あるもの探しの旅

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いざ、紅白三番勝負。

Gli abbinamenti tre vini bianchi contro formaggio la Rossa.
Formaggio Cigliegio Atto さくらチーズ 第三幕


vino_rosso_Sanitatis.jpg 日々の食卓を豊かにする佳酒があれば、それで良しとする〝ノムリエ〟の庄イタが、尊敬の念を抱く職業のひとつがソムリエです。

【Photo】ローマ・パンテオン脇の路地奥にある「Biblioteca Casanatense カサナテンセ図書館」所蔵の養生訓「Tacuina sanitatis 」(14世紀)に収められた赤ワインの効能に関する挿絵

 広範な知識に基づく的確な助言、サーヴ時に最良の状態を引き出す温度管理、ヴィンテージごとにピークが異なるワインの秘めたる香りを開かせる抜栓のタイミング...。

 改まった雰囲気のレストランで現場経験を積んだプロフェッショナルならではのサービスと、深いワインへの愛情とその美点を引き立たせようというという情熱、一期一会の時間を提供しようという心遣いを感じる接客。そんな立ち振る舞いには感心するばかり。

Degustazione-del-vino.jpg ソムリエが首から下げるTastevin タストヴァン(左写真)は銀製が正式とされ、これは権謀術策渦巻く中世ヨーロッパにおいて、ヒ素による毒殺を未然に防ぐための名残りだといいます。
 
 かたや一介のノムリエにすぎない庄イタは、山梨・勝沼産ワインを好きなだけ飲み比べできる「ぶどうの丘」をかつて訪れた際、試飲用に購入する〝なんちゃってタストヴァン〟(代金1,100円。持ち帰り可)しか持ち合わせておりません(^0^;。

 ソムリエ教則本的には、チーズに限らず食事とワインのabbinamento アッビナメント(=組み合わせ、マリアージュ)には、いくつかの法則が存在します。

 一般論として、(白身肉には白ワイン、赤身には赤ワインといった風に)食材とワインの色合いを合わせるべし。それぞれの産地を合わせるべし。コクや香りなど味わいの特徴を合わせるべし。チーズとの組み合わせに迷ったら、とりあえず赤ワインを合わせてみるべし。

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【Photo】スローフード協会が主体となってお膝元のピエモンテ州クーネオ県ブラで開催するチーズの祭典「CHEESE」で用意されるプログラムのひとつMaster of Food 。フレッシュ・硬質・スモークなどタイプの異なるチーズとワインとの相性に関するレクチャー

 こうした基本を踏まえた正攻法では、塩気のある食べごたえがある青カビ系には同じ産地のしっかりとした赤がピッタリ。(例:熟成した北イタリア産Gorgonzola piccante ゴルゴンゾーラ・ピカンテ(下写真)には、北イタリアのAmarone アマローネまたはBarbaresco バルバレスコ。南仏のRoquefort ロックフォールならばChaor カオールないしはBordeaux ボルドー)

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 ブルーチーズとの組み合わせの変則技として、コクがある芳醇な甘口デザートワイン(例:Recioto di Soave レチョート・ディ・ソアーヴェ、Passito di Pantelleria パッシート・ディ・パンテッレリーア、 Vin santo ヴィンサントなど)を合わせると、塩味が穏やかに中和され、見事な調和を生み出します。

 ワインとチーズに限らず、漬物と日本酒といった発酵食品同士の組み合わせは、基本的に相性が良い場合が多いもの。最良のカップリングがなされた時は、互いを高めあう素晴らしい出合いとなることでしょう。

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【Photo】シチリア沖の孤島パンテッレリーア島産デザートワイン。2014年、栽培法が世界無形文化遺産に登録された地面を這うような形状に仕立てたブドウ「Zibibbo ジビッボ(別名:Moscato di Alessandria モスカート・ディ・アレッサンドリア)」を収穫後、8月の日差しのもとで乾燥。凝縮した甘味の雫を堪能できるPassito di Pantelleria BUKKURAM Sole d'Agosto パッシート・ディ・パンテッレリーア・ブックラム・ソーレ・ディ・アゴスト2012(右) 酒精強化のマルサラ酒に用いる品種「Grilloグリッロ」をアルコール発酵後50hℓの樽で20年以上熟成させたVecchio Samperi Ventennale ヴェッキオ・サンペーリ・ヴェンテンナーレは、複雑な辛口(左)。いずれもチーズとの相性が良い ※ ロケ地:「土筆

