あるもの探しの旅

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フィレンツェ in キョウト

六 根 清 浄
サンタ・マリア・ノヴェッラ・ティサネリーア京都


 関西食レポの舞台は、大阪ミナミから京都・洛中へと移ります。

【Movie & Photo】昨年7月、都大路を絢爛豪華な歴史絵巻で彩る祇園祭のハイライト、鉦や笛が鳴らすコンチキチン...という祇園囃子とともに、この放下鉾を含む33基の山鉾が巡行する前祭(さきまつり)より〈上動画HD推奨)〉。 宵山の日、観光客でごった返す四条通から離れて訪れた頂法寺 六角堂は、生け花の聖地でもある〈下画像

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 財団法人 池坊華道会での仕事があり、阪急電車で京都へと趣いたのが1月25日(木)。最寄駅となる烏丸駅に到着したのは、ちょうど小腹が空いてくる頃合いでした。

 聖徳太子に登用された遣隋使から帰国後、出家して僧侶となった小野妹子が仏前に花を供えた故事を起源として、足利将軍義正の時代に生け花の原型が発祥した地とされるのが、池坊華道会の本部に隣接する「頂法寺 六角堂」です上画像

 大阪四天王寺建立のため、用材を求めて京都入りした聖徳太子により、582年(用明天皇2)に建立されたと伝わります。

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 仏教用語の六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)から生じる欲を捨て去り、修行によって功徳を積み、不浄なる物を遠ざけ、六根清浄(ろっこんしょうじょう)の境地に至らんとする願いを込めたとされるのが多重構造の六角形をした本堂上画像

 1,400年前に遡る創建以来、幾たびかの焼失を経て、現存する本堂は1877年(明治10年)に再建されています。

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 聞いてはいたものの、軽いカルチャーショックを覚えたご飯のおかずとしてのお好み焼き、必修科目のたこ焼き&明石焼、ソース二度漬け禁止の串カツ、薄口しょうゆとダシが利いたかけ汁に角とコシがない麺に甘いお揚げが定番の大阪おうどんなど、食い倒れの街ならではの味は体験済み。

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【Photo】50回以上に及んだ大阪空襲では、大阪府下で1.5万人が犠牲となった。まだ焦土が広がっていた大阪ミナミ千日前で1946年(昭和21)に創業した「おかる」では、マヨラーならずとも、マヨネーズは是非もので。ラテアートが脚光を浴びるずっと以前から、2代目女将安達佳代子さんが始めたお好み焼きマヨアートも味わいたい〈左画像〉 休日は電話予約不可で長蛇の行列ができる「味乃屋」。お好み焼き・ネギ焼き・焼きそばと何を食べても美味。+280円でご飯・汁物・漬物が付く〈右画像

 難読地名で知られる十三(じゅうそう)ほか、京橋、鶴橋、福島から地獄谷にかけてなどのディープなエリアも徘徊。ネタは貯め込んでいるものの、Viaggio al Mondoではここまでスルーしてきました。

 正攻法を避けてきた庄イタゆえ、初の京都ネタとしてご紹介するのは、昨年の夏、洛北・貴船で食した川床料理でも、北前船での往来があった庄内では馴染み深い南禅寺の豆腐料理でも、湯葉懐石でもありません。

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【Photo】祇園祭後祭(あとまつり)に繰り出す山鉾を1本の釘も使わずに縄で組み上げる伝統の鉾建てを見学後、街の喧騒を離れて洛北・奥貴船に移動。割烹旅館「兵衛」の川床料理は、涼しげな瀬音と緑に包まれる雰囲気こそが何よりのご馳走

 昨年4月、関西に居を移してから、オン・オフを問わず京都を訪れたのは25回ほどでしょうか。日本を代表する国際観光都市は、今や完全に売り手市場。関西の他都市との比較において、お世辞にもコストパフォーマンスが高いとは言えないため、京都での食事は慎重を期さねばなりません。

 一度だけ、鯛茶漬けとおばんざい数種を京都駅近くで頂きましたが、それは100年前に大政奉還が行われた二条城や西本願寺を訪れた昼に「Pizza Mercato Kyoto ピッツァ・メルカート・キョウト」で、発酵したピッツァ生地でできたビリケンさんを彷彿とさせるピッツァイオーロ東郷智宏氏下左のマリナーラ1枚下右と、連れが持て余したマルゲリータ1/3枚を食し、それが消化しきれていなかったが故。

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 冷蔵技術が発達する以前は、鮮度が良い魚介の確保が困難であったがゆえ、和の調理法が発達した京都においても、食指が伸びるのは、我が郷里ピエモンテのみならずイタリア各地の料理がメインで、そしてまれに肩ひじ張らないビストロ系フレンチといった具合です。

