あるもの探しの旅

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高貴な香り漂うお部屋はいかが?

Rosso Nobile da Dr. Vranjes


 秋真っ盛り。庄イタの郷里ピエモンテ州ランゲ丘陵には、すぐ目の前の視界をも遮るほど濃い霧のヴェールが立ち込めます。

 すると凡百の黒トリュフとは比較にならぬほど鮮烈な「Tartufo Biancoタルトゥフォ・ビアンコ(白トリュフ)」のクラクラするような馥郁たる香りが記憶の奥底から蘇ってくるのです。(2007.6拙稿「白トリュフの魔力」参照)

Tartufo_bianco@rupestr.jpg【Photo】ピエモンテ州アルバ近郊で産する白トリュフの香り立ちは尋常ならざるもの。こうして部屋の一角に香るオブジェとして置いておきたいが、たちまちにして破産することは必定 (T T)

 稀少性が極めて高く、日本での業務用仕入れがキロ50万円前後と、グラム当たりの単価が世界一高い食材といわれるアルバ産白トリュフ「Tartufo Bianco Pregiato タルトゥフォ・ビアンコ・プレジャート」。

  名高いトリュフ祭り「La Fiera Internazionale del Tartufo Bianco d'Alba」に世界中から多くの人が訪れるアルバに名声では及ばぬものの、トスカーナ州やエミリア・ロマーニャ州などのごく一部でも「Tartufo Bianchetto タルトゥフォ・ビアンケット」ないしは「Tuber Albidum Pico トゥベル・アルビドゥム・ピコ」と呼ばれる種類の白トリュフが産出されます。

 白トリュフが地中に潜むポプラやナラの樹が生い茂った森には、トリュフ犬を従えたトリュフハンターが繰り出します。100gあたり200ユーロ近くの値が付くこともある高価な白トリュフの亜種を求め、ここ掘れワンワン。

tartufi-hunt.jpg【Photo】ピエモンテ州アスティ県カネッリ近郊の某所。キノコ採り同士が決して場所を明かさないのは日本もイタリアも同じ。前世イタリア人でも一応は異邦人ゆえ、トリュフハンターが早朝に行うトリュフ狩りへの同行が叶った。この優秀なトリュフ犬は、鼻を利かせて探し始めてから5分ほどで見事に白トリュフを探りあてた(下写真)

hunted-tartufo.jpg そんな今の季節、トスカーナ州ピサ県「San Miniato サン・ミニアート」や同シエナ県「San Giovanni d'Asso サン・ジョヴァンニ・ダッソ」ではトリュフ祭りが開催されます。モンタルチーノやモンテプルチアーノといった名醸地にほど近いサン・ジョヴァンニ・ダッソに繰り出したいのは山々ですが、今年も白トリュフフレーバーのオイルで彼の地に思いを馳せて我慢するとしましょう。

  気を取り直して今回の本題へ。前々回はオリエンタル・フローラルなメンズユースとしても許容範囲と思われる少し甘いザクロをイメージした香りで、秋の装いへと衣替えしました。身につける香りに続いての話題は、部屋の香りの模様替え。

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 プライベート空間に漂う心地良い香りは、満ち足りた時間を運んでくれます。今回取り上げる「Dr. Vranjes ドットール・ヴラニエス」は、歴史と伝統美に彩られたフィレンツェに工房を構えるブランドです。

 1088年に創立された欧州最古の総合大学、ボローニャ大学で化学・薬学を専攻した創業者のパオロ・ヴラニエス氏は、ボローニャ出身。1983年にルームフレグランスに特化したDr. Vranjes を旗揚げします。

 Dr. Vranjes のブランドイメージを築いたルームフレグランス「アロマディフューザー」のフォルムは、フィレンツェのドゥオーモ「Cattedrale di Santa Maria del Fiore サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」のクーポラ(=天蓋・丸屋根 / 下写真)をモチーフとしたもの。

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【Photo】高さ82mの「Campanile ジョットの鐘楼」最上部まで414段の階段を登りつめた者だけが間近にする事が許される大聖堂の威容。初期ルネサンスに偉大な足跡を残した建築家であり彫刻家でもあったブルネレスキの設計。画期的な二重構造のクーポラ最上部は地上91m。464段の階段も踏破するW登頂は、よほどの健脚と強心臓の持ち主以外には到底無理

 バンブースティックをボトルに差し込むタイプのルームフレグランスが、最近では珍しくなくなりました。香りを揮発させるスティックの本数で香りの強弱を調整する方式の先駆けとなったのがDr. Vranjes なのだそう。

 仙台PARCOにショップがある「TOMORROWLAND」で定番として取り扱うのが、天然エッセンシャルオイルを使用するドットール・ヴラニエスのルームフレグランス「Acqua アクア(=水)」,「Aria アリア(=空気)」,「Ginger & Lime ジンジャー・ライム」,「Green Flowers グリーンフラワー」、そしてイタリアで人気が高い「Melograno (=ザクロ)」(下写真)の5種類(各250ml 税込 ¥8,640 / 500ml 税込 ¥14,040)。

dr.vranjes_melograno.jpg 身につける香りには、自然由来の香料成分を調合したサンタ・マリア・ノヴェッラのザクロを選ぶ香りフェチな庄イタですが、ルームフレグランスとして、ずーっと以前から気になっているのが、Dr. Vranjes の最高級ラインで、赤ワインをイメージしたのだという「ROSSO NOBILEロッソ・ノービレ)」。その香りを公式HPの表現を借りてご紹介すると ...。