 さくらの季節に連作で取り上げている「La Rossa ラ・ロッサ」は、山羊乳を使ったチーズ。一般的に山羊乳のチーズは、山羊乳由来の個性的な風味があります。組み合わせるワインは、爽やかな酸味を感じる若いうちは青草のニュアンスが好相性であろう「Sauvignon Blanc ソーヴィニョンブラン」を。シャープで濃密なコクが加わる熟成した山羊乳チーズには、カリンやナッツの風味がある「Fiano フィアーノ」など、ボディがある白やタンニンが強すぎない軽めの赤でもOK。

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 このイタリア版さくらチーズを購入したばかりの頃は、桜葉の甘い香りが山羊乳の酸味を和らげ、ベースとなったクセの少ない「Robiola ロビオラ」のフレッシュタイプに桜の香りが乗っている印象でした。

moscato2014-vajra.jpg La Rossa の熟成度合いに合わせて抜栓するヴィーノ(上写真)を用意。1ラウンドに選んだのが、「Giuseppe Domenico Vajra G.D.ヴァイラ」のD.O.C.G.Moscato d'Asti モスカート・ダスティ2014」。

 名醸地Barolo バローロ屈指の好条件に恵まれた畑を所有する作り手による爽やかな微発泡性のヴィーノ・ビアンコです。

 前回、プロフィールをご紹介したLa Rossa はピエモンテ州ランゲ丘陵南部アルタ・ランガ地方産のチーズ。ゆえに〝産地を合わせるべし〟という鉄則に沿った選択ですね。

 ワインに関する嗜好が庄イタとほぼ合致するオンラインショップ「にしのよしたか」を運営する西野嘉高氏が店主を務める大阪市生野区の観光名所になっている生野コリアタウンにほど近い「西野酒店」を訪れて購入したうちの1本です。

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 10℃~12℃が飲用適温であること、そして果物との組み合わせほか、全卵+卵黄に砂糖とモスカート・ダスティを加えて撹拌したカスタードクリーム状のZabaione ザバイオーネ、ヘーゼルナッツのタルトといったピエモンテの郷土菓子が、推奨するアッビナメントとして、バックラベルに記載されます(上写真)

DSCF7626.jpg マスカットの豊かなアロマが香るモスカート・ビアンコ種は、愛好する白ブドウ品種のひとつ。アルコール度数が6%程度に達した時点で発酵を止め、微発泡性に仕立てるモスカート・ダスティの産地ピエモンテ州アスティからアルバにかけての地域では、ロビオラに合わせることが少なくありません。

 バローロの作り手として高い評価を受けるG.D.ヴァイラの現当主、アルド・ヴァイラ氏は、1881年に創設された「La Scuola Enologica di Alba アルバ醸造学校」で1985年まで教鞭をとっていた知性派。

 微発泡ゆえのヴェルヴェットのごとき口当たりと、心地よいモスカートの甘い香りが、La Rossaの塩味を包み隠してくれます。比較的あっさりした若めのRobiola ロビオーラのトロ~っとした食感と、ほのかに香る桜の香りとの相性は★★判定。

 第2ラウンドは、打って変わって個性派の出番。

tag-longaliva.jpg 共働学舎「さくら」とドンピシャの好相性だったPasquale Petrera パスクアーレ・ペトレーラ「Fatalone Teres ファタローネ・テレス2014」を購入した青葉区広瀬町「Wine Store ブドウの木」オーナー・ソムリエ奥山和茂さんのセレクトです。
 
 山羊乳100%チーズながら、酸味を打ち消す桜の香りが漂うLa Rossa の特徴をお伝えすると、トレント自治県にある醸造所「Longariva ロンガリーヴァ」のIGT(=典型的地域表示付)Graminè グラミーネ2013」を推奨いただきました。

 Longariva は、ロミオとジュリエットの街ヴェローナから、オーストリア国境のブレンナー峠を目指して高速A22を北上したラガリーナ渓谷に位置する街、ロヴェレートでマルコとロザンナのマニカ夫妻が1976年に創業した醸造所です。

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【Photo】ドロミテの山並みが北方に迫り、背後にはイタリア最大の湖沼ガルダ湖が控えるトレンティーノ地方。オーストリアと国境を接するトレンティーノ・アルト・アディジェ特別自治州は秀逸な白ワインの産地。アディジェ川沿いから急峻な岩山に続く傾斜地に、この地域伝統のブドウ棚「pergola ペルゴーラ」(=パーゴラ)で白ブドウが栽培される

