あるもの探しの旅

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沖田ナス&ヴィーノ。アッビナメント検証は続く。

揺るがぬサンジョヴェーゼ優位。そして
オルチャ渓谷にひっそりと佇む修道院への追慕


1-DSCF4090.jpg 「沖田ナスにはキアンティ・クラシコ」で、意外な好相性を発見した沖田ナスとキアンティ・クラシコ・リゼルヴァ。フルーツタウン櫛引・西荒屋での大玉ブドウ狩りの道すがら、産直「あさひ・グー」で買い求めた沖田ナスの自家製浅漬けが出来上がったので、今回は目先を変えてキアンティ・クラシコの骨格を成すサンジョヴェーゼ(グロッソ)と国際品種を混醸したトスカーナ産ヴィーノ・ロッソを取り出して組み合わせを試してみました。

【photo】沖田ナス自家製浅漬けとヴィーノとのアッビナメント第2ラウンドは、メルロ+カベルネ・ソーヴィニョン+シラーをメインに、15%程度のサンジョヴェーゼ・グロッソを混醸したヴィーノ・ロッソ「サンタンティモ・ロッソ」で検証。その相性やいかに

 Taverna Carloのセラーから取り出したるは、DOCG(統制保証原産地呼称)「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」のエリア内で栽培されたメルロ、カベルネ・ソーヴィニョン、シラーに樹齢の若いサンジョヴェーゼ・グロッソを加えて醸すヴィーノに対して1996年に新たに誕生したDOC(統制原産地呼称)「Sant'Antimoサンタンティモ」ロッソ。

fanti-brunello97-.jpg【photo】19世紀初頭から醸造所を所有するファンティ家。長期熟成のポテンシャルを秘めたブルネッロ・ディ・モンタルチーノ1997には手を触れず、ブドウとオリーブが育つ畑からはロマネスク様式の鐘楼を望むことができる修道院の名にちなんで名付けられた「サンタンティモ」のロッソ2004を抜栓

 造り手は「Tenuta Fanti テヌータ・ファンティ」。世紀のヴィンテージとセンセーションを引き起こした1997年産のブルネッロ・ディ・モンタルチーノが、ブラインドテイスティングにより20点満点で評価を行うワイン評価本L'Espresso「Vini d'Italia2003年版」で、イタリア全土の赤ワインで第3位に当たる17.5点のハイスコアを叩き出して一躍注目されました。

 評価対象となった14,000本の頂点となる19ポイントはモンテプルチアーノの雄「Avignonesiアヴィニョネジ」ヴィン・サント1992。375mℓ瓶でわずか2,995本しか生産されなかった稀少な1本と共に、Taverna Carloのセラーで眠りにつく世評高きブルネッロ・ディ・モンタルチーノ'97。こうしたお宝には手を付けず、沖田ナス浅漬けとのアッビナメント第2幕は、キアンティ・クラシコとはタイプが異なり国際品種を85%使用したサンタンティモ・ロッソに相伴を委ねました。

etichetta-santimo.jpg【photo】ブルネッロを含めて現在はモダンなデザインに変更されたファンティのヴィーノ。「サンタンティモ・ロッソ」2004年のエチケッタには、糸杉とロマネスクの鐘楼を備えた修道院が描かれる

 その結果は、メルロ+カベルネ・ソーヴィニョン+シラーがメインで、樹齢の若いサンジョヴェーゼの割合が15%に満たないサンタンティモ・ロッソでは、沖田ナスとの相性は今ひとつ。これは国際品種にはないサンジョヴェーゼの大きな美点である良質な酸味がベースにあるキアンティ・クラシコでは、ほのかな沖田ナスの甘味と青みがかった香りとが重なって見事に調和するということ。沖田ナスとの相性では、サンジョヴェーゼの優位は揺るぎのないものでした。

 ゲルマン的な秩序とは対極の自由(⇒無秩序ともいう)を好むイタリア人を法律の縛りから開放すると、いかに素晴らしい仕事をするかを立証した「スーパー・トスカーナ」と比べ、国際品種メインでありながら若干おとなしい印象のサンタンティモ・ロッソ。今回、庄イタの印象に残ったのは、ヴィーノと沖田ナスの組み合わせの妙ではなくヴィーノのエチケッタ。そこには1本の糸杉と聖堂が描かれています。サンタンティモという名前といい、描かれた聖堂といい、その絵には心当たりがありました。

