あるもの探しの旅

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2014/10/25

秋点描2014 福島・裏磐梯

色彩溢れる季節。 うつくしま ふくしまPART2
@裏磐梯・五色沼(副題:色気より食い気)編

 
 10月末から11月初旬にかけてR115土湯峠を福島市から猪苗代側に越えると、沿道のカラマツが陽を浴びて黄金色に輝く素晴らしい光景が待っています。「磐梯吾妻スカイライン」で、すがすがしい秋の空気を胸いっぱいに吸い込み、次々と登場する絶景を目に焼き付け、心ゆくまで秋を満喫したため、昼食の時間が押していました。

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【Photo】福島県猪苗代町「クッチィーナ・インコントラ」秋のある日のCランチ(アンティパスティ・ミスティ、プリモ、セコンド、ドルチェ、エスプレッソほかドリンク/3200円)。今年3月に訪れ、鮮烈な印象を残した大阪北区曽根崎のワインバー「カンティネッタ・バルベーラ」の厨房を東日本大震災発生当時に預かっていた平山真吾シェフ(同店の森勝寛マネージャーは、「イタリアワイン普及協会」発起人やチャリティワイン会「カンサイータリー」代表を務め、311被災地の復興支援に尽力中m(_ _)m)。風評被害で観光客が減少した郷里のため、実家が営むペンション「あるぱいんロッジ」内に開業、今年8月に1周年を迎えた。Complimenti Shingo! Forza bella Fukushima!!

 昨年秋に訪れた猪苗代町のイタリアン「Cucina Incontra クッチィーナ・インコントラ)」に時間があれば行きたかったのですが、同行した娘が「お腹へった~」と訴えるため、「中津川渓谷レストハウス」に駆け込みました。"郷に入っては郷に従え"を身上とする庄イタが注文したのは、会津地域ではポピュラーな「ソースかつ丼」。つゆだくソースの味付けが濃い目で、ちょっと喉が渇きました(笑)。

sauce katsudon-nakatsugawa.jpg【Photo】再訪を目論んでいたクッチィーナ・インコントラでの自家製の有機野菜やベリー類を取り入れた猪苗代イタリアンとの出合い(=伊語Incontra)は結局果たせず。空腹には勝てず(-▽-)、やむなく中津川レストハウスで食したのは、全く方向性が異なるコチラ(950円)...。う~む。

 気を取り直して色付き始めた木々に囲まれた散策路へ。ドングリが散りばめられた遊歩道を10分弱下ると、渓流の瀬音が聞こえてきます。上記動画でマイナスイオンのお裾分けをどうぞ。

lago-onogawa2014.jpg【Photo】冬季は氷結し、ワカサギ釣りのメッカとなる小野川湖。周囲の山々が上の方から次第に色づき始めていた〈click to enlage

 秋元湖から先が、昨年7月から恒久無料開放となった「磐梯吾妻レークライン」。小野川湖を経て訪れたのは五色沼の自然探勝路。

bihsamon2014.jpg【Photo】山麓に大きな惨禍をもたらした磐梯山の噴火から126年。多くの観光客を惹き付けてやまない水と森が織りなす美景が魅力の五色沼。最も大きな毘沙門沼には貸しボートも〈click to enlage

 五色沼とは点在する湖沼群の総称。その東端に位置し、最も大きく駐車場に隣接する毘沙門沼ほか、赤沼・青沼・瑠璃沼・弁天沼・深泥(みどろ)沼など、さまざまに表情が異なる小湖沼が全長3.7kmの遊歩道に沿って次々と現れます。

benten1numa2014.jpg【Photo】青い森の中でひっそりと静まりかえった弁天沼はエメラルドグリーンの水鏡と化し、岸辺のヨシが微妙な色合いの変化を見せる〈click to enlage

 1888年(明治21)7月15日、数回に渡って噴火した磐梯山は、大規模な水蒸気爆発による山体崩壊を引き起こします【*参考】。北麓を襲った大量の土砂は住民477人の命を奪い、谷を埋め、川を堰き止めました。その結果、大小300ほどの湖沼群が裏磐梯地域に出現。現在のような変化に富んだ美しい景観が生まれました。

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【Photo】抜けるような青空や瑠璃色の湖面と深まりゆく秋の色との美しいコントラストを描き出す秋の裏磐梯

