あるもの探しの旅

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2013/11/30

イタリアン・ハイブリッド

 電気自動車のネックとなる長時間の充電が不要で、タンクに充填した水素と空気中の酸素を取り入れてモーターを動かす燃料電池車。H2Oだけを排出、現在のテクノロジーでは最も環境負荷が少ない燃料電池車が実用化されるまでの繋ぎとして、ニッポンが技術を先導するのがハイブリッド車です。かのフェラーリですら、今年3月に開催されたジュネーヴ・ショーでハイブリッドモデル「LaFerrariラフェラーリ」をコンセプトモデルではなく市販車として発表しました。

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 800馬力(!)を発生する6,262ccV型12気筒自然吸気エンジンを搭載、ブレーキ時に発生する熱エネルギーを回収・蓄積・再利用し、163馬力を生むF1で培った独自のHY-KERSシステムをドッキング。合計963馬力(!!)で駆ける軽量なカーボンモノコックボディは、0‐100km/h加速が3秒以下と、強烈な加速Gに堪えうるコルセットを首に装着した方が安心してアクセル全開にできそうな驚異のスペック。

 最高速度が350km(!!!)まで達するというこの赤い跳ね馬。走行状況に応じ、スポイラーやアンダーパネル類が自動可変するアクティブ・エアロダイナミクスを採用した、いわば(心の底から信頼を寄せるにはいくばくかの不安がよぎる)イタリアン・ハイテクノロジーの塊です。

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 生産数499台限定に対し、購入希望者が殺到したというマラネロ初のハイブリッドモデルの気になるお値段は、100万ユーロ。本日の為替レートに換算して1台1億3900万也(税別)。ポキッと折れそうなドアミラーの形状を見るにつけ、ついて回る維持費の不安を払拭すべく、正規ディーラーからフェラーリの新規登録車を購入すれば、7年間は無料メンテナンスを受けられるワランティ・パッケージが2年前から全世界同時にスタートしています。

kosui_crema-golosone.jpg たとえ設計に破たんはなくても、生産の過程で生来のユルさが介在するため、個体差が大きいことが珍しくないのがイタリア車(通称:イタ車=痛車)。堅牢なバイエルン製のドイツ車も3台乗り継いだ庄イタですが、うっかりイタ車に手を出した過去において〝痛い目〟〈2009.3拙稿「場の空気に関する一考察」参照〉に遭っています。

 動画のようなアドレナリン全開な走りにはおよそ似つかわしくないエコカー減税が適用されても、納車は来年4月以降が確実ゆえ消費税だけで1,100万円が飛んでいく勘定( ̄▽ ̄;)。1等・前後賞あわせて賞金7億円が当たる年末ジャンボ宝くじでも当たらない限り、最大の不安要因である懐事情については、まったくもって問題解決の見通しは立っておりません。

 と、いうことで、高嶺の花に終わりそうなイタリアン・ハイブリッドカーについては早々に切り上げ、ここでもうひとつのイタリアつながりのハイブリッドな話題をば。

capperetti_dakekimi.jpg 宮城県名取市相互台にあるマンマの味が楽しめるイタリアン「イル・ゴロゾーネ」で、風味の良い和梨「幸水」のシーズン限定で登場するスペチャリテが、「幸水とパンチェッタのクリームソーススパゲッティ」(上写真)。

 加熱して食感がまったりと変化した幸水と、シャキシャキした生のままの二つの食感が異なるダイス状にカットした幸水に、パンチェッタの旨味と塩味が加わって、フレッシュクリームの甘味が絡んで、えも言われぬハイブリッドな一体感が生まれます。この秋に味わったパスタ料理では、青森のイタリアン「アル・チェントロ」のペースト状にした嶽きみの香りと甘味が炸裂する「嶽きみのカッペレッティ」(左写真)と双璧をなす美味しさ。


