あるもの探しの旅

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魚舞う魚醤ジェラート Gelato Cetarese con alici secchi

トッピングはチンアナゴさながらの煮干し3匹 (笑)


 大阪の街全体が、スチームオーブンレンジで加熱されているかのような平成最後の夏。ギラつく日差しで目の前が白っぽくなり、ボーッとする意識の中で白日夢の妄想バカンス@ナポリを満喫しました(トホホ...)。

 熱帯夜が明けた本日の大阪。予想最高気温は35℃の猛暑日。かたや向こう1週間のナポリの天気予報を見る限り、最低気温は20~22℃。意外なことに日中でも30℃超えの日はありません。

 リアル避暑バカンス@ナポリ。う~む魅惑的な響きだ・・・。

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 2回シリーズでお届けした播州赤穂ネタで今回も引っ張りますが、既にメインディッシュはご紹介済み。最後に赤穂で出合ったナポリとその近郊の町ゆかりのデザートを召し上がって頂きましょう。ボナペティート~♪

 ナポリにおいては、ピッツァは〝Piatto unicoピアット・ウニコ〟(☞ 一品完結型の料理)だと考えられています。先付や前菜から始まる改まったコース料理ではなく、一皿で栄養バランスが取れる食事として庶民に受け入れらてきた歴史があります。

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【photo】この8月にリニューアルオープン5周年を迎えた仙台「Pizzeria Padrino del Shozan ピッツェリア・パドリーノ・デル・ショーザン」は、アマルフィ海岸での優雅なリゾート気分に浸れる。リニューアルオープン直後に食したナポリ菓子「Coda di Aragosta コーダ・ディ・アラゴスタ」

 イタリアの権威ある料理評価本「Gambero Rosso ガンベロ・ロッソ」誌が、Web版で2016年から実施している「Top Italian Resutaurant」の大阪編において、2年連続で選出されたのが、ザ・リッツ・カールトン大阪のイタリア料理「スプレンディード」。その立役者となったのが、2014年12月末に料理長として就任したイタリア中部マルケ州出身のオリアナ・ティラバッシさん。

 スプレンディードがこの夏実施している90分間50種以上のスイーツ食べ放題の「ピーチアフタヌーンブッフェ」に挑む強靭な別腹を備えた乙女ほどのツワモノではないため、前回・前々回のレポートでご紹介したナポリとほぼ同等の30cmサイズのピッツァを平らげた締めくくりは、サックリめの分量で仕上げたいと思います。

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 まず1品目は6月24日(日)のドルチェから。「Mio & Tempurina ミオ・エ・テンプリーナ」前稿参照で昼食を済ませた足で向かったのが、1年牡蠣の産地である赤穂市坂越(さこし)

 前もって訪れた「さくらぐみ」で、西川明男オーナーシェフがプロデュースしたナポリ菓子専門店「坂利太サリータ」が市内坂越にあるとの情報を得ていたのです。

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salita(サリータ)〟とはイタリア語で上り坂のこと。坂越の地名にちなんだ店名ですね。

 そんな洒落っ気がある西川シェフが、岡山県倉敷市の美観地区に触発され、築70年の民家を改装。ナポリ菓子「コーダ・ディ・アラゴスタ」をメインとするパステッチェリア坂利太としてオープンさせたのが2015年7月。

 モデルとなった倉敷の黒瓦を頂く切妻屋根と白塗りのなまこ壁や貼り瓦に木組みの格子窓が特徴の二層からなる蔵造りの町並みそのものは、確かに趣あるものです。

 坂越に赴く前日に訪れた倉敷美観地区の目抜き通りには、あろうことか趣味の悪い立て看板や無粋なのぼり旗が乱立。あまりのアイデンティティの無さに幻滅した湯布院「湯の坪街道」ほど地に落ちてはいませんが、せっかくの美観を損なっている印象を抱きました。

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 8世紀の中庸まで歴史を遡ることができる赤穂の製塩は、入浜式塩田開発が進んだ江戸期に規模が拡大。商都大坂のみならず、江戸へ向けて塩を荷積みする廻船や西回り航路の北前船が寄港した坂越には、文化庁が日本遺産に認定した景観保存地区の街並みが残っています。

 チュニジアンブルーの暖簾 & サインボードと小さな立て看板に留めた坂利多の外観は、歴史ある坂越地区の景観に溶け込むものでした。

 頻繁にナポリへと足を運び、自他ともに認める〝ナポリばか〟こと西川明男氏だけに、(落書きだらけである点を除けば)歴史ある街並みの景観を大切にするイタリア人に見習ったのでしょう。

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 笠が閉じた寸足らずの松茸のような形状のスポンジ生地にラム酒のシロップをたっぷり含んだ素朴な「Baba バッバ」、二枚貝状の焼き菓子「Sfogliatella スフォリアテッラ」と同じナポリっ子に愛される伝統菓子のひとつに「Coda di Aragosta コーダ・ディ・アラゴスタ」があります。

