あるもの探しの旅

« Bianco e Nero ~ Capitolo Nero ~ | メイン | 目の保養だけじゃねぇ...。 »

神ってる(?) 聖地巡礼

2016 年末恒例            
庄イタ的流行語大賞はこんなカンジ。


 毎年12月1日に発表される今年の新語・流行語大賞にエントリーされた2016ベスト10の中で、庄イタが最も注目したのがイタリア語の「アモーレ」。

 サッカー・セリエAの名門クラブ「インテルナツィオナーレ・ミラノ」所属で、日本代表チームのDF長友佑都選手が、会見で交際相手の女優平愛梨さんを指して呼んだ表現です。

via_amore.jpg【Photo】ロケ地:愛と幸福が天から降ってくるアモーレの国イタリア。リグーリア州の世界遺産「Cinque Terre チンクエ・テッレ」を構成する五つのコムーネ(村)のうち、Monterosso モンテロッソとRiomaggiore リオマッジョーレ間約1kmが絶景のハイライトとなる全12kmの遊歩道「Via dell'Amore (=愛の小道)」。恋が成就する恋人たちの聖地に出没した挙動不審者

 よほど清廉潔白な聖人君子だと自らを勘違いしているのでしょう。寄ってたかって建前論を振りかざし、芸能人のプライベートに関し、連日のごとくゲス不倫と称して集団ヒステリー的に騒ぎ立てた週刊誌やテレビのあまりの低俗ぶりには心底うんざり。そんな今年上半期の芸能ニュースで、一服の清涼剤となった言葉でありました。

 長友選手が説明した通り、Amoreは、イタリア人が日常会話において頻繁に使う単語です。広く愛情を意味する言葉であり、それは時に恋人や夫婦間で使われる呼称であり、我が子やペットなどの愛おしい対象を指す美しい響きを持った言葉でもあります。

antonio_canova_amore_psiche-001.jpg【Photo】 ヴェネト州内陸北部のポッサーニョで生まれ、ヴェネツィアとローマで活躍した彫刻家アントニオ・カノーヴァ(1757-1822)。代表作の一つがギリシャ神話に題材をとった「Amore e Psiche アモーレ・エ・ プシュケ」。絶世の美女プシュケは美の神アフロディーテの嫉妬を買い、息子のアモーレに鉛の矢で射るよう命じるも、彼は美しい彼女に恋をしてしまう。翼を持つ神アモーレとの叶わぬ恋に身をやつした挙句、愛に殉じて永遠の眠りについたプシュケは、アモーレのキスで蘇り、結ばれる(ルーヴル美術館蔵)

 自己紹介プロフィールでも述べている通り、庄イタは野球には関心薄です。東北楽天ゴールデンイーグルスのホームスタジアムに行くのは、付き合いで1シーズンに数回だけ。しかもその目的は野球観戦ではなく「緑のイスキア」のナポリピッツァなのです。行ったら行ったで、ピッツァイヨーロの庄司建人さんからは「おや、珍しい~」と言われる始末。

joker-carte.jpg ゆえにリーグ制覇を果たした広島東洋カープの緒方監督が発信源となったという初耳の「神ってる」が年間大賞に選出されたのは、意外であり、改めてジャッポネーズィは野球が好きなのだと実感しました。

 一昨年、一世を風靡した日本エレキテル連合や、昨年ブレイクしたとにかく明るい安村などのように、恐らくは一過性になるであろう「PPAP」や、受賞者は辞退せず、胸を張って出てきて説明責任を果たしてほしかった「盛り土」、米大統領選での二者択一のババ抜きで、よもやのJOKERを引いてしまった格好の「トランプ現象」など、今年の世相を反映した言葉がベスト10入り。
 
 その中では、「千と千尋の神隠し」以来、邦画としては15年ぶりに興行収入200億円超のメガヒットとなった「君の名は。」に登場する舞台を訪れる「聖地巡礼」が社会現象化。若年層を中心に影響力は今だ衰えを知りません。

【Movie】 ©2016「君の名は。」製作委員会

 夢で体が入れ替わった高校生の男女が繰り広げる奇蹟の物語を、リリシズム溢れる透明感のある美しい映像で綴るこの作品。その舞台となった岐阜県飛騨や東京都内各所、そして秋田内陸縦貫鉄道の無人駅「前田南駅」は、訪れる巡礼者で賑わっているのだとか。

