あるもの探しの旅

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2014/06/29

La porchetta è pronto

ポルケッタ、焼き上がりました。
@仙台勝山館ビュッフェ・デリ仙台三越

 四方を海に囲まれた日本では魚食文化が発達しました。かたや三方を海に囲まれたイタリアにも魚食文化は存在しますが、欧州全体を見渡すと肉食文化が主流。

porchetta.jpg【Photo】仔豚をこんがり丸焼きにした「ポルケッタ」売りの屋台。切り分けてパンに挟んだパニーノなら3.5エウロ(=約490円)のワンコイン感覚。ローマ郊外にて
 

 冷蔵技術が未発達だった時代は、塩蔵や発酵、燻製によって食品の保存性を高める狙いもありました。ラテンのあくなき食に関する欲求は、さまざまな肉を加工した食品をイタリア各地で生みだしてきました。

2003.Otto-3.jpg【Photo】マルケ州セニガッリアのメルカート脇でスィニョーラが店番をしていたポルケッタの屋台(上写真)。空腹ではなかったため、パニーノにはせず、そのままをオーダー。ハーブの香りと適度な塩味が利いたパンチのある味付け。脂身の少ない赤身とパリっとした皮がクセになるおいしさ(下写真)

03.Ottobre-3senigallia.jpg 豚の後ろ足のモモ丸ごと一本を加工する生ハムは「サン・ダニエレ」と「パルマ」が二大看板でしょう。非加熱の生ハムは、モモ肉の「スペック」のほか、首と肩の「コッパ」、稀少で高価な「クラテッロ」、カルボナーラの具となる「グアンチャーレ」など多彩。同様に非加熱のソーセージ「サルスィッチャ」、ミラノのレシピが有名な「サラメ」、バラ肉のベーコンに相当する「パンチェッタ」、肉と脂身を温燻するボローニャ発祥の「モルタデッラ」など、枚挙にいとまがありません。

 首都ローマを擁するラッツィオ州、ペルージャが州都のウンブリア州、アドリア海に面したアンコーナを州都とするマルケ州など、おもに中部イタリアで親しまれる料理が、今回のお題となる「ポルケッタ」です。

本来のポルケッタは、仔豚の丸焼きを指します。ポルケッタは、リストランテやバール、あるいは家庭で食するというよりは、ポルケッタ売りの屋台で売られる気取らない料理です。食べ方はパンに挟んだ「Paninoパニーノ(複数形⇒「Paniniパニーニ」)」がポピュラー。

【Movie】ポルケッタの街として知られるラッツィオ州アリッチャで1940年に創業したLeoni Randolfoにおける伝統製法によるポルケッタ作りの模様

 イタリア半島の先住民族であるエトルリア人の時代まで起源が遡るとする説もありますが、文字を持たなかった民族ゆえ真偽のほどは定かではありません。時代が下って帝政ローマ期にはすでに存在していたポルケッタ。ローマからアッピア街道を下り、ローマ法王の夏の避暑地として知られる丘陵地帯カステッリ・ロマーニにある小さな街、「Aricciaアリッチャ」は、その本場として知られています。

 ローマで気軽に飲める白ワインとして親しまれるのが「Frascatiフラスカーティ」。その産地にほど近いアルバーノ湖対岸にあるアリッチャの街に伝わるレシピで作られるポルケッタは、伝統的な手法に則って限られた地域で生産される食品や農産物に対し、EU欧州連合が定めた商標「I.G.P.(Indicazione Geografica Protetta.=保護指定地域表示」認証を受けています。

shozan_porchetta.jpg【Photo】リストランテ・パドリーノ・デル・ショーザン矢島広之料理長が素材を厳選。仙台勝山館三越店ビュッフェ・デリに新登場したポルケッタ

 I.G.P.指定を受けたアリッチャのポルケッタに用いる仔豚は例外なくメスのみ。屠畜した豚の肋骨や背骨をナイフを使った手作業で取り除いてから、身の内側に塩・黒コショウ・ニンニク・ローズマリーを擦り込みます。時に御頭つきのまま、スノコ状に胴体を巻き、丸ごと大きな串に掛けてじっくりと時間をかけて焼き上げます。皮にはナイフで穴が開けられるため、焼成の間と粗熱が取れる間に、相当量の脂が落ちるため、しつこさを全く感じなくなります。