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【photo】坂利太で購入したマロンクリーム風味コーダ・ディ・アラゴスタ(540円)。チョココロネほどでなくとも、成獣になる前のモスラ幼虫と似ていなくもないかも。福島が生んだ昭和の名作曲家、古関裕而が作曲し、今は亡きザ・ピーナッツの二人が劇中歌として歌った有名なこのフレーズが浮かぶ。♫ Mothra ya Mothra, Dengan kesaktian hidupmu(♫モスラヤ モスラ ドゥンガン カサクヤン インドゥムゥ)☞ れっきとしたインドネシア語なのだそう

 前々日、さくらぐみでデザートとして出されたナポリ菓子のスフォリアテッラは、ラード溶液を塗ったセモリナ粉の生地を極薄に伸ばして幾層にも重ねたタッピと呼ばれる生地を二枚貝のような形に仕上げています。

angela_salita.jpg【photo】見本用にカットされたスフォリアテッラ(左上 税別450円)、坂利太オリジナルのマシュマロを中に仕込んだ「アンジェラ」(右3点 税別480円)、同じくホワイトチョコと生クリームを詰めて表面をブルーベリーで覆った「季節フルーツのブーケ」(左下 税別480円)

 リコッタチーズとセモリナ粉をメインにレモンやオレンジの香りを添えた中身を詰めてから焼成するスフォリアテッラと同じ焼き菓子でも、クリームを後詰めするコーダ・ディ・アラゴスタは、生地の層の間隔が広く、ざっくりしたその形状は、名前が意味する通りにまさに伊勢エビの尾。

 こよなくナポリを愛する西川シェフプロデュースの坂利太では、カスタードクリームベースのコーダ・ディ・アラゴスタと、オーブンで温めて食べるマシュマロベースのクリームを詰めたオリジナル商品「アンジェラ」をメインに置いていました。

aragosti_salita.jpg【photo】こちらはコーダ・ディ・アラゴスタ。アンジェラと同様、坂利太では常時5種類の味を用意(税別450~500円)

 成人女性の握り拳ほどの大きさのスフォリアテッラに対し、坂利太のコーダ・ディ・アラゴスタは15cm近くもあります。ゆえに店頭では食さず、マロンクリーム風味を持ち帰りました。

 夏場は坂越浦で養殖される真牡蠣はオフシーズン。坂越浦の牡蠣エキス入りのソフトクリーム「海のミルク」はありませんでしたが、体感気温が40度近い気温の中を駐車場から移動したカラダが欲したのが、地元の丸尾牧場のミルクを使用した「生乳ソフトクリーム」(税別518円)。

 カップやコーンではなく、ご覧の通りアラゴスタのコーンがソフトクリームの器となるのが坂利太流下画像

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 冷房が利いた店内から外に持ち出すと、あっという間に溶け出すのは必至。混雑する店内の隅っこであらかた食べてしまいました。

 ソフトクリームは、素材の良さを物語るコクと滑らかさが際立つプレミアムな食感。アラゴスタと同様、ソフトクリームと生地とを一緒に食べると、ラードを含んだアラゴスタの存在感が勝ってしまいます。当然、クリームを食べ尽くした最後に残るのはアラゴスタ。それが一層その印象を強くします。

 私が知る限りにおいて、ナポリにもアラゴスタの生地を使ったジェラテリアが存在しないのは、そんな理由なのでしょう。

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 2品目は8月5日(日)のドルチェ。Mio & Tempurina ミオ・エ・テンプリーナから海辺の御崎へと向かった目的は、さくらぐみに隣接する手作りジェラートの店「Sciò Sciòショーショー」。

 さくらぐみのスタッフTシャツが目的だった前回とは異なり、2度目の今回はジェラートが目当てです。 

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 冷蔵ケースの中には、ピスタチオ(+100円)・スイカ・温州ミカン・キウイバナナ・イチジクなどのジェラートと、ピーチ・スモモ・マンダリンオレンジのソルベ(=シャーベット)など、色とりどりな18種類のフレーバーが用意されていました。

 その中で、おやっ?と庄イタが思ったのが「チェターラ風」。その言葉にピンと来るアナタは、以前よりViaggio al Mondo の熱心な読者であるはず。

colatura_alici-cetara.jpg 西暦79年に発生したヴェスヴィオ火山の噴火で命を落とした博物学者プリニウスが著した「博物誌」に記載がある通り、塩蔵したイワシを主原料に発酵させた魚醤「Garum ガルム」は、古代ローマ人の食卓に欠かせない調味料でした。