 水底の土壌や湧水の混入具合、植生の違い、天候や季節、時間帯など、さまざまな要素の組み合わせによって、同じ沼でも、色合いや表情を大きく変わるのだといいます。この日、特に印象に残ったのが五色沼では二番目に大きな弁天沼。岸辺のヨシと背景の針葉樹が青と緑のグラデーションを湖面に描いてみせてくれました。

benten2numa2014.jpg【Photo】日本画壇に足跡を残した東山魁夷画伯の代表作「緑響く」を意識した一枚〈click to enlage

 家路に就く前に土湯温泉に寄ってから、五穀豊穣への感謝を神に捧げる稲荷神社の例大祭で盛り上がる福島駅前に。法被や晒し姿の女性たちを乗せた23台の連山車が祭囃子が響く駅前通りに繰り出し、市民たちの熱気で溢れていました。

inari-reitaisai2014.jpg【Photo】自然美に圧倒され続けた秋の一日の締めくくりは、福島市民が心待ちにする秋の宵祭りの人為の美しさに心打たれた

 その足で向かったのは、すぐ近くで開催されていた「世界の屋台」という催し。目指す屋台は「Osteria delle Gioie オステリア・デッレ・ジョイエ」。以前アップした「ビジュアル系インパナータ」では、店名を伏せてアップしましたが、昨年の「ワイン・ヴァン・ヴィーノフクシマ」以降、抜きん出た梅田勝実シェフの料理にすっかり魅了されている庄イタなのです。

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【Photo】福島市「Osteria delle Gioie オステリア・デッレ・ジョイエ」ある日のテーブルより。11月。トスカーナ風アンティパスティ・ミスティ(左上)、5月。サクラエビと春キャベツのスパゲッティ(右上)、3月。駿河湾のシラスと今時期のルッコラのスパゲッティ・パン粉とともに(左下)、10月。肉汁への誘い再び。ジューシーな秋のサルティンボッカ(右下)

 なれど、その日は福島市の名物B級グルメ、円盤餃子を食べたいという家族の求めに応じ、飯坂温泉に本店がある「餃子照井 南矢野目店」で軽く腹ごしらえを済ませていました。

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【Photo】「世界の屋台」会場でのオステリア・デッレ・ジョイエ。「サン・ジェルヴァジオ」の珠玉の食後酒「ヴィンサント・レチナイオ」を店頭で発見、「これも持ち帰りで」と口走り、スィニョーラ・ウメダに呆れられる庄イタなのだった(左)、会場で食したのはイタリア産のポークを使った本格的なポルケッタ。旨し(右)

 そのため催し物会場で食したのはシェフお手製「ポルケッタ」だけ。しかも家族サービスに徹したこの日。開店4周年の振るまい酒、IL VEI Rossoの相伴に預かる家人を横目に、帰路の運転のためにヴィーノはぐっと我慢(T_T)。

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【Photo】フィレンツェのドゥオーモの屋根瓦に使われている素焼の陶器の一大産地であるインプルネータ近郊に醸造所がある「Lanciolaランチオーラ」。キアンティ・クラシコ・エリアにもブドウ畑があるが、これは醸造所に隣接したキアンティ・コッリ・フィオレンティーニ・ゾーンのブドウから醸し、法定熟成期間26カ月を経てリリースされ、10年以上に及ぶ長期熟成をするリゼルヴァ(左)、夏山冬里で育つ健全な岩手山形村短角牛ポルペッテと豚サルシッチャのトマト煮込み(右)

 野菜と肉の旨味と滋味に満ちた「岩手山形村短角牛ポルペッテと豚サルシッチャのトマト煮込み」は、フィレンツェの南郊外に醸造所がある「Lanciola ランチオラ」の「Chianti colli Fiorentini Riserva キアンティ・コッリ・フィオレンティーニ・リゼルヴァ2003」を相伴に自宅で頂きました。

 食い気抜きで錦秋の福島を格調高くお伝えした前編から一転。やはり色気より食い気優先のレポートとなった後半。存分に食欲の秋も満喫できました。また行こうっと。
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◆ クッチィーナ・インコントラ
 住:福島県耶麻郡猪苗代町字土町38 あるぱいんロッジ内
 Phone:0242-62-3350
 営:昼/11:30~14:00L.O. 火曜定休(祝日の場合翌日)
      1200円(平日のみ),1800円,3200円
   夜/ 完全予約制 4500円より。委細応相談
 URL:http://www.alpinelodge.jp/index.html

