あるもの探しの旅

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ザクロの香りで衣替え

Profumo di Melograno


 朝夕の冷え込みに秋の深まりを実感するこの頃。そろそろ冬物の出番ですね。

 人として内面を磨き、大人の立ち居振る舞いを求められる年齢になってなお、見てくれに心を砕くのがイタリア人。その常として、身につける物には気を使います。

 それは香りとて同様。オイシイ食べ物やお店には警察犬並みに鼻が利く庄イタではありますが、前世の習性からか身につける香りにも敏感なのであります。

     carthusia_mediterraneo.jpg       carthusia_via_camerelle.jpg       carthusia_io_capri.jpg

 重篤化する一方の南イタリア欠乏症を癒すべく、ナポリ沖に浮かぶ楽園、カプリ島で調合される「Carthusia カルトゥージア 」を常用する庄イタ。Viaggio al Mondo では 「I Profumi di Capri カプリ島の香り、Carthusia カルトゥージア」〈2011年11月拙稿〉に登場した3種類の香りMediterraneoVia CamerelleIo Capri (上写真)をその日の気分で使い分けています。

 あれはバブルの全盛期。ネオンが輝き始めた銀座並木通りでは、およそ10m前方をハイヒールで闊歩するお水系のお姉さんたちが発する芳香に、めくるめく眩暈を覚えたものです(笑)。香りは〝過ぎたるは及ばざるが如し〟。ゆえにフレグランスで気をつけたいのが、使う量とTPO。少し香る程度が鉄則です。

 これまでViaggio al Mondo で披歴してきた通り、前世でDNA に深く刻まれた庄イタの思考回路は100%イタリア人。スマートなイタリアオヤジがそうであるように、むさ苦しい加齢臭ではなく、華麗で清潔感が漂う香りに包まれていたいと願ってやみません。

pizzaiolo-marinara.jpg 先日、とあるピッツェリアのカウンター席で、マリナーラを食していた時のこと。すぐ隣り合わせになった女性客が席に着くやいなや、食事中でなければさほど気にならない程度に香る香水が、それまで味わっていた心地良い薪の香りが入り混じったピッツァの風味を打ち消してしまったのでした。

samourai-pour-homme.jpg 外食をする予定がある時は、香りは控えめに。これが大人のマナーというものです。

 偉そうな口をきいてしまいましたが、「Persol ペルソール」のサングラス「Film Noir Edition フィルム・ノワール・エディション」〈拙稿「Italian Film Noir di Persol」2015年9月〉に合わせ、この夏は清涼感があるアラン・ドロンSamouraï pour Homme サムライ・プール・オム(右写真)も使ってみるミーハーなりきりオヤジなのであります。


 イタリア人が好む香りの一つに、今が旬の「Melogranoザクロ」があります。キリスト教では多産と子孫繁栄、そして鮮血を思わせる実の色あいから、キリストの犠牲と再生・希望の象徴とされ、宗教画のモチーフとしても登場します。

mellograno2003.Ottobre.jpg【Photo】イタリアではごく一般的な植物であるザクロ。中部マルケ州の農家を秋に見学に訪れた際、屋外のテーブルに用意してあったザクロ

 ザクロに関してViaggio al Mondoでは、現存する世界最古の薬局「Officina Profumo di Santa Maria Novella サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局」のザクロをイメージした香りのバスソルトを過去に取り上げています。〈「ザクロの香りでFacciamo un Bagno!」2012.7拙稿参照〉

 また、河北新報社が仙台圏で発行する月刊誌Piatto7月号では、従来のオフホワイトの無地から昨年秋にガーリーな花柄にパッケージが変更となったサンタ・マリア・ノヴェッラの「Sali da Bagno(=入浴剤)」をご紹介しました(下画像)。

piatto201507_SMN.jpg 名付け親となったPiatto の編集現場から離れた今も、仙台市青葉区一番町の「サンタ・マリア・ノヴェッラ仙台」には取材で伺っています。これは余人の追従を許さない自負があるこのブランドへの愛着と知識をさらに深めるがため。7月号の取材でも撮影現場に漂う淡いオレンジ色をしたバスソルトの甘美な香りに心底魅了されました。

 人間の五感で最も記憶の奥底に刻まれるのが嗅覚なのだそう。ある香りを察知した途端、遠い過去の記憶が突如として鮮明に蘇った経験をお持ちの方は、庄イタならずとも少なくないのでは?