 トップノートはストロベリーとブラックベリーを基調とし、シトラスのアロマが見事に調和する。その後、スミレとバラの柔らかく醸成したノートと繊細で気品あるタンニンがユニークなハーモニーを奏でる。

 シトラスは白ワインで時おり感じる柑橘系の香りですが、イタリアを代表する醸造用ブドウの一つが「Sangiovese サンジョヴェーゼ」です。キアンティ・クラシコやブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、カルミニャーノなどを生みだすこの品種から醸したワインの風味を、あたかもソムリエが表現するような言葉が並びます。

melograno_Dvranjes.jpg 通常はフィレンツェのドゥオーモのクーポラをかたどったボトルにスティックを立てて使うのですが (上写真)、ロッソ・ノービレには、ワインの香りを開かせるための空気との接触面積を大きくとった形状の刻印入りデカンターと、バンブースティックではなく本物のブドウの枝8本がセットされたスペシャルパッケージが用意されます。

 ワイン好きの目には、その佇まいが極めて魅力的に映ります。(下写真)

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 訪れた場所、記憶、感情に訴えかける香りなのだというロッソ・ノービレ。「ワインは味わいの素晴らしさだけではなく、目を喜ばせ、香りとそこから始まる会話を愉しませるものである」とは調香師のパオロ・ヴラニエス氏の弁。人生を楽しむ達人たちが暮らすスローフード発祥の国イタリアならではのアイテムですね。

 9月から11月初旬にかけてイタリア各地のブドウ産地を巡ると、醸造所からは収穫したブドウを圧搾する香りが漂ってきます。フィレンツェ周辺のキアンティ地方や、シエナ南方のモンタルチーノ、モンテプルチァーノ(下写真)など、田園風景が美しいサンジョヴェーゼの名醸地トスカーナ州のブドウ産地では、10月下旬に収穫が終了。現地情報によると2015年はAmazing な出来だそう。

citta-di-montepluciano.jpg 今年リリースされた2010年産ブルネッロ・ディ・モンタルチーノが、評価本で軒並み高スコアを連発し、センセーションを巻き起こしています。天候不順のため、サンジョヴェーゼ・グロッソから造られる最上級のブルネッロの生産を諦め、セカンドラインのロッソ・ディ・モンタルチーノしか生産しなかった醸造所もあった前年とは対照的な2015ヴィンテージ。いやが上にも期待は高まります。

sangiovese-vendemmia.jpg【Photo】収穫の季節を迎えたモンテプルチァーノのブドウ畑。バッカス神の祝福を受け、たわわに実を結んだサンジョヴェーゼの亜種「Prugnolo Gentile プルニョーロ・ジェンティーレ」

 750mℓ 容量のワインフルボトルと同サイズで、香りの持続期間が6~8ヵ月だという、Dr. Vranjes ロッソ・ノービレのスペシャルパッケージ。本国価格€ 160に対して日本国内での正規価格は35,000円(税別)。うーむ。これは費用対効果について熟慮のしどころ。

 そこで選択肢の一つとして浮上してくるのが、直訳すると〝モンテプルチァーノの高貴なワイン〟を意味する歴史あるヴィーノロッソ「Vino Nobile di Montepulciano ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ」。香りの素晴らしさは両者互いに譲らぬとして、〝置いて眺めるだけ〟VS〝おいしく飲める〟という点が最大の差異となるでしょう。

azinone-poliziano.jpg【Photo】「Avignonesi アヴィニョネージ」と並び称される珠玉のヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチァーノの造り手が「Poliziano ポリツィアーノ」。さほど人手をかけずとも最良のブドウが収穫できるという奇跡のような畑のクリュものが「Asinone アジノーネ(上写真)。日本ではリリース時点で6,500円前後。ファーストヴィンテージは1983年でDr. Vranjes の創設と奇しくも一致。庄イタのセラーで熟成を続ける1997年や2007年のようなグレートヴィンテージにこの特別なワインが到達する熟成の高みを想像するだけで幸せな気持ちに浸れる

vista-Montepulciano.jpg【Photo】DOCGヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノの生産地域は海抜250m~580m。遠くエトルリア時代からサンジョヴェーゼが栽培されており、発祥の地とする説もある

 ワイングラスから立ち上ってくるのは、サンジョヴェーゼの亜種「プルニョーロ・ジェンティーレ」の魅惑的なかぐわしい香り。すると牧草地と糸杉が織りなす360度の絶景が広がる世界遺産「Val d'Orcia オルチャ渓谷」から、トラジメーノ湖からアレッツォまで広がるDOCGヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノの心臓部「Val d'Chiana キアーナ渓谷」への夜間飛行が、たった1杯のグラスで叶うのです。

San-Biagio-Montepulciano.jpg【Photo】小高いモンテプルチアーノの街を囲む城壁を出て訪れたいのが、ルネサンス様式の優美な佇まいをみせる「Chiesa di San Biagio サン・ビアージョ教会」。メディチ家出身の教皇クレメンス7世が建築家アントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ヴェッキオに命じて1518年に着工し、1528年に献堂式が行われた。マドンナ・ディ・サン・ピアージョとも呼ばれる

 ゆえにヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチァーノのほうが、コストパフォーマンス的により魅力的に思えてしまう庄イタ。なにやら山口瞳のお酒にまつわる名エッセー「酒呑みの自己弁護」的なオチになってしまいました。
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