 イタリアきっての名醸地といえば、ピエモンテとトスカーナが互いに譲らぬ頂点を競います。イタリア全土で50番目となる世界遺産に今年認定されたのが、我が郷里「ピエモンテの葡萄畑の景観:ランゲ・ロエロ・モンフェラート」。万年雪を頂くアルプスの山並みを見はるかすブドウ畑の丘陵が広がるランゲ地方から比べれば、前回取り上げたフィレンツェの南に広がるキアンティ・クラシコのエリアは、「Collinaコッリーナ」と呼ばれる標高500m前後の小山の連なりと表現したほうがしっくりきます。

Monticchiello_Pienza.jpg【photo】世界文化遺産オルチャ渓谷。16世紀中葉のローマ教皇パウルス3世が偏愛した「Vino nobile=高貴なワイン」という名の歴史あるワインを産出するモンテプルチアーノとピエンツァ間にある村、モンティッキエーロに向かう糸杉の道(上写真)

 トスカーナの田園風景といっても、その姿は多様。オリーブとブドウの畑が山あいの森の間にパッチワーク状に点在するキアンティ・クラシコエリアからシエナを越えて南下すると、道沿いに列をなす糸杉が風景のアクセントとなる見渡す限りの牧草地が広がる世界文化遺産オルチャ渓谷へと至ります。

penza_vista2006.jpg【photo】当Viaggio al Mondo が参加している人気ブログランキングのアイコン画像として使っているのが、モンティッキエーロのすぐ北にある小さな礼拝堂。遥か地平から昇る朝日を受けて輝く霧がたなびく早朝、そこでは息をのむこんな光景と出合える

 360度の視界が開けるそこは、どこを切り取ってもそのままポストカードになりそう。太古は海の底にあり、塩分を含む土壌ゆえ13世紀までは不毛の地だったオルチャ。人々は700年あまりの時をかけ、荒野を絵のように美しい牧草地や耕作地に変えたのです。

1-Sant Antimo.jpg【photo】19世紀に誕生した銘酒Brunelloブルネッロの産地、モンタルチーノ中心部から南へ8キロあまり。12世紀の華美な装飾を排したロマネスク様式の聖堂には、グレゴリオ聖歌が響き、白衣姿の修道士が静かな祈りを捧げる〈clicca qui

 名醸地モンタルチーノの誇りであるブルネッロをグラスで試飲しながら購入できる「Enoteca La Fortezza」と地元っ子が多いトラットリアでモンタルチーノの夜を堪能した翌朝。宿を早めに引き払い、霧に包まれた道をFIAT PUNTOで南に向かいました。目ざすはモンタルチーノのチェントロから8キロほど離れた「Sant'Antimoサンタンティモ」の村はずれにある12世紀なかばに完成したロマネスク様式の美しい聖堂を備えた「Abbazia di Sant'Antimoサンタンティモ修道院」。

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【photo】明るい白石灰岩造りの聖堂の入口やファサードは未完。入口の壁面を支える左側の円柱では、頭が一つ、体が二つの化けネコ(?)が愛嬌たっぷりにお出迎え(右写真)聖堂の身廊部。ロマネスク様式の柱に光が射す(左写真)

 今回開けたサンタンティモ・ロッソの造り手、テヌータ・ファンティの醸造所前を通り過ぎると、谷間の草原とブドウ畑の中に建つ白亜のサンタンティモ聖堂が見えてきます。聖堂に隣接した修道院では、修道士たちが神への祈りを捧げる日々を送っています。

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【photo】時代が下って登場するゴシックやバロック・ロココの華美さとは無縁のロマネスク様式の聖堂内部。イタリア版の"陰翳礼賛"と呼ぶべき光と影が劇的な対比効果を生みだす聖堂を静謐が支配する

 後陣や身廊上部に穿たれた窓からは、朝日が光の筋となって聖堂内部に射してきます。そこでは朝の祈祷を終えた修道士たちが修道院に引き揚げるところでした。やがて人気(ひとけ)の無くなった聖堂内部は静寂を取り戻し、13世紀の素朴なキリスト磔刑像としばしの間、向き合うことができました。
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