 映画で流れる劇中曲「前前前世」に反応したのが前世イタリア人。庄イタも時流に乗り遅れまいと、このファンタジーを9月に鑑賞しました。

 8割以上が20代と思われる観客で、ほぼほぼ劇場は満席。いささかアウェー感を味わいつつも、彗星が糸守へと降ってくるオープニングから運命の糸をたぐり寄せ、時空を超えて出逢う二人に自らの青春時代を重ね、キュンキュンしてしまう昭和世代なのでありました。

。.:*(*゚∀゚)*:.。.. tuo nome ..。.:*♡*:.。 your name ..。.:*(゚∀゚*)*:.。


bio-napule1.jpg【Photo】「アミーコ・ビオ・エ・ナプレ」Dランチ(3,200円)よりアンティパスティ・ミスティ/(右上から時計回りに)カポナータ・ペペロナータ・サラメミラネーゼ・コッパ・海老のクスクスサフラン風味・鯛のカルパッチョ・自社農園産カルチョフィのオイル漬け。Vine della Casa(ハウスワイン)はグラスで白をオーダー

 話は変わって、先月、泊りがけで鎌倉と横浜に出向く用事がありました(いずれも後日レポート予定)。池袋で昼時を迎えた翌日のランチは都内百貨店最大級の46店舗が集うレストラン街へとリニューアルした池袋東武百貨店の「SPICE スパイス」11F「Amico Bio e Napule アミーコ・ビオ・エ・ナプレ」へ。

bio-napule2.jpg【Photo】プリモピアット/ ピッツァ・マルゲリータ(Sサイズ)

 このピッツェリアは、南青山の名店「Antica Pizzeria e Trattoria Napule ナプレ」が、千葉県八街市(やちまたし)に所有する自家農園で栽培する野菜のほか生地に使用するMolino Grassi モリーノ・グラッシ製の小麦粉まで、オーガニックをテーマとして今年2月にオープンさせた店です。

bio-napule3.jpg【Photo】セコンドピアット/ 鶏腿肉の煮込みレモンクリームソース風味

 エスカレーターで11Fへとフロアを上がってゆく途中、6Fリビング用品フロアで「日本橋木屋」の研ぎ師が実演販売をしていました。ドイツで購入し、長く愛用した モリブデンバナジウム鋼製の包丁が、研いでも切れ味が戻らなくなったため、代替えに炭素鋼の包丁を探していたのです。

 日本橋木屋を訪れた外国人観光客が、切れ味の良い鋼(はがね)製の包丁や爪切りをこぞって買い求めているのだという昨今。それは、前世イタリア人にとっても渡りに船の展開に他ならないのでありました。

 木屋の包丁を取り扱う仙台の百貨店でも木屋の研ぎ師への刃研ぎ発注が可能だというので、即断即決。トマトの切れ味が悪くなったら、研ぎに出す潮時なのだといいます。

kiya-ikebukuro.jpg

 2フロア上の催事場では、山形物産展が開催されており、隣県の見知った産品が並んでいました。ざっと売り場を見渡すと、そこには馴染み深いお二人がおいででした。ちょっとしたイタズラが実は大好きな庄イタ。そっと背後から近寄ってゆきました。

 英語・イタリア語以上にヒアリングに関しては9割以上を理解する庄内弁を封印。山形県内でありながら、庄内とは異郷と呼んで差し支えない山形内陸のイントネーションで、試食用に小分けした特別栽培米つや姫を来店客に振る舞っていた男性に庄内ビギナーを装って話しかけました。

「この庄内のコメ、うめんだべが?(=美味しいのですか?)」

inoue3_ikebukuro2016.jpg

 珍客の登場に目を丸くしたのが、旧知の間柄である鶴岡・「井上農場」代表の井上馨さん。その隣には奥様の悦さんもご一緒でした(上画像)〈2015.5拙稿「神通力ふたたび!? 鶴岡 後編~東京八丁堀・てんぷら小野@山形 鶴岡・井上農場」参照〉

 予想だにしない池袋での邂逅にはお互いビックリ。井上農場を取り上げた前回レポート「神通力ふたたび!?~鶴岡前・後編」 で引きの強さを発揮した庄イタですが、今回も神ってる超能力を実証した格好となりました。

 春先にお邪魔して以来、ご無沙汰していたご夫妻に「そのうち伺います」と申し上げ、レストランフロア11Fへと移動したのでした。

。.:*(*゚∀゚)*:.。.. incredibile ..。.:*!!*:.。 bikkuri pon ..。.:*(゚∀゚*)*:.。


 井上さんとの漠然とした約束を果たす日が訪れたのは、それから2週間後の12月初旬。平田赤ネギ〈2007.9拙稿「平田の赤ねぎ」参照〉が美味しくなる季節となり、山伏ポーク〈2014.7拙稿「山伏ポーク」参照〉、そして井上農場のジューシー小松菜を取り揃え、仙台で購入可能な石巻・十三浜ワカメを含め、最強豚しゃぶの具材調達に伺ったのです。