◆ Osteria delle Gioie オステリア・デッレ・ジョイエ
 住:福島県福島市黒岩字堂ノ後22-1
 Phone:024-529-6656
 営:11:30~14:00(L.O) 18:00~20:30(L.O) 水曜、第2・第4火曜定休

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2014/10/19

秋点描2014 福島・吾妻連峰

 興味・関心が赴くまま、"狭くディープに"をポリシーに綴る「Viaggio al Mondo~あるもん探しの旅」。今回は珍しく写真メーンのビジュアル系の内容です。

色彩溢れる季節。 うつくしま ふくしまPART1
@磐梯吾妻スカイライン編

 標高の高い山からは初冠雪の便りが届くようになり、季節が日本列島を北から南へ急ぎ足で駆け下っています。山肌が色付く季節の移ろいと福島の美味を求め、紅葉の見頃を迎えた吾妻連峰から裏磐梯エリアまで足を延ばしてきました。

 東北自動車道の福島飯坂ICを下車。目指すは観光果樹園の店頭に和ナシと一緒にリンゴが並び始め、秋の深まりを感じるフルーツラインの先に続く山岳観光道路「磐梯吾妻スカイライン」。

azuma-1.jpg【Photo】彩り豊かな季節を迎えた磐梯吾妻スカイラインの紅葉。庄イタが訪れた12日から1週間を経た現在、「浄土平」と「双竜の辻」付近はすでに落葉。「天狗の庭」や「天風境」が色あせ始め。見頃は高湯温泉周辺と吾妻スキー場周辺〈click to enlage

そこは作家・井上靖が命名した景勝地「吾妻八景」をはじめとする太古からの火山活動が創り上げたダイナミックで変化に富む展望が開ける風光明媚な観光ルートです。

azuma-3.jpg【Photo】視界の利かない雲を抜けると、季節の贈り物の素晴らしい光景が待っていた吾妻八景のひとつ「天狗の庭」。正面奥が吾妻小富士の北斜面〈click to enlage

 磐梯吾妻スカイラインは、東日本大震災が発生した2011年から、風評対策として時限措置的に無料開放されてきました。昨年7月からは近郊の有料道路「磐梯吾妻レークライン」「磐梯山ゴールドライン」ともども、恒久的な無料開放に移行しています。
 
azuma-2.jpg【Photo】天狗の庭から振り返る景勝地・吾妻八景「つばくろ谷」や「白樺の峰」は雲海の中〈click to enlage

 全長29kmの磐梯吾妻スカイライン沿道と近郊には、土湯・高湯・飯坂など、多くの温泉地や果樹園が点在します。「日本の道100選」に選ばれる福島を代表する観光道路だけに、紅葉の見ごろを迎え、好天に恵まれた10月12日(日)は、休日とあって関東圏を含む数多くの自動車やバイクで賑わっていました。

azuma-4.jpg【Photo】火山性ガスや土壌の影響で岩肌がむき出しの一切経山。浄土平へと向かう磐梯吾妻スカイライン〈click to enlage

 最高地点が標高1,620mを通る山岳道路には、前日猪苗代で開催された「CYCLE AID JAPAN 2014 in 郡山 ツール・ド・猪苗代湖」の参加者と思われる本格的なロードバイクで駆るタフなヒルクライマーの姿もちらほら。

azuma-5.jpg【Photo】紅葉の盛りを迎えた「天風境」。高山(たかやま)の中腹、切り立った岩肌を流れ落ちる「幕滝」をお見逃しなく〈click to enlage

 標高750mの高原地帯に乳白色の硫黄泉が湧く高湯温泉を過ぎた頃から、次第に山岳特有のガスがかかり、視界が遮られてきました。北から南へ蔵王連峰と福島盆地、霊山から安達太良までの展望が眼下に開けるはずの吾妻八景「白樺の峰」と「つばくろ谷」は文字通りの五里霧中。

