あるもの探しの旅

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2017/07/23

イタリア瓶属 大移動  

神様 仏様 モンテ物産様

 20世紀が生んだ天才物理学者アインシュタイン(1879‐1955)が唱えた相対性理論は、庄イタごときの頭脳では全くもって理解不能です。

elektrodynamik-bewegter.jpg【Photo】偉大な物理学者の業績に触れる知的冒険を目論んで購入するも、今のところ睡眠導入剤としての活用法しか見出していないアインシュタイン最初の論文「Zur Elektrodynamik bewegter Körper (動いている物体の電気力学)」の邦訳と解説からなる岩波文庫「相対性理論」内山龍雄訳・解説(1988年刊)

 1905年、ドイツの学術誌に発表された画期的な論文の概略をかいつまんで言えば、人間や物体が超高速で移動すると、時間の経過にズレが生じ、時計の進みが遅くなり、物体の長さが縮み、重量が増すと提起。前世紀までのニュートン力学から大転換を果たした学説(...のようです)。

 容易には理解しがたい相対性理論を庄イタが咀嚼(そしゃく)しうるか否かは置いておくとして、そういわれてみれば、身長自体が縮む変化は認められずとも、不慣れな新任地では常に物腰は低く低姿勢。食い倒れの街へと赴任して以来、ロードバイク通勤を封印しており、体重が微増傾向にあります。

 時間の経過が遅れる現象に関しては、居心地の良いリストランテで、美味しい料理とヴィーノ、さらにステキな女性が隣にいれば、時計の針が止まったかのように時間が過ぎるのを忘れてしまうことぐらいでしょうか。経験則からしてイメージ可能なのは、せいぜいこのレベル。トホホ...。

 ついでに白状すると、大阪から4回シリーズでお届けした「土佐日記風 会津日記」は、昨年12月23日~25日の連休に会津を訪れた内容。そしてお題が〝皆殺し〟と皆さまも中学校の歴史授業で暗記したはずの西暦375年に始まったゲルマン民族大移動を想起させる今回は、今年3月の出来事です。

Quanten-AlbertEinstein.jpg【Photo】ドイツ南部の都市ウルム出身の物理学者アルベルト・アインシュタインによる相対性理論発表から100年目を記念し、2005年に故国で発行された切手

 かくもViaggio al Mondoにおける時計の進みは遅れています。仙台空港から大阪・伊丹空港までの移動が、時間のズレが生じるほどの毎秒30万kmに迫る光速飛行であった感覚はないのですが。

(いや、待てよ。1時間20分を要したフライトの間、ANAの敏腕パイロット氏は、1周するのに4万kmを要する地球を14億4千万周したのやもしれぬ。ムムム...)

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 と、いうわけで話の舞台は再び仙台へ。

 かつては購入価格やヴィンテージの優劣を色分けしたExcelのワインリスト (下表・部分) を作成。飲み頃を迎えたワインを管理していたのも今は昔。凝り性でも大雑把なO型性格が災いし、ここ数年、リストの更新は停止し、ほぼ放置状態です。

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〝ワインとの出合いは、人の出会いと同じ。一期一会〟と自己弁護をしつつ衝動買いを重ねた結果、消費≦補給となった自宅セラーの在庫は最大時で400本ほどに達していました。

 ゆえに異動の内示を受け、身柄と共に関西へ移動させる家財の中で、ワインの棚卸し&梱包こそが、転勤にあたって最大の難関なのでした。

 セラー3台の在庫である合計約280本、階段下収納にストックしていた専用段ボールに入っていたワイン約150本の棚卸しに着手する前段として、まずは移動に耐える梱包材の確保が急務。春まだ浅い3月ゆえ、仙台では気温上昇による熱劣化の懸念はありませんが、破損のリスクを考えると梱包はしっかりとせねばなりません。

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【Photo】アンモニア気化熱で冷却するため、コンプレッサー方式のような作動音や熟成の妨げとなる振動が発生しないワインセラー3号(庄イタが親しみを込めて名付けたニックネームは、酒神バッカスと結ばれし女神「Ariadnē アリアドーネ」)。端正なルックスの身の丈は庄イタの身長と同一。ワインフルボトルを最大206本も受け入れてくれる包容力が魅力