 並外れた餅の食味を知ったが最後、ほかでは満足がゆかぬのが「本女鶴」です〈2012.10拙稿「酒田女鶴と本女鶴 女鶴餅をおいて餅を語るなかれ」参照〉。生産者である酒田市布目の堀芳郎さんのもとを訪れ、希少な糯米を譲って頂くのも外せないミッションでした。

mezuru2016.jpg

 冬型の気圧配置による北西の季節風で発生する雪雲のヴェールで山腹を覆われることが多い鳥海山が、その日は珍しく全容を見せていました。伺った堀さん宅で糯米を3kg購入させて頂き(上画像)、今回の庄内訪問の主要目的の一つをクリア。母が此岸から旅立った今年は喪中のため正月祝いはできませんが、新たな年を迎える準備はできました。

chokai-rosso2016.12.3.jpg

 堀さん宅へと向かう時間帯と重なった日没を挟んで目の当たりにしたのが、表情の異なる出羽富士の姿です。地平線に沈もうとする夕陽に照らされた赤富士(上画像)と、その後のブルーグレーの空に浮かび上がる純白の雪を頂く山肌のコントラストからなる青富士(下画像)は、もうすっかり冬の装い。

 国内有数の渡り鳥の越冬地となっている最上川河口の塒(ねぐら)に向かってゆくのは、V字型の編隊を組んだオオオハクチョウたち。時おり鳴き声を上げながら西の空へ飛んでゆきます。

chokai-blu2016.12.3.jpg

 岩ガキ目当ての7月と、シーズン最後のブドウ狩りに出向いた10月の庄内訪問時には太田政宏グランシェフの料理を食べたくて「L'Oasis ロアジス」を訪れました。〈2014.1拙稿「新春縁起藤沢カブ~年忘れ恒例食べ納め@酒田L'Oasis ロアジス」参照〉久方ぶりに酒田に投宿した今回は、JR酒田駅前の「ル・ポットフー」へ。

 全国の食通・各界の著名人から最大限の賛辞を贈られた〝フランス風郷土料理〟という新機軸を太田シェフと佐藤久一(1930~1997)が二人三脚で打ち立てたル・ポットフーは、久一が吟味した調度品が随所に散りばめられ、伝統と風格を漂わせています〈2008.3拙稿「佐藤 久一さんのこと 〈前編〉世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男の物語」参照〉

lepotaufeu1-2016.12.3.jpg

 1975年(昭和50)に開業して以来、数々の伝説を生んだ厨房に立つのが、太田シェフの愛弟子である加藤忍シェフ。食の都庄内ならではの吟味した素材を活かす加藤シェフの味付けは庄イタ好みです。週末でほぼ満席の賑わいだった今回、ディナーで注文したのが7,500円のコース。

 アミューズのカナッペに続いてソムリエの小松俊一さんが「お箸でどうぞ」と運んできたのが、本日のオードブル「スズキとイクラのカルパッチョ風」(上画像)

lepotaufeu2-2016.12.3.jpg

 魚料理がいつも美味しい店ですが、特にピカイチだったのが、香ばしい焼き目の入った真鯛と舞茸の香りがベストマッチだった「真鯛のキノコソース風味」(上画像)。食感の異なる3つの部位を味わえた「だだちゃ豆で育った羽黒綿羊のワイン煮込み」(下画像)では、サフォーク羊の生産者である丸山光平さんの顔が浮かぶのでした。

lepotaufeu3-2016.12.3.jpg

 19年前のジャスコ撤退と昭和40年代に竣工したビルの老朽化による再開発計画が2度頓挫している酒田駅前。2018年に着工、2021年3月の竣工を目指す事業計画に伴い、現在の店は姿を消します。

 以前に話を伺った小松さんによれば、活かせる部材は可能な限り新店に移す予定なのだそう。

lepotaufeu2015.11.jpg

【Photo】伝説の男・佐藤久一の審美眼で選び抜いたルポットフーの内装。地中海クルーズの客船をイメージしたメインダイニングに対し、厨房に面した「ル・シャトー」(上画像)と「ラ・スフレ」の2つの個室の壁面は、淡いグリーン地に銀白色の小鳥や草花の図柄

