あるもの探しの旅

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念ずれば すなわち是 通ず(≒ 届く)

イリュージョン・チェリー from 庄内

フェロモンメロン ~ 奇蹟の遭遇@道の駅フェスタ in 仙台」続編

 言霊(ことだま)アムさんメロンの甘い香りに包まれた拙宅に、言霊フルーツ第2弾が届いたのは、もはや必然だったのかもしれません。

 それが届いたのは、山形内陸で、お久しぶり & お初にお目にかかる場所を訪れた休日明け。蕎麦を食したいと言う家人を伴い、今の時季はサクランボ狩りに向かう車で渋滞必至のR48は避けたほうが得策と考え、山形自動車道笹谷峠経由で山形市を訪れたのが先週日曜日。

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 それがアンビリーバボーな言霊果実第2弾の伏線となりました。

 J.S.バッハをBGMに冬の変わり蕎麦「柚子切り」を食したのが今年1月末。〈2016.2拙稿「Pizzoccheri al citron giapponesi 柚子切りは J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲とともに」参照〉山形市を訪れたのは半年ぶりです。

 伺ったのは山形では最古参のそば処だという有名店「そば処 庄司屋本店」。

 慶応年間に創業したこの蕎麦処を訪れるのは、山形総局に勤務していた2003年(平成15)、蕎麦好きの総局長Kさんと訪れて以来。

 庄司屋本店再訪の目的は、期間 & 数量限定の「天保そば」。

 1998年(平成10)、福島県双葉郡大熊町の古民家の解体中、屋根裏の古びた俵の中から、炭や灰に覆われた玄ソバが発見されます。これは天明の大飢饉を生き延びた祖先が、再び襲う飢饉への備えに残したと推測されるもの。

 前々回の〝屋根裏カラヴァッジョ〟@トゥルーズは150億円相当ですが、子孫に託され160年の時を経て屋根裏から目覚めた天保そば@福島の価値は、まさにPriceless

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 とはいえ傷みが目立つ玄ソバを発芽させようという研究機関や大学による試みは、ことごとく失敗。1999年(平成11)に発芽から開花・結実・収穫までを成し遂げたのが、福島の製粉業者仲間から100gの玄ソバが送られてきた山形市「鈴木製粉所」社長の鈴木彦市氏(故人)

 品種改良がなされる前の江戸末期からタイムトンネルを越えて復活した天保そば。製粉業者や蕎麦店主などで構成される「幻の山形天保そば保存会」では、交雑を避けるため、酒田から39km沖合いの飛島で原種栽培を行うなどして作付を増やしてきました。

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 2005年(平成17)からは保存会メンバーの蕎麦店で生そばの提供を始めました。今年も6月1日から会員が営む上記13店舗で、昨年秋に収穫し、低温保存していた天保そばの提供が始まっています。早い店では1週間から10日ほどで完売するのだといいます。

 江戸風の上品な更科とコシの強い田舎の相盛りが庄イタの定番だった庄司屋本店。12時半を過ぎ、混み合う蔵座敷には、早咲きのヒマワリを生けた鉢と最上川の雪景を描いた真下慶治の風景画「デルタが見える最上川」が掛かり、夏と冬とが共存しているようでした。

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 山形内陸ならではの「板そば」(1人前1,450円)には目もくれず、一点買いした「せいろ天保そば」(同1,080円)は、これまで食べてきたいかなる蕎麦とも異なるものでした。

 雑味のない本枯節と利尻昆布で出汁をとる辛口そばつゆ、蕎麦粉10割+つなぎ1割の「といち」が基本の庄司屋。パスタで例えれば、ブロンズダイス成形による表面の細かい凹凸があるルヴィタタイプの天保そばは、コシがありながらも、もちっとした食感が特徴。力強い蕎麦の香りの後に甘味が残ります。

 蕎麦湯には柚子七味を加え、稀少な江戸の味を堪能した余韻に浸ることしばし。白濁した蕎麦湯の後は、蔵王温泉の白濁した強酸性の硫黄泉が恋しくなります。温泉街がある蔵王の標高880m地点に向かう前にチェックしたのが、旬真っ盛りのサクランボ。春先から温暖だった今年は豊作なのだとか。

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 昼夜の寒暖差が大きい盆地性気候で果樹栽培に適した山形県内陸部。サクランボ栽培が盛んな村山地域でも、全生産量の3割程度しかない秀クラス以上で大玉Lサイズの代表品種「佐藤錦」は、たとえバラ詰めだとしても1kg4,000円を下回ることはありません。まして贈答用の手詰めともなれば価格は推して知るべし。

 仙台とそう変わらぬ産地価格を前に、無念のスルーを決断したのです。

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 蔵王へ向かう道すがら、平清水の窯元「七右エ門窯」を訪れ、震災で破損して揃いが不足していた湯飲み茶碗を五客購入しました。

 窯元の敷地内には酒田在住の日本酒師匠Aさんご推奨の純米酒専門店「正酒屋六根浄」があります。初対面の店主・熊谷太郎さんからお薦め頂いたのが、福島県郡山市田村町で、江戸中期の1711年に創業した金寶(きんぽう)酒造・仁井田本家の純米吟醸「田村」。

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 自社田で蔵人が無農薬自然栽培する「亀の尾」を全量使用しており、18代目蔵元とこの道60年の杜氏をはじめとする作り手の思いが伝わる1本。平清水で購入した茶碗は、酒器にも適しているようで。。。(^ω^;)

 凄みすら感じるコメの旨味。素材の良さを余すところなく引き出したふっくらとした味わい深さと力強さを兼ね備えた田村は、冷で良し、燗で良し。これは旨い!!

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 そして翌月曜日。拙宅に届いたのが、品名に「佐藤錦」と記載されたこちらの箱(上)。前日、山形で購入を見送ったサクランボが、イリュージョンのごとく目の前にありました。

 すわプリンセス・テンコーこと2代目引田天功の所業か? そんな妄想を巡らせるまでもなく、送り主は鶴岡在住の知人でした。

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 高まる期待を胸に開けてびっくり玉手箱。中身は高級品の証であるぎっしり手詰めの言霊サクランボ。箱に記載された生産者名は平藤丈司さん。

 昨年JA全農山形などが主催した佐藤錦に次ぐ優良品種として期待がかかる新品種「紅秀峰」の品評会において、食の都・庄内地域から唯一入賞を果たしている生産者です。

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 いわずもがなですが、これまた旨い!! どうもごちそうさまでした。(昨年は送り主に牛タンをお送りした今年のお返し。今年はちょっと気張らねば...。)
  
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