 会社が指定する引っ越し業者から支給された梱包材は、段ボール箱と大きなバウムクーヘン状の緩衝エアセルマット(通称:プチプチ)。

 1本づつエアセルマットで梱包し、段ボール箱にワインを詰め込むだけでは、破損のリスクが高いことは明らか。試しに1箱分だけ梱包したところ、エアセルマットを適当な大きさに切り取って350本以上を梱包するのは、気が遠くなるような手間を必要とする作業であることを痛感したのです。

 そんな非効率極まりない荷造りでは、梱包作業の合間にエアセルマットをプチプチと指先で潰したくらいでは、蓄積し続ける膨大なストレスの発散には到底なり得ません。

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【Photo】引っ越し業者支給の緩衝エアセルマットで1本ごとワインを梱包、箱詰めを試みる之図(手前)。作業効率の悪さからこの方法は早々に断念した。荷造りが容易な中仕切りがあるモンテ物産のオリジナル段ボール箱(写真上部)ほか、断熱性が高い発泡スチロール製容器が6本分内蔵されたPECK Milanoなど、おもに通販で購入したワインが入ってきた箱には、長期保存に適したセラーに入りきらない在庫150本ほどを収容。室温変動が少ない階段下にストックしていた

 そこで方針転換。宮城県塩竃市が発祥で、酒販店では国内最大手のチェーン店舗をいくつか見てみましたが、ここ数年のイタリアワインの品揃えと同様、目ぼしい段ボールは皆無。

 次に某ワイン専門店から取り寄せたボトルが入っていた緑色の段ボール箱を実費で譲ってもらえないか、時折立ち寄っていた仙台店に出向きましたが、取り付く島もない対応なのでした。Mamma mia!

 それならばと電話したのが、明治屋仙台ストアで購入したワインが入っていた12本入り段ボールに社名が記載されていたイタリア食材の専門商社「モンテ物産」でデスク業務を担当するSさん。

trattoria-alpha2001_2.jpg【Photo】alpha情報館シリーズ企画「もっと知りたい!イタリアン Trattoria alpha」掲載例(2001年2月号)。モンテ物産さま協力のもと毎回一つのイタリア食材を掘り下げてご紹介。庄イタの趣味のページといわれていた

 モンテ物産㈱仙台支店さまには、仙台圏で発行していた月刊誌「alpha情報館」で長期連載したイタリア食材の紹介企画でお世話になったことがあります(上画像)

 サン・ミケーレ・アッピアーノで醸造責任者を務めるハンス・テルツァー氏が業務店向け講習会を仙台で行った際、当時のO仙台支店長からお誘いいただき、講習会にプレス特別枠で参加。〈2013.8 拙稿「ビアンキスタ、面目躍如」参照〉

 震災直後にイタリア在住のワインジャーナリスト中川原まゆみさんから被災店舗への義援金の申し出を頂いた折にも仲立ちの労をS同支店長にお願いしたことも。〈2011.6 拙稿「Colletta per Giappone (イタリアから届いた義援金)」参照〉

 そうした折々に窓口となって下さったのが、20年来の知り合いであるSさんでした。電話口で差し迫った事情をお話しし、資材費と送料を当方負担で段ボールを譲っていただけないか切々とお願いしたところ、配送部署に交渉してみますとのこと。

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【Photo】一度は隘路に陥ったワインの荷造り。事態打開の決め手となった救世主・モンテ物産さまから専用段ボール箱と中仕切り材20セットが届いた。最大36本を収容するセラー1号(ニックネーム「Romolo ロモロ」ラテン語読みでロムルス)と2号(ニックネーム:「Remoレモ」ラテン語読みでレムス。ともに永遠の都・ローマ建国伝説に登場する双生児)にストックしていた72本は、難なく6箱に収容。めでたし、めでたし

 その時、庄イタがストックする同社取り扱いのイタリアワイン、Bertani Amarone della Valpollicella classico'90 やら、Avignonesi Vin Santo'92 やら、La Spinetta Barbaresco vigneto Starderi'97など、移動対象のお宝ワイン名を挙げ、同社に対する個人的な貢献をアピールするのも忘れないのでした。

 そんな交渉術が奏功したか、12本(1ケース)用段ボール箱を中仕切り材と共に送料負担だけで配送センターから20セットを拙宅あてに直送しますとのありがたいお返事をいただいたのです。Complimentiiiiii!!!!!!!!

