あるもの探しの旅

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2016/09/29

鳴子「むすびや」復活へむけて

鳴子の米プロジェクトの新たな挑戦


 コメ余りによる生産者米価の低迷、そして住民の高齢化と人口減少に直面した我が国の中山間地域では、耕作放棄地が広がり続けています。

 その典型的な縮図ともいえる一つが、秋田・山形との県境に位置し、宮城県内で唯一の特別豪雪地帯に指定されている宮城県北部の大崎市鳴子温泉地域

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【Photo】9月末の週末。実りの季節を迎え、黄金色に染まる宮城県大崎市鳴子温泉鬼首 上川原地区

 なかでも山間部の鬼首(おにこうべ)地区は、長雨と冷夏を引き起こすオホーツク海高気圧が優勢な夏に吹く東風「やませ」の影響を受けやすく、かつては年によって皆無作となる稲作農家も少なからずありました。「鬼首のコメはまずくて牛も食べない」と揶揄され悔しい思いをしたそうです。

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【Photo】鳴子温泉郷の入口にある上川原地区から、28年に及ぶ難工事の末、昨年11月に開通したR108花渕山バイパスを経由して秋田県境へ向かって20kmあまり。栗駒山系の峰々が迫る山あいを流れる荒雄川。日の目を見ることがなかった東北181号の試験栽培が2006年に行われたのは、ここ鬼首中川原地区と山あいへと更に分け入った寒湯(ぬるゆ)地区・岩入(がにゅう)地区だった

 温泉街の近くを流れる江合川(荒雄川)の源流域となる鬼首地区と中山平地区のコメ作りに一つの希望の光を灯したのが、2001年(平成13)に「ササニシキ」や「ひとめぼれ」を育種した宮城県古川農業試験場で寒冷地向けに開発された品種「東北181号」でした。

 2005年(平成17)の秋、生命と生存のための食糧の作り手と農地保全の大切さを訴え続けてきた民俗研究家・結城登美雄氏の提唱により、生産者・旅館経営者・直売所グループのお母さん・木工品の職人・行政ら30名で構成される「鳴子の米プロジェクト会議」が発足します。 

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【Photo】鳴子温泉郷の最深部にあたる鬼首(おにこうべ)。トンボが舞う田んぼで収穫を待つばかりとなった鳴子の米プロジェクトの象徴であるコメ「ゆきむすび」。9月に収穫される早生種で、今年も収穫が始まった9月24日(土)、通りかかった鬼首では、頭(こうべ)を垂れた稲穂が秋風に吹かれていた

 プロジェクトが掲げた目標は、生産者だけでなく地域を挙げて地元のコメ作りを支えること、生産者が持続可能な価格設定をすること、食べる人と作る人との信頼関係を構築すること。

 その理念と実践を知って以降、ずっとずっと庄イタが応援している取り組みです。

〈2008.10 拙稿「鳴子の米プロジェクト」稲刈り交流会【前編】【後編】 
 2014.6 拙稿「ゆきむすび 田植え交流会2014」【前編】【後編】参照〉

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【Photo】雪深い山里で命の糧を作る人の思いが一粒ごとに込められている「ゆきむすび」。事前に予約し、毎年手元に届くのを心待ちにしている新米のパッケージに記されたメッセージ。豊という漢字の旧字体〝豐〟は、穀物を足付きの器「高坏(たかつき)」に盛った様子が語源。旧字体には、山の中で育つ稲穂が見て取れる

 国の減反政策により、作付けが行われることがなかった東北181号の奨励品種登録を目指す実証実験として、2006年(平成18)5月中旬、残雪に包まれた栗駒山系の冷たい雪解け水が流れ込む鬼首の稲作農家3戸が、10アールずつ合計三反歩の水田で試験栽培の田植えを行いました。

 東北181号は、コメどころ宮城の代表的な奨励品種「ササニシキ」や「ひとめぼれ」が生育できない山間地特有の日照量が限られる冷涼な気象条件に見事適合。豊かな実りを得たのです。

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【Photo】杭掛けの準備を整え、収穫を待つゆきむすびと、すでに刈り取りを終え、杭掛けされたゆきむすび。ここは荒雄岳を迂回するように鬼首の最深部に分け入った上ノ台地区。廃屋が散見されるこの一帯で大地を耕す人がいなくなった時、こうした瑞穂の国の原風景は、たちまちにして失われてしまう

 地域の相互扶助「結(ゆい)」の復活、そして農村と都市とを結ぶ懸け橋となることを願い、2007年12月に「ゆきむすび」と名付けられた東北181号は、県の奨励品種として翌年2月登録されます。

 今年度産米の稲作農家が農協から受け取る仮渡し金は、宮城ひとめぼれで1俵60kgあたり1万1千円程度が見込まれています。農家の採算ラインを大きく下回る1万円を割る事態に至った米価の暴落にひとまず歯止めがかかった格好ではあります。

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【Photo】30万~20万年前の火山活動で形成された鬼首カルデラの平野部分、上山崎地区の大場隆英さんの圃場。手間がかかる杭掛け・日差しを浴びた天日乾燥による「ゆきむすび」は500俵限定。11月末にで予約者の手元に届く

 余剰小麦の輸出拡大を図る米国の意向で推し進められた戦後の復興期に始まったパン給食が功を奏し、コメ中心だった日本人の食生活は様変わりしました。北米や豪州など9割を輸入に依存する小麦とは違って、コメは自給可能な日本人の伝統的な主食です。

 瑞穂の国ニッポンの国土保全にも役立つコメ作りを続けていくうえで、1年間の労働や必要経費を差し引いた対価として、果たしてこれは妥当な額なのでしょうか?

