あるもの探しの旅

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2019/01/23

未体験食感チョコレート 

カカオ豆のルーツ・古代アステカ伝承
チョコラート・ディ・モディカ


 つい先日、NHK土曜朝の番組「チコちゃんに叱られる!」で衝撃的な再放送がありました。

Surprised_Monkey.jpg それは〝大人が年齢を重ねるにつれ、時間の流れを早く感じる理由は、生活にトキメキがなくなるから〟という内容。

 例えば、発見や驚きの連続だった幼児期から10代半ばを過ぎ、人生経験が増す19歳を過ぎる頃から、食事をするにしても、子どもの頃のような新鮮な喜びや感動を感じなくなり、時間の密度感が希薄になってゆくのだといいます。

 確かにその通りかも...。

 しかも昨年7月のオンエアということは、この半年間、生活態度を改めることなく無為に過ごしてきたということ。オー・マイ・ガーっ!!!!

zoolozy-gorilla.jpg【Photo】マウンテンゴリラチョコ(税込972円)。贈る相手が似ている場合は避けた方が賢明

 こと命と健康を支える食に関しては、食の都・庄内でキラ星のごとき匠たちとの得がたいご縁を頂いた2003年(平成15)以降、皿の中だけではなく、360°のパノラマビューの視野を持つよう心掛けてきたつもり。

 とはいえ時の流れが加速度的に早まっているのは紛れもない事実。胸に手を当てて思い起こせば、昨年12月12日、一昨年に続いて足を運んだ「神戸ルミナリエ」はつい先日のことのよう。

 クリスマス商戦で華やいでいた街は、一夜にしてお正月モードへと舞台転換。早いもので松の内が明けた現在はクリアランス & バレンタイン商戦に突入しています。

 この季節、百貨店で催されるチョコレートイベントに殺到する女性たちの熱気と迫力には圧倒されるものがあります。庄イタの場合、たまたま迷い込んでしまったランジェリー売り場の次に肩身が狭い思いをするかもしれません(笑)。

catalogi_st.valentino-departmentstore.jpg【Photo】バレンタイン商戦に向け、在阪の百貨店は趣向を凝らした取り扱い商品カタログを作成。大阪万博開催決定にあやかったか「チョコレート博覧会」と銘打つのが阪急百貨店梅田本店。300近いブランドを取り揃え、カタログというよりは、もはや分厚い読み物画像左下。各店ごと個性を打ち出してしのぎを削る

 昨年、女性を対象に実施されたアンケートでは、3/4近くがバレンタインデーにチョコレートを購入すると回答。うち自分用に購入するマイチョコが最多。以下義理チョコ、本命チョコと続きます。同性の友人に贈る友チョコ、男性が女性に贈る逆チョコも含め、平成最後のバレンタインデーは、ますます多様化しているようです。

 いずれにせよ、バレンタインデーにトキめいた思春期の甘酸っぱくもほろ苦い記憶を手繰り寄せ、初々しい10代の感受性を取り戻せるかは甚だ心もとない限り。「ボーッと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに叱られないよう、自戒の念を新たにした庄イタなのでした。

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 ここからはチョコレートにまつわるお話にしばしお付き合いください。

 時はコンスタンティヌス1世が313年に発布した「ミラノ勅令」により、信教の自由が保障される以前の軍人治世による帝政ローマ時代。

 キリスト教徒の娘セラピアと恋に落ちたローマ軍の百人隊長サビーノとの婚礼に立ち会ったのが、西暦197年から現在のウンブリア州最南端Terni テルニで初代司教となったValentinoヴァレンティノでした。

San-Valentino-staind-glass-basilica-terni.jpg【Photo】ウンブリア州テルニの聖バレンティノ聖堂内陣のファサード側に設けられたステンドグラス。殉教後テルニの守護聖人となった司教バレンティノが、セラピアとサビーノの婚礼を執り行う様子が表現される

 反旗を翻したガリアやパルミラを平定し、最強を誇ったローマ軍は、士気低下を避けるため、兵士の服務中の結婚は許されていませんでした。多神教を奉じるローマ皇帝アウレリアヌスは、異教であるキリスト教徒を迫害しており、禁制を破ったヴァレンティノを捕らえローマに連行、273年2月14日に処刑します。

 没後列聖されたヴァレンティノは、恋人たちの守護聖人St.Varentino da Terniとして崇められるようになります。聖人の故郷テルニには、4世紀まで起源が遡り、1618年にバロック様式で再建された「Basilica di San Valentino 聖ヴァレンティノ聖堂」(下画像)が建ち、聖人はそこで永遠の眠りについています。