 とりわけザクロの芳香に魅せられたのは、この香りを愛するイタリア人だった前世の記憶が呼び起こされたからでしょう。そこでこの秋の衣替えに合わせ、20世紀中葉にザクロをイメージし、起源が13世紀初頭のドミニコ会修道僧まで遡るサンタ・マリア・ノヴェッラの調香師が編み出したオーデコロン「Melograno メログラーノ」(下写真)を新調しました。

aqua-colonia-melograno.jpg【Photo】ひと頃の透明ガラスから、再び質感の高いフロストガラスのパッケージへと変更となったサンタ・マリア・ノヴェッラのAcqua di Colonia(=オーデコロン)Melograno (正面)

 ザクロとはいいますが、実際のザクロ果汁をベースにしたオーデコロンではありません。またザクロの香りといっても、すぐに思い浮かぶ方は少ないかと思います。

molograno-2011.jpg【Photo】フロストガラスとは印象が随分と違う透明ガラスだった頃のAcqua di Colonia Melograno (中央) とザクロをかたどったテラコッタ製のMelograno (右)

 自然由来の香料成分を用いた〝floreali orientali dolci〟と表現されるMelograno のほんのりと甘いオリエンタル・フローラルな香りは、バスソルトやオーデコロンだけでなく、ボディミルク・シャンプー・ソープ・キャンドル・テラコッタ製のザクロ型ルームフレグランスなど、多彩な商品展開をしているサンタ・マリア・ノヴェッラ。ザクロは時代を超えて愛される香りなのです。

colonia-molograno-back.jpg【Photo】フロストガラスへ戻したことが奏功し、クラシックなSMNのロゴが陰影と共に表情豊かに浮かび上がるオーデコロンMelograno (背面)

Escudo_provincia_Granada.jpg 地中海沿岸諸国で広く栽培されるザクロが、そのまま地名となっているのが、スペイン南部アンダルシア地方の「Granada グラナダ」。紀元前8世紀頃から人が暮らし始め、11世紀にはスペイン語でザクロを指すGranada と呼ばれるようになりました。

 人口20万あまりのグラナダを世界的に知らしめているのが、ユネスコ世界文化遺産に登録される壮麗なイスラーム建築アルハンブラ宮殿です。グラナダ県(左)とグラナダ市の紋章にはザクロがあしらわれており、この地とザクロの結びつきの強さを表します。

 そしてもう一つ、この町の名を大いに高める役割を果たしている歌曲「グラナダ」で本稿を締めくくることとします。

 メキシコ中部にあるスペインコロニアル様式の街並みが残る世界文化遺産の町、トラコタルパン出身の歌手で、作曲も手がけたアウグスティン・ララ(1897-1970)が、1932年に発表したこの曲は、本家筋スペインを代表するテノール歌手、ホセ・カレーラスやプラシド・ドミンゴ以外に、今世紀においても南米出身のファン・ディエゴ・フローレスローランド・ビリャソンなど、さまざまな歌い手によって取り上げられてきました。

 その歌詞では、太陽・闘牛・美女・薔薇・赤い血など、いかにもラテン系な内容を情熱的に歌っています。ただし、鼻血が出そうな歌詞に登場するのはザクロではなくリンゴ。

 それじゃ画竜点睛を欠くじゃん!!とダメ出ししたのでは、スペインを題材にした数々の作品を世に送り出した功績が認められ、1965年にグラナダに住居まで贈られたスペイン人の血を引くアウグスティン・ララに対して礼を失するでしょうか。

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サンタ・マリア・ノヴェッラ仙台

・住:仙台市青葉区一番町4-4-27
・営:10:00-19:00 不定休
・Phone :022-398-8535  ・Fax :022-398-8210
・URL:www.santamarianovella.jp/


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