 日本の農業が国際市場で競争に打ち勝つというお題目のもと、農地の大規模集約化を目指そうと、平成19年度産米からは、4haに満たない耕作地の稲作農家への国の財政支援が打ち切られました(中山間地域には基準の8割程度の緩和措置あり)

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【Photo】鬼首・山崎前地区でゆきむすびを育てている大場市雄さんの圃場。繁殖牛1頭を飼い、その発酵堆肥をコメ作りに活用。杭がけのため稲を束ねていた奥様は「鬼首は雪深いけれど、春が来れば自然に解けるから苦にならない」とカラカラと笑った

 国の方針転換により、担い手として国の支援対象となったのは、鳴子地域の稲作農家620戸のうち、わずか5戸に過ぎません。

 グローバル化・空洞化が進む工業生産品と同じ市場原理を導入した霞が関の発想と地域の実情とのズレは明白でした。「このままでは地域の疲弊は進む一方。」そんな危機感からスタートした鳴子の米プロジェクト発足3年目の2008年(平成20)、推進母体である鳴子の米プロジェクト会議は、恒常的な組織としてNPO法人化されます。

 鳴子の米プロジェクトでは、農家の手取り額として玄米1俵あたり1万8千円を保証。購入者が支払う60kgあたり2万4千円との差額6千円は、若者を中心に地域を支える後継者を育成するためと事務局運営の必要経費に充てています。

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【Photo】(株)こばやし(本社:仙台市宮城野区)が2008年(平成20)に発売した駅弁「宮城ろまん街道」(税込850円)。2つのおむすびに使用されるお米は「ゆきむすび」。包装紙には鳴子の米プロジェクトに当時参加していた鬼首と中山平地区の作り手24名の顔が揃う

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 ゆきむすびは、低アミロース米特有のモチモチした粘りが強い食感と、特Aの常連である宮城産ひとめぼれに勝るとも劣らない食味の良さを兼ね備えます。炊き立てはもちろん、冷めても美味しいため、お弁当やおにぎりにも向く用途の広いお米です。

「初めて人に美味しいと言ってもらえるコメができました。」東北181号の試験栽培への協力を2006年2月に決断した曽根清さん(上画像左から11番目・故人)の言葉は、今も耳に残っています。〈2010.12拙稿「酷暑を乗り越えた『初ゆき』の味」参照〉

 食べる人の安全を考え、除草剤や化学肥料の使用を県の慣行栽培比5割以下までに抑えたゆきむすびの対価は、ごはん茶碗1膳あたり約24円。米国資本の某ファストフードのハンバーガーは100円。子どもたちに伝えたい味は果たしてどちらでしょうか?

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【Photo】冷めても美味しく用途の広い「ゆきむすび」。全ての商品にゆきむすびを使用するおにぎり専門店「おむすび権米衛アパホテル神田神保町駅東店(下)のように、おむすびやお弁当が美味しいのは言わずもがな。加工品で庄イタが最も愛好するのが、濃醇な甘酸っぱさが堪能できる「ゆきむすび 鬼のどぶろく」(上・300mℓ 税込750円)

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 9月24日(土)、秋田・湯沢に向かう道すがら立ち寄った鬼首では、好天のもと早生種であるゆきむすびの稲刈りに汗を流す農家の姿が見られました。

 プロジェクト発足3年目からゆきむすびを栽培しているという山崎前地区の大場市雄さんによれば、寒冷地での栽培に適したゆきむすびゆえ、初夏に高温傾向が続いた今年は分けつ数が少ない上、スズメによる食害も少なからず発生。収量的には少ないとのこと。

 ゆきむすびの購入者も参加して例年行われる5月末の田植え交流会や9月末の稲刈り交流会で振る舞われる食事でお世話になる「やまが旬の市」のお母さんたちも、ゆきむすびの栽培農家にとって、除草や病害虫との闘いに加え、今年は暑さで苦労したと口を揃えます。

 今年も予約済みの28年度産米。12月初旬、鳴子に受け取りに行くことになっています。手を合わせて頂くことにしましょう。

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【Photo】親・子・孫。先祖伝来の田んぼに家族三世代が集い、ゆきむすびの収穫・杭掛け作業に精を出す。鬼首・上山崎地区にて
 
 NPO法人鳴子の米プロジェクトが、大切な命の糧を作る人と食べる人との縁を結ぶ場所として、大崎市鳴子温泉要害地区のR47に面した農協の施設を借り受け、おむすびを提供する「むすびや」を土日限定営業でオープンしたのが2009年12月。

 麹南蛮味噌焼き、青菜漬巻き、クルミ炊き込み、きな粉、古代米炊き込みなど、地元のお母さんが握った鬼首産ゆきむすび100%のおにぎりは常時10種(120~140円)。岩手・野田村の塩、宮城・七ヶ浜「星のり店」の海苔といった選りすぐりの海産物ともコラボ。

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 具だくさんの味噌汁・煮物の小鉢・漬物と、宝石のような前出のおむすびから2つが選べる農作業の合間に田んぼで食する「小昼(こびる)」をイメージした「小昼らんち」(600円)も人気を博しました。