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 こうして届いた梱包材で作業効率は飛躍的に向上。ストックしていたことを忘れていた猿酒のごとき掘り出し物がセラーの奥底から出てくる中、トントン拍子で作業は捗ったのでした。

 とはいうものの、夜中まで続く膨大な量の荷造りで、段ボールとの摩擦により指先の指紋は消え、皮は剥けて荒れ放題に。ハンドクリームが手放せなくなり、寝不足が続く3月14日のホワイトデーには、Sさんに感謝の意を込めてピスタチオ風味のイタリア菓子「Waferini ワッフェリーニ」をお届けした義理堅い庄イタなのでした。

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 そして話の舞台は仙台から関西へ。

 モンテ物産さまのおかげで1本たりとも破損することなく、ワインたちは西宮の新居に無事到着。家一軒分の家財の荷ほどきとの並行作業で、新居から至近の桜の名所・夙川(しゅくがわ)沿いに咲き揃った桜が散ってしまった4月25日過ぎまでには、同じ造り手や産地を固めるなど、整然と体系だててセラーに収容しました。

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 当然のこと、そこには階段下収納にあったワイン150本が存在しているわけです(上画像)Ariadnēへの移し替えの際、誤ってボトルを割ってしまったことが悔やまれるArnaldo Caprai Montefalco Sagrantino 25 Anni '06はやむなしとして、関西では観測史上最も暑いことが予想される今年の夏を乗り切るには、なるべく早期に手持ち分を飲み切った方が得策。

 たとえ熱帯夜でも、まだ空けるには勿体ない'97vinなど、さらに熟成可能なヴィーノ・ロッソを抜栓しなくてはなりません。

 はなはだ不本意ながら、そうした扱いとなっている例が、Quorum クオルム'99(下画像)Braida, Michele Chiarlo, Coppo, Prunotto, Vietti,そして珠玉のグラッパを世に送り続けてきたBertaが手を携え、地ブドウであるバルベーラから至高のヴィーノ・ロッソを造る目的で立ち上げたコンソーシアムは、アスティ地域の古い呼称「Hastae ハスタエ」と名付けられます。

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 著名なワイン評論家、ロバート・パーカーをして、自身のキャリアにおける最良のバルベーラと言わしめた素晴らしい出来となったデビュー作、Barbera d'Asti Quorum '97を3本購入する幸運に恵まれるも、'05vinを最後に、売り上げを後進の育成に寄贈したコンソーシアムは解散。日本国内ではもはや流通していないと思っていた超レアもの '99vin(上画像)を昨年5月に2本確保して以降、ヴィーノ・ロッソの購入を極力控えていました。

 これはひとえに過剰在庫を減らすためですが、'93年にPet Shop Boysがカバーした Go West が頭の中でリフレイン。現状を上回る在庫を抱えた状況で西へと向かうことは避けるべきという、虫の知らせもあった気がします。

 在庫削減の例外として、イタリアワイン好きならば、ご存知の方が少なくないであろう「にしのよしたか」を運営する西野嘉高氏が店主を務める大阪市生野区「西野酒店」を再訪、ブルゴーニュに引けを取らない最高峰のシャルドネVie di Romans Chardonnay '15を購入がてら、セラー収容作業で割ってしまったArnaldo Caprai の代替とはならずとも、メルロ&カベルネソーヴィニョンを混醸したレアもののOutsider 2010で早逝した大器の穴埋めをしたのでした。

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 大阪着任後、支社から最寄の地下鉄淀屋橋駅に向かってわずか200mほどの土佐堀通り沿いに「Picco ピッコ」という店があるのに気づきました。

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 足を踏み入れた店内には、見覚えのあるイタリアワインがズラリと並んでいます。なんと!! そこは東京と大阪に1店舗ずつしかないモンテ物産の直営アンテナショップなのでした。広い広い大阪の街にあって、なんという巡りあわせでしょう。

 店頭価格から常時2割引(誕生月は3割引)となる会員証の発行を済ませ、日本では最も入手しやすいナポリスタイルのカッフェ、KIMBO エスプレッソ・ナポレターノとマルサラ酒の優秀な作り手Florioが、西方70kmの沖合にチュニジアを望み、シチリアから100kmの大西洋上の孤島パンテレッリア島で造る酒精強化デザートワインMorci di Luce '11 を購入(下画像)

