あるもの探しの旅

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Nostalgia del paese

ノスタルジアな絵地図で妄想里帰り


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【Photo】スイス(C.H.)・フランス(F)と国境を接するピエモンテ州とヴァッレ・ダオスタ自治州。両州各地の建築や名産品、観光資源を細密なイラストで表した1950年代にイタリアで作成された絵地図 (W237mm×H310mm)

 このヴィンテージマップは、旧市街の四方をルネッサンス期の城壁が囲むトスカーナ州の古都Lucca ルッカで購入したもの。地図の裏面には、1950年代から60年にかけて作成されたことを示す古書店による証明書(右下)が貼付されています。

certificato-garanzia.jpg ピエモンテの州都トリノのモニュメントとして登場するのが、市街地郊外の高台に建つスペルガ聖堂と、16世紀に欧州の覇権を競ったフランスを撃破し、サヴォイア公国の首都をトリノに定めたエマヌエーレ・フィリベルトの銅像。

 さらにFiat の生産工場「Lingotto リンゴット」<2007.7拙稿「そしてトリノ」参照>で、トリノの自動車産業が華やかりし1950年代から60年代に生産されたモデルFiat1100。スイスやフランスとの国境を越える鉄道を疾走するのは蒸気機関車。こうしたアイコンからも、およそ半世紀前の時代背景がうかがえます。

 この絵地図を眺めていて浮かんできたのが、1918年(大正7)に発表された室生犀星(1889-1962)の「抒情小曲集」に収められた「小景異情その二」でした。

    ふるさとは遠きにありて思うもの
    そして悲しくうたふもの
    よしや
    うらぶれて異土の乞食となるとても
    帰るところにあるまじや
    ひとり都のゆふぐれに
    ふるさとおもひ涙ぐむ
    そのこころもて
    遠きみやこにかへらばや
    遠きみやこにかへらばや

map-con-frame.jpg 文学の道を志して上京後も、室生犀星が抱き続けたのが故郷金沢への複雑な感情。元加賀藩士の父と女中との間に生まれ、生後間もなく養子に出された金沢は、血の通った親の愛情を知らずに育った犀星を暖かく迎え入れてくれる地ではありませんでした。

 そんな近親憎悪にも似たアンビバレンスな思いを抱かせるでもなく、庄イタにとってのイタリアは、降りたつたび、そこが異郷であることなど微塵も感じさせません。帰りたい。でも帰れない・・・。

 年末年始にふるさとへ帰省をされた方でも、曜日まわりの関係で、今年はお正月休みが例年になく短かったと感じておいでの方が多いのでは?

 生まれ故郷にひとかたならぬ愛着を持つ郷土愛の権化のごときイタリア人。その常として、郷里には強い帰巣本能が働くもの。庄イタの場合は、その対象が前世のピエモンテほかイタリア各地であり、現世における第二の故郷である庄内地方だったりするわけです。

 さりとて、年末年始に久しく訪れていないイタリアを満喫するに足る長期の休みをとることなど、現実には仕事の関係で夢のまた夢。そんな籠の鳥である庄イタが、遠く離れた故郷を懐かしむに十分な風物が多数ちりばめられたのがこの絵地図。

 芸術の国イタリアでは多くの家庭がそうするように、絵画には似つかわしい額装を施します。この絵地図とて例外ではなく、そうして彼の地へと思いを馳せるのです(上写真)。いざ、地図の旅へ。行け! 我が思いよ。黄金の翼に乗って。

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【Photo】Fiat1100、市街地郊外の高台に建つスペルガ聖堂、サン ・ カルロ広場のエマヌエーレ・フィリベルト像の3点セットはピエモンテ州の州都Torino トリノ(左上)  ランゲ丘陵の銘醸地の中で最も名高いBarolo バローロは、白トリュフが香るAlba アルバ近郊の小さな村。スプマンテ発祥の地がCanelli カネッリ(右上)  Cuneo クーネオ一帯のランゲ丘陵の森は、欧州きっての良質なヘーゼルナッツと栗の名産地(左下)  Biella ビエッラはイタリア繊維産業の中心地(右下)