 それが吾妻小富士(1707m)の北斜面と浄土平を見上げる吾妻八景「天狗の庭」の手前で、天上界へと至ったかのように眼下に雲海が広がる素晴らしい視界が開けてきたのです。

azuma-6.jpg【Photo】紅葉の盛りを迎えた「磐梯吾妻スカイライン」。色付いた木々が葉を落とし、山が冬の装いに変わる11月中旬には冬季閉鎖となり、長い冬籠りを迎える。森羅万象、美しさは時に移ろいやすく、そして儚い

 ビジターセンターやレストハウスが整備された天上界ならぬ吾妻八景「浄土平」から吾妻小富士の噴火口までは徒歩で10分弱の道のり。対峙する一切経山(1949m)の山肌からは白い噴煙が上ってゆきます。荒々しい岩肌をさらすカルデラにあるレストハウス前の浄土平駐車場を過ぎると、それまでの茜色と黄色を基調とする錦絵の世界が、アオモリトドマツや植生の北限となるシラビソなどの緑豊かな針葉樹林帯となります。

azuma-7.jpg【Photo】なだらかな稜線を描く安達太良山(写真左)の上には、智恵子抄に登場する「ほんとうの空」がどこまでも続いていた。吾妻八景「双竜の辻」より〈click to enlage

 ほどなく左手にはなだらかな稜線の安達太良、右手には爆裂噴火が残した鋭角的なシルエットの裏磐梯の大パノラマが展開する「双竜の辻」に。本来は磐梯山の左手に猪苗代湖と右手には桧原湖や小野川湖など、裏磐梯の湖沼群が眺められるはずですが、雲のヴェールに覆われていたのでした。

azuma-8.jpg【Photo】作家・井上靖は、安達太良山と磐梯山を相対する二頭の竜に見たてて、この地を「双竜の辻」と命名した〈click to enlage

 それでも高村智恵子が東京では決して見る事が出来ないと嘆いた「ほんとうの空」と峰々が描く青のグラデーションが遥か地平まで続く素晴らしい眺望と出合うことができました。

azuma-9.jpg【Photo】1888年(明治21)の大噴火による山体崩壊の痕跡が認められる磐梯山。本来ならば磐梯山を挟んで左手奥には猪苗代湖が、右手前に見える秋元湖と並んで桧原湖や五色沼などの湖沼群が遠望される景勝地「双竜の辻」〈click to enlage

 渓谷から高山(たかやま/1805m)へと吹き抜ける風が、あたかも天翔るようだと井上靖が命名した「天風境」では、再び錦綾なす秋の色どりを愛でることができました。

 1960年代に流行した昭和歌謡風に表現すれば、♪森と泉に囲まれたブルー・ブルー・ブルー・・・な後半、「秋点描2014@裏磐梯~色彩溢れる季節。 うつくしま ふくしまPART2@裏磐梯・五色沼編」に続く。
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2014/10/13

再見。石窯ピザOzioオッツィオ

 大粒のブドウが旬を迎える頃、鶴岡のフルーツタウン櫛引でのブドウ狩りと併せてクリア必須のミッションが庄イタには存在します。それは庄内産ブドウをふんだんに使ったピッツァを仙台市青葉区国見の「石窯ピザOzioオッツィオ」で食すること。

 山形県酒田市出身の石川淳さんと仙台市出身の雄子さん夫妻が営むオリジナルピザとパスタ料理の店Ozio。ご主人の郷里である庄内や、かつて店があった山元町など、生産者から直送される旬の素材を取り入れた、まさに庄内系イタリアンな創作メニューを提供しています。

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【photo】Ozio(=イタリア語で「のんびりした時間」の意)という店名にある通り、ゆったりした時間が流れる山元町が気に行って店を構えたという石川さんが、縁あって仙台に移転して2年半。山元時代からの馴染み客に加えて新たなファンを開拓している淳さん(右)と雄子さん(左)ご夫妻。トンボ玉作家の顔も持ち合わせる雄子さんは、トンボ玉工房「Morelloモレロ」を主宰し、Ozioでは制作体験を組み込んだコース設定も

 今年7月にハードカバー改訂版が出版された労作「土着品種で知るイタリアワイン」は、個性豊かなイタリアワインを知るには好適な一冊です。その著者であり、イタリア・ボローニャを拠点にワインジャーナリスト兼コンサルタントとして活躍するのが中川原まゆみさん。