 ローマ帝国の滅亡により忘れ去られたガルムは、13世紀に「Colatura コラトゥーラ」という新たな名前で復活左画像。30年ほど前に一度は途絶えた魚醤を官民挙げた取り組みで再復活させたカンパーニャ州サレルノ県Cetara チェターラ下画像の関係者が、2009年11月に開催された「男鹿・イタリア 魚醤フォーラム2009」で、しょっつるの本場・秋田県男鹿市に集いました。

 千載一遇の機会を逃してはならじと仙台から男鹿までの往復560kmを日帰りで爆走。フォーラムに参加した読み応えたっぷりな詳報を9年前にまとめています《2009.12拙稿io sono shozzurista ショッツリスト宣言」参照》

Cetaramare.jpg 「チェターラ風って、魚醤を使ったジェラート?」

 日本の生活では、ほぼ役に立たないニッチかつディープな庄イタの知識の泉から発した質問に女性スタッフは驚いた様子で問いかけを肯定。その上で、こう尋ねたのでした。

 「頻繁にイタリアに行ってらっしゃるんですか?」

 ひきつった笑いを浮かべながら問いかけを否定しつつも、心の声は、こうつぶやいていました。「Si, tutte le sere. Ma nei miei sogni . (=Yes, every night. But in my dreams.=ハイ、夜な夜な。夢の中でですけどね。)」

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 そんな〝イタリアばか〟丸出しな庄イタが注文したのは、探求心をくすぐってやまないチェターラ風とマロングラッセのダブル(上画像 税込480円)。ご覧の通り、トッピングは3匹の煮干し。

 チェターラで作られる魚醤コラトゥーラ(正確にはColatura di Alici コラトゥーラ・ディ・アリーチ)の主材料となるのがカタクチイワシです。

 果たしてどれだけの人が、庄イタのように西川シェフの遊び心を自ずから理解するかは不明ですが、昨今もてはやされるインスタ映えするビジュアル上のインパクトを狙っているのでしょう。

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 ジェラート自体は、ミルクの甘さにコラトゥーラに由来する潮の風味がいい感じのアクセントになっています。
 
 飾りじゃないのよ煮干しは。ということで3匹とも頭から食べましたが、予想通り、ジェラートとの組み合わせをうんぬんする次元ではないのでした。

 ジェラートから立ち泳ぎで海に還ろうといわんばかりの煮干しの姿から思い起こしたのが、耐えきれない暑さから逃れようと駆け込んだ京都水族館にいたコレ(笑)。

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 サワークリームやジェラートとの相性が良く、粉糖をかけて食するプレーンな「パンドーロ」と並び、イタリアでは主にクリスマスシーズンに少しづつ時間をかけて食べられるドライフルーツが入った菓子が「パネットーネ」《2007.12拙稿「クリスマスところ変われば」参照》

 先月レシピを変更したばかりで、しっとり感がアップしたのだというパネットーネも+300円で追加できます。

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 異常な暑さが続いた大阪でも、先々週の後半は猛暑が一段落。秋の気配を感じるようになりましたが、先週月曜からは再び蒸し暑さがぶり返しています。7月初旬の梅雨明けから続く酷暑を気力で乗り切っていますが、ネイティブ関西人ですら「もうエエ加減、勘弁してほしいわ」と弱音を吐いています。

 そんなさなか、イタリア・トリノ発祥のジェラテリア「GROM グロム大阪店」が9月2日(日)をもって閉店。大阪店の閉店により、GROMは日本市場から撤退することになります。

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 2003年、北イタリアにおけるスイーツの聖地トリノで1号店がオープンするや、素材を厳選したジェラートは、たちまちにして人気を博しました。2009年には新宿を皮切りに日本進出。関東圏と大阪に店舗を展開し、本場の味を届けてくれた店がなくなるのは寂しい限り。
 
 そういえば、昨年以上に鬱陶しく感じられたクマゼミたちがメスに求愛する鳴き声が、いつの間にか減ってきたように思います。

 枝先に残されたクマゼミの抜け殻に、空蝉(うつせみ)の儚さを思い、ゆく夏を惜しむ8月の最終週なのです。

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坂利太(サリータ)
・住:兵庫県赤穂市兵庫県赤穂市坂越2083
・Phone:0791-48-8658
・営:10:00~17:00
   毎週火曜・第1水曜・第3月曜定休(祝日の場合は翌日休)
・URL: https://www.facebook.com/salitaaragosta
・Pあり(海沿いのまちなみ保存地区無料駐車場を利用 )
・禁煙 ・カード不可

Sciò Sciò(ショーショー)
・住:兵庫県赤穂市兵庫県赤穂市御崎2-1
・Phone:0791-45-3030
・営:10:00~18:00
   毎週火曜・第1水曜・第3月曜定休(祝日の場合は翌日休)
・URL:https://www.facebook.com/scioscio2018/
・Pあり(伊和都比売神社近く、向かい側の御崎温泉無料駐車場を利用)
・禁煙 ・カード不可

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