 聖ヴァレンティノが殉教した2月14日は、本家イタリアでは聖人ゆかりの赤いバラを男性から女性に贈る日で、レストランはカップルで賑わいます。

 隣人愛を根本倫理とするキリストの教えに殉じた受難の日2/14が、たとえ義理チョコであっても人間関係の潤滑油の役割を果たしていることは、聖ヴァレンティノとてあながちまんざらでもないのでは、と思いますが、いかがでしょうか。

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 悠久の時は流れ、話の舞台は激動の20世紀に移ります。1917年のロシア革命による君主制崩壊と内線勃発により、ロマノフ王朝の宮廷菓子職人だったマカロフ・ゴンチャロフは韓国を経由し日本に亡命。1923年(大正12)に神戸・北野で菓子店「ゴンチャロフ」を開店します。

 その翌年、同じく貿易商と雑貨店を営むフョードル・ドミトリエヴィチ・モロゾフもロシア革命を主導したレーニンの出身地であることから没後はレーニンの姓にちなんだウリヤーノフスクと改名した故郷シンビルスク郊外の家を追われます。

 一家は白系ロシア人が築いた中国黒竜江省の都市ハルビンに逃れて6年を過ごし、苦難続きだったシアトルでの数カ月を経て神戸に移住。試行錯誤を経て神戸・北野異人館通りと旧居留地とを結ぶ通称トアロードで洋菓子店「Confectionery F. MOROZOFF モロゾフ」を開店したのが1926年(大正15)。 

varentine_morozoff.jpg 開店当初は、片言の日本語しか話さぬ母ダーリヤが接客を担当。ロシアとは事情が異なる神戸の夏の暑さのもとで、雇ったロシア人職人もチョコレート作りに悪戦苦闘。

 ハイカラ好みの神戸でエキゾチックなチョコレートは徐々に受け入れられ、明治屋神戸店ほか三越や大丸にも販路を拡大。事業拡大のため神戸の経済人の出資により「神戸モロゾフ製菓株式会社」として1935年6月に再出発。

 その翌年、2/14聖ヴァレンタインの日にチョコレートを贈る提案をしたのが、日本におけるバレンタインデーの端緒とされます。

 開店当初よりフョードルの長男ワレンティン・フョードロヴィチ・モロゾフも菓子職人として働く中、日本人共同経営者と訴訟沙汰となった結果、モロゾフ父子はモロゾフの商号使用を禁じられ、チョコレートの製造販売権を剥奪されます。

casa-morozoff.jpg【Photo】ワレンティンが神戸で暮らすようになってから、ハルビン時代に出逢った女性と十数年ぶりにハルビンで再会。家庭を築いてからもモロゾフ一家が暮らした神戸市中央区北野町の増田家住宅(旧モロゾフ邸)。白壁にピンクの鎧窓が菓子職人一家らしい優しい印象を与える。登録有形文化財

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 父が菓子製造の第一線からを退き、2代目ワレンティンの名を英語読みした「バレンタイン製菓店」と改称した1941年、日中戦争の長期化と太平洋戦争の開戦による製菓材料の枯渇で店を休業。神戸郊外の大池での不自由な疎開生活を強いられる中、母を亡くします。

 戦況が悪化した1945年の神戸空襲により店舗は灰燼に帰します。戦後の物不足の中「コスモポリタン製菓」として三宮の高架下仮設店舗で再出発。1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災で三宮本店が被災。震災を乗り越えた2000年以降は高級チョコレート市場の競争激化により業績が悪化してゆきます。

 ロシア革命で故国を失う苦難の道を歩んだ亡命者の父子、日本人に本格的なチョコレートを初めて紹介したフョードル・ドミトリエヴィチ・モロゾフは1971年に、息子ワレンティン・フョードロヴィチ・モロゾフは1999年に神戸で亡くなります。初代フョードルの孫ワレンティン・ワレンティノヴィチ・モロゾフは、2006年に自主廃業を決断しました。

 祖国を亡くした亡命者という不自由な立場ゆえの偏見や裏切りに等しい仕打ちを受けながら、永住の地と定めた神戸で波乱に満ちた生涯を終えた父と子。実直な生き方を貫き〝地の塩〟たらんと欲したモロゾフ親子は、神戸市立外国人墓地で日本の土に還ったのです。

cipresso-morozoff.jpg【Photo】旧モロゾフ邸の庭には糸杉が二本。神戸ポートアイランドにあったコスモポリタン製菓本社屋前にも糸杉があった。ヨーロッパ世界で糸杉は亡者の象徴として墓地に植えられる一方、永遠の生命を宿す樹として尊ばれる。寄り添うような2本の糸杉がフョードルとワレンティン親子の姿と重なって見えた