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 池坊華道会には13時に伺うことになっており、正午まで少し時間があったため、早めの腹ごしらえをすることに。そこで予定通り四条通に面した大丸京都店の脇道を入ってすぐ左手にある「サンタ・マリア・ノヴェッラ・ティサネリーア京都」を訪れました。

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【Photo】二階に虫籠窓を配し、一階の店舗部分は格子窓ではなくショーウイーンドーに改装された京町家造りのサンタ・マリア・ノヴェッラ・ティサネリーア京都。1612年にフィレンツェで創業した現存する世界最古の薬局「Officina profumo-farmaceutica di Santa Maria Novella サンタ・マリア・ノヴェッラ」のハンドペイントによるグロテスク文様を施したデルータ焼きの薬壺やクラシックな意匠の製品が京都の家並みと調和する

 フィレンツェ本店から正規代理店を介して届く自然由来の原料から抽出した高貴な香り漂う製品を扱うサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局 《2008.7拙稿「典雅なイタリアの遺香 ~ i profumi di antica Italia」参照》

 東京・大阪のみならず、札幌・仙台・福岡など日本各地で13店舗を展開します。2007年OPENのリストランテ「GIAG GIOLO GINZAジャッジョーロ銀座)」を除けば、サンタ・マリア・ノヴェッラ名古屋店のように店舗兼ハーブティーサロンではなく、店舗に本格的なリストランテが併設されるのは、世界中でも京都店のみ。2004年(平成16)12月にOPENした京都店の存在は、大阪転勤前から認識はしていました。

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【Photo】サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラを覆う葺き瓦としても使われた良質のテラコッタの産地で、フィレンツェの南方15kmほどにあるインプルネータ製の壺と花が出迎えるサンタ・マリア・ノヴェッラ・ティサネリーア京都のエントランス。右手がショップ。正面奥がリストランテ。ともに出入口がサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局では唯一と思われる引き戸であるのは京都ならでは

 祇園祭の期間中最大の呼び物、山鉾巡行を控えた宵山の日、幾つもの山鉾が並ぶ四条烏丸を訪れた折、巡行の先陣を切る長刀鉾が陣取る四つ辻近くで、六角堂まで歩いて10分とかからない店を確認。京都とは姉妹都市であるフィレンツェのエッセンスを盛り込んだイタリア料理にありつこうと目論んだのです。

 平日のため事前に予約はしていませんでしたが、その日一番乗りで案内されたのが、オープンキッチンに面したカウンター席。ほどなく埋まったテーブル席を含め、庄イタ以外は、はんなりした女性客ばかりでした。

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【Photo】テーブル席最大20席+カウンター6席に対し、柿谷修平シェフ以下、木曜昼に訪れたこの日の厨房スタッフは総勢4名。「あまり今日は時間がないので」と耳打ちした女性ホールスタッフ2名が心地よいサービスをしてくれた。泡立つフルートグラスの液体は、仕事中ゆえ、オーガニックの辛口スパークリングぶどうジュース(念のため付け加えるとノンアルコール)

 紅一点とは逆のこういったケースでも物怖じせず食事が喉を通るのは、こうしたシチュエーションの場数を踏んでいるからなのか、それとも単に面の皮が厚いからなのか。

 その判断は皆さまにお任せし、この日頂いたコース料理「Completeコンプリート」をおさらいしましょう。

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Santa_Maria_Novella_Tisaneria.jpg 素材を吟味し、食べることで健康になることがコンセプトだというサンタ・マリア・ノヴェッラ・ティサネリーア京都。

 これは、六根における鼻根と舌根(嗅覚と味覚)を研ぎ澄まし、力がみなぎる健全な食材の食感や店の落ち着いた雰囲気を感じること(触覚や感覚)を通し、六根清浄の境地へと至る体験が可能だということでしょう。

・1皿目「オニオングラタンスープ」
 フランス料理でもお馴染み。そのルーツはフィレンツェの郷土料理「Carabaccia カラバッチャ」。カテリーナ・ディ・メディチの嫁ぎ先であり、当時は手づかみで食事をしていたフランス王家に持ち込んだ一つが、ヴェジタリアンだったダ・ヴィンチも好物だったというこの料理と洗練されたテーブルマナー。玉ネギを甘辛く煮込み、バゲットと溶けるチーズを加える
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・2皿目「アサリのフラン 菜の花のソース」
 アサリの出汁に生クリームを加えた具なし洋風茶わん蒸し。ほろ苦い菜の花がアクセントに