 魅力が地に満ち、幸福が天から降臨する稀有な国・イタリアは言うに及ばず、ここ数年、歳末の恒例だった庄内&新潟村上への爆買いツアーにすら出向けなかったこの年末年始。地図中に登場するピエモンテゆかりの産品を愛で、里帰りの妄想に少しだけ浸れました。

gianduiotti.jpg【Photo】トリノ生まれのヘーゼルナッツ風味のチョコレート「Gianduiotto ジャンドゥイオット」(中)と、少し小ぶりな「Gianduiottino ジャンドゥイオッティーノ」(左)は、一個づつ金紙に包まれている。〈2007.8拙稿「チョコレートの街トリノ」参照〉  H27年産「ゆきむすび」〈2008.10拙稿「鳴子の米プロジェクト 稲刈り交流会」参照〉の現地受け取りのため、12月末に訪れた鳴子への道すがら立ち寄ったのが「あ・ら・伊達な道の駅」。ROYCE'コーナーで購入した北海道生まれの生チョコ・ジャンドゥイオット風味(右)

 例えばローストすると比類なき芳香を放つクーネオ県特産のヘーゼルナッツを練りこんだジャンドゥイオット。ナターレ(=クリスマス)に北イタリアで食する菓子パンドーロやパネトーネにぴったりなのが、Moscato d'Asti モスカート・ダスティ。

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【Photo】バニラがほのかに香るヴェローナ発祥の八角形をした円錐型のクリスマス菓子「Pandoro パンドーロ」。内袋から取り出す前に粉砂糖を加え、全体にまぶすようにシェイクしてから食するのがコツ

 1990年代半ばに飼育頭数が激減し、スローフード協会が小規模な生産者による保護すべき地域の伝統食材「Ark アルカ(味の箱舟)」に指定する「Razza piemontese ピエモンテ牛」。白毛でコレステロール値が低いこの希少な牛肉の入手はかなわずとも、黒毛和牛の霜降りのような過剰な脂肪がない赤身の旨味が凝縮した赤毛の「いわて山形村短角牛」を盛岡で調達。(2008.6拙稿「元気いっぱい! 放牧牛」参照)〝おせちもいいけど、ピエモンテ料理もね〟ということで、ワインの過剰在庫を抱えるTaverna Carlo タヴェルナ・カルロでピエモンテ風煮込みに仕立てました。

pandoro-moscato.jpg【Photo】上品なマスカット香が特徴のアスティ特産の微発泡性白ワイン「Moscato d'Asti モスカート・ダスティ」が、まさに鉄板の組み合わせ

 ピエモンテ牛と同様、アルカ認定されている日本短角種。噛めば噛むほど滋味深い短角牛の頬肉煮込みにピタピタと合ったのが、ピエモンテ人が愛してやまない「Dolcettoドルチェット」100%のヴィーノ・ロッソ。その極め付けが、土壌の異なる3か所の畑に由来する複雑味と目が詰まった重厚さがあり、しなやかな味わいのバランスに優れた「Dogliani Superiore Vigna Tecc ドリアーニ・スーペリオーレ・ヴィーニャ・テック」2011年ヴィンテージ。

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【Photo】多くの場合はミディアムボディで汎用性が高い赤品種ドルチェットが、持てるポテンシャルを最大限に発揮するのが、2011年にDOCGに昇格したエリア「Dogliani ドリアーニ」。10kmほど北のDOCGバローロ産地では、ネッビオーロを植える最も条件の良い南斜面の畑で育った完熟ドルチェット100%のヴィーノ・ロッソ「ドリアーニ・スーペリオーレ」。作り手はイタリア共和国第二代大統領を務めたルイージ・エイナウディ(1874-1961)が、政界引退後に興した醸造所「ポデーリ・ルイージ・エイナウディ」

 ドルチェットだけでは終わらないのが庄イタ。日頃は整理がつかないTaverna Carloのセラーから取り出したのが、冬場が最もおいしく感じるネッビオーロの精華Barolo バローロです。どれにしようかな~♪と、目移りする良作年ストックのうち〝そろそろ試してみてもいいかも棚〟より両手で一つかみ(下写真)。ボトルを立てて滓を落ち着かせアイドリング状態に。

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 こうして不摂生を重ねた年末年始明け。年初までの暖冬モードが一変、今週から厳しい寒波に見舞われています。かくなる上は酒と薔薇で体脂肪を蓄え、冬を乗り切るロードマップ作戦を展開中 (*^-^)ノY☆Yヾ(^-^*)。そんな他愛のないオチで今回は締めましょう。

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