あるもの探しの旅

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土佐日記風 会津日記 【大内宿編】

をとこもをむなもすなる たかとうそばといふものを
しょういたもしてみむとてするなり
【現代語訳】男も女も食する 高遠蕎麦というものを庄イタも試みてみた


土佐日記風 会津日記 【会津若松編】続き

 視座を会津に据えて戊辰戦争を語り、共謀罪法案の審議ひとつを見ても明らかな強権的かつ高飛車な姿勢ばかりが目立つ現内閣の政権運営と、その源流となった明治維新の虚像に斬り込む硬派な内容だった前稿【会津若松編】から一変、今回は食欲全開で突っ走ります。

 欠陥選挙制度の恩恵で棚ボタ的に権力の座に就かれた甚だ心もとない法相や防衛相は言わずもがな。このところ叩けば埃が出まくっている政権与党のセンセイ方に対し、攘夷派が暗殺する相手に向けて発した「天誅!!」などと不穏な言語を弄した前回。

 庄イタは間違っても無差別テロの計画などぜず、暴力的手段で政権転覆を狙うわけでもない〝一般市民〟です。共謀罪の定義が曖昧模糊としたまま、ゴリ押し成立させた共謀罪法案を盾に〝官邸の最高レベル〟のご意向を忖度(そんたく)した警察組織の捜査対象になるのでしょうか ?

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 二泊三日の日程で仙台から会津を訪れた初日の夕飯は、會津郷土食の店「鶴我・会津本店」に目星をつけていました。そのココロは、馬食文化が息づく会津ならではのさくら肉料理と地酒を堪能せんがため。

felice-aizu_2.jpg【Photo】Pizzeria Felice ピッツェリア フェリーチェ ・住所:会津若松市大町1‐2-55 ・電話:0242-36-7666 ・営業時間:昼 11:30~14:00 カフェ14:00~17:00 夜 17:00~22:00 火曜定休 ・URL: http://pizzeria-felice.jp/

 そのため昼は軽く済まそうと、信頼できる某ピッツェリアから、なかなかのナポリピッツァを会津若松で食すことができるとの情報を得ていた「Pizzeria Felice ピッツェリア・フェリーチェ 」に伺いました。好都合にもそこは会津漆器を買い求めた鈴木屋利兵衛商店から徒歩1分と至近。

 通りを挟んですぐ向かいには姉妹店となる「Ristorante Luce リストランテ・ルーチェ(現在一時休業中)がありましたが、夜のみの営業ということでスルー。漆器職人の卓越した技が光る会津絵で目の保養をした後は、美味しいナポリピッツァでお腹を満たそうという算段です。

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 表通りに面した明るく開放的な店内へ足を踏み入れると、ナポリ近郊に工房を構える「Stefano Ferrara Forni ステファノ・フェラーラ・フォルニ」製で、正面に「F」の刻印がなされたライトブルー系+茶系のイタリアンなカラーリングのタイル装飾が施された端正なピッツァ窯が目を引きます。

 店内はカジュアルな雰囲気ながら、調度類を含めてイタリア度が高く、明るく広々としています。オーセンティックなナポリピッツァだけでなく、会津の食材を組み合わせた創作料理も頂くことができるようでした。

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 戦国時代に苗木が中国から日本にもたらされ、会津には16世紀に広まったとされる身不知柿〈2013.12拙稿「会津の橙、身不知柿」参照〉を使った「会津みしらず柿と4種のチーズピッツァ」、会津地鶏+卵+モッツァレラチーズがトッピングされた「会津地鶏の親子丼ピッツァ」、しぜん村の季節野菜+バーニャカウダソース+モッツァレラチーズのトッピング「しぜん村ピッツァ」といった創作ピッツァが、この日はアラカルトでメニューに並んでいました。

 なれど、初めての店では、ナポリピッツァの生命線である生地の出来栄えを知るのに最適なマリナーラを食したいもの。

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 薪窯で焼き上げるバケット、サラダorアンティパスト、ピッツァorパスタ、ドルチェ、ドリンクがセットされるランチセットB(1,500円)で用意される4種類のピッツァにマリナーラは含まれておらず、悩んだ挙句に選んだのは最もベーシックなピッツァのひとつ、マルゲリータ(上)にアンチョヴィをトッピングし、オレガノを散らしたロマーナ(下)。

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 アンティパストのミネストローネに続き、薪の香ばしい香りを漂わせながら運ばれてきたロマーナは、中モチ外パリという生地の食感はお約束通り。

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 会津みしらず柿のジェラートなどのドルチェ3点盛り(上)の後、締めで所望したマシンメードのカッフェ(下)は、ナポリスタイルの王道「KIMBO キンボ」のラインナップで、庄イタがオフィスではエアロプレス〈2010.10拙稿「期待度高し、AeroPress」参照〉で淹れた一杯を愛飲している豆「ナポレターノ」とお見受けしました。

