あるもの探しの旅

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Digestivo(=食後酒)は適量を。<前編>


  5月X日はディジェスティーヴォの日

 旧知のソムリエ泉田氏が仙台市青葉区で営むワインバー「Bonne Placeボンヌ・プラス」を訪れた夜のこと。全てお任せで頂いた都合10杯の中には、「狭く」そして「ディープ」を旨とする庄イタの趣味嗜好をご存じの皆様ならば、「おや、珍しい」と思われるに相違ない銘柄も含まれるはず。
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【Photo】ショーケース的ワインセラー@ボンヌ・プラス

 それでもアレルギー反応を引き起こした頂き物のボージョレ・ヌーボーとは違い、中毒症状を引き起こすことはありませんでした。挙句カウンター席で6時間近くを過ごした前半のみを今回は綴ります。

 カウンターを預かるソムリエの荒川侑さんとはこの夜が初顔合わせ。自宅セラーの95%がイタリアワインというこちらの嗜好は伝えず、二杯目以降も基本はお任せで、赤・白・泡のざっくりした希望だけをお伝えして出てきたワインを頂くことにしました。

arpent-des-Vaudons.jpg【Photo】アペリティフはトゥレーヌのソーヴィニヨン・ブラン 

 Aperitivo(アペリティーヴォ=食前酒)には、同行した呑み助氏が泡ものを所望し、「白のスティルワインを」とお願いした庄イタに出されたのは、フランス・ロワール地方のソーヴィニヨン・ブラン「L'arpent des Vaudonsラルパン・デ・ヴォドン」。SancerreサンセールでもPouilly-Fumèピュイイ・フュメでもなく、掘り出し物が多いTouraineトゥレーヌの若き造り手である「Domaine Jean-François Mérieauジャン・フランソワ・メリオー」による自然派らしからぬ綺麗でスッキリとした爽やか系。この品種特有の青草の香り(ネコの●シッコの香りとも評される)はごく柔らかな印象。

chablis_jennes.jpg【Photo】2杯目は20年近く口にしていなかったシャブリ

 オードブル1皿目の「ツブ貝とキノコのソテー ブルギニョン風」には、シャブリ最大手の生産組合「La Chablisienneラ・シャブリジェンヌ」の「Chablis la pierrelèeシャブリ・ラ・ピエレレ2011」が出てきました。シャブリと名がつくシャルドネを口にしたのは、遥か以前、ベルギーの首都ブリュッセルでシーフードに定評のある店で、ブロン種の生ガキの相伴としてプルミエ・クリュを飲んで以来。比較的軽めながら、泥灰と石灰岩土壌に由来するシャブリの特徴であるミネラリーで硬質な味わい。どちらかと言えばフローラルな白ワインを嗜む機会が多いゆえ、こうしたタイプは久々。

DSC_0119.jpg【Photo】3杯目。ジュヴレ・シャンベルタン

 オードブル2皿目「桜肉のカルパッチョ 黒ニンニクのシャンティ トリュフの香り」には、ブルゴーニュのGevrey-Chambertinジュヴレ・シャンベルタン。造り手は定評あるDomaine Michel Magnienドメーヌ・ミッシェル・マニャン。名高い特級畑シャルム・シャンベルタン東隣の区画les Seuvreesレ・スーヴレの樹齢40年以上のブドウに用いられる樹齢の高いブドウから醸したVieille Vignes ヴィエイユ・ヴィーニュ2010。鉄っぽい凝縮した果実味が広がるまだ若いヴィンテージであるため、熟成したピノ・ノワールや、タイプが似ているネッビオーロの官能性を備えるには至っておりませんが、内包する酒質の良さは伝わります。

DSC_0121.jpg【Photo】4杯目。ビッグヴィンテージ2006年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ

 メインディッシュは、ほぼレアに火入れされた「黒毛山形牛(A5)サーロインのロティ赤ワインソース」。日本短角種と同様、きめの細かい赤身が魅力のキアーナ牛を分厚く捌き、軽く炭火を通すビステッカが、鉄板の組み合わせとなるブルネッロ・ディ・モンタルチーノが相伴となりました。家族5人で目が届く2.5haの自家畑で、自然農法で栽培するサンジョヴェーゼ・グロッソを収穫後、発酵にはセメントタンクを、熟成には大樽を用いる伝統的な製法を貫く作り手「Il Paradiso di Manfrediイル・パラディーソ・ディ・マンフレディ」。ヴィンテージは良作年の誉れ高き2006年。

