あるもの探しの旅

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聖ジェンナーロの奇跡

 昨年末から〝Viaggio al Mondo~あるもん探しの旅〟では、皆さまをアマルフィ海岸を巡る避寒旅行へとお誘いして参りました。そして次なる目的地はナポリ。

 南イタリア欠乏症が重症化する一方の庄イタ。「これじゃ〝無い物ねだりの旅〟じゃん!!」との謗(そし)りを受けかねませんが、仙台に居ながらにして、南イタリア気分に浸ることができる素敵な新スポットゆえ、つい図に乗って踏鞴(たたら)を踏んでしまうわけで...。(^○^;\

まだ続く避寒の旅
まんまナポリ@ダ・ジェンナーロ

 過去100年で最も寒いというこの冬のイタリア。特に南部の寒さが厳しく、最南端のカラブリアやシチリアですら年末年始にかけて50cm以上の積雪を記録しました。ナポリの年越しでは、風物詩である闇夜を切り裂く爆音を発する大型爆竹「Cipolla(チポッラ⇒「玉ネギ」の意)」の暴発などで250名が負傷。現地メディアによれば、これでも昨年比で100名減。例年になく少ない数字といいます。これも思わぬ寒波の恩恵といえるかも?

Acunto-piace.jpg 避寒の旅に訪れたはずが、予期せぬ寒さに震える彼の地。かくなる上は、薪火の遠赤外線で体の芯から温まってはいかがでしょう。そこで恋しくなるのが薪窯で焼き上げたアツアツのナポリピッツァ。

da-gennaro-facciata.jpg 「Pizzeria Padrino del Shozan」と比肩しうるピッツェリア・ナポレターナが、仙台圏では久しく見当たらない状況が続いていました。そんな閉塞状況を打破する新星が彗星のごとく現れたのが昨年5月。東京エレクトロンホール宮城の脇道沿いに建つ店の扉は、まさにナポリに通じる〝どこでもドア〟。

 その名は「Pizzeria e trattoria da Gennaroダ・ジェンナーロ」。ピッツァの本場ナポリの守護聖人、聖ジェンナーロ(聖ヤヌアリウスとも。下写真)の名を冠した本格 ピッツエリア兼トラットリアです。

【Photo】ビルの狭間に忽然と登場したピッツエリア・エ・トラットリア「ダ・ジェンナーロ」外観(右写真)

San-Gennaro1.jpg カトリック教国のイタリアでは、365日ごと、町ごと、職業ごと、シチュエーションごとに守護聖人が定められています。有名どころでは、Basilica di San Pietroサン・ピエトロ大聖堂があるローマの守護聖人は聖ペテロ(イタリア名:ピエトロ)と聖パウロ(同:パオロ)、ヴェネツィアは聖マルコ、2月14日は聖ヴァレンタイン(同:ヴァレンティノ)、体を弓矢で射ぬかれても落命しなかった聖セバスティアヌスは兵士の守護聖人。

 皆さまお気づきの通り、庄イタの精神構造は、彼の国で過ごした前世の名残りを色濃く留めております。幼児ながら耐え難い重さのキリストを背負い大河を渡り切った聖クリストフォロは、旅の守護聖人。

 そのため乗り継いできたマイカーのダッシュボードには、お守りとなる聖クリストフォロのメダイオンが輝いています(右下写真)。
madalion-san-cristforos.jpg
 ナポリの西隣にあるPozzuoliポツオリは、女優ソフィア・ローレンが幼少期を過ごした町です。キリスト教が迫害を受けていた西暦305年9月15日、ナポリ近郊ベネヴェントの司祭ジェンナーロが、そこで馘首され殉教しました。遺骸がナポリのカタコンベに埋葬されて以降、ジェンナーロはナポリの守護聖人となりました。

 蛇足ながら日本の守護聖人は、聖フランシスコ・ザビエルと聖母マリア。これは日本にキリスト教を伝えたイエズス会の宣教師ザビエルが鹿児島に上陸した8月15日が、被聖母昇天の祭日だったことにちなんだもの。

francesco-Saverio.jpg【Photo】1549年8月15日、布教のためフランシスコ・ザビエルが日本に第一歩を記した鹿児島市にある記念碑は、戦災で焼失した明治期に建立された聖堂の一部。来訪400年を記念して1949年8月15日にローマ法王庁から寄贈された(上写真)

 13世紀に着工したドゥオーモ内にバロック様式で17世紀に設けられた「サン・ジェンナーロ礼拝堂(Cappella di San Gennalo)」には、ガラス製の容器に納められた聖人の血液と頭骨の聖遺物が今に伝わります。

