あるもの探しの旅

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2014/04/27

Arriva a Napoli !?

白日夢 @ Caffè Passalacqua
庄イタ流 避寒術 vol.3

 もはや避寒術など必要のないうららかな陽気に恵まれたGW前半の日本列島。
今回は、この春、白日夢のごとく儚くついえた1軒のカフェについて語ります。

caffe2-passalacqua.jpg【Photo】Arriva a Napoli!? =ナポリに到着!?)のタイトルとは裏腹に、この連休に訪れたわけではない世界三大美港に数えられるナポリ湾。サンタ・ルチア地区から突き出たCastel dell'Ovo(卵城)とヴェスヴィオ火山〈cick to enlarge〉。悲しいかなこんな風に垣間見えるこの美景のロケ地はナポリにあらず...

 庄イタ流 避寒術vol.1,vol.2で登場したピッツェリアでも使用しているナポリのコーヒーロースター、「Passalacquaパッサラックア」日本初のカフェが東京にオープンしたという情報をキャッチしたのが昨年秋。いささか話が遡りますが、雪に不慣れな東京を2度にわたって混乱に陥れた寒気団が居座る2月上旬、店を訪れました。

cafe-passalacqua2.jpg【Photo】混沌としたナポリの下町チックな新宿・歌舞伎町一番街に突如として出現した「Caffè Passalacqua」日本第1号店。再訪を誓ったはずが...。

 キモとなるロケーションが、なんとも泣かせる新宿・歌舞伎町。そう、青山でも銀座でも代官山でもなく、胡散臭さ漂う歌舞伎町のど真ん中。喧騒に満ちたナポリと雰囲気が似ていなくもありません。

 開店には少し早く着いたので、付近を散策したのがイケマセンでした。区条例で禁止されている呼び込み数人に声を掛けられること数度。「・・・キャバクラ、*☭▼$♂・・・」と執拗にまとわりついてくる荒川良々似のお兄さんからは、コンビニに退避して難を逃れました。コチラがよほど物欲しげな目つきをしていたのかも...(///△///)

caffe4-passalacqua.jpg 開店直後の店には、庄イタ以外の客はおらず、宮崎と長崎の出身だという二人の女性スタッフに話を伺いました。親会社の栄進物産株式会社(本社:五反田)が日本第1号店をオープンしたのが昨年夏。「博多で研修を受けたラテアートは、まだ練習中なんです」と語る女性バリスタに、カプチーノを所望しました。

 エスプレッソマシンはSegafredoセガフレード傘下の「La San Marco S.p.A.ラ・サンマルコ」製セミオートマチックタイプ「100 TOUCH」を使用している本格派。謙遜する彼女の言葉とは裏腹に、ロブスタ種とアラビカ種をブレンドしたmehariメハリで淹れたカプチーノは、ナポリ市内に数店あるPassalacqua直営のバール「LA MEXICOラ・メキコ」を思い起こさせます。

 店内を見渡して気になったのが、冒頭に登場したリアルなナポリ湾の美景。他愛のない話をあれこれするうち、お代わりは外せないエスプレッソ。無論のこと店頭に置いてあったアラビカ豆100%のMoana,ボディのあるmehari,バランスの良いCremadorといった全ての種類のコーヒー豆を買い求めました。

mehari-moana-cremador.jpg【Photo】ナポリで1948年に創業して以来、愛されてきたパッサラクア。伝統の深煎りアラビカ種とロブスタ種の絶妙な配合による豊かなボディと深いコク。熟練のバリスタが業務用マシンでサーヴするバールの味とはいかずとも、ナポレターナマキネッタでも本場の雰囲気の片鱗を堪能できる

 「また来て下さいね~♡」と愛想の良いお姉さんに別れを告げて後にした店が、開店から1年も経たないにもかかわらず、3月9日をもって移転のためクローズするとの衝撃的な情報をキャッチしたではありませんか!!

 移り変わりの目まぐるしい東京砂漠に蜃気楼のごとく突如現れ、そして忽然と消えていったCaffè Passalacqua。正統派ナポリスタイルと目されるブランドは、やることまでナポリ流だった恰好。

caffe6-passalacqua.jpg【Photo】この西日に浮かぶナポリ湾の美景もまた、思いもよらぬ店のクローズによって儚い夢と散った〈cick to enlarge

 移転リニューアルを期待しつつも、現在のところ店の再開に関する情報は未確認。「あれは白日夢だったのでは??」と、歌舞伎町で買い求めた豆で淹れたカッフェを飲みながらも、キツネにつままれたような気がしている庄イタなのです。

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2014/04/13

Ti piace la pizza napoletana?(=ナポリピッツァはお好き?)