 「Fraschettaフラスケッタ」と地元で呼ばれる気軽な居酒屋のメニューに欠かせないのが、「Porchetta di Ariccia I.G.P.」。アリッチャでは例年9月を迎える頃、街に通じるローマ時代の水道橋を模して19世紀に造られた3層からなる陸橋Ponte di Ariccia からバロックの天才建築家・彫刻家ベルニーニが設計したキージ宮前の広場にかけて、数多くの屋台が並ぶ「Sagra della Porchettaポルケッタ祭り」が行われ、会場ではパニーノをほおばる人出で賑わいます。
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【Photo】仙台勝山館三越店ビュッフェ・デリでは、ポルケッタを100g前後に切り分け、土曜・日曜のみの週末限定で販売する

 庶民の味、ポルケッタが、仙台三越定禅寺通り館地下1階の「仙台勝山館三越店ビュッフェ・デリ」に6月7日(土)から新登場しました。「リストランテ・パドリーノ・デル・ショーザン」矢島広之料理長が、ウンブリア州ペルージャでの修行時代に慣れ親しんだ本場の味を再現したのだといいます。

 ポルケッタに使用するのは余分な脂が少なくキメ細やかな肉質の「宮城野ポーク」のバラ肉。味付けには、自然豊かなイタリア・サルデーニャ島の天日干し製法で精製される海塩、西東京市にある「ニイクラファーム」のセージやローズマリーなどのハーブ類、青森県田子(たっこ)産ニンニクを使っているのだそう。素材選びには決して妥協しない矢島シェフらしいですね。

shozan-porchetta3.jpg【Photo】バラのような形のローマ伝統のパン「ロゼッタ」風のパンに挟んだ矢島シェフ特製の厚切りポルケッタ。これにカプチーノが加われば、気分はもうローマの休日

 これぞ!!というポルケッタにこれまで出合えなかった仙台で、懐かしいイタリアの味が楽しめるようになりました。今のところ土日週末限定で、テークアウトのみ。刻みタマネギやパセリをオリーブオイルで和えた専用ソース付きで100gあたり648円。日本では入手が難しいチャバッタやロゼッタなどのイタリアパンは無理でも、そのままフォカッチャ系のパンに挟んでパニーノで食べるのが一番かと。

 Buon appetito~♪
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取り扱い:仙台勝山館 三越店(ビュッフェデリ
住: 仙台市青葉区一番町4丁目8−15仙台三越 B1F
Phone(直通): 022-224-2850
営:10:00-19:00 ポルケッタは土日のみ数量限定

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2014/06/21

ゆきむすび 田植え交流会2014 〈後編〉

命の糧を作る人と支える人が、
 かくも美しき山里で座を囲む小昼の楽しみ

ゆきむすび 田植え交流会2014 〈前編〉より続き

 9年目を迎えた鳴子の米プロジェクト。前回はプロジェクトのシンボルであるコメ「ゆきむすび」が、まだ系統名の「東北181号」と呼ばれていた2006年、最初に試験栽培をした3人のひとりである高橋正幸さんのもとに、作り手と支え手が集った交流会前半の田植えの模様をご紹介しました。

nuruyu_onikobe20080611.jpg【Photo】ここ寒湯(ぬるゆ)は、今年の交流会が行われた中川原と岩入(がにゅう)に挟まれた東北181号が初めて試験栽培された地区のひとつ。田植えを終えて間もない6月。水鏡に映るのは、雪解け水や栗駒山系の伏流水の恵みをもたらす山々

 鬼首のコメには、忘れがたい記憶があります。岩手・秋田・宮城の3県にまたがる栗駒山の標高1,126(イイフロ)m地点に乳白色をした強酸性の湯が湧き出でる雲上の名湯、須川温泉から仙台に戻るには、ブナやナラの原生林の間を縫うように進むR398を通ります。須川からは湯浜峠を経て花山湖に向かうのが通常ルート。

1126_former-sukawa.jpg【Photo】岩手・宮城内陸地震で損傷し、取り壊されたのが、「須川高原温泉」の名物だったこの「千人風呂」。一つの源泉の湯量では国内2位となる毎分6,000ℓもの豊富な湯量を活かした大露天風呂「大日湯」のほか、かつて温泉プールだった場所に新たな内湯が設けられ、今も変わらぬ素晴らしい湯をすべて源泉掛け流しで満喫できる