 司祭によって容器内の乾燥した血液が液状化する奇跡を、多数の参列者が固唾をのんで見守る儀式が、毎年5月と9月の聖ジェンナーロの祭日に執り行われます(上Movie)。血液が凝固したまま液状化しない場合は凶兆とされ、ナポリに災禍が起こると信じられています。コワイデスネ~。

atsushi-takagi.jpg【Photo】愛用の薪窯の前に立つ髙木篤さん

 髙木篤ピッツァイオーロは、南青山のAntica Pizzeria e Trattoria「Napuleナプレ」で4年間基礎を学び、6カ月の在ナポリ留学後、赤坂Cucina meridionale「La Scogliera スコリエーラ」と渋谷Taverna & Bar ITALIANO「Tharrosタロス」で仕上げを2年。サルデーニャ料理のスペシャリスト・馬場圭太郎シェフのもと、徹頭徹尾、南イタリア一筋の華麗なキャリアをお持ちです。仙台ご出身の高木さんが南青山のナプレにいらした頃、庄イタも2度ほど店を訪れたことがあり、ご縁を感じたものです。

 外からガラス越しに見える本場ナポリ製「ジャンニ・アクント(GIANNI ACUNTO)」の薪窯に次いで、ドアを開けてまず目に留まるのが、今シーズン、セリエAで首位に立つ強豪ユヴェントスをPK戦の末で撃破し、国内最強クラブ戦「コッパ・イタリア」で通算5度目の優勝を果たしたSSCナポリの応援旗。ときにSSCナポリのユニフォーム姿で窯の前に立つ髙木さんは、熱狂的カルチョファンを指す〝Tifosoティフォーゾ〟さながら。

entrata-da-gennaro.jpg さらにご立派なのが、ワインリストです。都市国家が群雄割拠した歴史を持つイタリアでは「カンパニリズモ(Campanillismo)」(⇒教会の鐘(Campanille)が聞こえる程度の生まれ育った地域をこよなく愛するイタリア人一般の傾向を指す言葉)と出合うことが珍しくありません。郷土愛の強さは、食にも反映されるのが普通。高級店を除いてEnotecaエノテカ(=ワインショップ)や飲食店ではその地域のワインしか置いていないのが当たり前。

entrata2-da-gennaro.jpg ダ・ジェンナーロのワインリストにオンリストされるのは、カンパーニャ・シチリア・サルデーニャの南3州だけという潔さ。これはまさにイタリア式。ここはどこ?(笑)。

 暖かみのあるテラコッタ風フロアでワンポイントとなる花柄の彩色タイル(上写真)が愛らしいエントランスから、右手に厨房を目にしながら通路を抜けた先が、光に満ちたホールです。

 「Vietri sul Mareヴィエトリ・スル・マーレ」は、サレルノに隣接した陶芸が盛んな彩りに溢れた街です。そこで髙木さんが作風を気に入った工房に制作を発注したのが、ホール壁面の彩色タイルに描かれたポジターノ(下写真)。それが南イタリア気分を盛り上げ、いやが上にも美味との出合いへの期待感が高まります。

positano-da-gennaro.jpg ホールのカウンター上には、店名の由来となった聖ジェンナーロの人形が鎮座し(右下写真)、カウンター周辺にはナポリ人の化身である仮面をつけた道化「プルチネラ(Pulcinella)」や、その下半身がナポリではお守りとなる赤い唐辛子から転じた水牛の角を使った「プルチコルノ(Pulcicorno)」も(左下写真)

  Pulcicorno.jpg San-Gennaro2.jpg

 喧噪と活気に満ちたナポリの下町スパッカ・ナポリ地区にプレセピオ・ナポレターノの職人街、サン・グレゴリオ・アルメーノ通り(Via San Gregorio Armeno)があります。その一角に工房を構える髙木さんの友人マルコから、大きさから察するに、明らかに値が張るこれら調度品類を、開店祝いの〝トモダチ価格〟で調達したのだそう。

paccheri-gamberri-rossi.jpg【Photo】優しい風味の自家製トマトソースに絡めた「赤エビとトマトソースのパッケリ」。大きさが半端ではないナポリ発祥のショートパスタ「パッケリ(Paccheri)」。その名が平手打ち(=pacca)に由来すると理解していた庄イタ。髙木シェフによれば「修道服の袖に由来する「マニケ・ディ・フラーテ(maniche di frate)」という別名も存在するという。 うーむ、また一つ無益な雑学が増えてしまった...