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 強烈な太陽と強風に晒される過酷な条件下、パンテレッリア島では、2014年に世界無形文化遺産に登録された独特なブドウ栽培法vite ad alberello を伝統的に行っています。「Muscat of Alexandria (マスカット・オブ・アレキサンドリア)」という英語名が示す通り、古代ローマ帝国領だったエジプト原産のブドウ「Zibibbo ジビッボ」を収穫後、4週間日干しして水分を蒸発させ、エキスが凝縮したデザートワインが作られます。

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 その一つ、Marco de Bartoli が手掛ける重層的で甘美な長い余韻を残すBUKKURAM(上記Quorum'99の左)は、食事を締めくくる至高の一杯となるでしょう。

 Piccoには仕事帰りに時おり立ち寄っていますが、購入を手控えているヴィーノ・ロッソではなく、クマゼミの鳴き声が体感温度をヒートアップさせる大阪の夏に飲みたいフランチャコルタやヴィーノ・ビアンコ(下画像)だけを調達していました。

 同社扱いのイタリア食材やヴィーノが30%OFFのお買い得価格となる半期に一度のセールが先週21日(金)に行われました。パスタの聖地グラニャーノ産シャラテッリ〈2010.7拙稿「珠玉のパスタ、Gragnano グラニャーノ」参照〉KIMBO エスプレッソ・ナポレターノ3パック、フランチャコルタ1本、ヴィーノ・ビアンコ2本をゲット。

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 自らに課してきた〝産地を訪れた年のワインは入手すべし〟という鉄則に基づき、手を伸ばした禁断の果実が、限定特価7,000円+税で出ていたE. Pira e Figli Barolo Connubi'06

 銘醸地バローロでも、とりわけ素晴らしいワインを生む畑カンヌビ。仙台から持ってきたストック分では、明治屋仙台店で2本購入したグレートヴィンテージ'96vinのうちの1本が、今もセラー2号Remoの中で抜栓される日を待っています。

 前述の通り、更新停止状態のワインリストを紐解くと、2022年頃まで熟成を続ける偉大なこのヴィーノ・ロッソを、当時としてのセール価格4,500円で入手していたようです。

 ユーロ導入以降、銘醸地トスカーナやピエモンテ産で顕著なイタリアワインの高騰傾向から、現行ヴィンテージの実勢価格は10,000円前後。

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 それは伊達家家臣の末裔という設定で宮城県の観光PR動画に登場した「お蜜」こと壇蜜さんが、夏でも涼しいと囁いた仙台でさえ、この時季には食指が伸びなかったフルボディのヴィーノ・ロッソです。

 ですが、'96vin ほどの特値ではないにせよ、間違いなくこれはお買い得。逡巡したものの、再び禁制の品に手を出してしまいました。

 関西へ移動した段ボール内の精鋭たちが、体温に等しい36℃に迫る暑さで375(皆殺し)となっては元も子もありません。かといってエアコンを終日つけっぱなしにするのも抵抗があります。

 いよいよ夏本番。待ったなしの在庫削減の取り組みは、こうして一進一退を繰り返しているのです。

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Italian shop Picco イタリアンショップ ピッコ

 ・住:大阪市中央区北浜3丁目1-18 島ビル1階
 ・Phone e Fax:06-6209-0522
 ・営:11:00 ~ 18:00 土日祝休み
 ・URLhttp://www.montebussan.co.jp
 ・Mailpicco-osk@montebussan.co.jp

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2017/07/02

土佐日記風 会津日記 【喜多方編】

じもてぃもすなる あさらーといふものを
しょういたもしてみむとてするなり
【現代語 意訳】喜多方市民も食する 朝食ラーメンというものを庄イタも試みてみた


土佐日記風 会津日記 【大内宿編】続き

 会津で迎えた二日目の朝は、会津若松から喜多方へ移動するため、R121 会津縦貫北道路を20kmほど北上しました。そのココロは、ズバリ朝ラー〟。つまるところが、ラーメン屋で朝から食するラーメンです。

vista-kitakata.jpg【Photo】喜多方市街地を遠望。さすがはラーメンのまち。事業所からもうもうと立ち上がる水蒸気は、ラーメンを茹でる寸胴鍋から立ち上がる湯気と見まごうほど(笑)