 こうして過去形で語るのには理由があります。鳴子温泉を訪れる観光客や地元の人々で賑わったむすびやは、2011年(平成23)の東日本大震災で設備が損傷。2013年末の賃借契約満了をもって建物が取り壊されたのです。

 再開を待ちわびる声に背中を押されたNPO法人鳴子の米プロジェクトでは、比較的少額な個人からの寄付金を募るクラウドファンディングの手法を取り入れて待望久しい「むすびや」営業再開に向けて始動しました。

logo_musubiya@narugo.jpg 9月15日、READYFORに支援窓口が開設された「鳴子の米プロジェクト、伝説のおにぎり屋『むすびや』を復活!」。

 来年4月の復活を目指し、資金の一部250万円をインターネットを介して2か月間で調達しようという試みです。

 おむすび10個引換券(学生限定)ないしはサンクスレターが届く一口3千円ほか、鳴子の温泉宿利用券と交流会無料参加資格が得られる一口1万円から5万円まで、多彩な特典つきの支援コースが用意されます。

 11月14日(月)23時までに目標額に達しない場合、善意が活かされることはありません。現時点で目標額の40%強の資金協力を得ています。

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【Photo】北東イタリア・チロル地方に相通じる景観を生む神室連山を背景に一面の穂波で黄金色に染まった鬼首。そこに人の温もりを感じるのは、営々と築かれてきた耕土の営みがあってこそ

 2007年3月4日、東北181号が初めて世に出た「鳴子の米発表会」で配布されたパンフレットに記された鳴子の米プロジェクトの提唱者である結城登美雄氏の言葉の一節を最後にご紹介しておきましょう。

 ----この世には、あきらめてはいけないことがあり、失ってはならないことがあります。私たちの「生命と生存のための食料」(ソクラテスの言葉)と、それを育ててくれる人びとと大切な農地の存在です。

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鳴子の米プロジェクト 

◆28年度産ゆきむすびのご予約はFAX(0229-29-9437)で。
 申込書はこちら 201604yukimusubiyoyaku

◆「むすびや」復活のご支援はREADYFORサイトで。
 申込みはこちら https://readyfor.jp/projects/musubiya

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2016/09/17

躍動、縦横無尽。

青森ねぶた祭&五所川原立佞武多(たちねぷた)の偉容

◆青森ねぶた祭 編◆
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Feeding The Planet, Energy For Life.(地球に食料を、生命にエネルギーを)〟をテーマに昨年5月1日から10月31日までイタリア・ミラノで開催された「 Expo Milano 2015 (ミラノ国際博覧会)」には、140を超える国と国際機関がパビリオンを出展。184日間の会期中、2,150万人が訪れました。

 岩手県産のカラマツを木組み工法で組み上げた外観の日本館はとりわけ好評を博し、連日入館待ちの長蛇の列。入館者の9割が規則に縛られることを嫌うイタリア人だったにもかかわらず、最長で9時間も(!!)並んだことが、驚きをもって地元メディアで紹介されました。

Expo2015Milano.jpg【Photo】ミラノ万博には、2001年に大英博物館に出品したねぶたが世界最高のペーパークラフトと評され、2012年に第6代ねぶた名人の称号を授与されたねぶた師・北村隆氏が太陽と地球を表現した「日天・水天」が、八戸港からジェノヴァまで海を渡って凱旋した

 7月11日の「ジャパンデー」には「東北復興祭りパレード」が行われ、東日本大震災で寄せられた支援への感謝を込めて東北6県の夏祭りが披露されました。福島わらじまつり仙台七夕秋田竿灯まつりなどとともに、青森ねぶた「日天・水天」(上画像 / 幅6m・高さ4.5m・奥行き4.5mも出陣。

【Movie】2015年7月11日にミラノ万博ジャパンデーの目玉として催された「東北復興祭りパレード」

 毎年8月2日~7日に開催される青森ねぶた祭に繰り出す大勢の囃子・跳人(はねと)に先導された赤・青・黒などの原色を配した大型ねぶた(幅9m・高さ5m・奥行き7mが宵闇に鮮やかに浮かび上がる大迫力を再現できたかは、正直微妙なところ。

 欲を言えば青森ねぶたの運行は、あっけらかんとひたすら明るい真夏のイタリアの太陽のもとではなく、熱い情念が解き放たれる夜間であってほしかったのですが...。

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画像提供:(公社)青森観光コンベンション協会

 短い北東北の夏に燃え立つ燎原(りょうげん)の火のごとく、青森県内各地で催されるねぶた(ねぷた)祭。好天に恵まれた今年は、東北三大夏祭りでは最多となる276万人を集めた青森ねぶた祭、武者絵などが描かれた大小80台の扇型山車が「ヤーヤドー」の掛け声で繰り出す弘前ねぷたまつり、後述する五所川原立佞武多(たちねぷた)などは、実物に触れてこそ、溢れんばかりの熱気やスケールが体感できます。