 ナポリの混沌とした下町に漂う猥雑さを取り去り、アマルフィ海岸を代表する高級リゾート地ポジターノのエッセンスを加えたようなダ・ジェンナーロで頂くことができるのは、南イタリアの郷土料理と、本場と同じ30cmサイズのこれぞまさにナポリピッツァ。そのキモとなるのは生地の美味しさです。

cetara-daGennaro.jpg【Photo】ナポリピッツァの代名詞「マルゲリータ」に用いる3つの具材、トマトソース・モッツァレラチーズ・バジルに、赤タマネギ・黒オリーブ・マグロオイル漬をトッピングした「チェターラ」

 髙木さんにとってのお手本は、ナポリ屈指の名店。例を挙げると、地元を含めて初めてとなる支店を2012年1月末、恵比寿に進出させた「ダ・ミケーレ(l'Antica Pizzeria da Michele)」ほか、「イル・ピッツァイオーロ・デル・プレジデンテ(il pizzaiolo del presidente)」、「ジーノ・ソルビッロ(Gino Sorbillo)」、「カパッソ(Capasso)」のマルゲリータなのだそう。

 そう言われてみればピッツァ生地の〝外パリ中モチ〟の鉄則は順守しつつ、髙木さんが目指す食べ疲れしない感じは、食感の〝軽さ〟にしっかりと表現されています。

cicinielli-daGennaro.jpg【Photo】スライスしたニンニクとトッピングのシラス干しの塩味が、チーズを使わないトマトソース風味の生地やオレガノとバジルと一体になって香るナポリ発祥の「チチニェッリ」

 サラダ・自家製パン・コーヒーがセットされたお得な平日限定ランチは、ピッツァ3種(1,300円)とパスタ2種(1,100円)から選択可。夜は南イタリア料理のアラカルトとコース(3,000円~)を南3州のヴィーノとともに。ちなみにcafféにはナポリっ子の支持が高い「Passalacquaパッサルアクア」でも力強いタイプの「メハリ(MEHARI)」を使用しています。(価格は2015年1月現在)

 ここ数年、香ばしい薪窯ならではのナポリピッツァを提供する新店が仙台圏でも増えつつあります。そうしたニューフェースの中では、冒頭で挙げたピッツェリア・パドリーノ・デル・ショーザン以外の選択肢として、納得のクオリティであることを各店のピッツァを実食した庄イタが保証します。

salsiccia-da-Gennaro.jpg【Photo】天井が高く解放感のあるダ・ジェンナーロ。マルゲリータに自家製サルスィッチャをトッピングした「ピッツァ・サルスィッチャ」

 KOBOスタ宮城で東北楽天の主催試合が行われる日だけ営業する鶴岡「穂波街道・緑のイスキア」分店「赤のイスキア」を例外とすれば、パドリーノ・デル・ショーザン以外でも仙台で本物と出合える環境が整いました。

 ナポリピッツァの真の美味しさを求め、東北では前述した鶴岡市「イスキア」ほか、盛岡市「ピアーチェ」、秋田市ないし十文字町「コジコジ」、さらに青森・三沢市「マッシモ」まで遠征してきた庄イタにとって、選択の幅が広がったのは嬉しい限り。まずは皆さまも聖ジェンナーロの奇跡のお味をお試しあれ。

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Pizzeria e Trattoria ナポリピッツァと南イタリア料理

da Gennaro ダ・ジェンナーロ

・住: 仙台市青葉区国分町3-4-26
・phone: 022-281-8271  ・fax:022-281-8272
・営:・Pranzoランチ11:30~14:00 L.O. ・Cenaディナー18:00~22:00L.O. 
   月曜休(→祝日の場合は火曜休)
・Vietato Fumare 禁煙  ・ピッツァのテークアウト可 ・カード可 ・幼児OK ・Pなし 
・URL: http://www.da-gennaro.com


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コメント

ともするとテキトーなところがあるナポリよりも
むしろ本格派のオーラが漂いますね^^。
こうした志の高いお店の登場を期待したいと思います。

ナポリの御窯さま
コメントをお寄せいただきありがとうございます。
いい時は良いのですが、仕事にムラっ気のありがちなナポレターノとは違って、こちらda Gennaro 髙木ピッツァイオーロの手になるピッツアはブレがありません。
早ければ今年の秋、世評の高いピッツァイオーロ氏が新たに立ち上げるピッツェリアが仙台市内に登場しそうで、楽しみにしているところです。

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