 人口48,000人の喜多方市には、およそ120軒のラーメン店があります。これは人口一人当たりの軒数としては国内最多であろうといわれています。

 1987年(昭和62)、喜多方市内のラーメン店が参加して「蔵のまち 喜多方老麺会」が発足。互いに切磋琢磨し、今日では地域ブランドとして確固たる地位を築いています。2017年6月現在、老麺会には47店舗が加盟しています。

abeshokudo1-kitakata.jpg【Photo】蔵とともに福島県喜多方市の代名詞といえばラーメン。モチモチした太めの平打ち熟成多加水ちぢれ麵は各店共通。醤油・塩・味噌とバリエーションはあれど、店ごとに豚骨や鶏ガラをベースに煮干し出汁のコクがある醤油スープが多数派となる *ロケ地:あべ食堂

 全国平均が5,929円である一人当たりのラーメン年間消費額を県庁所在地別でみると、会津地方とは食文化が幾分異なる福島県中通り地方に位置する福島市(10,917円)は3位に食い込んでいます。ちなみに2位の新潟市(11,900円)を大きく引き離してダントツ1位は山形市(15,622円)。(データ出典:総務省統計局「家計調査結果」平成26年~28年平均)

 山形市周辺では蕎麦屋でもラーメンをメニューに入れている店が珍しくありません。客席がほぼ100%ジモティで占められる平日昼の光景は、完全にラーメン屋(笑)。畑仕事中にはラーメンを畑まで出前してもらい、時に氷を浮かべて麺をすする〝冷やしラーメン〟まで発明してしまう山形市民の並々ならぬラーメン愛に驚愕したのが、山形市で勤務した2003年(平成15)のこと。

abeshokudo2-kitakata.jpg【Photo】蔵の内部が客席として使われている土蔵が左手に建つ「あべ食堂」 ・住所:喜多方市緑町4506 ・電話:0241-22-2004 ・営業時間:朝 7:30~15:00(スープがなくなり次第終了)・水曜定休 ・Pあり ・喫煙可

 県庁所在地ではないため、この統計にはランクインしていない喜多方市民のラーメン好きも筋金入りです。

 そのルーツは、大正末期に中国浙江省(せっこうしょう)から日本へ渡ってきた藩欽星氏が、竹棒で延ばす中華麺を自己流で再現し、屋台で出した〝支那そば〟だというのが定説です。

 喜多方には朝食にラーメンを食べる独自の文化が根付いており、その昔訪れたことがある「坂内食堂」は、チャーシューが麺を覆い尽くす「肉そば」が有名で、なぁ~んと早朝7時に営業開始します。

abeshokudo3-kitakata.jpg【Photo】「あべ食堂」は1960年(昭和35)の創業。朝8時に到着した庄イタが通されたテーブル席と通路を挟んで左側は小上がりの座卓席。ほどなく向かいのテーブル席に一人の男性客が座ると、その次に来店した二人連れは蔵座敷席へと通じる店奥左手へと入って行った

 前稿で述べた通り、庄イタは名物よりも好物に食指を動かす傾向が顕著です。先月の福岡1泊出張では、博多ラーメンを替え玉付きで2回食べましたが、あくまでこれは例外。めったなことではラーメン店の暖簾をくぐることはありません。それでもジモティが集う早朝のラーメン店が、いかなる雰囲気なのか興味がわきました。

 観光客が列をなす昼食時間帯では、純血度が高い朝ラーを知ることはできないはず。そのため、朝食を摂らずに宿を出発。朝ラーを提供する15軒ほどの中から白羽の矢を立てた「あべ食堂」に到着したのが8時ちょうど。

 食べ終えた先客と入口ですれ違ったあべ食堂の客席は、開店後30分にして7割方埋まっています。男女比で7:3ほどの客層は、雰囲気から察するにジモティが8割。店に隣接する蔵は座敷になっており、テーブルと小上がりの客席が一杯になってからは、そちらに来店客を案内していました。

abeshokudo4-kitakata.jpg【Photo】あべ食堂で食した「中華そば」(650円)。ベースとなる豚骨と適度な背脂のコク、昆布出汁の旨味が混然一体となったジンワリ味わい深い醤油スープ。チャーシュー・メンマ・刻みネギがトッピングされ、多加水麺ならではのツルツル&モチモチのちぢれ太麵はスープの絡みが良い

