あるもの探しの旅

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再見。菓子の樹

蘇る昭和の記憶。
超能力シリーズ@福島・相馬


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【Photo】社会人として、庄イタがまだ駆け出しだった頃、公私ともにお世話になったのが、仙台が政令指定都市となる以前で、区制施行前の仙台市二十人町にあったケーキショップ「菓子の樹」。河北新報社が仙台圏で29万部を発行する月刊誌Piattoの前身にあたる河北アルファ1987年12月号に掲載された同店のペイドパブリシティ

 今日、仙台市営地下鉄東西線が開業し、来春にはJR仙台駅東西自由通路が拡充。エキナカを含む商業施設の集積が加速度的に進む仙台駅東口は、この先、装いを一新することでしょう。

 広瀬通りからJR仙台駅北側の線路を跨いでいた「X橋」の先で、道はかつて南北二手の細道に分岐していました。東行き一方通行の北側は鉄砲町。西行き一方通行の南側が二十人町。

 その昔、戦災による焼失を免れたこの地域は、古い木造家屋と低層の店舗が密集。大型商業施設やオフィスビルが集中する駅西側とは対照的な古い街並みがレトロな雰囲気を醸し出していました。

 現在、かつてのX橋は片側3車線の宮城野橋に架け替えられました。榴ヶ岡公園に向かう幅40mの都市計画道路「元寺小路福室線」が東西を貫き、仙台アンパンマンこどもミュージアムが開館。楽天Koboスタジアム宮城に向かう「宮城野通り」と国道45号線とに挟まれた仙台市宮城野区二十人町一帯は、〝駅裏〟と揶揄された昭和の面影は全くみられなくなりました。

Sendaieki-higashi_2015.12.jpg【Photo】駅西口の高層ビルAER(写真奥)から真っ直ぐ延びる片側3車線の都市計画道路「元寺小路福室線」に組み込まれた格好の二十人町。そこに「菓子の樹」があった頃は一方通行だった当時の街並みは、区画整理によって一変した

 1960年度に着手し、半世紀以上を要した大規模な区画整理事業。駅東口の複合ビルBiVi北隣にあったJR仙石線の仙台駅は、同線の地下化により15年前に廃止(「までぇに街いま」参照)。高層のオフィスビルやマンション、そして空地を転用した駐車場が目立つ没個性的で無機的な現在の街並みを見るにつけ、過ぎ去った時代にノスタルジアを覚える昭和世代の庄イタなのです。

mappa-sendai1969.jpg【Map】かつてのX橋と鉄砲町・二十人町周辺。現在もある榴岡小学校前の通りを除き、仙台駅東口周辺が、いかに現在とは異なるかが、一目瞭然。1969年(昭和44)発行の国土地理院仙台市街地図より(出典:21世紀版みやぎ地図百科 / 2001年河北新報社発行)

 元寺小路福室線沿いの現在地に移転する前の「いたがき本店」が、左側にあった二十人町の通りに面して手前右側に「菓子の樹」というケーキショップがありました。

 庄イタよりも幾分か年長にお見受けした女性店主の田中さんからは、相馬の実家から地飼いしているニワトリの卵を毎日取り寄せてケーキ作りに使っていることを当時伺っていました。クリスマスシーズンに社内でケーキの注文を取りまとめていた数店舗の中で、ケーキ好きの間で最も人気があったのが、菓子の樹だったと記憶しています。

 特に好きだったのが、洋酒をきかせた甘さ控えめのチョコレートケーキ(上写真左側)。良質な生チョコレートクリームでコーティングされたしっとりふわふわのスポンジ生地には、ふんだんにイチゴが挟み込まれていました。クリスマス時期だけではなく、ショートケーキでも店頭に出ていたため、しばしば買い求めていました。

kashinoki-bldg-soma.jpg そして時代は平成へと変わり、6年間の東京勤務から仙台に戻る頃には、区画整理事業によって、立ち退きが進み、空地が目立つようになっていました。そんな二十人町の街並みから菓子の樹は知らぬ間に無くなっていたのです。去る者は日々に疎し。激変した二十人町付近を通りかかっても、菓子の樹を思い起こすことは次第になくなってゆきました。

 それから20年近い時を経たつい先日。仕事で訪れた福島県相馬市でのこと。ちょうど昼時だったので、つきぢ田村で修業した親方が厳選した相馬の素材をビュッフェ形式で味わえるコスパ抜群の「までいにランチ」を頂こうと「割烹やました」を半年ぶりに訪れました。しかしながら、までいにランチは10月末をもって終了したとのこと。う~ん残念 !!

 そのため、スマホで検索したランチが充実したJR相馬駅近くの中華料理店「李龍(リーロン)」を訪れることに。初めて訪れる李龍の駐車場に車を停め、何気なく視線を送ったのが、向かいの5階建てビル。四角形の小さな看板に目が釘付けとなりました。

kashinoki-soma.jpg まごうことなく「菓子の樹」。1階は閉鎖され、テナント募集の表示があり、営業している様子はありません。連絡先の電話番号の主は「田中」とあります。間違いありません。見覚えのある茶色に白い文字の懐かしいロゴタイプを目にして、店の前に樹木が生えていた二十人町にあった当時の菓子の樹の記憶が蘇りました。

 李龍のフロア係の女性に訊ねたところ、以前は菓子の樹として営業していたものの、昨年秋からは空き店舗となっているのだそう。それまではパティスリー・シュシュという名のケーキショップとして人に貸していたとのこと。

riryu-hanakago-lunch.jpg【Photo】ズワイガニとレタスの炒飯・豚チリ卵・豚角煮・海老マヨ・生春巻・肉みそがけ豆腐・チーズ春巻・点心二種盛り・大根サラダ・玉子豆腐・杏仁豆腐。全11品の彩り豊かな味を楽しめる「李龍」冬かごランチ(税込980円・1日20食限定)。ジャスミンティーとコーヒーがフリードリンクサービスで付くという大盤振る舞い (◆李龍 / 住所:福島県相馬市中村1-2-6  Phone:0244-36-6833)

 偶然が重なった結果、ピンポイントで空白の年月をたぐり寄せ、懐かしい菓子の樹の消息を知っただけでも収穫でした。そのうえ李龍で食した「冬かごランチ」が、コストパフォーマンスが高い充実した内容で、ご覧の通りボリューミーであったことを申し添えておきます。

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