 中川原さんは、3年前、東日本大震災の発生を受け、ジャーナリスト仲間や親しい生産者たちに、被災したイタリアンレストランのための義援金を呼びかけました。仲介を依頼された庄イタが総額11,515ユーロを橋渡しした先5軒のひとつがOzioでした。《Link to back number

jun_yuko-ishikawa.jpg【photo】自作した石窯の前で仲睦まじく立ち働く石川ご夫妻は息もぴったり。木の温かみを感じるログハウスで、創作ピザを召し上がれ

 宮城県亘理郡山元町の海岸近くにあったOzioは、3.11の津波で壊滅。かつての場所は町によって災害危険区域に指定され、現地再建を断念せざるをえませんでした。そこに手を差しのべたのが、庄イタも良く存じ上げている東北福祉大学の某氏。山元にあった店に以前から通っていたという、この大学関係者の好意により、同大国見ケ丘第一キャンパスの一角を新出発の地として紹介されます。

 そこは1997年に仙台市宮城野区港地区で開催された第8回JAPAN EXPO「国際ゆめ交流博覧会」にスロヴェニア館として出展したログハウスを移築した東北福祉大学スロベニア記念館。石川さん夫妻が2か月近くをかけて自作した石窯が完成した2012年4月、13カ月あまりの空白を経て店は再開を果たしました。

ozio_kunimi.jpg【photo】アドリア海に面したイタリアの隣国スロヴェニアのログハウスを活用したOzio外観。東北福祉大の学生食堂を兼ねるとはいうものの、一般客の利用も当然OK

 外パリ・中モチの生地の美味しさが命ともいえるナポリピッツァとは異なり、フカフカの生地に旬の素材をトッピングしたOzioのピザ。庄イタが愛するナポリピッツァと方向性は違いますが、遊佐町産パプリカなど、ご主人の郷里である庄内や山元町時代から繋がっている生産者から届く旬の新鮮素材を使ったオリジナルメニューは、パスタを含めてどれも魅力たっぷり。

 鮮度の良い生野菜や生ハムなどのアンティパスティ・ミスティに日替わりで3種から選べるピザorパスタ+セットドリンクの平日限定ランチセット(1,350円)がお薦め。いつも美味しいデザートが付く「欲張りセット」(1,650円)も。

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【photo】平日限定ランチセットと欲張りセットのサラダは、ご覧の通りの充実ぶり(左写真)。ランチセットは3種のピザとパスタ料理からの選択制。9月末に食したのは、庄内産白桃と生ハムの冷製スパゲッティーニ(右写真)

 そんなOzioで、昨年もこの季節に食したのが「庄内産いろいろぶどうのピッツァ」。先月末に訪れた時は6種類のブドウを使用しており、チーズはコクを出すため、モッツァレラだけでなくゴーダなど複数をブレンドするとのこと。半分にカットしたブドウがゴロゴロとトッピングされた今シーズンも、深まる秋の味覚を堪能させて頂きました。

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【photo】庄内産いろいろぶどうのピッツァ。この日は6種類のブドウをトッピング。その出元を聞いてビックリ!!! w(゚0゚*)w

 あまたの食材が揃う食の都・庄内で、ブドウ産地と言えば、昼夜の寒暖差が大きく、昔は暴れ川だった赤川の氾濫原ゆえの砂礫土壌を拓いた鶴岡市西荒屋。ブドウのみならず果樹栽培が盛んな西荒屋地区の「産直あぐり」に出荷している生産者は89にも上ります。

 帰りしなに石川ご夫妻と会話を交わして驚いたのが、庄イタが慌ただしく日帰りでブドウ狩りに訪れた翌週、石川さんたちも西荒屋の佐久間良一さん・みつさんのもとでブドウ狩りをしていらしたとのこと。予期せぬ形で素材の答え合わせができました。

 いやー、世間は狭い。

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石窯ピザOzio(オッツィオ)
住:仙台市青葉区国見ヶ丘6-149-1 東北福祉大学スロベニア記念館 1F
営:11:00-14:00L.O./17:00-20:30L.O. 水・木曜定休
Phone:022-343-6672 
Pあり 禁煙
URL: http://www.ozio.info/ozio/baner_decobanner.gif 