 最大震度6強の揺れが襲ったことで、大規模な山体の崩落が発生するなどして、観光面で今も尾を引く痛手を受けた岩手・宮城内陸地震が発生する4年前の2004年9月末。走り慣れたコースから、山頂付近が色付き始めた栗駒を背にしてカーナビをもとに鬼首・鳴子方面に抜ける通称「鎌内林道」こと県道248号線入ったのは、ちょっとした気まぐれだったように思います。

kamauchi-rindo.jpg【Photo】栗駒の豊かな自然のありようを象徴するブナやナラの原生林を抜け、R398から鳴子・鬼首方面への近道となる鎌内林道。比較的フラットなダート路の先には予期せぬ光景が待ち受けていた

 当時は前輪に225/45R、後輪に245/40R17の扁平タイヤを装着した足回りが固く車高の低い車でしたが、ダート道とはいえ路面の凹凸は少なく、通過に手こずることはありません。山中を速度を上げずに進むことしばし。ほの暗い森を抜け、突然視界が開けました。そこには、頭を垂れた稲穂が夕陽を受けて輝く田んぼが、道に沿った狭い平地に開かれていました。

 「こんな山奥でコメ作りをしているなんて...。」鬱蒼とした森の中を進む 山道を下ってきた後だっただけに、より一層、驚きと畏敬の念を抱かせる光景が私の目の前にありました。やがて人家も現れたそこは鬼首岩入(がにゅう)地区。そう、それから4年の時を経て「ゆきむすび」と後に名付けられるコメ、東北181号が初めて植えつけられた地だったのです。

fiori-onikobe-2014.5.25.jpg【Photo】コメ作りをやめた耕作放棄地に搾油のため植えられた菜の花が、大地を鮮やかな黄色に染める。ミツバチやクマバチが蜜を求めて舞う一角で、小昼の準備をする生産農家など事務局メンバー

 
 鳴子の米プロジェクトは、消費者が安心して食せる冷害に強いコメを、米価低迷にあえぐ農家が、継続して作ってゆける手取り額を確保しようとする試みです。そのため相互の信頼と顔が見える関係性を重んじています。農器具の調達・維持などの必要経費を差し引いた金額が、米作農家に毎年渡るよう、1俵あたりの農家の手取り額18,000円を保証する60kg24,000円で消費者が買い支えることが肝要。

 長期凋落傾向から一転、東日本大震災後のコメ不足から、米価に幾分持ち直しの機運がありました。しかしながら、長びくデフレで生活者の価格志向は否応なく強まりました。そのため、5kg2300円超の高値を維持してきたコシヒカリなどの銘柄米を敬遠し、9割近くを米国やカナダ・豪州産の輸入に頼る小麦を原料とするパンや麺類に乗り換えることで生活防衛に走った都市生活者は少なくありません。

yamaga-shun-ichi2014.jpg【Photo】「山が旬の市」を運営するお母さんたちが持ち寄った地場産品を買い求める交流会参加者

 干ばつや洪水被害などの異常気象が地球規模で頻発する昨今。市場原理で動く食料、わけても主食となる穀物を安定して供給することは、安全保障上からも、国の根幹をなす1丁目1番地の課題。国が飢えては高品質な自動車や精密機器は輸出できません。日本の主食であるコメ離れは耕作放棄地を広げる大きな要因です。生産農家の高齢化が著しい鬼首もその例外ではありません。コメ作りをやめた農地は荒れ放題となり、耕作適地として復活させるには、膨大な手間が必要となります。

 
 庄イタが交流会に参加する一番の目的は、水稲の栽培環境としては厳しい山あいにある鬼首で、作り手の皆さんと農作業を共にする機会であること。これは、ともすると、コメの銘柄や産地や食味の優劣にばかり目が行きがちな都市生活者にとって、血となり肉となる大切な命の糧を育む尊い仕事を人任せにする、いわば他人ごとから、我がこととして実感する契機ともなるはずです。

kobiru-2014.5.jpg【Photo】力を合わせてともに田植えを終えた作り手と支え手、そして小昼を用意して下さったお母さんたちによる交流会恒例の自己紹介タイム

