あるもの探しの旅

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心和む「かかしの里」@鯵ヶ沢

庄内系イタリア人的青森〈番外編〉
かかしの里 @ 鰺ヶ沢町中村

wasao_s2013.9.jpg【Photo】「元気になりました」by わさお (クリックで拡大)

 8月上旬、青森県西津軽郡鯵ヶ沢町を訪れた際、違うワンコがいるのかと思うほどの変貌ぶりに気をもませたブサカワ犬「わさお」。かつてのフサフサの毛並みが元通りに戻った近況にホッと胸をなでおろしている庄イタです。

 わさおが愛嬌を振りまく菊谷商店と並んで、鰺ヶ沢で思わず足を止めたくなるスポットがあります。前編後編の2回に分けてレポートした「庄内系イタリア人的青森」の番外編として、鰺ヶ沢町中村地区に期間限定で出現する「かかしロード」を今回ご紹介します。

kakashi0_nakamura.jpg【Photo】JR五能線と平行して走るR101は、鯵ヶ沢町舞戸で鯵ヶ沢街道と交差する。そこを岩木山方面に2kmほど南下、視界が開けた水田地帯が中村地区(上写真)。8月初旬から9月中旬に出現する「かかしロード」では、カワイイ巨大かかしが仲良く並んでお出迎え(下写真2点)

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 「かかしの里」こと中村地区は、今年ユネスコ世界自然遺産指定20周年を迎えた白神山地北側の山あいに開けた緑豊かな田園地帯。白神の森林地帯が源流となる清流中村川が南北を貫きます。流域の水田では、青森生まれのコメ「つがるロマン」が、頭を垂れ黄金色に色付き始めた稲穂が刈り入れの時を待っていました。8月末に東北の日本海側を襲った豪雨では中村川が警戒水位を越えて避難勧告が出る一幕もありましたが、稔りの季節を迎えた鯵ヶ沢でも稲刈りが始まりました。

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 小兵ならではの軽快な動きで意表をつく技を多彩に繰り出したことから、「平成の牛若丸」の異名をとった元関取・舞の海の出身地が、鯵ヶ沢町舞戸。そこから鰺ヶ沢街道を嶽温泉方向に2kmほど進むと、実は身長170cmに満たなかった舞の海が、3人がかりでやっと肩を並べる大きさ5mもあるジャンボかかしが出迎えてくれます。

 かかしロードの入口と出口それぞれの両端に2体が並んで立っているので、見過ごすことはないでしょう。かかしロードは、地元の地域おこし団体「せせらぎ中村委員会」が、2002年(平成14)に中村地区町内会連合会と共同で始めた取り組みです。かかしを出品できるのは、鰺ヶ沢町在住の個人・団体。

kakashi3_nakamura.jpg【Photo】岩木山(写真奥)方面へと向かう鯵ヶ沢街道の側道沿いにズラリと整列した56体のかかし。手前の「チカン、ダメ ゼッタイ許さないにゃん♡」は鰺ヶ沢町域学連携事業で8月に鯵ケ沢に滞在した麻布大学、「ミス法政」と「ふらっと来たよ鯵ヶ沢・一人ねぶた祭りらっせらー」は法政大学の学生によるもの

 今年は総務省が推進する「域学連携事業」の一環で、高齢化が進む地域に都市部の大学生を招いて交流を図る鰺ヶ沢町域学連携事業(通称:あじがく)で鯵ケ沢に滞在した法政大や麻布大の学生が中村地区の住民から手ほどきを受けて作成したかかしも華を添えました。

kakashi6_nakamura.jpg【Photo】かかしロードのかかしはどれも個性豊か。車が往来する鯵ヶ沢街道ではなく、側道側を向いて立っているので、田んぼに沿ってのんびりと散策しながら鑑賞できる(上写真2点)。今年の出品作から、"アベのミクス"のタスキが秀逸な「安倍首相・林対談 日本を変えるの今でしょ!」(左下)、NHK大河ドラマと朝の連続テレビ小説の顔「八重の桜」、「じぇじぇじぇ!!ウニだべー」(右下)。アキちゃんが手にしたウニのじぇじぇじぇな正体はなんとっ!!(Photoクリックで拡大)

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 この催しは、山形県上山市で9月14日(土)に開幕した「かみのやま温泉全国かかし祭」のように、頂点のグランプリを目指すコンテストを実施して優劣を競うのではありません。8月初旬から稲刈りを控えた9月中旬までの間、地域おこしと五穀豊穣、安全祈願を目的に、町民手作りのかかしが展示されます。過去のかかしロードの模様はコチラ