 イタリア本国でも何年か前、某有名リストランテのシェフが突如カレーに目覚め、キワ物以外の真っ当なイタリア料理では禁じ手に等しいカレー粉を使った創作料理がイタリア人の間で評判を呼んだとのこと。

tagliaterre_curry.jpg

 歌と食べることをこよなく愛する北イタリア・ロンバルディア州Paviaパヴィーア在住のオーナー、ローズィ夫妻の指令で、この秋初めてメニューにオンリストされた「カレー風味クリームソースの手打ちタリアテッレ」(右写真)を、このほどランチタイムに初体験。料理についていつも的確に表現してくれるフロア係の千葉さんオススメとあって、未体験の領域に挑戦した次第。
 
 運ばれてきたタリアテッレを一口食べた正直な感想は、「これはパスタなのか? それとも洋風カレーうどんなのか??」。日本人にはどこか懐かしいカレー風味が、デュラム小麦の香りと絡んでくるインドとイタリアの摩訶不思議なハイブリッド。

 いわば「鯖節から取った和風だし抜き中辛バーモントカレー味きしめん」(笑)。

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 本格インド料理では「ナーランダ」@酒田〈2009.9拙稿「象潟の岩ガキ」参照〉の味を愛し、「Yeti」@気仙沼〈2012.9拙稿「Yeti イエティ@気仙沼」参照〉の味を愛し、混沌としたインドそのままの雰囲気が体感できる(近いうちにとくとご紹介したい)JAY」@山形市の味も愛する庄イタ。

【Photo】夏は盆地特有の酷暑に見舞われるため、すぐ近くの冷やしラーメンを売りにしている店には長蛇の列ができる山形市。かたや吉祥寺と仙台「JAYMAL」で伝説を残したインド料理研究家の由利三さんの料理を味わえる「JAY」入り口。40歳以上の男性だけに適用される厳格なドレスコードがあるので気をつけたい

 前世を含めて積み重ねてきた食遍歴の経験値では推し量ることのできない違和感がどうしても残ります。頭の中で整理をつけようと、2度、3度とカレー風味クリームソースのタリアテッレを口に運んでも、それは払拭されません。

 そこで、いてもたってもいられず、ブロックでサーヴされるパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりと摺りおろしてくれるよう懇願しました。するとインド風チャレンジメニューには一体感が生まれ、慣れ親しんだイタリア料理へと変化して、すんなりとお腹に収まってくれました。

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 それにしてもインドとイタリアが合体したこのパスタ料理。ランチタイムは前菜+ドルチェ+ドリンクがセットされ1,470円也。

 これから先の1日3食、毎食お代わりをし、歯が抜け落ち、嚥下能力が低下した超・後期高齢者になってからは流動食に加工して食べ尽くし、果ては点滴に混ぜてまでしても、マラネロ製の世界一高価なハイブリッド車1台を購入できる対価には到底及びません。

 料理は奥が深いですね。

 いやー、いい勉強になりました m(_ _)m

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リストランテ「イル・ゴロゾーネ」
住: 宮城県名取市相互台1-10-1
Phone:022-386-6271
営:11:30-14:30  17:30-21:00 月曜定休 P有り

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2013/11/21

鶴岡のれん

料理人がおすすめする郷土食

 「料理人がおすすめする郷土食」をテーマに鶴岡市内の42店舗が参加し、限定メニューを提供する「鶴岡のれん」が、11月16日(土)から12月1日(日)までの16日間にわたって開催されています。 

