あるもの探しの旅

« Dicembre 2013 | メイン | Febbraio 2014 »

2014/01/30

ビジュアル系インパナータ

肉汁への誘(いざな)

 正月休み明けからフルスロットルで多忙な日が続いており、更新が滞ってしまいました。こんな忙しい時にはココロの栄養補給が欠かせません。

 ということで、今回はあっさりと手短にビジュアル勝負で参ります。この画像が持つ強烈な誘因効果で、再訪を目論む庄イタの席が確保できなくなることを恐れるため、あえて店名は伏せることをご了承願いますm(_ _)m。

 背景に店のロゴがぼんやりと見える福島市の某イタリアンで、すぐにそれとわかる鳥の羽根がエチケッタに描かれたBruno Rocca ブルーノ・ロッカのヴィーノとともに食した「仔牛肉のインパナータ」。香ばしくカラッと揚がった衣にサックリとナイフを入れると、ドンピシャの加減で火の通ったキメ細やかな繊維質から溢れるがごとく滲み出す肉汁肉汁肉汁...。

 inpanata_gioie.jpg

 モ~タイヘン。忙中「歓」あり。

************************************************************************

ロケ地:上記理由により今回はナイショ。(近日公開予定)baner_decobanner.gif

2014/01/03

新春縁起藤沢カブ

年忘れ恒例食べ納め@酒田「L'Oasis ロアジス」

 新年を迎えるにあたり、一昨年末は糯米として空前絶後の食感と風味を備える本女鶴を杵搗きした丸餅を入手するため、大雪の中を訪れた酒田「こい勢」旬の地魚おまかせ握りをもって、(大晦日の晩には鶴岡市田川の地粉「でわかおり」で打った「鬼坂そば」で年越しはしましたが...)年を〆る食べ納めとしました。

※昨年の食べ納めレポートはコチラ ⇒《Link to Backnumber

 本女鶴の味が忘れられず、今年も生産者の堀芳郎さんに餅をお願いしていたため、歳末は再び酒田を訪れました。あまたの候補から食べ納めの店に選んだのは、「ル・ポットフー」と「レストラン欅」を舞台に、故・佐藤久一(1930-1997)と二人三脚で"フランス風郷土料理"という新境地を切り開いた功労者である伝説のグランシェフ、太田政宏さんが厨房を取り仕切るフレンチ「L'Oasis ロアジス」。前身となる中合清水屋から経営を引き継ぎ、2012年3月末に地元資本でリニューアルオープンした「マリーン5清水屋」の呼び物として、鳴り物入りで入居したフランス料理店です。

monsieur_ota.jpg【Photo】太田政宏グランシェフ

 まだ酒田市民がフランス料理に馴染みの薄かった時代。庄内浜の海の幸を中心とするフランス風郷土料理は、広く地元の支持を集めただけでなく、「生まれて初めて体験した料理」と絶賛した開高健ほか、評判を聞きつけて訪れた丸谷才一、古今亭志ん朝、山口瞳ら多くの食通たちを唸らせてきました。後進の育成や市民向け料理教室にも積極的に取り組んでいるほか、10年前の制度創設当初から任に就いている「食の都庄内親善大使」としても活躍中です。

 1943年(昭和18)、横浜生まれの太田シェフが、レストラン欅の開店準備に奔走していた佐藤久一に誘われる形で酒田に居を移したのが1967年(昭和42)、24歳の時。爾来40年以上に渡って、質と種類において築地と大田を擁する東京をも凌駕する食材に恵まれた庄内ならではスタイルを追及してきました。料理人として一時代を築き、60代の後半を迎えた一時期、太田さんは第一線を退かれたことがあります。父を模範に背中を見て育ったご子息が、酒田市内に開店したフランス料理店「Nico ニコ」を食事に訪れた際、客としておいでだった太田さんとお会いし、ご挨拶を交わしたことが幾度かあります。コックコートに身を包んだ姿のイメージが強かったせいもあり、食事を終えてご家族と店を出るジャケット姿の太田さんを見送りながら、少し淋しい気がしたものです。

meyaki_1967.jpg【Photo】1971年(昭和46)、料理長を任され順調な船出をして4年を経たレストラン欅の面々と。日本のフランス料理界の父・辻静雄やポール・ボキューズらから直接薫陶を受けていた若き日の太田シェフ(左端)。写真中央が13歳年上にあたる佐藤久一 (写真提供/荘内振興株式会社 代表取締役会長 小林元雄氏)