 バレンタインデーを日本に根付かせた功労者が、聖ヴァレンティノのロシア語読みであるワレンティンだったというのは偶然にせよ、何やら運命的なものを感じてしまいます。

 数奇な運命をたどったモロゾフ一族のビタースイートな物語は、川又一秀氏の著作「大正十五年の聖バレンタイン~日本でチョコレートをつくったV・F・モロゾフ物語」(1984年 PHP研究所刊)に詳しいので、ご一読をお勧めします。

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 みんなを笑顔にするチョコレートやココアの主原料となるカカオ豆は中米から南米大陸にかけての地域が原産。

 中米でマヤ王朝が繁栄した15~16世紀。アステカでは、当時貴重品だったカカオ豆を原料とする飲料で、紀元前までその起源が遡る「ショコラトル」を口にすることができたのは王侯貴族や戦士といった一部の階層に限られていたといいます。

aztec_cacao_warrier.jpg【Photo】焙煎したカカオ豆を臼で砕き、アステカの主食トウモロコシ粉や唐辛子などの香辛料を加えて加水した「xocolatl ショラトル」。チョコレートは野戦食として高カロリーであるばかりでなく、主成分のカカオには覚醒作用や血管拡張効果がある成分が含まれるため、16世紀アステカのみならず20世紀に入ってからも米軍兵士に軍需品として支給された

 ヨーロッパでは紀元前からユーラシアとして地続きの西アジアからインド、地中海を挟んだアフリカ大陸の存在は知られていました。

 15世紀にイベリア半島北東部のみならず、中部イタリア以南のナポリ王国からシチリア・サルデーニャ・コルシカ島まで版図を拡げたのが、アラゴン王国とカスティーリャ王国との連合体として成立するスペイン王国です。

 海洋国家ヴェネツィア共和国にとって交易上のライバルだったジェノヴァ共和国出身とされるクリストフォロ・コロンボ(英語名:クリストファー・コロンブス)は、1492年から1502年まで4回に及んだ航海において、勘違いから「西インド諸島」と名付けたバハマやキューバ、ジャマイカ、ヴェネズエラ、ニカラグアといった中南米大陸の一部に到達。

Cantino_planisphere_1502.jpg【Photo】西暦1500年4月、リスボンから海路インドを目指したポルトガルの探検家ペドロ・アルヴァレス・カブラルはブラジルに漂着。その一部を含む大航海時代初期にヨーロッパ人が認識していた世界が描き込まれた海図(部分)。イタリア・フェッラーラ公エルコレ1世・デステの配下だったアルベルト・カンティーノが1502年にリスボンで入手。現存する最も初期に製作された地図のひとつ。イタリア・モデナ「エステンセ大学図書館」所蔵

 ヴェネツィアが富を独占していた地中海交易に対抗すべく、西回りのインド航路を開拓するよう命を受けた副産物として、大西洋の西方に陸地があることが初めてあまねく知られます。

 本来の目的であったアフリカ大陸最南端の喜望峰を迂回するインド航路の発見は、1497年にリスボンを出帆したポルトガル人のヴァスコ・ダ・ガマにより成し遂げられます。

 このように大航海時代を迎えていたヨーロッパ社会の西端に位置するスペインやポルトガル王国からは、黄金や奴隷狩りを目的にエルナン・コルテスやフランシスコ・ピサロら、数々の蛮行を働いた悪名高きConquistador(コンンキスタドール=征服者)たちが中米や南米大陸を目指しました。

Pietro_Longhi_La_cioccolata_del_mattino_1775-1780.jpg【Photo】東地中海を舞台とする交易で栄えたヴェネツィア共和国。〝アドリア海の女王〟と称された共和国が終焉を迎えたのが18世紀末。覇権を拡大するオーストリア帝国やナポレオンの足音が迫り、凋落の予兆が忍び寄る爛熟時代のヴェネツィア風俗を描いたピエトロ・ロンギ「朝のチョコラータ」(部分・1775~1780 / Ca' Rezzonico カ・レッツォーニコ「18世紀ヴェネツィア美術館」所蔵)

 そんな中でチョコレートの原型となる飲み物がヨーロッパにもたらされます。スペインやポルトガルの王族に続いてその恩恵に浴したのがカトリックの総本山バチカンを擁するイタリアでした。

 17世紀末から18世紀にかけてサヴォイア王国の首都で、1861年のイタリア王国統一後も1865年まで首都だったのがトリノです。現在はピエモンテ州の州都であるトリノで花開き、スイス・ベルギー・フランスの大衆へと広がったチョコレート文化に関しては、トリノ訪問翌年の2007年8月にまとめた拙稿「チョコレートの街 トリノ」を参照願います。