 海・川・山・里の彩り豊かで個性的な旬の食材が揃い、その地ならではの祭事・行事と深く結びついた伝統料理が四季折々に味わえる食の都・庄内。

 七福神の大黒天が年越しをする「大黒様のお歳夜(としや)」にあたる12月9日の夜には、二股の「まっか大根」と黒豆ご飯などの豆を用いたさまざまな料理と、秋田沖から南下してくるハタハタと豆腐の田楽焼きが庄内の各家庭の食卓に並びます。

dengaku_hatahata6592.jpg【Photo】まっか大根や黒豆とともに大黒様のお歳夜に欠かせないハタハタの田楽焼き

 怒涛渦巻く冬の日本海ならではの恵みである高級魚「寒鱈」を余すところなく使い、岩ノリをトッピングして酒粕を加えた味噌仕立ての「どんがら汁」も冬の庄内には欠かせない味。ほら貝を吹き鳴らしながら山伏が家々を回る松の勧進と、大晦日に神事が執り行われる松例祭が明けると、北前船が上方の食文化を庄内に運んだことを物語る西日本で主流の丸餅で新たな年を祝います。毎年2月1日、夜を徹して能を奉納する黒川能「王祇祭」では、名物の豆腐焼きが演者・参加者に振る舞われます。

 海運で栄えた往時を偲ばせる京都や江戸から運ばれた時代雛が微笑みかける日本海ひな街道では、職人技が光る雛菓子が雛段に供えられます。その頃、雪解け水で増水した赤川河口域では日本海へ下ったヤマメが成長した「雪代鱒」こと、春の訪れを告げるサクラマスが遡上を始めます。湯田川で種籾を温泉に浸して発芽を促す芽出しが行われるのが4月始め。やがて芽吹きの季節を迎える山々は、山菜の宝庫と化すのです。灰汁で炊いた黄色い餅米を笹の葉で包んだ「笹巻」は、端午の節句に食されます。初夏の気配を感じる5月中旬に登場する孟宗筍を使った郷土料理の白眉が「孟宗汁」。修験の信仰が息づく羽黒の宿坊では、「月山筍」や生姜を薬味に餡かけにする胡麻豆腐など、独自の発展を遂げた精進料理が供されます。

ougisai_tofu.jpg【Photo】山椒のきいたつけ汁で食する王祇祭の焼き豆腐

 温海川など山あいの清流でアユ漁が始まり、鼠ヶ関や由良で夏イカ漁が最盛期を迎え、天然岩ガキ漁が解禁される頃、まばゆい日射しに輝く水平線上には入道雲が現れます。京都の影響が色濃い「南禅寺豆腐」の冷や奴と、ツルツルした喉越しが良い「麦切り」が恋しい盛夏を彩るのは、森屋初という女性が明治後期に選抜育種した「藤十郎」の直系品種「白山(しらやま)」など、サヤごと味噌汁の具にもする「だだちゃ豆」、京からやってきた宮大工が種をもたらしたとされる「民田ナス」、弘法大師が口にしたという伝承が残る「外内島キュウリ」など。

 秋の収穫に向け、「温海カブ」、「田川カブ」、「藤沢カブ」など田川地区の山中で、在来のカブの焼畑と播種が行われるのが、夜空を光と感動で覆い尽くす赤川花火大会の前後。その頃、湯野浜から酒田を経て遊佐まで続く砂丘地帯ではアンデスメロンが、松ヶ岡ではモモが出荷の最盛期を迎えます。

dewanomochi_onodera.jpg【Photo】「庄内協同ファーム」代表小野寺喜作さんの圃場で収穫を待つ糯米「でわのもち」

 あまたの食材に恵まれているため、山形内陸のように蕎麦を呼び物にしない庄内ですが、県内で玄ソバの産出量が最も多いのが実は鶴岡。新蕎麦が出回る頃、「はえぬき」や「つや姫」などの銘柄米が誕生した同市藤島地区など庄内一円では、穂先を垂れた黄金色の稲穂と、秋風に運ばれてくる稲ワラの香りが収穫の季節到来を告げます。五穀豊穣を願い3月に里へと迎えた田の神を再び山に送る「田の神上げ」の日、初めて口にする新米と「もって菊」、口細ガレイ、秋鮭と大根の煮物が食卓に上がります。

