは、本数が果粒の数と一致し、果粒が呼吸するこげ茶色の髭が残され、おいしさを保護する皮付きを選びたい(上) 標高450m近辺の寒暖差のある嶽高原で育つ嶽きみ。これは「ゆめのコーン」のように3対1の割合で黄色と白の粒が交ざるバイカラー種ではなく、甘みの強い黄色系品種の「恵味」(左)

 嶽から百沢にかけての「嶽きみロード」の直売店では、サイズにもよりますが、6本~7本で1000円程度。1本あたり160~170円ほどが相場です。ところが仙台市内のとある百貨店では、嶽きみを1本399円(!!)で売っていました。あまりの価格差にとても手を出す気にはなれませんでした。

 来季の再遠征に向け、先だって地元事情通ならではの各種情報をご教示頂いた青森の県紙「東奥日報」仙台支社長Tさんの表現をお借りすれば、「嶽きみがいくら旨くたって、所詮はトウモロコシ」。嶽きみに関して一家言を持つご意見番ジモティの正鵠を射た言葉は、まさに我が意を代弁するものでした。Sì è giusto!(伊)=Yes, that's right!!(英)=んだっきゃ!!!(津軽)=んだのぅ~(庄内)
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【Photo】仙台市青葉区のイタリアン「francescaフランチェスカ」は、仙台朝市で調達する嶽きみのポタージュを期間限定で提供。その浮き実はクルトンではなく、当然のこと、嶽きみ

 10月下旬、B1F食品フロアが全面改装オープンする仙台三越の生鮮ゾーンが先行リニューアルしたのが、8月27日(水)。新聞折込チラシによれば、開店初日から5日間、連日100組限りで嶽きみを3本525円というほぼ現地価格で提供するというではありませんか。リベンジに燃える庄イタが、この耳寄りな情報を看過するわけがありません。


yaki_dakekimi.jpg 気仙沼への出張と重なった食品フロアリニューアル初日。昼過ぎに売り場を訪れた家人の話では、人だかりができていたのはオープニングサービスとして3本210円で提供された北海道産トウモロコシの前(笑)。いささか拍子抜けしつつも、労せずして産地で前日朝に収穫された鮮度の良い嶽きみを入手できたとのこと。そうして、ほぼ嶽きみを上回る嶽で育った嶽きみの期待通りの旨さを実感、売り出し期間中は翌日以降もほぼ連日、嶽きみの旬を満喫しました。

【Photo】焦げた醤油の香りがたまらない焼き嶽きみ。NHKの某番組で紹介された通り、生のまま魚焼きグリルで12分強火で焼く

dakekimi2_gmartSONO2.jpg【Photo】「グリーンマート桂店」で取り扱っていた鮮度の良い嶽きみ。その状態の良さに比してリーズナブルなコストパフォーマンスの良い値付けゆえ、迷わず購入。生鮮食品に他ならないトウモロコシゆえ、状態を見極めて判断したいところ

 それから数日した日曜日、弘前に営業所があり、独自の仕入れルートを持つ総合商社「カメイ」系列の食品スーパー、グリーンマート桂店でも嶽きみを発見。切り口のみずみずしさは収穫されてから時間が経過していない証拠です。しかも髭付き皮付きの理想的な状態で、1本198円(2本380円)で嶽きみを扱っていたため、手に取ってズシリと重さを感じる3本を選んで購入しました。9月一杯が旬となる嶽きみゆえ、夏から秋へと季節が移り変わるあと少しの間、心地よい香りに包まれながら旬の味を楽しめそうです。

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【Photo】郷里の産品をこよなく愛する「francescaフランチェスカ」原田シェフが石臼でポレンタを挽く(下左写真)。店内で1か月以上を要して乾燥させる嶽きみが天井からぶら下がる店のメニューにも青森愛が溢れる(上写真)。実家のリンゴ畑で剪定したリンゴの枝は、燻製用に活用(下右写真)

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 嶽きみのシーズンが終わっても、別の楽しみがあります。仙台市青葉区大町にあるイタリアン「Francesca」原田尚徳シェフは五所川原出身。嶽きみならではのクリーミーな甘さを活かしたポタージュのほか、嶽きみを店で部屋干しし、石臼で挽いた特製ポレンタを使った期間限定スペチャリテ「実家のリンゴの枝で軽くスモークした秋鮭のサルスィッチャとポレンタ」として食することもできます。原田シェフいわく今年の嶽きみは極めて美味とのこと。食べ逃すのは勿体ないですよ。

akisake_polenta_franc.jpg【Photo】francesca原田シェフのスペチャリテ「実家のリンゴの枝で軽くスモークした秋鮭のサルスィッチャ・ディルの香りと嶽きみポレンタ」(1,000円)

 昨年はシェフの好意で嶽きみを石臼引きさせてもらった庄イタ。北イタリアの家庭のようにポレンタを自宅で楽しみました。これがまた結構なお味で。

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2013/09/01

「ゆうかメロン」でリベンジマッチ

絶品メロン fromつがる市木造亀ヶ岡
 「そうそう、この味、この香り!!