2014/10/11

ブドウ畑でつかまえて

The Catcher not in the Rye but the Grape
ちょっと気難しい「安芸クイーン」にまつわるあれこれ

 夢中になってライ麦畑で遊んでいるうち、崖っぷちから転落しそうになる子どもを捕まえて助けるような大人を目指す16歳の少年、ホールデン・コールフィールドが主人公として登場するJ・D・サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」とは全く無関係の動物に関するオチですが、今回もお付き合いのほど願います。

deraware2012.8_sakuma.jpg【photo】フルーツタウン櫛引西荒屋のブドウシーズン幕開けは、8月には収穫が始まるデラウエア(手前)とスチューベン(奥)から。佐久間良一・みつご夫妻のブドウ園地にて

 大粒ブドウがシーズンを迎える頃になると、毎年通っているのが、佐久間良一・みつご夫妻が育てるブドウが、たわわに実を結ぶ鶴岡市西荒屋のブドウ園。ご自宅近くの畑ではデラウエアとスチューベンを、少し離れた園地では、さまざまな大粒品種と甲州。そして変わり種では醸造用ブドウ品種のメルロを栽培。佐久間さん夫妻とは、もう10年来のお付き合いをさせて頂いています。

cortese-nishiaraya_2012.9.jpg【photo】イタリア・ピエモンテ州原産のブドウ「コルテーゼ」。アスティ県カネッリのアグリツーリズモ「Rupestrルペストゥル」を訪れた佐久間さんのため、オーナーのジョルジョが苗を調達した

 高温多湿な日本では栽培が難しく、納得のゆく収穫にはまだ至っていないようですが、DOCG白ワイン「Gaviガーヴィ」の原料となるピエモンテ州原産の醸造用ブドウ品種「コルテーゼ」の若樹も育てている佐久間さん。佐久間さんが晩酌で楽しむ知る人ぞ知る銘酒スーペル・ショーナイ同様、ガヴィ村で生産される「Gavi di Gaviガヴィ・ディ・ガヴィ」ならぬ「Gavi di Shonai」誕生の日を楽しみにしていますよ、佐久間さん。

 2003年(平成15)秋、櫛引町(現・鶴岡市)に店を構えて当時3年目だったイタリアンレストランのオーナーシェフ氏に案内されたのが同町西荒屋にある佐久間さんの園地。仕入れ契約を結んだばかりというブドウ畑では、イタリア原産の青ブドウ、ゴールドフィンガーや醸造用品種のメルロなど、さまざまな品種が栽培されていました。

pione-2014.jpg【photo】高級品種ピオーネ。ほかに黒ブドウは巨峰、ハニーブラックなどを栽培

 撮影がてら、あれこれ味見をした中で最も気に入ったのが、高貴で上品な甘さが持ち味の「安芸クイーン」。安芸国(広島)生まれのこちらの女王様は昨年のように雨が多いと実割れを起こしたり、色が乗らなかったりで、栽培が難しい品種だと語る佐久間さん。ご主人の体調が優れなかった一昨年は、あまり畑仕事ができなかった様子がブドウの作柄に表れていたりもしました。

aki-queen2014.jpg【photo】着色不良を克服した2014年ヴィンテージの安芸クイーン。糖度が高く、香りも良い。そのほか赤系ブドウはシナノスマイル、ゴルビーなど、青ブドウはハニーシードレス、シャインマスカット、瀬戸ジャイアンツなどを栽培

kerokero1_sakuma.jpg 樹皮のすぐ内側にある養分の通り道「師部」を取り除く環状剥皮(はくひ)処理を行うことで、果樹にストレスを与え、ここ数年の着色不良を克服した今シーズン。電話で畑の様子を問い合わせた上で、日帰りで慌ただしくブドウ狩りに赴いたのが9月末。昼夜の寒暖差が大きかった今年は、安芸クイーンの色付きや味の乗りも良く、風味の良い房を選んで大人買い。11年前に魅了された本来の風味を自宅で堪能することができました。

【photo】青系イタリア品種、ゴールドフィンガーの枝に陣取り、高みから睨みをきかせる小さな青ガエル。緑の葉に囲まれてじっと動かないその姿は、カメレオンさながらの忍者ぶり