 交流会の大きな楽しみが、作業を終えた皆で座を囲み、農家のお母さんの手料理を食する「小昼(こびる)」の時間です。梅雨の走りを感じさせる曇天のもとで交流会が行われたこの日。鬼首は変わりやすい山の気候ゆえ、2009年に参加した時と同じく屋内での小昼の方が無難との声も上がったそうです。それでも見ごろを迎えた菜の花畑で食事を共にした方が、より美味しかろうということで、予定通り屋外での小昼となったとのこと。

 気まぐれな山の天気をも味方につけ、そんな懸念をも吹き飛ばす心掛けのよいメンバーが、この日は揃ったようです。その何よりの証拠に、花盛りの菜の花に囲まれた小昼は、雨に降られることもなく、和やかな笑顔に満ちたひと時となりました。

kobiru1-2014.5.jpg【Photo】さまざまに工夫を凝らして味付けされ、おむすびのために作られた専用の木桶に盛り付けされたゆきむすびのおにぎり

 小昼の場としてご用意頂いたのは、山あいを見渡す限り黄色に染める菜の花畑に囲まれた一角。そこに地場産品を扱う産直「やまが旬の市」を運営するお母さんたちが用意して下さった山の幸を使った手料理と、鬼首在住の県内で唯一の桶職人、金田孝一さんの手になる桶に入ったゆきむすびのおむすびが運ばれて来ました。いつもながら、食べてしまうのが勿体ないほど美しく盛り付けられたおむすびの数々。

kobiru2-2014.5.jpg【Photo】麹南蛮味噌焼おにぎりの付け合わせとしてピカ一の美味しさだったのが、甘口味噌で味付けされたタケノコの水煮。味噌づかいが文字通りミソとなって素材の旨味が増幅。素朴ながらも滋味深い味わい

 プロジェクト発足当時は、大崎市鳴子総合支所に勤務し、本庁勤務となった今も世話役として活躍する安部祐輝さんの進行で小昼が始まりました。上野健夫理事長のご挨拶から、今年の田植え交流会が行われた水田の持ち主である高橋正幸さんまで、恒例の作り手・支え手相互の自己紹介から。飾らない笑いの輪が広がってゆきます。こんな互いに顔の見える近しい関係が、多くの共感を呼んだ鳴子の米プロジェクトを支えています。

yukimusubi-doburoku.jpg【Photo】発酵食造りが盛んな「ふつふつ共和国」を標榜する大崎市の面目躍如。ゆきむすびで仕込んだ「ゆきむすび 鬼のどぶろく」(alc.12%~13%未満/ 容量:300ml/ 750円)

 緑が目にも鮮やかなハウチワカエデやツバキが彩りを添えるおむすびは、王道の梅干し海苔のほか、麹南蛮味噌焼おにぎりに加え、きなこ、ショウガといった味付けも。地域に活力と潤いを与えたコメの美味しさを、さまざまな具材と組み合わせて表現すお母さんたちの創意工夫には感心するばかり。でんぷん質の粘性が高い低アミロース米、ゆきむすびのモチモチした食感は、ご飯が冷たくなった弁当やおにぎりでも、作り手の熱い思いと同様に美味しさが失われることはありません。

 もうひとつ交流会で庄イタが楽しみにしているのが、ゆきむすびで仕込んだどぶろく。それが目当てで、プロジェクト事務局が用意した温泉街から出るマイクロバスを利用したのです。作り手の席には一升瓶も登場し、そこだけは農作業後の軽い食事を意味する小昼というより、田植えを終えた謝意を田の神に捧げる祝宴「早苗饗(さなぶり)」さながらの盛り上がり。

onokobe-kagura2014.5.jpg【Photo】興が乗るまま、郷土の伝統芸能「鬼首神楽」の一節をご披露頂いた鳴子の米プロジェクト作り手部会長の後藤錦信さんは、大正期に発足した歴史ある鬼首神楽保存会の会長でもある

 濃醇なコメの旨味が凝縮したどぶろくの酔いも手伝って、ほんのりと赤らんだ顔もちらほら。初めのうちは「神前以外では、おいそれとはお披露目しないんだよ」と言っていたのが作り手部会長の後藤錦信さん。やがて求めに応じ、独特の言い回しによる伝統郷土芸能「鬼首神楽」の一節を披露して下さいました。