 「庄内系イタリア人的青森〈後編〉」で述べたように、立佞武多の期間中に五所川原市内で「アムさんメロン品種名:ゆうかメロン)」を入手するにはしました。前回レポートを熟読された方は、そこでズバ抜けた美味しさを賞賛しているのは、メロンの既成概念を覆した昨年のアムさんメロンだったことをお気づきだったかと思います。

azienda_melone.jpg【Photo】今年2月から本格稼働した風力発電の風車を背景に、見渡す限り露地栽培のメロンやスイカの畑がメロンロード沿いに広がる。つがる市木造亀ヶ岡付近にて

 そう、弘果弘前中央青果が商標登録するこのメロン。感激するほどの風味だった昨年が10点満点だったとすれば、立佞武多が開催される五所川原市中心部へのシャトルバスの発着点となる郊外の複合商業施設にある某大手スーパーで購入したことを、結果的には悔やむこととなる今年のアムさんメロンの得点は、正直に申し上げて合格点には微妙に達しない7.95。

yuka_melon.jpg【Photo】養分を作る葉脈の筋が浮き出し、緑から黄色に変わった外皮を覆う細かいネット状の網目が完熟の証し。ツルの付け根箇所に入る亀裂が収穫適期の目印となる「ゆうかメロン」。箱から取り出して置いておくだけで良い香りが部屋に充満する

 メロンは食べ頃を迎えるまでに購入後の追熟が必要なのですが、完熟状態で出荷されるアムさんメロンは、日持ちがしないため地元消費にほぼ限定されます。流通網が発達した現在では、ネット通販という手段があるにはありますが、こと収穫に至るプロセスが肝要な青鮮品は、極力この目で生産現場を確かめてから入手したいもの。

 なればこそ「Viaggio al Mondo~あるもん探しの旅」では食べ物の背景や作り手の思いをお伝えしてきたのです。

 いまひとつ味に納得がゆかず再チャレンジしようにも、ハウス栽培のアムさんメロンは、お盆を迎える頃にはシーズンを終えます。ましてお盆期間は農家や市場も休み。フットワークの軽さを自負する庄イタといえど、再びメロンハントのために津軽を訪れるわけにもゆきません。これぞ文字通り"覆水盆に返らず"???。盆明けに入手可能な露地物ゆうかメロンにしても、もはやギリギリのタイミングでした。1年間モヤモヤをため込むのは精神衛生上よくありません。リベンジのため原則をまげて取り寄せを決断しました。

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【Photo】今回ゆうかメロンを取り寄せた「農園おさない」のすぐ近くには、その特異な姿から異星人説すらある亀ヶ岡遺跡のシンボル「遮光器土偶」の巨大な石像がある(左) 遮光器土偶の形をしたユニークなJR木造駅(右)。この駅舎には列車だけでなくUFOも飛来するかも

 念のためネット検索したアムさんメロンと、JAごしょつがる認定「つがるブランド」のひとつ「ゆうかメロン」は、産出量全体のわずか1%と希少性が高く、すべからく売り切れ。まさに血眼になってシーズン最終盤のゆうかメロンを探しました。

 桐箱に入った万単位のメロンは、味を凝縮させるため1株1玉で栽培するそうですが、庶民には縁遠い高級品は例外です。通常のネットメロンは1苗に4玉で育てるところを、つがる市木造亀ヶ岡「農園おさない」の小山内昭光さんは贅沢にも2玉に抑えて低農薬・有機栽培で育てるのだといいます。こうした手間を惜しまない生産者のものならばと、最終盤の8月23日発送分ゆうかメロンをどうにか注文できたのです。

yuka_melon2.jpg【Photo】甘~い果汁がしたたる透明感の高い淡いグリーンのジューシーな果肉がもたらす至福の瞬間。「農園おさない」から2個3.980円(送料込)で取り寄せた完熟「ゆうかメロン」

 その産地は、4年前の5月に付近一帯の出土品を展示する「つがる市縄文館」を訪れたことがある縄文遺跡「亀ヶ岡遺跡」にほど近い同市館岡。多産や豊饒のシンボルとされる眼を誇張した特徴的な女性の姿をかたどった遮光器土偶が1886年(明治19)に出土したことで知られるそこは、つい先日通ったメロンロードからすぐの場所。最寄駅はJR五能線の木造駅で、その特徴的な駅舎は一度見たら忘れられない外観です。

 亀ヶ岡遺跡に一部畑がかかり、畑から時おり土器片が出土するという畑で育ったゆうかメロンは、T字のツル付きで届きました。箱を開けたとたんに広がるこのメロン特有の甘い香り。アムさんメロン同様、食べ頃を充分に見極めて出荷されるため、室温で追熟させる必要はありません。冷蔵庫で適度に予冷してから包丁を入れました。

yuka_melon3.jpg【Photo】光が透けるほど皮際ギリギリまで美味しく食べられるのも「ゆうかメロン」の特徴

 頬張った口いっぱいに広がる芳香、果肉から溢れ出るみずみずしい果汁、そしてこの品種ならではの糖度の高さも十二分。
「そうそう、この味、この香り!!

 旬の盛りを過ぎたシーズン終了間際とあって、実際に口にするまで不安もありましたが、それは全くの杞憂でした。 やはり農作物は信頼に足る作り手あってこそ。庄イタにとっては避けては通れない庄内浜から象潟にかけてのミルキーな岩ガキと同様、世にも稀なこのメロンの味を堪能することなしに夏を終わらせるわけにはゆかないのです。
 

 こうして往く夏を惜しむかのように臨んだリベンジマッチ第1ラウンドは、期待に違わぬ納得の結末をみたのでした。次回リターンマッチ第2ラウンドの模様は、岩木山麓の嶽高原からお伝えします。(・・・もはや次回お題は明らか)

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