あるもの探しの旅

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2018/01/12

伝統そして血統に耽溺するの巻 <後編>

またも白トリュフにむせぶ夜@ミナミ


 1月6日はベツレヘムで誕生したイエスのもとに東方より三賢者が祝福に訪れた日とされ、公現祭を祝うカトリック国イタリアではEpifania(エピファニア)ないしはBefana(ベファーナ)と呼ばれる祝日となります。〈2007.12拙稿「クリスマス ところ変われば」参照〉

 イタリアではこの日まで「Natare ナターレ(伊語:クリスマス)」扱いで休暇を取るため、年明け第一弾のネタもナターレの余韻を残しつつ、そろそろとスタートです。

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【Photo】難波橋から栴檀木橋までの中之島通は車両通行止めとなり、街路樹にシャンパングラスに泡が立ち上がる様子をかたどったイルミネーションが灯る ©大阪・光の饗宴実行委員会

 歳末の大阪・中之島周辺を光のアートで彩った「OSAKA 光のルネサンス2017」。職場のすぐ目の前を流れる土佐堀川の対岸、中之島にあるレンガ造りの大阪市中央公会堂では、ウォールタペストリーと称するプロジェクションマッピングが実施されました (下合成画像)

 仕事帰りに8分間の映像プログラムMovie con suonoを15分間の休憩を挟んで2回連続で鑑賞。

 阪急梅田駅へ歩いて移動する道すがら、西天満「Rosticceria da Babbo ロスティッチェリア・ダ・バッボ」で、冷え切ったカラダが欲したトスカーナ料理「Ribollita リッボリータ」を織り交ぜるコースアレンジを高島知之シェフにリクエストしたのでした。

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 そこまではよかったものの、中央公会堂前の人ごみでインフルエンザA型ウイルスを拾ったようで、翌々日の朝に39.6°まで発熱。大阪に出先がある新聞社の仲間内では発症第一号だったようで、15世紀イタリアで〝influenzaインフルエンツァ〟という病名が初めて用いられただけに、イタリアかぶれの庄イタに親近感を抱いてウイルスも寄ってきたのでしょう。

 冗談はさておき、特効薬イナビルでインフルエンザウイルスを封じ込めた蟄居を挟んだ年末は、不健康なノンアルコール生活を強いられました。

 年が明けても体調万全とはいかず、病み上がりの正月三が日は、ワインはおろか屠蘇すら口にしていません。そのため順調に過剰在庫を減らしてきた拙宅のワイン消費ペースがスローダウン。Orz

 多くの参詣客で賑わう西宮戎神社で迎えたCapodannno(=元旦)の瞬間もマスク姿。ちなみにMaschera(伊語:マスク)といえばカーニバルや道化の仮面しか思い浮かべないイタリア人は、即時入院を要する重篤な伝染病にでもならない限り、インフルエンザ(ごとき)では絶対にマスクをしません。〈2013.3拙稿「Le Maschere Veneziane ヴェネツィアの仮面」参照〉

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【Photo】白インゲンやレンズ豆ほか自家農園産カーボロネロなどの野菜に自家製トスカーナパンを加えて煮込んだRibollitaリッボリータは、トスカーナ人が愛してやまないマンマの味。カーゼ・バッセやモンテヴェルティーネを世に送り出した巨匠ジュリオ・ガンベッリが品質を一段と高めたキアンティ・クラシコ地域最南部の醸造所 Tenuta di Bibbiano テヌータ・ディ・ビッビアーノChianti Classico Riserva Montornello キアンティ・クラシコ・リゼルヴァ・モントルネッロ2013で、庄イタ好みのドンピシャ鉄板カップリング(左画像) 宮城栗原産漢方牛のタリアータ。相伴は高島シェフから店最後の1本を是非にとお薦め頂いた La Porta di Vertine ラ・ポルタ・ディ・ヴェルティーネのChianti Classico キアンティ・クラシコ2011。創業した2006年から2年間、エチケッタに直筆で造り手の名を記したジュリオ・ガンベッリが醸造コンサルタントを務めるも、米国人オーナーの破産により、創業から10年で終焉を迎えた。抜栓直後の40分ほどは、自然派の気難しさ炸裂でハズレと思いきや、半分ほどを残して持ち帰り、インフルを発症する前日に味わった3日目の晩には、つゆだくな旨味の塊へと大化けした (右画像)