 宴たけなわ座が盛り上がったところで、そろそろお開きの時間です。

 秋には稲刈り交流会と、天日干し作業の補助を行う杭掛け交流会が実施されます。実りの季節の再会を誓って散会となりました。9種類の多彩な泉質の温泉が湧く鳴子温泉郷の名湯で骨休めしてから家路へと就いたためか、翌日以降も筋肉痛が全く残らなかったこと。そして産直「山が旬の市」のお母さんたち手作りの産品と地場野菜が荷台に積まれた軽トラックの移動販売で購入したキノコと山菜の和え物が、極めて美味であったことを申し添えておきます。
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特定非営利活動法人 鳴子の米プロジェクト事務局
住:宮城県大崎市鳴子温泉字要害字馬場3-3
Phone:0229-29-9436(土・日・祝日を除く平日9時~16時)
Mail:komepro181@yahoo.co.jp

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2014/06/08

ゆきむすび 田植え交流会2014 〈前編〉

9年目を迎えた鳴子の米プロジェクト

 北海道を除いて全国的に梅雨の季節を迎えました。農作物には恵みの雨でも、当分うっとうしい日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

kobiru_2009.5.jpg【Photo】庄イタが直近で田植え交流会に参加したのが2009年。雨中で行われた田植えの後、地区の集会所に場所を移して行われた小昼(こびる)で挨拶に立つ今は亡き曽根清さん(写真左上)

 二十四節季で穂のなる穀物の種をまく頃を意味する「芒種」を過ぎました。平年比で1週間ほど早く入梅を迎える直前の5月25日(日)、宮城県大崎市鳴子で、NPO法人「鳴子の米プロジェクト」主催による田植え交流会が催されました。プロジェクトがスタートして2年後の2008年、稲刈り交流会から参加した庄イタ。2009年の田植えに参加して以来、交流会には5年ぶりの参加となりました。

kobiru2_2009.5.jpg【Photo】2009年田植え交流会より。参加者のために鬼首在住の県内唯一の桶作り名人お手製の桶に盛られ用意されたのは、食べてしまうのが勿体ないようなお母さんたち手作りのおむすびや漬物、そして特製どぶろく。モチモチした食感が冷めても失われないゆきむすびの味に感謝感激

 2009年は稲刈りにも参加。翌年は都合がつかず、やむなく不参加。震災が発生した2011年以降は、以前にも増して多忙となり、交流会には久しく参加できずにいました。

nakagawara2014.5-2onikobe.jpg【Photo】今年の田植え交流会が行われた大崎市鳴子温泉鬼首中川原地区では、菜種油を採取するため休耕田に植え付けた菜の花が、一面に咲き揃って参加者を出迎えてくれた

 輸入頼みの小麦を原料とするパン食が普及し、余剰米を抱える中で長年維持してきた減反廃止を打ち出したニッポンのコメ作り。経済界の後押しを受けてTPPを推進する政府は、農業経営の大規模化によって活路を見出そうとしています。そうした画一的な発想を当てはめるのが土台無理な条件下にある中山間地での持続可能な稲作に希望の光を当てたのが「鳴子の米プロジェクト」です。

 寒冷な中山間地でも作付可能な耐寒性を備えた食味の優れた品種として、古川農業試験場で開発された低アミロース米「東北181号」を、大崎市鳴子でも最も奥地にある鬼首(おにこうべ)で、3人の農家が試験的に栽培をしたのが、地域に希望を与えた物語の発端です。

nakagawara2014.5-1onikobe.jpg【Photo】国道398号線に抜ける県道248号線が開通する以前、さらに奥地の岩入(がにゅう)地区へと続く旧道沿いに集落が築かれ、山の豊かな雪解け水や湧水を引いてコメ作りが行われてきた中川原地区

 2007年に「ゆきむすび」と名付けられたこのコメの作り手と食べ手が、相互に支え合う関係構築のため、総合プロデューサーに民俗研究家の結城登美雄氏を迎えて発足したプロジェクトでは、田植えや稲刈り、杭掛けといった農作業に購入実績のある顧客を中心に参加を呼び掛けて相互交流を進めてきました。

shigetoshi-takahashi2014.5.jpg【Photo】9年前、ゆきむすびレジェンドが誕生したご自身の水田を前に手植えのコツを説明する高橋正幸さん