 このところ、めっきり日が暮れるのが早くなりました。ここにご紹介するのは、お囃子と「ラッセラー、ラッセラー」の掛け声とともに真夏の夜を熱く焦がした熱気渦巻く青森ねぶた祭に出陣した大型ねぶた22台の中から選ばれた入賞作。今更ではありますが、どうぞご覧ください。

nebuta2016taisho.jpg青森ねぶた「ねぶた大賞」:蝦夷ケ島夷酋(えぞがしまいしゅう)と九郎義経

竹浪比呂央氏 作(JRねぶた実行プロジェクト)

nebuta2016chijisho.jpg青森ねぶた「県知事賞」:俵藤太(たわらのとうた)と竜神
北村 隆氏 作(ヤマト運輸ねぶた実行委員会)

shichou.jpg青森ねぶた「市長賞」:箭根森八幡(やのねもりはちまん)
竹浪比呂央氏 作(青森菱友会)
画像提供:(公社)青森観光コンベンション協会

aomorinebuta-shimin.jpg青森ねぶた「商工会議所会頭賞」:陰陽師(おんみょうじ)、妖怪退治
北村麻子氏 作(あおもり市民ねぶた実行委員会)

 唯一の女性ねぶた師・北村麻子氏は、昨年秋に長女を出産したばかり。大型ねぶた5作目「陰陽師、妖怪退治」は、背面の「送り」もサービスショットでご紹介します(下画像)

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 化け猫の顔にいたずら書きをする子、化け猫のヒゲを引っ張る子、大泣きする子。母親となった北村氏が、子育てと仕事を両立させながら取り組んだ新作ならではのディテールではないでしょうか。

nebuta-hitachi.jpg青森ねぶた「観光コンベンション協会会長賞」:忠臣蔵

北村蓮明氏 作(日立連合ねぶた委員会)

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◆五所川原 立佞武多 編◆  
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 青森ねぶたの熱気と余韻を残したまま迎えた翌日。既報の田舎館村・田んぼアート会場〈2016.9拙稿「シン・ゴジラ出現!@田舎館村」参照〉・弘前「岩木山神社」や、出回り始めていた「嶽きみ」〈2013.9拙稿「キミだけを想ってる 」参照〉の確保に訪れた嶽地区など岩木山麓を経て、五所川原市に庄イタは出没しておりました。

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【Photo】年間を通して大型立佞武多を展示する「立佞武多の館」から姿を現した「忠孝太鼓」。全高17m・重さ18t。二層重ねの大太鼓は、直径2.4mで、迫力の重低音を響かせる

 今年7月中旬、「アムさんメロン」〈2013.8拙稿「庄内系イタリア人的青森〈後編〉」参照〉が出品される青森マルシェを昨年に続いて訪れた足で、五所川原「立佞武多(たちねぷた)の館」を訪れていました。

 そこで安土桃山時代に歌舞伎の源流となる「かぶき踊り」を編み出した出雲阿国を題材に、今年の立佞武多に初お目見えする「歌舞伎創生 出雲阿国(いずものおくに)」を担当した立佞武多師・齊藤忠大(ただひろ)さんの躍動感あふれる下絵(下画像)を目にしていたのです。

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 青森ねぶたにしろ、弘前ねぷたにしろ、歌舞伎や神話などに題材をとった男性的な〝ますらをぶり〟な作例が多いかと思います。そんな中で、2006年(平成18)に五所川原市観光物産課副主幹(当時)三上敦行氏が手掛け、鬼子母神が題材となった「絆」に続き、女性を題材とした今年の新作立佞武多は、完成形を是非とも見たいと思ったのです。

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【Photo】かぶき踊りを舞う出雲阿国を題材とする新作「歌舞伎創生 出雲阿国」の大きく跳ね上げた左足を真下から。アンクレット風の朱数珠 & ペディキュア風の赤い爪紅(つまべに)で女子力アゲアゲ。着物の裾からのぞく生おみ足に萌え~ 之図

 組み上げると高さ23m・幅8mに達する巨大な立佞武多。「ヤッテマレ、ヤッテマレ」の掛け声や勇壮な太鼓やお囃子とともに、あでやかに舞う出雲阿国が市街地を練り歩く姿を想像しながら、期待を胸に五所川原入りしました。

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【Photo】立佞武多の館から姿を現した2014年製作「国性爺合戦 和籐内(こくせんやがっせん わとうない)(前方)、2015年製作「津軽十三浦伝説 白髭水と夫婦梵鐘(しらひげみずとめおとぼんしょう)(後方)

 8月4日~8日までの祭り初日に登場する五所川原が生んだ大スター吉幾三さんの生歌唱パレードと並ぶ(?)見ものの一つは、巨大な大型立佞武多が立佞武多の館から出陣する場面。

 地上6階建て(高さ38m)の建物に設けられた可動式のゲートから、二層建ての八尺(直径約2.42m)太鼓の上にねぷた飾り「三日月祈願 山中鹿之介」を据え付けた「忠孝太鼓」に先導され、ここ3年で製作された大型立佞武多3台が、開口部に接触せぬよう、スローモーションのようにゆっくりと姿を現すさまは圧巻です。

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【Photo】大勢の引き手に導かれて立佞武多の館を出陣し、通りへと繰り出す2016年新作「歌舞伎創生 出雲阿国」(上画像6点)。女性の体重を明らかにするのは無粋なれど、総重量は19t。五所川原市街地中心部を巡回するスタート地点で「忠孝太鼓」と「歌舞伎創生 出雲阿国」が相まみえるさまは、特撮映画ゴジラ対キングギドラさながら(下画像)

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 市街地と沿道の観客を見下ろしながら練り歩く大型立佞武多。それはフルCGで製作されたシン・ゴジラの虚構世界が、あたかも目の前で現実となったかのよう。

2014watonai.jpg【Photo】立佞武多の館では3年ごとに常設展示する大型立佞武多の入れ替えを行う。今年が最後の出番となった2014年製作「国性爺合戦 和籐内」(鶴谷昭法氏作)は、来年の新作立佞武多の完成を待って解体される。勿体ないので、どなたかご自宅の改築またはビル新築を前提に引き取りませんか?