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 蛭子神と福の神の総本山で厄を落とした2018年第一弾の投稿は、昨年末からお届けしている白トリュフまみれの3部作最終章となります。どうぞ今年もお付き合いのほどよろしくお願いします。

 大阪ミナミ東心斎橋の「PESCE ROSSO ペッシェ・ロッソ」恒例の催し「アルバ産白トリュフ祭り」。

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 アルバ直送の白トリュフ第二便が届く予定日である11月25日に予約を入れたのが、今季初の白トリュフが到着したての第一便で白トリュフまみれとなった14日夜。

 前々稿「アルド'95 vs ジャコモ'93 名門兄弟頂上対決」でご紹介したような非日常の愉しみを仕込んだ庄イタを、山中伸彦シェフは11日前とは一皿たりとも被ることのないお任せコース料理で楽しませてくれました。

 前回と同じくカウンター席に着いた庄イタに「今日の持ち込みワインは偉大過ぎます」と厨房の山中シェフは開口一番。(下画像)

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「アルバ産白トリュフへの敬意、そして今宵に対する期待感の表れだと思ってください」と返す庄イタ。

 今回のトリュフ祭りでは、'60年代~'90年までの熟成バローロ & 熟成バルバレスコを30%オフで提供したPESCE ROSSO。ガラス張りのオープンセラーには、庄イタが抱える膨大な在庫と共通アイテムが多いイタリアワインを中心とする壮麗なストックを抱えています。庄イタと山中シェフには、ワインに関する嗜好だけでなく共通する接点があるのでした。

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 それは超大型の台風21号が関西を直撃した昨年10月22日(日)のこと。

 イタリアワインの普及啓発を目的とするインポーター・小売店・飲食店らで構成される「Amici Vini Italiani アミーチ・ヴィニ・イタリアーニ(略称:AVI アヴィ)」の主催により、イタリアワインの祭典「Avinofesta アヴィノフェスタ」会場となった大阪市中央公会堂で、庄イタは山中シェフと遭遇していました。

 会場には南森町のシチリア料理店「Trattoria nico」塩田シェフ、靭公園近くのマルケ料理店「Osteria la Cicerchia オステリア ラ チチェルキア」連(むらじ)シェフ、シチリア発祥の帽子コポレッタとワインバーのハイブリッドバー「Coppoletta コッポレッタ」中村オーナー、モンテ物産のアンテナショップPiccoの面々など、知った顔ぶれが運営スタッフとしておいででした。

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〝イタリアワインと旅に出よう〟をテーマに、ここ最近では(旧)ヴェネツィア共和国・トスカーナ・シチリア&サルデーニャ・ピエモンテ・(旧)ナポリ王国と毎回旅先を変えて開催されるアヴィノフェスタ最新のお題は、ウンブリア・マルケ・アブルッツオ・モリーゼ各州。

 イタリアの緑の心臓ことウンブリア州とアドリア海に面した中南部3州から選りすぐったワインをチケット制のグラス売りで3時間の2部制で(浴びるほど)飲めるという趣向。2,800円の入場フィーには、持ち帰りOKのSPIEGEAU製ワイングラスSalute1脚と1,000円分の飲食チケット(追加購入可)が含まれます。