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 こうして会津色が極めて希薄な昼食だった訪問初日。夕食は対照的に会津にどっぷりとハマってみようという寸法です。

〝どこの馬の骨か?〟 などという野暮な質問はご無用。会津産の馬の骨でとった豚骨スープならぬ馬骨スープに馬肉チャーシューが入った「会津馬味噌馬力ラーメン」が売りのラーメン店「馬力本願(バリキホンガン)」ほか、馬肉料理専門店が数多いのが会津です。

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【Photo】鶴我・会津本店 ・住所:会津若松市東栄町4‐21 ・電話:0242-29-4829 ・営業時間:昼 11:30~14:00 夜 17:00~22:00 不定休 ・URL:http://www.turuga829.com/ 

 会津地方の馬食文化は、前回経緯をおさらいした戊辰戦争が発端でした。鶴ヶ城や天守閣の隣接地に建つ藩校「日新館」は、籠城戦における野戦病院としての機能も果たしました。

 長期戦覚悟の籠城に耐えるため、城内に残った5,000名分の兵糧を確保するべく、阿賀川の東側にあたる現在は会津鉄道の南若松駅がある一ノ堰周辺までの鶴ヶ城の南側城下は会津藩が死守。万策尽き白旗を掲げるまで、補給路は確保されていたのだといます。

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 日を追って増えてゆく傷病者に滋養食として奨励されたのが、武家や荷役用に飼育されていた馬だったのだそう。

 越後街道と下野街道が交差し、人馬が行き交う要衝の地だった会津に馬肉が食文化として根付いた背景には、そのような歴史があったのです。

 馬食が盛んな熊本や青森の馬肉は重種馬のため、サシが入ります。一方、会津は赤身肉の軽種馬を肥育。低カロリー&高蛋白で滋養豊富な分厚い赤身肉ヒレ(関西ではヘレ)と、稀少なコウネ(タテガミ)の刺身を辛子味噌を入れた醤油で頂きました(下画像)

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 筋張っておらず、あくまでも柔らかくトロけるような口当たりの赤身ヒレ肉は淡白な味わい。一方、白っぽい脂肪分の塊であるコウネは、まったりとした食感で薄切りでも食べ応えがあるのでした。

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 竹串に刺した焼き豆腐に山椒等の薬味を混ぜた味噌で風味付けした素朴な郷土料理「会津田楽」(上画像)に続いて出てきたのが、「饅頭(まんじゅう)の天ぷら」(下画像)

 柏屋「薄皮饅頭」は、かんのや「家伝ゆべし」、三万石「ままどおる」と並び称される福島土産の定番の一つですが、会津の天ぷら饅頭は、そうした饅頭を油で揚げ、皮がカリカリな和菓子の〝揚げ饅頭〟ではありません。

 会津では天ぷら饅頭をご飯のおかずとして醤油をつけて食するのです。

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 サクサクした衣の中は、こしあんが入った紛れもないお饅頭。醤油の香りが餡の上品な甘さを引き立てます。

 饅頭の天ぷらは、南信州・滋賀・島根にも伝わっていますが、その背景には近江生まれの蒲生氏郷や、信州・高遠藩で育った保科正之など、会津ゆかりの武将が無関係ではなさそうです。〈 ☛ 参考リンク

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【Photo】2013.12拙稿「晩秋の三原色、黄・朱・橙」に掲出した晩秋の氷玉峠を比較の意味で再掲 

 馬肉パワーで元気回復。前回は紅葉の季節に訪れた大内宿を目指して宿を出発したのが翌朝8時。会津若松からのルートは前回同様、会津と日光街道とを結ぶ旧下野街道(会津西街道)通称「大内宿こぶしライン」です。

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【Photo】半年近くお蔵入りしていた冬の氷玉峠。3年前と同アングルで撮影。峠越えをする間、通過する車と一度もすれ違わなかったそこは静寂が支配する氷の世界。間もなく夏至。梅雨だというのに連日のようにまばゆい太陽が照りつけ、明日の予想最高気温が30℃の大阪にいると、この朝の冷え込みが妙に懐かしい

 阿賀川を越え、陶芸の里・会津美里を過ぎる頃には、雪が本降りに。氷玉峠は除雪されておらず、車が通った轍(わだち)すらないヴァージンスノーで路面が覆われています。

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〝雪景色の大内宿を訪れてみたい〟という思いが天に通じたのか、難所の氷玉峠から大内ダムを通過する頃には、視界を遮る激しい吹雪となりました。