 Graminè は、イタリア語と併用される公用語ドイツ語が優勢なアルト・アディジェ地方では、ドイツ語表記で「Ruländerルーレンダー」となる白ブドウ品種「Pinot Grigio ピノ・グリージョ」100%のヴィーノ。

gramine-longariva.jpg

 ロゼに近い透き通った独特の色合いは、破砕したブドウ果汁の醸しの段階で、品種名の由来となったグレー(伊語:Grigioがかった淡い赤銅色の果皮とのマセレーション(=醸し発酵)を時間をかけて行うため。

 グラスから立ち上がる完熟した白桃や上品な花の香りから察する予想に反して味わいはドライ。品種の特徴である分厚いボディを備えており、飲み応えもあります。

 角が取れた酸味にしろ、コクとして認識される土壌由来のミネラリーさにしろ、突出した要素がなく、飲み口はあくまでも滑らか。アフターに心地よい余韻が長く残ります。「う~む、これは印象的」

 同郷で組み合わせるセオリーからすれば、ピエモンテとトレンティーノの距離は決して近くはありませんが、気候的には同じ冷涼な北イタリア。次第に山羊乳ならではのコクが増してきたLa Rossaとの組み合わせはバランス良好。カップリングとしては期待を上回る最上ランク★★★を献上です。

 耳障りの良い〝自然派〟なるキーワードを掲げ、日本のワインマーケットを席巻してゆく状況に率直な疑問を呈した(2008年11月拙稿「ボジョレー後日談&自然派ワインよもやま話」参照) 経緯がある庄イタ。個性的な風味のワインを数多く取り揃える某インポーターが取り扱うだけに、いささか構えて開けたのですが、これは〝当たり〟でした。

giacosa-arneis06.jpg 第3ラウンドは、ピエモンテ州クーネオ県ネイヴェに醸造所を構え、地元では誰もが偉大な作り手として尊敬する「Bruno Giacosa ブルーノ・ジャコーザ」が復活させた白品種「Arneis アルネイス」100%のD.O.C.G.Roero Arneis ロエロ・アルネイス2006」。

 作り手の見極めと品質管理において信頼できるインポーター「AVICO アビコ」社が輸入したピエモンテの優良ヴィンテージ2006年を指名買いしたものです。

 庄イタが自ら課している鉄則が〝産地を訪れたヴィンテージを確保すべし〟。

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【Photo】早熟なアルネイスの収穫はとうに終え、黒ブドウのバルベーラや収穫期を迎えたネッビオーロなどのブドウの葉が色づいた2006年10月末のロエロ。1杯のグラスを通して、10年前に訪れたこのブドウ畑へとタイムスリップできるのもワインの愉しみ

 熟成が進み、一段とコクが増したLa Rossa の塩気を、硬質なミネラル感と、時間を置いて温度が上がり始めてから開いてくる完熟リンゴや清楚な花のニュアンス、後味として残る嫌みのない苦味が和らげてくれます。

 率直な感想としては、アンティパストからオイル系パスタ、そしてグリルした鳥や豚肉といった料理と合わせたいワイン。抜栓直後は★★かと思った相性は、次第にボディの厚みと複雑味を増した最終ジャッジでは、★半分を積み増して★★+判定。

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【Photo】ロエロ・アルネイスの規範とされるジャコーザにふさわしいのは、例えばこんな美味しいアンティパスト。 (奥から順に) 鶏白レバーのブルスケッタ、福島県郡山市田村町ふるや農園の放牧豚プロシュット、トスカーナ風インサラータ、春キャベツのピューレ、イタリア風卵焼き、紅白ダイコンのピクルス、カポナータ ※ロケ地:福島市 「 オステリア・デッレ・ジョイエ

 山羊乳チーズとの相性が良いとされるVini Bianchi(=白ワインの複数形)と、La Rossa(=赤)とのアッビナメント紅白三番勝負の模様を今回はお届けしました。

 三番勝負を終えた時点で、まだ1/4が残っていたLa Rossa は、山羊乳らしいワイルドな風味が増す一方、桜の香りは風前の灯となり、購入直後とは別物へと変貌してきました。時間無制限アッビナメント延長戦の実況中継は、また次回。

to be continued...


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