 晩熟の甲州を残すだけで、もはや大粒種のシーズンは終了間近。過熟気味のブドウからは、なかば発酵した果汁が滴り流れ、その甘い香りに小バエが寄ってきます。そんなブドウ畑には体長3cmにも満たないニホンアマガエルの姿が見られます。ブドウの房の上で身じろぎひとつせず、じっと身を潜める小さなハンターは、小バエを捕食せんと狙っているのです。

kerokero_2013.9sakuma.jpg【photo】出来が良かった今年よりも色付きは今ひとつでも、味は乗っていた昨年9月末の安芸クイーン。ブドウの上で虎視耽々、もとい蛙視耽々(?)とブドウに寄ってくる獲物を待ちうけるニホンアマガエル

 ブドウ狩りの剪定バサミの先端を近づけると、パクっと喰らいついてくるお腹を空かせたそそっかしいカエルも。誰に教えられなくても餌の在り処と、自らの居場所をちゃんと心得ているのですね。


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2014/10/05

いちごワイン by 山元いちご農園

山元いちごの幸せ便

 復活を遂げつつある「仙台いちご」。その最大の産地は、福島との県境を接する宮城県最南部の沿岸部、亘理郡山元町亘理町の沿岸浜通りです。

yamamoto-ichigo1.jpg 震災前は東北最大のイチゴ産地であり、地域の基幹産業であったイチゴの生産園地96ヘクタールのうち、91ヘクタールが津波で流失。129の生産者がいた山元町では98%にあたる124軒、251の生産農家がいた亘理でも9割以上の232人が被災する文字通りの壊滅的な被害を受けました。

 郷里再生に向けた旗頭となるべく、震災発生の3カ月後の2011年6月、3軒のいちご農家が農業生産法人「山元いちご農園」(岩佐隆 代表取締役)を立ち上げました。

【photo】津波浸水域でいち早くイチゴ栽培の復活に取り組んだ「山元いちご農園」では、除塩を必要としない高設式のEM栽培を取り入れ震災翌年2月に完熟イチゴを初出荷した

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yamamoto-ichigo.jpg 国や団体などの助成と借入金を元手に、総事業費4億8,000万をかけて10棟の大型ハウスを整備。40人を新規雇用し、震災翌年の2月に初出荷にこぎ着けました。復活して3回目となる仙台いちごにとって最大の需要期となるクリスマスに向け、冬いちごの出荷が今月末には始まります。

 JAみやぎ亘理管内には復興交付金を活用した最新鋭設備を備えた栽培・育苗合わせて458棟の大型鉄骨ハウスが集積した「いちご団地」と選果場が完成。昨年11月上旬には「感謝の心」というラベルを貼った主力品種「とちおとめ」や「もういっこ」を仙台市場ほか北海道・京浜方面に出荷。稼働2年目の今年も、地域再生に向けて歩みを続けています。

yamamoto-ichigo3.jpg【photo】真っ赤に色付いた山元いちご農園の朝採りイチゴ(上・左)

 多くの犠牲を生んだ震災発生以降、東北大災害研や電通グループとの共同作業で、庄イタが取り組んでいるのが、地域事情に応じた津波避難訓練モデル構築を目指す「カケアガレ!日本」です。

 今年6月14日(土)、自動車を使った津波避難訓練が山元町で行われました。翌日には同町花釜地区で住民による意見交換会があり、カケアガレ!日本企画委員会として聞き取り調査を実施。その際、昼食に立ち寄ったのが、山元いちご農園が今年2月にオープンさせた「Berry Very Labo ベリー・ベリー・ラボ」。

 地場産品の直売所を併設したそこでは、自家製イチゴをたっぷり使ったフードメニューやドリンクメニューを味わうことができます。お腹を空かせた庄イタがオーダーしたのが、ベリー・ベリー・ラボがイチオシする「いちごカレー」と「フレッシュいちごジュース」。収穫期の最終盤に差し掛かりつつあった主力品種「とちおとめ」と、甘めのカレーとの意表を突いた組み合わせです。

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【photo】ベリー・ベリー・ラボの人気メニュー「いちごカレー」(写真左・右) 「イチゴとシーフードのクリームパスタ」(ともにサラダ付き850円・税込918円)や「おすすめランチ」(11:00~13:30/サラダ付き850円・税込918円)。 いちご100%使用の「いちごジュース」(380円・税込410円)