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【Photo】アヴィノフェスタでは撮影はせず、Vino Hayashi相模屋本店などインポーターとの情報交換と試飲に徹した。その戦利品がコレ。(左から)ドイツSPIEGEAU製ワイングラスSalute。サンジョヴェーゼを醸した赤ワインにサワーチェリーを漬け込んだデザートワインVino di Visciole ヴィーノ・ディ・ヴィショレは、マルケ州アンコーナ県アルチェヴィアのリストランテPinoccioで町長らとの会食の折に出されて以来14年ぶりの再会。ウフィッツィ美術館が所蔵する左向き横顔の肖像画で知られるウルビーノ公フェデリコ・ダ・モンテフェルトロも愛飲した。造り手のサイン入りボトルは、ペーザロ・エ・ウルビーノ県にあるTerracruda テッラクルーダの「 Visciola ヴィショーラ」。ヴェネト州で最も有名な D.O.C.G. ヴィーノ・ビアンコ Soave ソアーヴェの優れた作り手Inama イナマ当主のステファーノが、アブルッツオ州ペスカーラ近郊で1994年に旗揚げした醸造所La Valentina ラ・ヴァレンティーナのサバティーノと意気投合。1998年に共同プロジェクト「BINOMIO ビノミーオ」を始動。マジェッラ山北麓の海抜400mの南向き斜面に開墾した畑下画像で樹齢50年近いモンテプルチアーノ種のクローン「アフリカーノ」からD.O.C.モンテプルチアーノ・ダブルッツオを造る。成熟したタンニンでリリース直後からアプローチ可能なスタイルは各方面から高い評価を受けている

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 インポーターとして出店していたアルトリヴェッロのブースには、奥様のジョヴァンナさんが私にイタリア名Carloを授けて下さったローマカトリックで言うところの〝Madrina(=名付け親)〟である闘うワイン商こと川頭義之さんがいらっしゃいました。〈2007.11拙稿「一匹狼のイタリアワイン商」参照〉

 川頭さんとは仙台国分町の「ヴァン・エ・ボヌール」で実施された試飲会以来、2年ぶりの再会です。そこに見慣れたコックコートではない私服姿で奥様を伴って来場されたのが山中シェフでした。

 聞けば川頭さんが山中シェフにとってのワインの師匠なのだそう。素性が明らかな素材を使って手をかけた料理が、さまざまな人の縁を繋ぐことは体験上信じて疑わない庄イタですが、ワインに関してもこの定義は当てはまるようです。

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 そして話はいよいよ核心へ。シーズン2度目となる白トリュフまみれの晩餐の幕開けにワインリストからグラスで注文したのは、マルケ州産のD.O.C.G.白ワイン「Castelli di Jesi Verdicchio Classico Riserva カステッリ・ディ・イエージ・ヴェルディッキオ・クラシコ・リゼルヴァ」(下画像)

 このヴィーノ・ビアンコをご存じない方、長ったらしい名前を一度で覚えることができますか ?^0^

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 マルケ州の伝統品種ヴェルディッキオ・ビアンコから造られる後味にほのかな苦みが残る辛口の白ワインは、知っておいて損はありません。州都 Ancona アンコーナの西側に広がる丘陵地の街 Jesi イエージからアペニン山脈寄りの標高が高い内陸部Matelicaマテリカ周辺では同じブドウから、特徴的な柑橘系の香りよりはシャープな酸味が主調となる白ワインが産出されます。

 食事と合わせるなら、指名した Serra Fiorese セッラ・フィオレーゼ2013の造り手Galofoli ガロフォーリ以外にもFratelli Bucci フラテッリ・ブッチ、Fattoria Coroncino ファットリア・コロンチーノ、Marotti Campi マロッティ・カンピなど、Jesi 周辺地域のヴェルディッキオ(特にRiserva)は、探す価値ありです。

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「これは庄イタ様専用です」と、山中シェフが目の前に置いたのが、ガラスケースに入った白トリュフ(上画像)。そのマーモセットそっくりな〝人面トリュフ〟に気を取られ、1皿目のロンバルディア州産馬の生ハムなど3品がワンプレートで出たアンティパスティ・ミスティは不覚にも画像を押さえ忘れ。Orz
 