 3Dメガネをかけずとも、VFXを駆使したインディペンデンス・デイ:リサージェンスを凌ぐド迫力を味わえた五所川原立佞武多を、とくとご覧ください。

2015shirahigemizu.jpg【Photo】2015年製作「津軽十三浦伝説 白髭水と夫婦梵鐘」(福士裕朗氏作)

  2016年の〝たをやめぶり〟な新作「歌舞伎創生 出雲阿国」のあでやかな舞いを正面より見上げる之図。(下画像)

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 迫力に気おされ、番傘を差した阿国の後ろ姿を見送る之図。奥は立佞武多の館に帰還せんとする国性爺合戦 和籐内。(下画像)

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 八戸・青森・五所川原と青森県を横断し、ド派手で奇想天外な山車や勇壮なねぶた、そして規格外の大きさの立佞武多を間近にして、物体の大きさを捉える感覚に微妙な狂いが生じていたような気がします。

 そのダメ押しとなったのが、五所川原から鰺ヶ沢・深浦を経由して日本海沿いを花火大会が開催される酒田を目指して南下した途中・秋田県能代市でのこと。

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【Photo】2013年(平成25)、1世紀ぶりに復活した能代七夕を彩るどこかポップな極彩色の大型行燈。手前の「嘉六(かろく)」は高さ17.6m、奥に控える「愛季(ちかすえ)」は高さ24.1m

 R7を南下中に通りかかった能代市役所の裏手には、8月3日・4日に開催される能代七夕「天空の不夜城」に繰り出す大型燈籠2基(上画像)が展示されており、横浜中華街の牌楼(パイロウ)的な存在感を示していました。

 度肝を抜かれたのが、立佞武多より高く、燈籠としては日本一の高さだという24.1mの「愛季(ちかすえ)」。

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 明かりが灯った状況(上画像)とは違い、いわゆる〝昼行燈(ひるあんどん)〟でしたが、Beijing opera(ペキン・オペラ)こと京劇を思わせるビビッドな配色とキッチュな造型、そして型破りの大きさに目を丸くしました。

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 中秋の名月を過ぎ、もはや真夏の夜の夢にも思える五所川原立佞武多、青森ねぶた祭、八戸三社大祭と、青森を巡った3つの夏祭りをシリーズで回顧してきました。

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 こうして北東北のスペクタクルを体感した挙句、巨大な異形の人形が多数繰り出すイタリア・トスカーナ州のビーチリゾートViareggio ヴィアレッジョで開催される「Carnevale di Viareggio ヴィアレッジョのカーニバル」(上画像)が、妙に思い起こされるオチがついた夏でした。

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2016/09/10

巨大スケール 縦横無尽

「殿、利息でござる!」「ティファニーで朝食を」「シン・ゴジラ」と映画に関連づけた話題が続いたこの夏。その最後を締めくくるのは、桁外れの大きさの宇宙船で来襲し、地球を植民地化しようとする地球外生命体に結束して立ち向かう人類の闘いを描いた作品です。

迫力の3Dで迫り来る侵略者もタジタジのピッツァ
& 棟方志功に見る青森ねぶたの色彩


cooking-kingdom2016.6.jpg 「TOHOシネマズ仙台」がキーテナントで6~9Fを占める仙台PARCO2の1F飲食フロアには「サルヴァトーレ クオモ& バール」が東北初出店(下画像)

 7月1日(金)のグランドオープン前日に行われたプレス内覧会には、日本にナポリピッツアを広めた功労者でナポリ出身のサルヴァトーレ・クオモ氏も駆けつけ華を添えていました。

 そうして期せずしてトートバッグに忍ばせていた料理王国6月号の表紙(右画像)をちらつかせながら、落合務シェフと並んで写るクオモ氏とご対面。

©CUISINE KINGDOM

 2003年にナポリで開催されたピッツァ職人の技能を競う世界最高峰の大会「Pizzafest」において、イタリア人以外で初の最優秀賞に輝いた大西 誠氏も、生地づくりや薪窯の技術指導のため、数日間は仙台にいらっしゃる予定であることを店の方から聞き出しました。

 上杉「ピッツエリア・パドリーノ・デル・ショーザン」、楽天コボスタ内「穂波街道 赤のイスキア」、塩竃「ラ・ジータ」、定禅寺「ダ・ジェンナーロ」、台原「イル・ピッツァイオーロ」といった庄イタをうならせる本場ナポリの味を仙台に居ながらにして味わえるピッツェリアが増えつつある仙台圏。

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 一方で、東京・中目黒「ダ・イーサ」で、山本尚徳さん(下画像)の手になるサックリ&モチモチの食感が素晴らしいピッツア生地が、何故に世界一なのかを体感するなど、日々の鍛錬も怠りません。

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 マルゲリータ・レッジーナ協会主催「Trofeo città di Napoli ナポリ・ピッツア選手権」において、2007年と2008年に世界一に輝いたのが、当時、南青山の名店「Napule」のピッツイオーロだった山本さんでした。

marinala-daisa.jpg【Photo】異次元の食感で魅了する生地の旨さは特筆もの。Pizzera e Trattoria da Isa ダ・イーサのマリナーラ(1,500円)