 あべ食堂では、〝より朝食らしくご飯も食べたい〟ラーメンライス派向けに、ライス(大250円・小150円)も用意されます。栄養のバランス的には???な炭水化物×2ゆえ、ライスまでは控えましたが、会津は特Aランクの常連であるコメどころでもあります。健啖家を自認される方はお試し下さい。

〝名物に旨いものなし〟という意地の悪い言い習わしがありますが、あべ食堂の喜多方ラーメンには当たらないことは、この庄イタが保証します。

 こうして人生初の朝ラー体験を完遂。喜多方における次なるミッションは、そう、もちろん〝昼ラー〟(笑)。

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 昼に備え、お腹を空かすために蔵めぐりへと繰り出す前に向かったのが、郊外にある「新宮熊野神社」。晩秋には幹回りが8m近い推定樹齢800年のご神木・大イチョウが落葉し、境内が黄色一色に染まることで知られます。

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 本宮・新宮・那智の熊野三山を主祭神とする本殿への拝殿「長床」(国指定重要文化財)は、朝廷から奥州平定を命じられた源頼義が武運長久を願って1055年(天喜3)に勧請(かんじょう)したのが起源。現在の社殿は平安末期から鎌倉時代にかけての建立と推定され、藤原時代に遡る建築様式の寝殿造りを踏襲しています。

 屋根は寄棟造りの茅葺。幅27m×奥行12mの床面には、およそ3m間隔で直径45cmほどの円柱が等間隔で配されています。

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 壁のない空間に柱が並ぶ拝殿を前にして思い起こしたのが、シチリア・アグリジェント近郊「Valle dei Templi 神殿の谷」に建つ「Tempio della Concordia コンコルディア神殿」(下画像)

 ローマ神話に登場する民族融和を象徴する女神コンコルディアに捧げるため、紀元前5世紀に建立された当時の構造を今に留めるシチリア最大の神殿です。

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 13本のドーリス式円柱が42m幅に並び、19.7m幅のファサードには6本の円柱が配される遺構は、石と木の違いはあれど、庄イタの目には長床と二重写しに映りました。

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 喜多方観光のハイライトは蔵めぐり。1880年(明治13)、市街地中心部の300棟を焼き尽くした大火が契機となり、防火上の備えとして多くの蔵が建てられたのだといいます。もうひとつ〝男子たるもの40歳までに蔵を建てざるは甲斐性無し〟とする地域性が育まれた点も見逃せません。

 そうして競うように建てられた蔵が集中するのが、「ふれあい通り(中央通り)」沿い、そして小田付(おたづき)地区の「おだづき蔵通り」沿いです。

 蔵探訪には、JR喜多方駅前でレンタサイクルをピックアップするか、徒歩でじっくりと街並みを散策しましょう。ラクチン派にはガイド付きベロタクシー(定員大人2名+小人1名・1時間3,000円・要予約☎090-7323-3314)という選択肢もあります。

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 全国でも例を見ないのだという蔵造りの寺「安勝寺」(上画像)を参詣した後、南北に通じる900mほどのエリアに多くの蔵が集中するふれあい通り沿いから蔵めぐりのスタートです。

wakaki-kitakata.jpg【Photo】若喜商店レンガ蔵(国登録有形文化財)1755年(宝暦5)に創業した味噌・醤油醸造元「若喜商店」。昭和初期に建てられた洋風の店舗に接している喜多方では最初に建てられた総レンガ造りの蔵は1904年(明治34)竣工。柿渋による黒っぽい文様が特徴となる稀少な柿材を内装や調度類に使用した「縞柿の間」をガラス越しに見学することができる。・住:喜多方市字三丁目4786 ・Phone:0241-22-0010 ・開館:9:30~16:30(元日除き通年) ・見学無料 ・URL:http://www.wakaki-kura.jp/

kaihonke-kitakata.jpg【Photo】甲斐本家座敷蔵(国登録有形文化財)酒造業から味噌・醤油の醸造業に転じた甲斐家4代目吉五郎が、7年の歳月をかけて1923年(大正12)に完成させた喜多方では数少ない黒漆喰〈2016.11拙稿「Bianco e Nero~ Capitolo Nero ~クラシックな黒漆喰の内蔵」参照〉による重厚な外観。内外装の豪華さにおいて喜多方随一とされる ・住:喜多方市一丁目4611 ・Phone:0241-24-3900 ・開館:10:00~16:00(4月上旬~11月下旬)冬季閉館 ・入場料:大学生以上400円 小中高生150円
 