庄イタ流 避寒術 vol.2
ナポリピッツァ紀行@盛岡Piace

capitalism_SATOYAMA.jpg 森林資源活用による新たな社会価値創造を提唱し、ベストセラーとなった「里山資本主義」の著者である地域エコノミスト・藻谷浩介氏の講演を聞く機会がありました。

 五輪招致成功に湧く東京では、2000年から2010年までの10年で、現役世代の人口比率が頭打ちから減少へと転じ、65歳以上の人口比率が加速度的に増加しています。団塊の世代が退職年齢を迎え、介護施設への入所がままならない待機高齢者問題が首都圏では深刻化しています。その一方、東北では、過去10年で高齢化の進展に歯止めがかかりました。人口減少で未来の展望が描けない地方、活力ある首都圏という構図は、もはや過ぎ去ったと藻谷氏は強調します。

 生きるために不可欠な食料燃料を金銭で調達することに何ら疑問を挟まず、繁栄を謳歌してきた戦後ニッポン。物流が麻痺して水と食料と燃料が消えた2011年3月11日からの数日間。関東以北では、戦後の食糧難を乗り越え、高度成長を成し遂げて以降、初めて生存を脅かされる情況に追い込まれたはずです。いかに手元に現金があろうと、それは役に立たず、営々と築き上げた社会システムが、いかに脆弱であるかが露呈しました。

 最たる例がコンビニエンスストア。発注システムの機能停止で震災後アッという間に店頭から食品が消え、その後は内側から盗難防止の目張りをして店を閉めたまましばらく機能停止に陥ります。震災から1カ月ほどの間、仙台で頼りになったのは個人経営の専業店や小さな食品スーパーです。

co-op-miyagi-tomizawa2011.3.16.jpg【Photo】2011年3月16日みやぎ生協富沢店。頻発する強い余震と雪が舞う中、食料を求めて整然と並ぶ人々(画像提供:みやぎ生活協同組合 出典「河北新報震災アーカイブ」)

 震災発生当時、宮城県内で48店舗を展開していた「みやぎ生協」は、名取市閖上と石巻の店舗を津波で閉鎖する打撃を受けつつも、延べ500名以上を派遣した「コープこうべ」ほか全国の生協組織の物心両面の支援を得て、被害が甚大だった沿岸部などの災害時応急物資協定を結んでいた県内22自治体に緊急物資と希望を届けました。

 グループを挙げた支援体制で生活物資を調達、震災発生からわずか2日で営業を再開したダイエー仙台店には、寒空のもと、カセットコンロ用ボンベや食料を求め、多い時には勾当台公園付近まで1km以上にも及ぶ長蛇の列ができました。目指す日用品売り場には、当時入手が困難を極めた生鮮品・牛乳・ボンベなどが揃っていました。

 藻谷氏が提唱する里山資本主義と対極にある「マネー資本主義」の行き着く果てがリーマンショックと、そこからギリシャ・スペイン・イタリアに飛び火したユーロ危機です。マネーゲームに明け暮れる拝金主義と無縁の人々は、そうした騒動には動じない強さを備えています。
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 藻谷氏が物流と情報が途絶する逼迫した情況下でも、秩序が保たれた理由として著作中で挙げ、講演でも述べられたのが、東北の食料自給率の高さ。水と食料とエネルギーの一大消費地である東京の縮図的な仙台ですら、親類縁者に農家が存在する場合が多く、主食のコメに関しては送られたストックで急場をしのげたというのです。このほど文庫化された「河北新報のいちばん長い日」にある通り、震災発生直後から不夜城と化した勤務先でも、限られた量ながらコメが集められ、女性社員が中心となり組織された「おにぎり部隊」によって、泥だらけになって取材の最前線に向かう記者の兵糧が確保されました。

 水と食料と再生可能エネルギー資源の宝庫でもある東北。研究者の間ですら日本では起こり得ないと考えられていたM9.0の破壊エネルギーにより、震度6強(宮城野区)の揺れに見舞われた仙台では、津波浸水域を除き、都市ガス以外の社会インフラは震災後1週間でほぼ復旧しました。中心部の地盤が強固なうえ、1978年(昭和53)に発生した宮城県沖地震(M7.4)後の法改正で建築物の耐震基準が強化されており、はからずも都市機能の強靭さを実証した格好です。