 そうした復帰を望む声が少なからずあったのでしょう、マリーン5清水屋の新たな顔として、かつてル・ポットフー伝説が生まれた同じ5Fフロアへのロアジス開店を機に再登板。現場復帰の祝意をお伝えしようと開店後ほどなく店を訪れた時は、1時間半待ちの盛況ぶりでした。"手頃な値段で本物を提供する"というル・ポットフーや欅で積み上げたコンセプトを踏襲したメニュー構成はこれまで通り。客席から中の様子が見える半開放の厨房で指揮を執る太田シェフの姿に見とれたものです。大晦日のNHK紅白歌合戦で、庄イタのように"あまロス症候群"で悶々としていた人々が幾分なりとも溜飲を下げたあまちゃん風に表現すれば、まさに「カッケー」の一言。

loasis7_2013.jpg【Photo】新生「マリーン5清水屋」5Fフロアの一角に誕生したオアシスを意味する「L'Oasis ロアジス」

 現場復帰を機に、生涯現役を宣言した太田シェフ。庄内におけるキャリアの出発点となった店の名に佐藤久一が込めた"山居倉庫の欅のように酒田に根を張り、大きく育ってほしい"という願いを具現化しました。輝かしい実績を築き、いかに名が知れようと料理人の本分は厨房にあり、唯一光り輝く場所は、幸せな食べ手がいる現場をおいてほかにはあり得ません。昨年、古希を迎えた太田シェフ。庄イタが高校時代に初めて食し、感激したマエストロの料理は、今も変わらず瑞々しい感性を感じさせます。慌ただしい年の瀬を迎え、後輩に囲まれて現場に立つ太田シェフの姿に、改めて崇敬の念を抱いた庄イタなのでした。

 一年を締めくくるテーブルで選んだのは、旬の地元食材を散りばめ、素材の確かさを表現した王道のフルコース。メインディッシュの魚料理と肉料理をそれぞれ3種から選べるプリフィックスのメニュー内容にして、良心的な3,500円という価格設定は、食の都庄内ならではの醍醐味と申せましょう。

   loasis1_2013.jpg loasis2_2013.jpg
【Photo】〈アミューズ〉ニンジンのムース,ニンジンのマリネ,庄内もち豚のテリーヌとピクルス(左写真) 〈オードヴル〉カワハギの和風天ぷらフレッシュトマト風味,クレソンとエシャレット(右写真)

   loasis3_2013.jpg loasis4_2013.jpg
【Photo】〈スープ〉ガサエビのマリニエール(+200円)(左写真) 〈ポワソン〉スズキ・ホタテ・エビのポワレ、升田カブのフライ,平田赤ネギとサヴォイアキャベツの温製(右写真)

   loasis5_2013.jpg loasis6_2013.jpg
【Photo】〈ガルニチュール〉庄内もち豚バラ肉・脛肉の腸詰めと(過去にドイツ語圏で3度食した本家筋よりも遥かに美味しい)アイスバイン,焼きポレンタ・温製カブ添え(左写真)〈デセール〉カラメルのムース、バニラアイスクリーム、フルーツ添え(右写真)