 若喜商店の蔵にも使用された赤銅色の釉薬レンガの材料となる良質の赤土が産出するのが郊外の三津谷地区。

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 そこは地元で大量に調達できる薪を燃料としてレンガや瓦を焼成するため、大正期に造られた10連房式の登り窯が国内で唯一現役で稼働しています(上画像)。経済産業省から2007年(平成19)に近代化産業遺産として指定を受けています。

mitsuya-kitakata.jpg【Photo】若菜家 農作業蔵 (写真左側)は1910年(明治43)築。1935年(大正10)築の味噌蔵(写真右側)ほか、三階蔵、座敷蔵など明治~大正期に建てられた4棟のレンガ蔵が残る。住:喜多方市岩月町宮津字勝耕作3819 ・Phone:0241-22-9459(若菜農園)・受付:8:00~17:00 ・入場料:中学生以上200円・小学生以下無料

 そうした土地柄だけに、三津谷集落の5軒全てにレンガ造りの蔵がある地区でもあります。

otazuki-kitakata.jpg【Photo】小原酒造 1717年(享保2)創業の醸造元。10代目の現当主が醪(もろみ)のタンクにスピーカーを取り付け、さまざまなジャンルの曲を流す試行錯誤の末、最も納得のゆく仕上がりとなったのがモーツァルトだったのだといいます。平成に元号が変わった年、初めて世に問うた意欲作が「蔵粋(クラシック)」シリーズ ・住:喜多方市南町2844 ・Phone:0241-22-0074 ・営業:9:00~17:00 ・URL:http://www.oharashuzo.co.jp/shop/

 おたづき蔵通りへ移動し、天保年間に創業した味噌蔵「金忠(カネチュウ)」と、趣ある江戸末期の店蔵(国登録文化財)に併設された「豆〇(マメマル)」に立ち寄りました。金忠で試食した旨味たっぷりの「にんにく味噌」を購入後、炭火でじっくり焼き上げた豆腐田楽 & 味噌おしるこで一休み。

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【Photo】金忠 田楽喫茶 豆〇 ・住:喜多方市字寺町2854 

kanechu-kitakata.jpg 喜多方市内のラーメン屋およそ40軒に醤油を卸していた金忠と豆○を訪れた半月後、金忠は廃業を突然発表した。原因は東京電力が200kmも離れた首都圏向けに電気を供給していた福島第一原子力発電所が引き起こした重大事故。事故から6年あまりが経過し、喜多方市と東京都が公表する空間線量の測定値には0.01μGy/h程度の開きしかない。にもかかわらず売り上げを7割も減少させた風評被害が、創業180年の老舗を廃業に追い込んだ。突如届いた不幸なニュースに心を痛めるとともに、安全神話にあぐらをかき、責任逃れに終始する東電の旧経営陣には怒りを禁じ得ない

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 山紫水明の里・会津は、東西を奥羽山脈と越後山脈に、南北は飯豊連峰と尾瀬へと至る帝釈山脈の山々に囲まれた水清き里。

 福島は酒どころ東北6県の中で酒蔵が最も多く、その半数を会津地方が占めています。清冽な水のもとでコメ作りが行われ、そこに人の技が加わることで芳醇旨口の銘酒が作られています。

yaemon-yamatogawa.jpg【Photo】1790年(寛政2)創業の大和川酒造店。酒人自ら自社田で酒造好適米「山田錦」と「夢の香」を減農薬栽培。寒造りの季節限定となるコメの旨味を存分に味わえる生酒「純米しぼりたて弥右衛門」(720mℓ 1,296円)を購入。会津若松訪問初日に鈴木屋利兵衛商店で購入した會津絵の酒器が、柔らかい口当たりの生酒を一層引き立てる