 2003年世界チャンプ・大西氏のマルゲリータS.T.G.を新潟で食して以来の願ってもない機会ゆえ〈2013.10拙稿「すわ119番」参照〉、開店初日のランチに再訪した折には、ピッツアが冷めかねない通常メニューのランチビュッフェには目もくれず、大西さんが焼き上げたマリナーラ(下画像・S1,300円・M1,500円)を所望したのです。

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 内覧会の翌週末、再びPARCO2に足を運んだ一つの理由は、多店舗展開による個々の質の劣化という飲食店が陥りがちな悪弊に関して、サルヴァトーレ クオモ&バールが、その例外であるかどうかを見極めんがため。

 注文したカルボナーラが、熱々を食したいピッツアと同時に運ばれてくるなど、現場のオペレーション面ではオープンして間もないハンデを差し引かねばなりません。今後に期待しましょう。

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 ピッツアに換算したなら数億食分はあろうかという大きさの宇宙船(下画像)が地球に来襲するIMAX®3D版の「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」を鑑賞するのが、もう一つの仙台PARCO2を訪れた目的でした。

resergence-mothership.jpg【Photo】前作では直径24kmの設定だったエイリアンの宇宙船。新作では格段にスケールアップした母船が登場。映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」より ©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation

 20年前に人類が結束して撃退したエイリアンが、遥かにスケールアップして再び地球を襲う「インディペンデンス・デイ:リサージェンス」。

 北米大陸を覆いつくすほどの巨大な宇宙船(下画像)の大きさのみならず、製作費についても1億6千5百万ドル(約165億円)の巨額を投じたSF超大作です。

indipendenceday-1.jpg【Photo】地球の重力を操作する技術を備えたエイリアンは、世界の主要都市を破滅に追い込む。映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」より ©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation

 20年前に公開された第一作「インデペンデンス・デイ」では、ベトナム戦争の退役軍人ラッセル・ケイスが、ミサイルを装填した戦闘機ごと体当たりして母船を破壊。地球制服を目論むエイリアンと人類との死闘の末に地球を救いました。

 前作では湾岸戦争でパイロットとしての従軍経験がある設定だった米国大統領ホイットモアが、前作のラッセルと同じく自らの命と引き換えに人類を救う元大統領役を新作で演じます。

indipendenceday2.jpg【Photo】地球制服を目論む巨大で強力な侵略者に対し、人類はいかに立ち向かうのか。映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」より ©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation

 前作より遥かに巨大化したエイリアン母船に対し、武力による徹底抗戦を挑むアメリカ。新作でもアメリカ独立記念日の7月4日が人類が勝利を収める日という設定がなされています。英雄の登場を待望し、世界の盟主たらんとする米国らしさが炸裂するこの作品。

 トランプ候補に拍手喝采するアメリカ市民のメンタリティと共通する〝善〟対〝悪〟の単眼的な図式化は、イスラム原理主義やテロとの戦いを主導する第二次世界大戦の戦勝国・米英仏の根底に流れる発想と相通じるように感じます。

IndependenceDay-queen.jpg【Photo】巨大なエイリアンの女王と繰り広げる死闘の結末やいかに。映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」より ©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation

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 IMAX®デジタルシアターの巨大スクリーンに投影される空を覆いつくす巨大な宇宙船や、体長118.5mに巨大化したシン・ゴジラが引き起こした大きさの感覚に関する麻痺に追い打ちをかけたのが、既報の八戸三社大祭に加え、青森ねぶた、そして五所川原立佞武多と続いた夏祭りのハシゴでした。

oirase2016.8.jpg【Photo】鬱蒼とした樹間からこぼれる木洩れ日と、十和田湖から流れ出る豊かな水流とが、多彩な緑のコントラストを描き出す奥入瀬渓流「石ヶ戸の瀬」

 八戸から青森市への移動ルートに選んだのは、山岳コースのR103。寄り道した緑したたる樹間を変化に富んだ渓流美が続く「奥入瀬渓流」のハイライトとなる「石ヶ戸」~「銚子大滝」間、約8kmでマイナスイオンをたっぷりと浴び、まずはココロの洗濯。

choshi_otaki.jpg【Photo】雪解け水で水かさが増える春先は最大幅20mにもなり、落差7mの高さを水しぶきをあげて流れ落ちる「銚子大滝」は、奥入瀬渓流の本流では唯一の滝。轟音を響かせる滝を前に思い起こしたのが、5年前の9月、羽黒山伏修行の折に湯殿山での瀧行だった〈2011.12拙稿「修験道体験@出羽三山」参照〉

 広葉樹林帯からブナの森を縫うように走るR103。次第に標高が上がると、八甲田山が北限となるアオモリトドマツの森へと植生が変わってきます。標高890mのいで湯「酸ヶ湯温泉旅館」の名物、総ヒバ造りの「千人風呂」で身を清めてから青森市に到着しました。

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 大型ねぶたの運航が開始される19時10分までは時間の余裕がありました。そこで訪れたのが、世界的な板画家・棟方志功(むなかたしこう・1903~1975)の業績を展示する「棟方志功記念館(上画像)

munakatashiko-saku_konin.jpg 青森市で鍛冶屋の三男として生まれた棟方志功は、18歳で文芸誌「白樺」の表紙に描かれていたゴッホの「ひまわり」と出合い衝撃を受けます。「わだばゴッホになる」と画家の道を志します。1939年に発表した代表作「二菩薩釈迦十大弟子」で国内における名声を確立。1956年のヴェネツィア・ビエンナーレ版画部門で日本人初の国際版画大賞を受賞するなど、ここで改めてご紹介するまでもなく、海外でも広く認められた偉大な芸術家です。