 講演の冒頭、旧長州藩出身の自分が東北に来て偉そうなことを語るのは気が引けると語り、会場の失笑を誘った藻谷氏。安全保障上の観点から、国家中枢機能の仙台への一部移転を提唱しました。同郷人である安倍首相は、生きる糧を海外に依存する環太平洋連携協定(TPP)に活路を求める経済界におもねり、ご執心の対外的な脅威への備えに比べ、首都圏での防災対策は、とても万全とは言えません。

onagawa2014.3.15.jpg【Photo】今年3月16日に行われた復幸祭前日の宮城県女川町。ここにJR石巻線女川駅と町役場があった。今は大型工事車両が行き交い、復興に向けた槌音が響く。女川町では、この一帯を嵩上げし、水産加工施設ゾーン、旧「マリンパル女川」周辺の海沿いはメモリアル公園として整備予定

 現政権がいかに被災地復興の加速化を標榜するも、東京五輪の誘致は、復興の足かせとなる人手不足と建築資材の高騰という事態を招いています。消費増税後の休日に日本橋三越で書籍や食品など総額で約4万円の買い物パフォーマンスをTVカメラの前でしてみせた安倍首相。これはサラリーマンの平均的な小遣い1カ月分に相当します。その重みを果たして宰相は理解しているのでしょうか。...いささか愚痴を並べすぎたようです。この辺で口直しを。

ponte_kaiun_primavera.jpg【Photo】♪春のうららの北上川...。そんな鼻歌が出そうな春の陽気のもと盛岡でもソメイヨシノが本日開花。北上川に架かる開運橋と冬の名残りを留める岩手山。目指すPiaceは駅から開運橋を渡ってまもなく右手

 安価な輸入材に押され、日本の里山の多くは放置されたまま荒れ放題です。そうした森林資源活用によるエネルギー安全保障の必要性と地方活性化を提唱する藻谷氏に倣って、岩手最北にあたる洋野町の薪を熱源とするナポリピッツァの話題に急転直下変わります。
 
piace_morioka.jpg全国の県庁所在地で、冬の平均気温が札幌に次いで低いのが盛岡。1月と2月の平均最低気温が-5℃台、寒波到来時には放射冷却によって-10℃台まで、過去には-20℃以下にまで冷え込んだことも。そんな盛岡を避寒目的でこの冬2回訪れました。それは「Piace ピアーチェ」のナポリピッツァを熱々で頬張るためです。

 オーナー・ピッツァイォーロ八柳達彦さんが郷里で開業したこのピッツェリアは、2001年10月のオープン。2010年に北上川に架かる開運橋にほど近い現在の場所に移転したのち、2011年(平成23)9月に東北で2番目、世界では373番目となる「真のナポリピッツァ協会」認定店となりました。
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 同協会日本支部支部長で、日本初の認定店「さくらぐみ」西川明男氏、副支部長「パルテノペ」渡辺陽一氏と審査を行ったのが、ナポリ本部の主任技術指導員であるガエターノ・ファツィオ氏。八柳さんは開業前にナポリ沖・イスキア島にあるガエターノ氏の店「Da Gaetanoダ・ガエターノ」で、半年間腕を磨きました。認定以来、シリアルナンバーの入ったカードを添えて師匠仕込みのピッツァを提供しています。

【Photo】ピアーチェのピッツァには、通し番号入りのカードが添えられる。認定番号にちなみ「3」と「7」がついた末尾番号は次回来店時に特典あり(右)

piace1_morioca.jpg【Photo】ナポリピッツァの美味しさの決め手となる生地の味を左右する水・酵母・小麦の配合具合を、長年の経験と勘で気温や湿度に合わせ微妙に調整する。小麦粉は世界で最も精製管理がしっかりしているといわれる国産と、本国のピッツァイォーロの支持が高いナポリの製粉会社「CAPUTO」の高精製率「tipo00(ドッピオゼロ)」の「Rinforzato(通称:サッコ・ロッソ)」を混合(左)