 近年、福島県産酒の品質向上は目覚ましいものがあります。全国新酒鑑評会における金賞受賞数は、最新の平成28年度まで5年連続日本一。人口比で日本一といわれるラーメン屋の数と同様、日本一との声も聞かれる9軒の酒蔵がある喜多方に来たからには、酒蔵訪問もクリア必須のミッションなのでした。

yamatogawashuzo1.jpg【Photo】大和川酒造店 ・住:喜多方市字寺町4761・Phone:0241-22-2233・営:9:00~17:00 元旦除き無休 P40台・URL:http://www.yauemon.co.jp/

 1990年(平成2)に醸造蔵を移転した後の旧仕込み蔵は、酒造り資料館「大和川酒造店 北方風土館」として無料公開されています。

yamatogawashuzo-degustazion.jpg【Photo】北方風土館 利き酒カウンター。この日は定番酒・季節限定品あわせて15本が並んでいた

 蔵の前と風土館の試飲・直売処には、移転前の仕込みで使われていた飯豊山系の優しい口当たりの伏流水が湧いており、20ℓ容量のポリタンクで持ち帰ったのでした。

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 蔵の町を散策しているうちに時刻は13時を回り、そろそろお腹が空いてきました。

 人生初の朝昼続けての2杯目ラーメンは、行列が絶えない有名店「満古登(まこと)食堂」で。日本が戦後の混乱からまだ立ち直っていなかった1947年(昭和22)に創業した古参の店です。

macotoshokudo1.jpg【Photo】満古登(まこと)食堂 ・住:喜多方市字小田付道下7116 ・Phone:0241-22-0232 ・営:7:30~15:00(スープなくなり次第終了)月曜定休・P6台・喫煙可

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 醤油系喜多方ラーメンの代表格とされる店だけあり、長い行列に40分ほど並んだでしょうか。店というよりは民家の座敷といった風情の部屋に通されました。非日常感が希薄な部屋で注文した中華そば(650円)を待つことさらに15分。その日2食目の中華そばが運ばれてきました。

 朝ラーを食べたあべ食堂よりも濃い口の醤油スープは、煮干しと豚骨がベース。ツルシコ系のちぢれ平麺との相性もバッチリ。まさにラーメン好きが好みそうな王道をゆく中華そばでした。

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 バリエーションが多彩なパスタ料理は、朝昼晩と3食続いても全く問題ない庄イタ。こう言っては元も子もありませんが、とりたててラーメン大好きということはありません。2食続けての醤油ラーメンは、正直どう頑張っても胃袋が喜ばない感じ。今回訪れた2店ともに分煙対策をしていない点も気になりました。

 こうして自身の嗜好と適性を再認識した庄イタ。再びラーメン屋を訪れるまでには、丸5ヵ月を要したのです。

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 迷宮のごとき天満で、①たこ焼き屋 → ②お好み焼き屋 → ③ショットバーと3軒ハシゴした5月末の某日。伸縮性に富む鋼鉄の胃袋を持つ事情通に「この足で大阪で一番おいしい焼き飯を食べに行きましょう」と案内されたのが「総大醤(そうだいしょう)

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 酒宴後の〆ラーは、2011年(平成23)10月に酒田でメンズ5名で食して以来。〆ラーを欲しなくなって久しい庄イタゆえ、目的はあくまでも大阪一の焼き飯。同僚とシェアした焼き飯(上画像・スープ付500円)とは別に酒の勢いで醤油ラーメン(下画像・700円)まで注文。肝心の焼き飯を味わう余裕などなく、食品廃棄を増やしてはならじと胃袋に押し込むのが精一杯なのでした。

 こうした経緯ゆえ、自らの意思でラーメン屋に行ったわけではない。そう自分では思っています。

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 序章・会津若松編・大内宿編・喜多方編と、4回にわたってお届けした土佐日記風 会津日記。紀貫之も「つとめての あさげらーめん いと旨し(現代語訳:早朝の朝ごはんラーメンは、とても旨い)」と感想を述べるであろう朝ラーで締めてみました。

 次回からは居を移した食い倒れの町を起点にイタリアを語り続けます。引き続きご贔屓のほどお願いします。

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