 出生が酒田の銘酒「初孫」改名の由来となり、映画評論家の淀川長治が世界一の映画館と評した「グリーンハウス」の若き支配人として、後半生は料理で人を幸福にすることに情熱を燃やし続けた不世出の男。その夢の結晶が、原型を留めるうちに事情が許す限り足を運びたいと願う庄イタなのです。

。.:*(*゚∀゚)*:.。.. buonisshimo ..。.:* φ(*^^*)ψ*:.。umecheno ..。.:*(゚∀゚*)*:.。


 前日に続き穏やかな天候に恵まれた翌朝は、鳥海山の伏流水が川となって流れる牛渡川へ。その目的はサケの調達です。お酒じゃありません、鮭です。(日本酒は別途「木川屋山居店」に立ち寄り、大吟醸と純米&本醸造を、おおよそ2:8の割合で混醸する買い得感満載の限定品「上喜元 翁」(1800mℓ 2,160円)を購入)

ushiwatari2016.12.jpg

【Photo】箕輪鮭採捕場から歩いて3分。途中に堰があるため、杉林に囲まれた中流域の流れは一見したところ緩慢な牛渡川。川岸の随所から水が湧き出している

 産卵のため牛渡川に遡上してくる1万~2万尾のサケを捕獲し、孵化・放流を行う箕輪鮭採捕場では、10月から12月の漁期に捕獲したオス鮭の風干しやトバを購入することができます。

minowa-sake-A2016.12.jpg

【Photo】箕輪鮭採捕場の目の前を流れる牛渡川下流。同じ場所を幾度も行き来し、身を横たえながら動かして川底に産卵用の凹みをつくろうとするメス。その横をオスが離れない

 新潟村上〈2007.11拙稿「鮭のまち村上」参照〉と同じく、河口からほど近い遊佐町箕輪。清らかな鳥海山の伏流水の川を遡上して禊(みそぎ)を済ませたサケは、魚体のダメージがなく沖捕りのサケと比べても味に遜色はありません。

minowa-sakeB2016.12.jpg

 採捕場の駐車場には地元庄内はもちろん、秋田ナンバーの車も。1尾1,000円で直売する捕獲したてのオス鮭と同様、売れ行きの良さを物語るかのように、この日はまだ風干しが足りないオス鮭しかなかったため、持ち帰って追熟させるべく生乾きを1尾3,000円で購入したのでした。

 池そのものがご神体として地元では篤い信仰の対象となっているのが、採捕場裏手にある「丸池様」。エメラルドグリーンに輝く湧水だけでできている池を訪れてから、久しぶりに牛渡川に沿って歩いてみました。

ushiwatarigawa2016.12.4.jpg

 師走に入ったものの、日差しが温かく感じられたこの日。まだ秋の名残のトンボが飛んでいました。バイカモが自生する清流の上流から流されてきたのが、流れが穏やかな堰の上流部に産卵しようとして失敗したのでしょうか、羽根を動かして脱出しようともがく一匹のトンボ(下動画)

 鳥海山の水の恵みはサケだけではなく、さまざまな生態系を育む命の源になっているのです。一日一善。どれほど命を長らえるのかはわかりませんが、枯れススキの穂を差し出してトンボを救出。羽根が乾くよう日の当たる場所に置いて立ち去ったのでした。

sake-ireito-minowa.jpg

【Photo】箕輪鮭採捕場の裏手には、1976年(昭和51)に建立された鮭慰霊塔がある。サケ漁が終わる毎年2月、慰霊祭を執り行う石塔に鳥海山と風干されるサケが映り込んでいた

。.:* ((((° (>*:.。.. metempsicosi 。.:*ミ☆彡 *:.。rinne-tensho..。.:* <)°))))*:.。


 そして向かったのが「胴腹滝」。町内各所に鳥海の水の恵みが湧き出す地元・遊佐(ゆざ)では「どうっぱら」と呼ばれる庄内屈指の名水です。

1doppara2016.12.jpg

 人の身体を守護する子安大聖不動明王を本尊とする胴腹滝不動堂のお社を挟み、左右2筋の伏流水が岩場の中腹から滝となって湧き出しています(上画像)。湧出地点から水場まで直接引かれた水を求め、この朝も訪れる人が引きも切らず。

2doppara.2016.12.jpg

 湧出地点が左右並んでいながら、飲み口が異なる胴腹滝。水場に居合わせた4人の人と言葉を交わしましたが、左右好みや用途は人ぞれぞれ。庄イタは右側の軟らかい口当たり水をいつも汲むのですが、今回は左側のキリっとしたミネラリーな印象の水も汲み、料理やコーヒーなど用途に合わせて使うことにしました。