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・3皿目「Tisana di insalata(25種類の野菜とハーブのインサラータ)」
 寒鰤カルパッチョ入り上賀茂・池西農園産のセルバチコ・西洋黒ダイコン・サラダからし菜・安納芋・カリフラワー・プチトマトなど彩り豊かな25種の野菜とハーブのサラダ

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・4皿目「畑菜とイタヤ貝のペペロンチーノ・カラスミ風味」
 乳化した塩味のオイルがスパゲッティと良く絡み、冬が旬の京野菜「畑菜」と暖流系の二枚貝「イタヤ貝」の旨味を増幅させるカラスミの香り

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・5皿目「養老豚とサルスィッチャのポトフ カルタファタ仕立て」
 岐阜・養老山麓で飼育された養老山麓豚の腿肉をホロホロと崩れるほどまで煮込み、自家製サルスィッチャと芽キャベツや根菜と煮込んだポトフ。料理が運ばれてきた時点では耐熱ラップで包んであり、鉄鍋の上でグツグツと沸き立つポトフをまずは視覚で楽しみ(☞六根でいうところの「眼根」の功徳!!)、封を解くと美味しそうな香りが一気に立ち込める仕掛け

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・6皿目「八ヶ岳天然水のかき氷 京都・和束町産抹茶とともに」
 材料は二つのみ。天然の冷気だけで2週間から20日を要し、不純物が入らぬよう手数をかけて製造する山梨「蔵元 八義」から仕入れる南アルプス八ヶ岳南麓の硬度が低い伏流水から作る天然氷。そして京都府の南端に位置する宇治茶最大の産地、相楽郡和束町(わづかちょう)で有機栽培された碾茶(てんちゃ)。頭がキーンとならないサックサク&フワフワの口当たりの天然氷と抹茶の甘味と香りが調和。見事な引き算のお手前。

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・〆「サンタ・マリア・ノヴェッラのハーブティー」
 通常はエスプレッソをお願いする〆。この日ばかりは、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会で医療救済事業を行ったドミニコ会修道士たちが編み出した処方をルーツとする癒しのハーブティーを所望。玉ネギのスライスをトッピングして焼き上げた自家製丸型フォカッチャは、残ったペペロンチーノのオイルとポトフのスープを吸わせて完食

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 こうして〝花より団子〟な昼ご飯を終え、池坊華道会へ。


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 まだ手が出せる価格ゆえにリストランテ隣のショップで取り置きをお願いしていたのが、大ぶりなセラミックのカップ

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【Photo】フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局本店には、彩色テラコッタ製の薬壷や、歴代の修道士が書き記した処方など、400年の歴史を刻んできた品々を展示するスペースを併設。日本国内のサンタ・マリア・ノヴェッラでは、薬剤の保管に用いられた薬壷のレプリカを取り扱っている上画像。高さ32cmの小さい方でも、お値段はそれなり

 フィレンツェの西15kmほどにあり、13世紀まで起源が遡るマヨリカ陶器の街、モンテルーポ・フィオレンティーノ製です。

 陶器製の茶漉しと蓋付きでティーポットの役割も果たす優れモノ。ハンドペイントならではの伝統的な絵柄の装飾が施され、ワンアンドオンリーな魅力を放っています。

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 数量限定で入荷した京都店には色合いが微妙に異なる2個だけが残っていました。選んだのは色合いが淡い方上画像。花の都・芸術の都フィレンツェが誇る伝統工芸品コレクションがまた一つ、こうして庄イタの手中に収まったとさ。めでたしめでたし。

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サンタ・マリア・ノヴェッラ・ティサネリーア京都

・住:京都市中京区 東洞院通四条上ル 阪東屋町675
・Phone:リストランテ 075-254-8692  ショップ 075-254-8691
・営:昼 11:00~15:00(L.O. 14:00)
   夜 18:00~22:00(L.O. 21:00)月曜定休
・URL:http://www.smn-tisaneria-kyoto.jp
Pranzo ランチコース
  ・Rapide ラピード 1,800円(税別・以下同様)
     (アミューズ・パスタ・ジェラート)
  ・Complete コンプリート 4,000円
     (前菜3品・パスタ・メイン・ドルチェ・ドリンク)
  ・Degstazione デグスタツィオーネ 6,000円
     (前菜4品・パスタ2品・メイン・ドルチェ・ドリンク)
Cena ディナーコース
  ・Complete コンプリート 6,800円(税・サ別・以下同様)
     (小さな前菜・前菜2品・パスタ2品・メイン・ドルチェ・ドリンク)
  ・Degstazione デグスタツィオーネ 8,800円
     (前菜4品・パスタ・メイン2品・ドルチェ・ドリンク) *ほかアラカルト各種
 

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