 JR盛岡駅から徒歩6分、車で訪れたなら複合商業施設「Cross Teraceクロステラス」の立体駐車場へ。そこからは店はもうすぐ。時間に余裕があればビルを素通りする手はありません。1F産直「賢治の大地館」は岩手各地の良質な産品が揃います。

piace3s_morioca.jpg イタリア・マルケ州のオーガニック製品生産組合「La Terra e il Cielo」など、国内外の安全で高品質な食品を扱う産直「ちいさな野菜畑」、「青龍水」や「大慈清水」といった伏流水の水場がある鉈屋町から、歴史ある町並みが残る紺屋町近辺、そしてハニーハント気分が楽しめる「藤原養蜂場」ともども、賢治の大地館は盛岡中心エリアの要チェックポイントです。

 クロステラスビル西口前の横断歩道を渡り、開運橋方向に歩みを進めると、窯で燃える薪火の香りが漂うPiaceはもう目の前。通りに面してガラス張りのPiace。ゆえに作業台に向かいGianni Acunto製薪窯の前に立つ八柳さんの姿を外から目にすることができるでしょう。

【Photo】薪の火加減に常に目を配り、対流熱で上昇する炉床温度は450度近辺に。火の通り具合を確認しながら、時おりパーラでピッツァの向きを変える八柳達彦ピッツァイォーロ(上写真)。ナポリピッツァの最大の魅力である生地の風味を知るには、トマトソースにモッツァレラチーズをトッピングせず、オレガノとニンニク風味の伝統的なナポリ生まれのマリナーラ(27cm・1050円)を(下写真)

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 昨年12月の訪問時は、昼の開店時刻11時より少し早く到着したので、八柳さんとあれこれ言葉を交わしました。ナポリで生まれ、世界中で愛されるナポリピッツァの本当の美味しさをそのままに、素材に恵まれた盛岡で多くの人に味わってほしい。そう八柳さんは語ります。

piace10morioca.jpg【Photo】ナポリピッツァの定番「ピッツァ・マルゲリータ」。ミニサラダとドリンクがセットされるランチメニューでは女性でも一枚いけそうな24cmの大きさでジャスト1000円。本場レベルの27cmにサイズアップされる単品オーダーは1300円

 庄イタと同様、かつて仙台の「ピッツェリア・ナプレ」で初めてナポリピッツァと出合ったという八柳さん。その言葉には、薪が燃え出すと摂氏500度に達する窯の炉内と同じくらい熱い思いが込められています。それでいて語り口は、表面がカリッと焼き上がったピッツァのコルニチョーネ(額縁)の内側のようにモチモチ柔らかいソフトなもの。

 八柳さんの話を伺いながら、庄イタの目線は、作業台の壁面に設えられた神棚の下へ。炉内の対流熱でピッツァを調理する際に向きを変えたり窯への出し入れに使う柄のついた器具「パーラ」と協会発行の認定証との間には、現在よりもスリムだった修行当時のガエターノ師匠の写真が飾ってあります。

 2012年3月、月刊誌Piattoの盛岡プチトリップ特集の取材スタッフを案内して食事に伺った時は、協会による審査時にガエターノさんが訪れた際の写真なども並んでいました。それも恩師への敬愛の情の表れなのでしょう。今年2月にお邪魔する前は、正月を控えた昨年末の訪問だっただけに、二次発酵させ熟成中の生地が「師匠へのお供え餅みたいですね」という庄イタのボケた突っ込みに苦笑いする八柳さんなのでした。

piace_caffe.jpg 日曜以外の月~土は、ミニサラダとドリンクがサービスされるランチメニューがあり、通常サイズの27cmより小さめ24cmサイズのピッツァ3種(マルゲリータほか)と旬のパスタ3種が選べます。ナポリから週3日空輸される水牛モッツァレラを使った協会認定店ならではの「マルゲリータD.O.C.」(2000円)もお試しを。

 そうそう、エスプレッソには前回軽くご紹介したナポリのロースター「Passalacqua パッサルアックア」の豆を使用していることを申し添えておきます。次回"Arriva a Napoli !? 白日夢@Caffè Passalacqua"では、堂々のナポリロケ敢行予定。

Continua / to be continued

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piace11morioca.jpgPizzeria Piace ピッツェリア・ピアーチェ

・住:盛岡市大通3-6-23
・Phone/Fax:019-624-1234
・営: 11:00~15:00(L.O.)14:30
   17:00~22:00(L.O.)21:30
・定休:日曜日  ・完全禁煙  ・カード不可
・2500円以上の飲食で、クロステラスパーキングまたはダイヤパーキングの30分サービス券進呈

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