 3杯目のジュヴレ・シャンベルタンまでは、5月になっても朝夕は涼しく冷たい雨が降る日が少なくない北緯48度の北フランスを彷徨っている気分でした。しかし、ブルネッロの登場で、アルプスを越えて陽光が降り注ぐ風光明媚な南トスカーナに戻ってきたかのよう。

buonconvento-montalcino.jpg montalcino2003-1.jpg【Photo】シエナからSR2を南下、ブォンコンベントの分岐を右のモンタルチーノ方向へと南下すると、イル・パラディーソ・ディ・マンフレディのエチケッタに描かれた姿そのままの丘陵の上に築かれたモンタルチーノの街が見えてくる(左写真)。やがて現れるのが、このイル・パラディーソ・ディ・マンフレディへの分岐に立つロードサイン。名だたるモンタルチーノの醸造所がズラリ〈click to enlarge

orcia maggio1996.jpg【Photo】モンタルチーノからモンテプルチアーノへ。ワイン好きには外せない名醸地巡りルートとなるSR2沿いのSan Quirico d'Orciaサン・クイリコ・ドルチアにある有名な糸杉の浮島。5月を迎えると緑の色合いを増すオルチア渓谷に咲き乱れる赤いポピーに陽春の日射しが微笑みかける

 ロメオとジュリエットの舞台、ヴェローナにほど近いヴァルポリチェッラ地区における辛口赤ワインの最高位が「Amarone della Valpolicellaアマローネ・デッラ・ヴァルポリッチェラ」。収穫後に陰干ししたコルヴィーナ種を主軸にロンディネッラ種とモリナーラ種を混醸、凝縮した力強さと複雑味を備えた長命かつ個性的なヴィーノとなります。この造り手「L'Arcoラルコ」は柔らかく香り立つ偉大なヴィーノを造り出した故ジュゼッペ・クインタレッリのもとで研鑽を積んだルーカ・フェドリーゴが立ち上げたカンティーナです。

l'arco_amarone.jpg【Photo】5杯目。力強く深みのあるアマローネ・デッラ・ヴァルポリッチェラ

 ラルコのアマローネは、瞑目してグラスを重ねるのに相応しい師匠譲りの奥深さと複雑味を備えています。伝統的なスロヴェニアン・オークの大樽を用いたアマローネの製法にフレンチバリックを導入した「Dal forno Romanoダル・フォルノ・ロマーノ」のパワー路線とは明確に異なるスタイル。プルーンやカカオなどニュアンスを含み、デリケートなヴァルポリッチェラともども、ジンワリとこみ上げてくる出汁のきいたイメージのクインタレッリを愛した庄イタゆえ、そのスタイルを受け継ぐラルコのアマローネは、当然のこと好みです。

 ロワールのソーヴィニヨン・ブランに始まり、スロヴェニアン・オークの大樽を用いるマンフレディとラルコという双璧で頂点に至った感の荒川さんの組み立て。画像はおさえていませんが、パスタも食べたいという連れの希望でオーダーした「ベーコンとパルミジャーノのアマトリチャーナ・スパゲッティーニ」で、お腹の具合もちょうどいい具合に。

 リストランテではエスプレッソで〆る庄イタですが、その前にお願いするのが、Digestivoディジェスティーヴォ(=食後酒)です。イタリア語ではdigerire(=消化する【動詞】)、digestione(=消化【名詞】)と言い、そこから派生した単語でしょう。個性豊かな食後酒となるリキュールがイタリアには多数存在しています。満ち足りた食卓を囲んだ家族や友人との語らいの時間をさらに豊かに演出してくれる食後酒は、スローフード運動を生んだイタリア人、そして庄内系イタリア人にも欠かせないのです。

 さまざまな食後酒が入り乱れて登場する後半戦「Tanti tanti digestivi」に続く。

continua / To be continued.

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Bonne Place ボンヌ・プラス

住:仙台市青葉区一番町4-3-1 2M4・3ビル
Phone:022-211-7702
営:18:00-翌3:00 日曜定休
URL: http://www.espe-rance.com/bonneplace/

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