 ご覧の通り、盛り付けを含めてオーセンティックな王道フレンチ。ゆえに食してみると太田シェフの手腕がより一層際立ちます。バリエーション豊富な庄内ならではのフランス風郷土料理という新機軸が健在であることを一皿ごと感じます。例えばガサエビのマリニエール(=漁師風)。白ワインと塩・バターを加えてガサエビを煮込んだフュメのコク豊かな太田シェフが編み出した看板スープです。ル・ポットフーや欅で食した印象よりもスッキリした透明感の高さを感じ、フロア係の三川美和子さんに「レシピを変えましたか?」と尋ねました。厨房に確認して下さった三川さんによると、バターの配分を少し抑え、オリーブオイルの比率を高めているとのこと。食べ手の健康を慮(おもんぱか)って下さっているのでした。
marinier_gasaebi2013.jpg
 そんな風にレストラン欅時代からお世話になっている三川さん、そして厨房からわざわざ見送りにいらした太田シェフにお礼を申し上げて店を後にしました。この後、本女鶴餅を入手するため堀芳郎さんと、ご縁を繋いで下さった酒田女鶴の生産者・渡部正宏さん・由美子さん夫妻のもとを訪れます。そこで初期の目標を達しただけでなく、渡部さんの酒田女鶴を1袋購入すると、彦太郎糯の丸餅が2袋ついてきました。はえぬきの新米と小松菜を購入するため、午前中に立ち寄った鶴岡の井上農場でも、杵つきの丸餅を土産に頂戴していたため、数年分まとめて正月祝いができそうな状況に (*^▽^*)。

 雪が少ない今年は、冬季限定で湧水で融雪する道が出現する「さんゆう」で鳥海の伏流水を汲みがてら、鳥海山麓・金俣地区産の地粉で打った「金俣そば(4食入り2,300円)を縁起年越し用に調達。刻んだ平田赤ネギと盛岡「小さな野菜畑」で購入しておいた「味の箱舟」認定の安家地大根(あっかずでぇご)をおろして薬味とし、庄内と南部の共演による年越し準備をつつがなく終えたのです。今年最初の更新に当たり、命の糧となる食べ物を介した多くの縁を頂く庄内で時として起こる言霊現象を最後にご紹介しておきます。

fujisawa_kab2013-2.jpg【Photo】積雪が多かった過去二年と比べ、今のところ圧倒的に雪が少ないこの冬の庄内地方。計画伐採された山肌を焼畑にして藤沢カブを栽培している後藤勝利さんが、今年使った区画

 前日は鶴岡の湯田川温泉に投宿しました。多忙であった昨年は、湯田川に隣接する藤沢にお住まいで、例年何度かお邪魔していた藤沢カブ生産者・後藤勝利(まさとし)さん・清子さん夫妻に不義理をしていました。宿を引き払ってから、後藤さんお手製の甘酢漬けを直売以外で唯一置いている温泉街にある土産物店「ぱろす湯田川」で購入。その足でご在宅かどうか分からぬまま後藤さん宅へ車を走らせました。

fujisawa_kab2013.jpg 今年3月で廃校が決まっている湯田川小学校前を通り過ぎ、T字路に差し掛かかり一時停止したところで遭遇した軽トラックの運転席には、なんと後藤勝利さんがっ!!!! \(゜o゜)\。

 引きの強さ(ただし庄内地域限定)が、またも発揮された格好です。ついぞ昨年は訪れることのできなかった毎年場所を変える畑の在りかを教わり、浅漬け用に生の藤沢カブを土産として頂きました。カブのひげ根取りの手伝いすらすることなく頂き物をしたのでは申し訳が立ちません。物々交換の文化が今も根付く庄内に入っては庄内ルールに準じるのがセオリー。新潟で前日入手していた笹川流れの海塩を置いて後藤さん宅を辞去しました。

 紅白のおめでたい藤沢カブで新たな年を迎えた「Viaggio al Mondo ~あるもん探しの旅」。今年もよろしくお付き合いのほど、お願いします。

************************************************************************
L'Oasis ロアジス
住:酒田市中町2-5-1 マリーン5清水屋 5F
Phone:0234-24-0112
営: 昼11:30-14:00 夜(前日まで要予約)17:00~21:00(L.O.19:30) 水曜定休
・ランチ:ランチコース2,100円 魚ランチ1,500円~ 肉ランチ1,500円~ お子様ランチ1,000円
・ディナー:Aコース4,400円 Bコース6,600円 など
  
baner_decobanner.gif

Giugno 2016
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
Copyright © KAHOKU SHIMPO PUBLISHING CO.