【Photo】モノトーンの板画に裏側から色を滲ませる裏彩板画の作例。1962年(昭和37)「弘仁の柵」

 ねぶた祭を愛した志功は、郷里を離れた後も、跳人(はねと)として祭りに参加したそうです。志功が生命の象徴として好んで取り上げた丸顔で豊満な女性像に見られる裏彩板画の色合いは、躍動感に溢れるねぶたの配色を彷彿とさせます。

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【Photo】開幕を告げる打ち上げ花火に続き、血沸き肉踊る青森ねぶた祭の主役・大型ねぶたの先陣を切って出世大太鼓の勇壮な響きが近づいてくる

haneto2016.jpg【Photo】扇子持の合図で動くねぶたの曳き手、跳人と囃子が一体となって青森の夏の夜を焦がす

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画像提供:(公社)青森観光コンベンション協会

 黄昏時に聞かれる虫の鳴き声が、ヒグラシからスズムシへと変わり、過ぎ去った夏の感傷に浸るビデオクリップが秀逸なドン・ヘンリーの名曲「The Boys of Summer」が似つかわしい季節となりました。

 次回、「躍動、縦横無尽。青森ねぶた祭&五所川原立佞武多(たちねぷた)の偉容」で、笛・太鼓・手振り鉦が奏でるお囃子と、通りを練り歩くねぶたが宵闇を熱くする青森・津軽の短い夏を回顧します。

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2016/09/03

シン・ゴジラ出現@田舎館村

 前回「陸奥湊で朝食を」冒頭で登場した名作「ティファニーで朝食を」に続き、今回はこの夏公開され話題となった超・巨大な相手に立ち向かう人間の奮闘を描いた映画最新作にちなんだ話題を3回シリーズでお届けします。

最新VFXを越える田んぼアートのリアリティ

 VFXVisual Effects ビジュアル・エフェクツ)や3Dを駆使したデジタル視覚効果技術と、音響を含めた劇場設備の進歩により、映画の虚構世界をリアルに体感することが可能となりました。

 7月1日にオープンした仙台PARCO2には、床面から天井・正面の壁すべてが大きなスクリーンとなる最新鋭のIMAX®デジタルシアターを含む9つのスクリーンを備えたシネマコンプレックス「TOHOシネマズ仙台」が6~9Fにキーテナントとして入居しています。

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©2016 Toho co.,ltd.      

 まず俎上に乗せるのは、〝現実(ニッポン) 対 虚構(ゴジラ)〟をキャッチフレーズとする東宝作品「シン・ゴジラ」IMAX®版。

 羽田沖に突如出現し、大田区へと上陸した謎の巨大不明生物(ゴジラ)。予想だにしない緊急事態に右往左往し、機能不全に陥り被害を拡大させる日本政府。東日本大震災と原発事故の折の対応を想起させる政権中枢の優柔不断ぶりが、シニカルかつリアルに描かれます。

godilla_1.jpg【Photo】鎌倉に出現したゴジラは、シリーズ29作目にして過去最大の大きさに巨大化。映画「シン・ゴジラ」より ©2016 Toho co.,ltd.

 体内での核融合がエネルギー源となる巨大不明生物は、血流による体の冷却では追い付かず、突如として東京湾の海中へと姿を消します。鎌倉への再上陸時には、118.5 mまで体長が巨大化。

 ゴジラは横浜・川崎を移動して北上を続けます。戦後初の防衛出動を決断した内閣総理大臣の指示で、一斉攻撃に臨む自衛隊。しかし日本が保有する通常兵器では全く歯が立たず、ゴジラは防衛線を楽々と突破。東京都心へと移動します。

godzilla_2.jpg【Photo】首都防衛の生命線となる多摩川付近で、自衛隊は陸と空からの一斉攻撃に臨むが...。映画「シン・ゴジラ」より ©2016 Toho co.,ltd.

 日米安保条約に基づく出動要請を受けた米軍の地中貫通爆弾による攻撃で、致命傷を負ったかに思えたゴジラは、状況に応じて驚異的な進化を遂げる究極の生命体へと進化していました。国連安保理は中露が主導し、自国への被害拡大が懸念されるゴジラ殲滅(せんめつ)のため、東京での核兵器使用を決議します。

 各省庁の異端児たちの混成チームを主導する内閣官房副長官・矢口蘭堂は、日本に対する3度目の核兵器使用を回避すべく、血液凝固剤の経口投与によるゴジラの活動停止を画策。チームワークで立ち向かいます。

【Movie】映画「シン・ゴジラ」予告編 ©2016 Toho co.,ltd.