 奥会津の山々に囲まれた海抜665mの高地ゆえ、雪深い大内宿にあって、初めての本格的な積雪となったというこの朝。

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「昨日まではさっぱり雪がなかったんですよ。夜が明けたらこうなってました。この程度なら雪のうちには入らないんですけど」

 店頭で漬物を試食がてらお茶を振る舞って下さった開店して間もない「おみやげ処 本家叶屋」のお母さんが教えて下さいました。

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 会津産の花豆を購入後、向かいの土産物店「おみやげ処 本家 美濃屋」へ。代々、名主を務めた江戸末期には本陣に代わって大名行列の休憩宿となった特徴ある家の造りになっています。

 民謡「会津磐梯山」に登場する〝♪朝寝・朝酒・朝湯が大好きで身上(シンショウ)を潰した〟小原庄助も訪れたという東山温泉。会津若松の奥座敷と称されるこの温泉場で作られる素朴な土人形「中湯川土人形」と絵手紙が所狭しと並ぶ店先で気になったのが軒先に吊るされたヨシの束。それは果樹栽培に欠かせない受粉を担うマメコバチの巣なのでした。

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 日本ミツバチよりも一回り小さなマメコバチは働き者。ミツバチの4~5倍の花粉を集めます。よしずの節の空洞部分に産卵、孵化後は花粉団子をエサに成虫となり、春になると羽化します。

 1878年(明治11)、通訳を伴って東北・北海道を訪れ、紀行文「日本奥地紀行(原題:Unbeaten Tracks in Japan)」を著した英国人女性イザベラ・バードが、美濃屋で一夜を過ごしています。

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 2013年秋に大内宿を訪れた時は、当時は猪苗代町にあり、現在は郡山市に移転したイタリアンレストラン「Incontra インコントラ」 を予約していたため、大内宿名物の高遠そばをスルーしていました。

 名物よりも好物に食指が伸びる傾向が顕著な庄イタ。ゆえに今回も会津若松での滞在初日は、昼にナポリピッツァを選択した次第。

misawaya-ouchijyuku.jpg【Photo】大内宿・三澤屋 ・住所:福島県南会津郡下郷町大内字山本26‐1 ・電話:0241-68-2927 ・営業時間:10:00~16:30 年始休1/4~7 ・URL:http://www.misawaya.jp/ 

 信州・高遠(たかとお)藩に預けられ育った保科正之が、信州から出羽を経た会津転封に際し、信州と同じ盆地性気候の会津にもたらしたのが蕎麦。大内宿で長ネギを箸代わりに蕎麦切りを食するのが名物「高遠そば」です。

 会津を訪れた上は、特産の蕎麦を敢えて外す必要はありません。まして極めて特徴的な食べ方をすると聞けば、体験するのも一興かと。

takato-soba.jpg【Photo】鰹節を散らした大根おろしのつけ汁で食する三澤屋の「高遠そば」(1,080円)。インパクト十分な一本ネギは、箸代わりであり、薬味としてかじりながら食するのが会津の流儀。〝ならぬことは ならぬものです〟の一節で知られる会津藩「什(じゅう)の掟」では「戸外で物を食べてはなりませぬ」と戒めている。そこが赴きある古民家の座敷だからといって、また通常では小皿に盛られる薬味の刻みネギが、ド~ンと一本丸ごと大盤振る舞いされたからといって、蕎麦よりも先にネギを食べ尽くしてはなりませぬ

 庄イタの行動規範は〝Quando sei a Roma, vivi come i romani 〟(= When in Rome, do as the Romans do = 郷に入っては、郷に従え)です。

 この一本ネギを箸代わりに使う蕎麦の食べ方は、大内宿の伝統というよりは、観光客向けの感がなきにしもあらず(笑)。ま、固いことは言わずにおきましょう。

 宿で早い朝食は済ませていたのですが、散策する間に推奨の証言を複数得た「三澤屋」の開店時刻10時を待って別腹を発動させたのでした。

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 庄イタの理解として、前世と同じく現世においても、リゾットはフォークで食するもの。ピッツァはナイフとフォークでアツアツのうちに食べるもの。そして蕎麦屋では割り箸を使って食べるもの。果たしてネギ一本で蕎麦を食べることができるのか、実食するまで正直不安でした。

 案ずるより食するが安し。意外にも難なく高遠そばを長ネギ一本ですくいながら、美味しく完食することができたのです。

 注文した蕎麦を待つ間にサービスで運ばれてきたのが、ジャガイモの煮付けと漬物。念のために申し添えておきますが、そこには割りばしがちゃんと付いてきます。ご安心ください。

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 お待たせしました。土佐日記風 会津日記の最後を締めくくる次回は、満を持して〝あさらー〟が登場します。

土佐日記風 会津日記 【喜多方編】へ続く
To be continued.

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