 2皿目 非加熱(⇒伊語:crudo)の牛肉のスライスが定番となるピエモンテ料理カルネクルードと卵黄抜きのタルタル風「リンゴと馬肉のカルパッチョ」には、今回も厨房から出てきたシェフが白トリュフをスライス、スライス、スライス・・・。

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 その結果が原形を留めないまでに白トリュフまみれとなったコチラ「リンゴと馬肉のカルパッチョ 白トリュフ大盤振る舞い」(下画像)

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 3皿目「レンコンをフリットでトッピングしたアナゴのスモーク カブのピューレと葉のグリーンンソース  パプリカのパウダー添え」(下画像)

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 4皿目「オマール海老のバター風味ロースト ジャガイモのピューレ」には再び白トリュフの洗礼が授けられ・・・(下画像)

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「オマール海老のバター風味ロースト ジャガイモのピューレ 白トリュフ版ノアの洪水風(⇒勝手に命名)」の完成。ここから持ち込んだ Giacomo Contero ジャコモ・コンテルノ「Barolo riserva Monfortino バローロ・リゼルヴァ・モンフォルティーノ'93」にお出まし願いました。(下画像)

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 5皿目「イノシシのラグーのパッパルデッレ」(下画像)

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 そしてクライマックスの6皿目「卵黄とチーズが入ったタヤリンの生地で作ったラビオリ 白トリュフてんこ盛り」(下画像)

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 ラビオリにナイフを入れ御開帳。中にはミルキーなチーズの上に卵黄が忍ばせてあり、急所と思しき卵黄にとどめのナイフをもう一太刀...。(下画像)

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 「卵黄とチーズが入ったタヤリンの生地で作ったラビオリ 白トリュフてんこ盛り アックア・アルタ風 (⇒勝手に命名)*注」の出来上がり(下画像)。その相伴はバローロの最高峰。なんともゴージャスなカップリングではありませんか。

 こうして聖夜の1ヵ月前、めでたく庄イタは昇天を遂げたのでした。アーメン。

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 白トリュフの余韻に浸りつつ、恍惚の面持ちで食した7皿目「茨城産アオクビとポルチーニのソテー 葉玉ねぎのローストとリンゴのピューレ添え」(下画像)

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 今シーズンのアルバ産白トリュフ祭り初日に参上した11月14日、コースの最後に出てきた白トリュフ入りチーズを再度リクエスト。選択制のドルチェは、連れが前回庄イタが食したトリュフフレーバー漂う蜂蜜で作ったプリンとリンゴのコンポートを、私は大きな栗がトッピングされたモンテビアンコを所望。(下画像)

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 締めのカッフェまで一気呵成に駆け抜け、我が郷里・晩秋の深い霧と白トリュフの香りに包まれるピエモンテの森から届いた恵みを満喫。トリュフシーズンはかくも豪勢に幕を閉じたのでした。

*注釈】アックア・アルタ(acqua alta):ヴェネツィア島対岸の工業地区における地下水くみ上げによる地盤沈下や季節風の影響により、沈みゆく水の都ヴェネツィアのサンマルコ広場など海抜が低いエリアで冬に頻発する高潮のこと〈参考リンク〉。対策として期待されたモーゼプロジェクトで浮沈式の防潮堤を潟の開口部3か所に設置したが、高潮を完全に防止するには至っていない。

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PESCE ROSSO ペッシェロッソ

・住:大阪市中央区東心斎橋1丁目3-18
・Phone:06-6241-0030
・営:17:00~00:30(22時以降はワインバーとしての利用も可)
・URL: http://pesce-rosso.com/
・アルバ産白トリュフ祭りメニュー
  15,000円(トリュフ料理2品)18,000円(同3品)20,000円(同4品) 

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