 それは日本人の主食であるコメ作りが、いかなる所で、どんな人たちが作っているかを都市生活者に知ってもらうことで、他人任せの人ごとではなく、我がこととして食べ物の大切さを知ってもらいたいという願いあってこそ。人間にとって最も根源的な食する行為を介して結ばれた人と人が、農作業を通して信頼を深め、強い絆を結ぶ場に我がこととして立ち会うため、庄イタも交流会には可能な限り家族を伴って参加してきました。

ueno-takeo2014.5.jpg【Photo】NPO法人鳴子の米プロジェクトの理事長を務める上野健夫さんも、参加者と共にゆきむすびを植え付けた

 寒湯(ぬるゆ)集落の高橋繁俊さんの水田に場所を移した昨年から、交流会を行う水田が毎年変わる方針が打ち出されています。そのため、5年前に交流会でお邪魔した岩入(がにゅう)地区の後藤錦信(かねのぶ)さんの水田から、今年は中川原地区の高橋正幸さんのもとでの交流会となりました。高橋正幸さんは、9年前にゆきむすびという名前が付けられる前の東北181号を試験栽培した岩入の曽根清さん(故人)、昨年の交流会が行われた高橋繁俊さんら、3人のうちの一人です。

taue2-narugo2014.5.jpg【Photo】のぼり旗に記された「つくる人と食べる人がつながり合い、みんなの力で地域の農を守りたい」という鳴子の米プロジェクトの理念通り、力を合わせて田植えを行う作り手と食べ手

 日中の最高気温が28℃にまで達するという天気予報が出ていた交流会当日。午前10時過ぎに鳴子公民館前に集合、プロジェクト事務局が用意したマイクロバスで中川原地区へと向かいました。鳴子の温泉街から鬼首までは、荒雄川を鳴子ダムでせき止めた人造湖である荒雄湖を左手に見ながら、カーブの続く道を30分ほど山あいへと入って行かなくてはなりません。ちょうど見ごろを迎えていた菜の花畑に囲まれた鬼首でバスを降りると、曇りの空模様のせいか、少しひんやり感じるほど。そこは紛れもない山あいの気候でした。

taue1-narugo2014.5.jpg【Photo】大人たちに交じって素足で水田に入った小さな男の子も、時折飛び入り参加するカエルと戯れながら一生懸命に田植えを行った

 冒頭、上野健夫理事長がご挨拶され、まだご自身の田植えを終えていないという作り手部会長の後藤錦信さん、そして水田の持ち主である高橋正幸さんの順にプロジェクトの作り手3名がご挨拶に立たれました。古川農業試験場で品種開発に携わった総括研究員永野邦明さんほか、仙台や東京などから参加した18名が、作り手の方たちと一緒に田植えをする5アールの水田は、9年前に初めて東北181号を植え付けした場所。そこには前もって木製の大きな熊手のような「タカサゴ」(⇒「梶棒」「ワク」「条板」など地方や農家によって用いる農具が異なる)」で線が引かれており、線に沿って3~4株づつ苗を手植えするよう高橋さんからご指示がありました。

taue3-onikob.jpg【Photo】写真奥から手前に向かってまっすぐ植えていたつもりが...。写真中央の4列が庄イタが植えた苗。長靴をはいた足元を深みにとられた参加者が悪戦苦闘するうち、次第に水が濁り始め、最初は真っすぐだった列が怪しくなる場所も。後日、高橋さんが植え直しをしたかも(^^;)

 カエルの合唱を聞きながら泥と格闘することおよそ1時間。長靴の泥を小川の清水で洗い流しました。心地よい汗を流して働いた後は、庄イタにとっては何よりの交流会の楽しみである農作業を終えた後の軽食タイム「小昼(こびる)」が始まります。その模様は、次回「ゆきむすび田植え交流会2014 〈後編〉」にて。
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特定非営利活動法人 鳴子の米プロジェクト事務局
住:宮城県大崎市鳴子温泉字要害字馬場3-3
Phone:0229-29-9436(土・日・祝日を除く平日9時~16時)
Mail:komepro181@yahoo.co.jp
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