 甘酸っぱさとマイルドなスパイシーさが入り混じるそのお味にご興味がおありなら、30分食べ放題の摘み取り体験ができるイチゴ狩りがてら、どうぞ山元にお出掛けください。摘み取り体験ができるのは1月初旬から6月中旬にかけて。お帰りには、お隣り亘理町・JR常磐線山下駅近くの洋菓子店「お菓子のアトリエ・リモージュ」の看板商品、上質な生クリームとスポンジ生地の中に隠れんぼをした亘理産イチゴを求肥で包み込んだ冬季限定「イチゴのシルキーケーキ」のお買い求めもお忘れなく。

yamamoto-wine7.jpg【photo】山元いちご農園産イチゴを100%使用した「いちごワイン」。色合いが綺麗なフロストボトル(左)と紫外線による変質防止効果の高いグリーンボトル(右)の2種類(中身は同一)

 姿恰好が個性的など、規格外のイチゴに新たな付加価値を与えるべく、山元いちご農園が六次化の成果として商品化したのが「いちごワイン」。10月4日(土)、ベリー・ベリー・ラボで、齊藤俊夫町長や阿部均町議会議長を招いてのお披露目会が行われました。

yamamoto-wine8.jpg【photo】ベリー・ベリー・ラボのテラス席からは、発災から3年半を経過し、集団移転用地の嵩上げ工事が進む山元町の姿を見ることができる。今年12月には常磐自動車道の未開通区間だった相馬IC-山元IC間が開通する

 冒頭、挨拶に立った岩佐社長が語ったのが、かつて地元・山元のイチゴを使った果実酒を作りたいと互いに夢を語った一年後輩の故・桔梗幸博さんのこと。宮城県内初のイチゴ果実酒を製品化した桔梗長兵衛商店は、ご当主の幸博さんが犠牲となり、残念ながら廃業に追いやられました。が、このほど山元いちご農園が100本の数量限定で製品化したいちごワインの誕生を、きっと亡き桔梗さんも天国で喜んでいることでしょう。

yamamoto-wine9.jpg いちごワイン醸造の委託先として選んだのが、郷里再生に向けて歩み始めたばかりで、まだ体制が万全とはいえない山元いちご農園の事情を何かにつけ勘案してくれた酒田市浜中の「オードヴィ庄内」。庄内砂丘特産のメロンや、刈屋梨を使用した果実酒の製造実績があり、パートナーシップを組んだのだそう。

 グラスからはイチゴ果汁100%ならではの甘酸っぱい香りが立ちあがってきます。口に含んだロゼのような美しい色合いの液体は、香りから予想したほど甘口ではありません。イチゴを生食するよりも複雑味があり、安価なワインにありがちな薄っぺらさや水っぽさもありません。

 「ほぉ~、なかなかのお味」

 そう思って改めて眺めたエチケットには、赤く熟したイチゴのイラストが描かれ、青いガクは山元町の鳥であるツバメをデザインしたもの。キャッチフレーズは「山元いちごの幸せ便」。ほんのり甘酸っぱいこのワインが、きっと味わった人と山元町に幸せを運ぶ青い鳥になってくれることでしょう。
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◆ 山元いちご農園 いちごワイン
 ・原材料: 山元町産イチゴ、
       酸化防止剤(脱硫酸塩)
 ・アルコール分: 8%
 ・720mℓ:2,000円 ・360mℓ:1,200円(各税別)
 ・フロストボトル・グリーンボトルの2種類
  (中身は同一)
 ・初ヴィンテージは100本限定

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山元いちご農園株式会社
 Berry Very Labo ベリー・ベリー・ラボ
 住:宮城県亘理郡山元町山寺字稲実60
 Phone:0223-37-4356
 営:10:00-17:00 月曜定休
 URL: http://yamamoto-ichigo.com/
     http://berryverylabo.com/

 【商品取り扱い】
        ・山元いちご農園内 Berry Very Labo ベリー・ベリー・ラボ 
        ・橋元商店 山元町山寺頭無161-1 Phone:0223-37-0036 
                 営:7:00-19:00 第1・3・5日曜定休
        ・仙台名店ドットコム http://www.sendaimeiten.com/

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