 3,4年前に駐車場が整備されたほか、今回驚いたのが、工事現場で使われる手押しの一輪車(ネコ車)まで設置されていたこと(下画像)。これで鬱蒼とした杉林の中に延びるおよそ100mの道のりをズシリと重いポリタンクを抱えて往復する難行苦行の必要がなくなりました。

3doppara.2016.12.jpg

 胴腹滝が下流で合流するのが月光川(がっこうがわ)。鳥海山を間近に仰ぐ遊佐町を流れるこの清流には、映画「おくりびと Departures」が公開された2008年(平成20)から数年の間、聖地巡礼を先取りをした格好で多くの人が訪れた場所があります。

【Movie】 ©2008「おくりびと」製作委員会
 
 アカデミー外国語映画賞を筆頭に、日本アカデミー賞の最優秀作品賞などの10部門ほか、2008年の映画賞を総なめにした感があった映画公開から8年。本木雅弘さん演じる納棺師、小林大悟が劇中で、鳥海山を背景にチェロを演奏した堤防には、現在も一脚の椅子が置いてあります。

chokai-okuribito.jpg

 庄イタ以外にも30代前半と思われ数名が、庄イタに遅れること数分後にやって来ました。庄内各地の美しい風景を四季それぞれに散りばめつつ、死を、つまりは生命の尊厳というテーマを描いたおくりびと。ひと頃のブームは去っても、人々の記憶から忘れ去られることはないのでしょう。

sake@gakko-river2016.12.jpg

 映画では川を遡上するサケを大悟が見つめるシーンが撮影された旧朝日橋。そこに立って月光川を見下ろすと、4~5年後にこの川へ戻ってくるかもしれない子孫を残すという最後の使命を果たすべく、傷ついて白化した魚体に鞭打って産卵場所を求め上流に向かわんとするサケの姿がありました(上画像)

 その上流には、すでに命脈が尽き果てた2匹のサケが、川岸に身を横たえています(下画像)。その遺骸は冬を越し、孵化した稚魚の餌となります。

asahibashi-yuza2016.12.jpg

 母なる川への遡上を始める直前から一切エサを食べなくなるというサケとは違い、人は命ある限り、泣く子と空腹には勝てないのが運命(さだめ)。

 上質な脂が乗ったノドグロ炙り(⇒香り高く絶品!)・甘味とコクが堪能できるマハギの肝和え・甘エビよりも旨味が強いガサエビなど、全10貫「旬のおまかせ握り」(税込3,240円)に舌鼓を打った酒田「こい勢」に出向く前、遊佐町パレス舞鶴で開催していた「遊佐町フードフェスタ2016」会場に立ち寄って試食できたのが、高級魚「メジカ」の握り(下右画像)

 主にオホーツク海の定置網で捕獲されるシロザケのうち、およそ10,000分の1の割合でしか捕獲されず、超高値で取引されるのが鮭児です。次いで高値を呼ぶのが、1,000匹に1匹いるかどうかという希少なメジカ

 その母川となる月光川の支流である牛渡川で孵化・放流を現在実施しているのが箕輪、滝淵川の枡川、高瀬川の各漁業組合です。秋から冬場にサケ漁を行う半農半漁の組合員が、個体の識別番号をつけて放流したサケの稚魚は、日本海を北上し北海道からべーリング海域まで旅をします。

nodoguro-koise2016.12.jpg gasaebi-koise2016.12.jpg
mahagi-koise2016.12.jpg mejica-yuza2016.12.jpg

 鼻先に目が寄っていることから目近(メジカ)の名で呼ばるこの魚。1か月~2か月後に産卵を控え、たっぷりと栄養を蓄えて生まれ故郷の川に南下を始める前に捕獲されるため、キメ細やかな身には良質な脂が乗っています。クロマグロの中トロにも似た美味は、刺身で食するのが一番。

 今回、縷々ご紹介した庄イタにとっての聖地巡礼は、流行語大賞に選出されるような移ろいやすい一過性のものではありません。

 映画「君の名は。」の主人公・立花瀧の声を演じた神木隆之介さんと同じ誕生日の庄イタも、映画冒頭で流れる瀧のモノローグと同様、これからも、ただずっと何かを、誰かを探してゆくのでしょう。

baner_decobanner.gifブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

Gennaio 2017
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
Copyright © KAHOKU SHIMPO PUBLISHING CO.