 舞茸、もだし、ナラタケなど天然物のキノコは、山沿いで秋から冬にかけて食される「納豆汁」に欠かせません。フルーツタウン櫛引で、大玉ブドウがたわわに実を結ぶ頃、明治時代に新潟からもたらされた庄内柿の代表品種「平核無(ひらたねなし)」が橙に色づき始め、収穫を待つばかりとなります。月山が頂きを白く染めてほどなく、藩制期以来の酒造りの歴史を刻む鶴岡市大山では、寒仕込みが始まります。仕上がった新酒は、2月の「大山新酒・酒蔵まつり」でお披露目されます。

 こうして訪れるたび、庄イタを魅了してやまない食材の豊かさ、季節ごとの営みと密接に結びついた郷土の味の多彩さぶりには目を見張るものがあります。

 「酒の肴」をテーマに、JR鶴岡駅から鶴岡銀座周辺の歓楽街に向かって、ほぼ一直線に参加30店が集中し、今年6月に開催された第1回鶴岡のれんは、500円のチケット制で各店自慢のお酒とお通しがセットされる企画でした。ワンコインの明朗会計で、心ゆくまでハシゴ酒ができるだけに、左党の諸兄諸姉から好評を博し、用意したチケット700枚はたちまち完売。「お通し」とはいえ、「白山だだちゃ豆のかき揚げ」、「庄内孟宗汁餃子」、「サクラマスと月山筍のマリネ」など、鶴岡ならではの旬の味を取り入れた店もあり、"らしさ"は楽しめたはずです。

tsuruoka_gohan2.jpg【Photo】昼・夜それぞれ趣向を凝らした各店の限定メニューが味わえる「鶴岡のれん」vol.2の〈夜の部〉パンフレット

 2回目の開催となる今回は、食の都・庄内らしさを、より前面に打ち出し、鶴岡の味を主役に据えています。昼の部に26店、夜の部には30店の合計56店、昼夜とも参加の店があるため、実数で42店が参加。1枚500円からのチケット制で、店によって500円~3000円と、チケットの必要枚数が異なります。鼠ヶ関、三瀬、湯野浜、藤島、羽黒、櫛引と、参加店が広域に広がり、東北の自治体では最も市域が広い鶴岡ならではの多彩な旬のエッセンスを味わうことができそうです。

biglietto-tsuruoka-noren.jpg 企画担当の鶴岡市食文化推進室の阿部知弘さんによれば、参画を機に鶴岡でしか味わえない在来作物をメニューに取り入れた事例もあり、店側の意欲向上にも結び付いているとのこと。敷居が高いであろう割烹も参加しているこの企画。鶴岡市民からも歓迎されているそうです。

 チケット購入の上、3~5店舗を回って対象の料理を食べるとスタンプがもらえ、その個数に応じて、つや姫5kgや月山ワイン、郷土料理のレシピ本「たんぼの味~庄内・やまがたのお米で作るレシピ集」などが抽選で当たるスタンプラリーも好評実施中。まずはWebにアクセス。昼の部、夜の部それぞれ用意されたパンフレットでじっくりと品定めの上、今回も完売必至のチケットを確保し、いざ晩秋の鶴岡へ!!

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鶴岡のれん vol.2
料理人がおすすめする郷土食 
●期間:2013年11月16日(土)〜12月1日(日)
●主催:鶴岡食文化創造都市推進協議会 http://www.creative-tsuruoka.jp/
●チケットは下記各所にて:
 ・鶴岡市観光案内所(JR鶴岡駅内/ Phone:0235-25-7678)
 ・出羽商工会本所(鶴岡市藤島字笹花33-1/ Phone:0235-64-2130)
  同櫛引支所・同三川支所・同朝日支所・同羽黒支所・同大山支所・同温海支所
 ・鶴岡食文化産業創造センター(鶴岡市馬場町14−1/ Phone:0235-29-1287)
 ・鶴岡市 食文化推進室(鶴岡市馬場町9-25/ Phone:0235-25-2111)
【問】:鶴岡市企画部 政策推進課 食文化推進室 / Phone:0235-25-2111(代)

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