あるもの探しの旅

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Sai che buono? (=どんだけ旨いか知ってる?)

SaiKeBonZenPastaに見るイタリアの日本ブーム

 今回と続編となる次回Pasta? Not Pasta? は、「Viaggio al Mondo~あるもん探しの旅」としては、少し異例の内容となります。例外的にマスプロダクツを取り上げる理由は、イタリア関連であること。そしてどちらもイジリたくなる商品であるがため。

 週刊「モーニング」(講談社)に連載中の料理漫画「クッキングパパ」と日清食品Spa王のコラボ商品「荒岩流イカスミブラック」が発売されたのが今年5月。

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【Photo】生麺タイプのSpa王「荒岩流イカスミブラック」メーカー希望小売価格¥230(税別)

 うえやまとち氏の原作では、プロはだしの料理の腕を持つサラリーマン荒岩一味(かずみ)が、出張先のローマのリストランテで、思わずお代わりしてしまった絶品のイカスミパスタと出合います。そのレシピを一味が再現したというのが、本商品のミソ。

 熱湯を注いで1分後に湯切りし、調味オイルとシ―ズニングスパイスを加えれば、ハイ出来上がり。そんな超カンタン調理にしては、味付けはそこそこ健闘しています。なれどそこはインスタント食品。額面通りに受け取ることが難しいことは、皆さまもお察しの通りです。

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【Photo】熱湯を注いでわずか1分でボナペティート。ガーリックオイルをベースに炒めたタマネギやアンチョビとイカスミのコクが加わる。原作通りにローマで1,2を争う味かどうか、ローマっ子にジャッジして欲しいかも

 ローマは人口280万を擁する大都会ゆえに、一通りピンキリの料理を食することができます。イカスミのパスタはヴェネツィアが発祥とされます。売り手市場感ありありの観光客相手の店ではなく、(数は少ないが)地元っ子推奨の店か、シチリアなど南イタリアの海沿いで食するのが定石かと。

 何につけ地域性が強いイタリアのこと。ローマでパスタ料理といえば、カルボナーラかアマトリチャーナを食するのが王道。ナポリとフィレンツェで研鑽を積んだ廣瀬竜一さんが仙台市青葉区で営む「Ristorante da LUIGI リストランテ・ダ・ルイジ」を、ローマから東北大学に1年間の留学を終える間際の男子大学生が訪れたときのこと。

Che cosa prende?(=何が食べたいですか?)」という廣瀬シェフの問いに対して「L'amatriciana per favore.(=アマトリチャーナ ヲ オネガイシマス。)」と応じた彼。

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【Photo】ローマの郷土料理「ブカティーニ・アッラ・アマトリチャーナ」。ASローマ所属の元イタリア代表フランチェスコ・トッティ選手も大の好物

 アマトリチャーナの具材は、香ばしく炒めた豚の頬肉の塩漬ベーコン「グアンチャーレ」と刻んだ玉ねぎ。中心に穴が開いた太めのロングパスタ「ブカティーニ」にトマトソースを絡め、ペコリーノチーズのコクが加わるのが定番です。

 アマトリチャーナを口にしたイタリア人留学生は、人目も憚らず涙をポロポロと流し始めたのだそう。異郷で出合った郷里の料理にきっとマンマの味を思い出したのでしょう。いかにも家族の結びつきが強いイタリア人らしいエピソードですね。

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【Photo】ゼロカロリーをアピールし、健康志向のイタリア人に支持される「Zen Pasta ゼンパスタ」  そのイタリアで、乾燥しらたきをパスタ風に仕上げた「Zen Pasta ゼンパスタ」が、ダイエット食として女性を中心に食品スーパーなどで売り上げを伸ばしています。

 Zen PastaZen は、商品のパッケージングからもわかる通り、禅からきています。それもそのはず。Zen Pasta を売り出したイタリア人の奥様は日本人女性。アニメ・コスプレといった日本のサブカルチャーのみならず、食文化がイタリア流にアレンジして受け入れられているのです。

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【Photo】ロングパスタSpaghetti di KonjacZen Pasta ゼンパスタのアレンジ例。ショートパスタのリガトーニバージョン「Rigataki リガタキ」も。その正体は〝乾燥しらたき〟

 ヒットの余勢をかってリゾット用「Risino リジーノ」(⇒名詞または形容詞+inoで「小さい・可愛らしい」を意味する)が登場するなど、ここ数年日本食ブームのイタリア。