 次回取り上げるローランド・エメリッヒ監督最新作「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」でも共通して描かれるのが、絶体絶命の事態打開に向けたプロセス。日米それぞれの国情や国民性の違いが如実に表れているように感じました。

 もはやこれ以上のタネ明かしは野暮というもの。正確な金額は非公表ながら、東宝としては異例の総額20億円以上といわれる製作費を投じた超大作の結末は、どうぞ劇場で見届けて下さい。

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 この夏、最新VFXを駆使した映画の虚構世界を凌駕する現実と出合ったのが、夏祭り期間に訪れた青森でのこと。

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【Photo】田んぼアート発祥の地・青森県南津軽郡田舎館村の「道の駅いなかだて『弥生の里』」。360°の視界が開ける第2会場展望所からは、津軽平野と岩木山が一望のもと

 今回ご紹介するのは、1993年(平成5)から回を重ね、今年で24年目を迎えた田んぼアート開催真っ最中の青森県南津軽郡田舎館村(いなかだてむら)

 各地で同様の取り組みがなされる田んぼアート発祥の地・田舎館で庄イタが訪れたのは、NHK大河ドラマ「真田丸」をテーマとする第1会場ではなく、色の異なる7色9種類の水稲でシン・ゴジラを表現した第2会場でした。

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【Photo】田舎館村田んぼアート第2会場。背中から放射状に光線を発しながら国会議事堂を襲撃せんとする巨大スケールのシン・ゴジラは今にも動き出しそう。左右分割でのご紹介となったのは、18-55mmズームレンズではフレームアウトしてしまうゆえ、ご容赦のほど

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 道の駅いなかだて「弥生の里」に隣接する田んぼ約1ヘクタールの奥行き70m×幅150mが、田んぼアートのカンバスです。これは庄イタが映画シン・ゴジラを鑑賞したTOHOシネマズ仙台では最大となるシアター6(横31列・全366席)「IMAX®デジタルシアター」を遥かに超えるスケール。

 桁外れの大きさの田んぼアートを鑑賞するためには、道の駅いなかだてに4年前に造られた高さ21mの「弥生の里展望所」(入館料:中学生以上300円・小学生100円)から、鳥の視線を得て眺める必要があります。

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【Photo】自衛隊の火器による攻撃ではビクともしない分厚く強固なゴジラの外皮は、ニガウリ(ゴーヤ)をイメージしたという。風に吹かれてサワサワと揺れる稲が、あたかもゴジラが動いているかのような錯覚を生み、迫真のリアリティをもたらす

 感嘆すべきはその完成度の高さ。測量技術を用い、パースペクティブを考慮して展望所から眺めた際に形状の歪みが出ないよう下絵を基に設計図を作成します。

 今年の新作シン・ゴジラに関しては、田んぼに1万2千か所のポイントをプロットし、地元の方たちが、食用米「つがるロマン」・ 葉が白い観賞用品種「ゆきあそび」・古代米の「黄大国」や「紫大黒」など、色の異なる稲の苗を手植えしたのだといいます。

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【Photo】正しい日本語では「食べられる名作」とあるべきキャッチフレーズ。官製〝ら抜き言葉〟が気になる田舎館村作成による今年の田んぼアートのフライヤー(部分)。表面に採用された図柄は、昨年の第一会場「風と共に去りぬ」

 2013年(平成25)7月、弘前市と黒石市とを結ぶ弘南鉄道弘南線に「田んぼアート駅」が設置され、人口8,000人の村を年間35万人近くが訪れる観光集客の目玉となっています。交流人口増による地域おこしにも寄与した田んぼアートは、年を追って芸術性のレベルが向上。国内外から高い評価を受けています。

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 昨年からは巨大な「石のアート」にも新たに挑戦。〝不器用ですから〟のセリフが記憶に残る高倉健をモノトーンで器用に表現した前年作(上画像)に続く今年の新作は、昭和の大スター石原裕次郎(下画像)。苦み走った裕ちゃんは、きっとこう言っているのでしょう。「♪ 俺は待ってるぜ

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 村では例年9月末に刈り取り体験ツアーを実施します。ご興味があおりの方は、田舎館村企画観光課商工観光係(Phone:0172-58-2111 / 内線242・243)まで。

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 そもそも田舎館村が全国に先駆けて田んぼアートを始める契機となったのが、1981年(昭和56)にR102のバイパス化工事で、弥生時代中期にあたる2,000年前の水田跡が発見された垂柳(たれやなぎ)遺跡の存在でした。

 国内最大級の縄文集落跡「三内丸山遺跡」や、呪術で使われたと推測される異星人のような姿の遮光器土偶が出土した「亀ヶ岡遺跡」など、豊かな縄文文化が本州最北の地で花開いた青森。

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【Photo】田舎館村埋蔵文化財センターは、垂柳遺跡で発見された細かく仕切られた2,000年前の水田跡に建っており、 遺構露出展示室では遺構を間近に見学できる。手前の窪みは水路跡

 稲作を暮らしの基盤とする弥生文化が本州最北部に定着していたことを示す656枚(約8,000平方メートル)の水田跡は、北東北には弥生は存在しなかったというそれまでの定説を覆す発見だったのです。

 洪水により埋没し、打ち捨てられたと推定される小さく区割りされた弥生時代の水田跡で見つかったのが、当時そこで暮らしていた人々の数万にも及ぶ足跡でした。

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【Photo】田舎館村埋蔵文化財センターの入口ホール。年齢が特定された男女数名が遺した足跡をガラス越しに見ることができる

 その大きさと凹みの深さから、おおよその年齢や性別を推定。家族と推定される子どもを含む男女が揃って農作業を行っていたことが分かっています。

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 道の駅いなかだて「弥生の里」と通りを挟んで隣接する垂柳遺跡には、博物館と埋蔵文化財センター(共通入館料:大人300円・中高生200円・小学生100円)が建っています。

 田んぼアートの里を訪れた際は、稲作が北東北に定着し、弥生時代中期の人々の暮らしを支えていた田んぼの遺構もお見逃しなきよう。

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