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【Photo】今年の出品作から、鳥獣の食害抑止効果が最も薄いと思われるかかし2点。お孫さんが生まれた(?)まんじの嫁作「こんにちは赤ちゃん私がバァバァよ」(左上)、昨年かかしとは呼び難い東京スカイツリーを出品したグループホーム百沢ハウスは、今年も関東地方をテーマに船橋市非公認キャラクター「ふなっしー」(右上)を出品(Photoクリックで拡大)

 本来は鳥獣の食害からコメなどの農作物を守る役目のかかしが、安全運転の啓発や地域の話題づくりなど、本来の職責を離れて道沿いなどに立つ例は、全国各地で見られるようです。秋保温泉へと向かう仙台市太白区生出地区のR286沿いでは、9月7日(土)から月内いっぱい交通安全協会の主催で「生出かかしまつり」が開催されています。気仙沼市の内陸部では、赤岩迎前田地区にある産直「いろどり」が住民に呼びかけて50体ほどのかかしを作成、来月半ばまで路肩に立ち続けます。

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【Photo】今年の出品作から、ビジュアル系かかし2点。美輪明宏にうり二つの「美輪明弘」(⇒誰?)は中村婦人学級の作品(左上)。別れた女性を忘れることができない匿名の男性が出品したと思しきベストドレッサーものの「乙女像」(右上)には未練タラタラの切ないポエムが....。(Photoクリックで拡大)

 嶽温泉を発って初めて中村地区を通りかかった時、保母さんに引率された保育所の子どもたちが、お揃いの黄色い帽子姿でユーモアたっぷりのかかしを眺めているところでした。心和むその光景につられ、思わず車を停めました。

 子どもたちは、かかしを前に瞳を輝かせて歓声を上げています。それもそのはず、ずらりと並んだかかしの中には、今年のご当地キャラコンテストで優勝した「ふなっしー」、ゆるキャラグランプリ2011王者「くまモン」、ディズニー映画「モンスターズインク」に登場した一つ目モンスター「マイク・ワゾウスキ」、女性お笑い芸人「キンタロー。」など、子ども受けの良さそうな作品も含まれます。

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【Photo】今年の出品作から、やっぱり外せないNHK朝ドラ「あまちゃん」系かかし2点。「ウニ、とったぞぉ\('jjj')」と手にしたタワシを掲げる「あまりん」は、海女としてはまだまだ甘ちゃん(左上) キョンキョンが社長を務める芸能プロダクション、スリーJプロダクションのマネージャー「水口琢磨」(右上)は、似ているような、似ていないような(Photoクリックで拡大)

 出品されるかかしは、年ごとに時の人や話題のキャラクターをテーマとしており、街道と田んぼの間に伸びる側道沿いに今年は56体が出品されています。かかしは車が往来する鰺ヶ沢街道ではなく、田んぼに向かって側道の方を向いて立っているので、路肩に車を停めて歩きながらじっくりと鑑賞できます。

 500体を越えるかかしが出品され、温泉地を挙げての観光行事として、1971年(昭和46)から市民公園を会場に手入れの行き届いた芝生上で繰り広げられる全国かかし祭。かかしに対してなんと内閣総理大臣賞(!!)まで奮発される一大イベントは、それなりに楽しめるでしょう。しかーし、作り手が楽しみながら作っていることが手に取るように伝わるかかしが、のどかな田園風景に溶け込む中村のかかしロードが醸し出すほのぼのとした雰囲気に、より心惹かれた庄イタなのでした。

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【Photo】今年の出品作から、甲乙つけがたい秀作2点はいずれもデイサービス施設の作品。デイサービスセンターつくし荘制作による「金太郎」(左上)は、足柄山の金太郎ではなく、表情から顔の大きさまで女性お笑い芸人キンタロー。がモデルのはず。 鰺ヶ沢出身で伊勢ヶ濱部屋に所属する十両力士、誉富士がモデルの「どすこい誉富士」(右上)。デイサービスセンター健康倶楽部メンバーによる古典的なかかしの顔立ちと化粧まわしや体の作りこみなど、秀逸な出来栄え(Photoクリックで拡大)

 廃材や着古しの服などを活用した手作り感満載のかかしは、実に個性豊か。12回目を迎えた今年。会期となった8月1日~9月18日までの間、雨ニモ負ケズ風ニモ負マズ、夏ノ暑サニモ負ケズに道行く人の目を楽しませました。吹く風に秋の気配が深まり、稲刈りシーズンとなる最終日。役目を終えるかかし達は出品者が引き取ります。その際に「五穀豊穣かかし供養祭」が執り行われます。それもまた心温まるエピソードですね。

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