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【Photo】Zen Pasta のお米バージョンRisino のイタリア人によるアレンジ例。リゾットに適したイタリア産のカルナローリ米ではなく、コンニャクが材料とはいえ、どう見てもピリ辛チャーハン

 マンマの愛情が込もった手料理で育ち、もともとが料理の味にはうるさいお国柄のイタリアではありますが、背に腹は代えられない場合のため、食品スーパーの棚にはViva la MammaKnorrRisotteria などのPiatti Pronti (インスタント食品)が一応は存在します。

 カレー味とチキン味の即席麺「idea per Noodles」を手掛けるのが、ピエロ・デッラ・フランチェスカの故郷、トスカーナ州Sansepolcro サンセポルクロで創業し、日本市場には2013年に復帰した「Buitoni ブイトーニ」。

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 同社がidea per Noodlesのバリエーションで手掛けたソース焼きそば「Yakisoba Gusto Classico ヤキソバ・グスト・クラシコ」(上写真左)が、どれほど伝統的な浪速風コテコテ路線なのか、ネーミングを含めて妙に心惹かれたりします(笑)。

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 海外展開に積極的な「味の素」の欧州における食品製造を担うポーランド味の素社では、何故に親方なのかが意味不明なカップ麺「OYAKATA NOODLES®」(上写真右)を醤油・味噌・塩・とんこつ・カレーの5種類を取り揃えて欧州各国で販売中。

 1971年(昭和46)に世界で初めてカップ麺を製品化したのが日清食品。同社ハンガリー工場で製造したCUP NOODLES がイタリア国内でも売られてはいますが、ラーメンはポピュラーな存在ではありませんでした。

【Photo】発祥の日本では単数形のCUP NOODLE。海外では複数形でCUP NOODLES

 和食がユネスコ世界文化遺産に登録された昨年、イタリアの総合食品メーカーSTAR S.p.A.社から、初のMade in Italy なカップ麺が登場しました。

 その名は、Sai che buono?(=どんだけ旨いか知ってる?)がネーミングの由来だという「SaiKeBon サイケボン」。

【Movie】親方ラーメンをイタリアなど欧州各国で販売する味の素との提携により誕生したイタリア初のカップ麺「SaiKeBon」。その誕生を鳴り物入りで告知するファンキーなTVCM。日本では人によってカップヌードルをフォークで食する一方、イタリア人の日本への理解の深まりを窺わせるのが、ロングパスタをすする日本人観光客には眉をしかめるイタリア人が、箸でラーメンを〝すすっている!!

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【Photo】味の素とSTAR S.p.A.の提携で製品化された初のイタリア製カップラーメン「SaiKeBon」ラインナップ。在伊の日本人からは「具が入っていない!」「薄味だ!」との声が上がるも、大阪がモデルと思われる漢字やドン.キホーテのネオンきらめく夜の繁華街に突如ワープするTVCM(下動画)を引っ提げ、新たにYakisobaも加わった

【Movie】SaiKeBon第二弾Yakisoba のTVCM。ソース焼きそばまでズルズルしているのには少し違和感を覚える(笑)。街角の雰囲気がSF映画の金字塔「ブレードランナー」に登場する2019年のロサンゼルスを思わせる??

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 「Unione Bonsaisti Italianiイタリア盆栽協会」には、イタリア全土で77の支部が存在し、2,000名以上の会員が加入しています。

 風変わりなSaiKeBonという商品名の〝Sai〟や〝Bon〟という言葉の響きは、イタリア人に盆栽を連想させ、東洋的でエキゾチックな雰囲気なのでしょう。

Nudolini Orientali(=東洋の麺)〟という触れ込み通り、Pollo con Salsa di Soia(=鶏肉しょうゆ)味の袋入りパッケージ(右写真)には「アジア風ヌードル」と「鶏肉しょうゆ風味」の筆文字が並びます。

 その外見から、小泉八雲の怪談に登場する壇ノ浦で滅亡した平家一門の亡霊から身を守らんと、全身に般若心経を写経された耳なし芳一を想起したのは、果たして庄イタだけでしょうか?

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【Photo】名優中村賀津雄(のちの嘉葎雄)が盲目の琵琶法師を、芳一の両耳を奪い去る平家の亡霊役を霊界の事情に明るい丹波哲郎が演じた1965年公開のオムニバス映画「怪談」(小林正樹監督)第3話「耳無し芳一の話」より

 韓国系・中国系企業も進出するイタリアカップ麺市場の現状を押さえた上で、次回「Pasta? Not Pasta?」では、パスタの聖地グラニャーノに大胆な殴り込みをかけた日本製品の登場です。

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