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 地中海の中心に位置し〝文明の交差点〟と称されるシチリア島は15世紀にはスペイン領でした。18世紀の幕開けまで続いたスペイン統治時代、シチリアにもたらされたのが「Cioccolato di Modica チョコラート・ディ・モディカ」。アステカで珍重されたカカオ豆の伝来当時のレシピで作られ、私たちが口にするチョコレートの原型を今に伝えます。

 チョコラート・ディ・モディカは、カカオバターを取り除いて発酵後に焙煎したカカオマスとブラウンシュガーだけで作ります。カカオ豆由来の脂肪分は融点に達するも、粗糖が溶け切らない42℃~45℃以下の低温で混ぜ合わせ、型に流し込んで成形したもの。

bonajuto-cioccolato-modica.jpg【Photo】現存するシチリア最古のチョコラート・ディ・モディカの作り手である「Bonajuto ボナイユート」のカカオ豆70%「Cioccolato Settanta %」のザラザラした断面には、溶け切らない粗糖の粒子が見て取れる

 その〝ガリッ、ジャリッ〟とした食感は、馴染み深い一般的なチョコレートや、トリノで発明されたジャンドゥーヤのより滑らかな口当たりとは印象が大きく異なります。

 19世紀になって産業革命の中心地だったイギリスで抽出法が編み出されたカカオバター成分を練り込んで固形化に成功したことで、チョコレートは滑らかな口どけを獲得。大きな転換点を迎えて今日に至ります。

 後述する理由から、昨秋から冬にかけて購入したのが、共にシチリア州南部ラグーザ県のチョコレートの街として知られるモディカにあるチョコレート工房「Bonajuto ボナイユート」製「チョコラート・セッタンタ%」下画像左と「Luchino ルキーノ」製「ピスタッキオ・ディ・シチリア・ビオ」下画像右の2種。

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 パッケージのサイズは異なりますが、どちらも50g容量。地元モディカでは€2.9(約362円)~€3.2(約400円)ほどで入手できます。

 1880年創業でシチリア最古参だというボナイユート店頭では、一説では300種類の味がするというカカオ豆の苦味しかほぼ感じない(笑)100%ほか、90%・80%や唐辛子入り・レモン風味など、シチリア伝統のモディカチョコの試食ができるので、好みの味を見つけることができるはず。

 庄イタは程よいカカオ感を味わえる70%がお気に入り。

 ボナイユートの製品は、神戸市東灘区岡本の輸入食材店「PORCO BACIO ポルコ・バッチョ」で取り扱います。(税込864円)
 
luchino-modica-pistacchio.jpg【Photo】JASやICEAの有機認証を得ている「Luchino ルキーノ」の「Cioccolato di Modica Biologico」シリーズのピスタッキオ風味(税込918円)

 ペルー産のオーガニックカカオと相性が良い有機ピスタッキオ(=ピスタチオ)風味のチョコラート・ディ・モディカを見つけたのが、白トリュフオイルの項でもご紹介したJR大阪駅構内の大型商業モール「ルクア大阪」B2F「キッチン&マーケット ルクア大阪店」と京都市中京区東洞院通「京都八百一本館」2F「Pantry」。

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 過去に一度だけ食べたことがあったチョコラート・ディ・モディカを、何故に急に思い立って立て続けに購入したのか。種明かしをしましょう。

 転勤に伴う住まい探しのため、2泊3日の日程で大阪市内に宿泊した2017年3月某日の夜。訪れたのがホテルから徒歩圏の西区京町堀にあるシチリア料理店「Cuccagna クッカーニャ」でした。

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 実は、同じビルのワンフロア上には転勤前にも訪れたことがあるマルケ料理店「Osteria la Ciccerchia オステリア・ラ・チチェルキア」があります。その日は予約できず、いわばマルケ州からシチリアに行き先を変更した格好。

 ところがどっこい。そこは魚介系を中心にシチリアらしい味付けを肩肘張らず楽しめ、気持ちの良い接客ぶりを含めて好感が持てるお店だったのです。良い店を嗅ぎ当てる庄イタの動物的な嗅覚は、前項で述べたように前々世はトリュフ犬だったかもしれないと妄想を巡らす根拠の一つなのです。

 思わぬ怪我の功名で出合ったクッカーニャでしたが、昨年10月、大阪府豊中市の緑地公園駅近くに移転。
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 新天地でご活躍中の今木宏彰シェフの片腕だった谷後斉シェフが、移転前のクッカーニャを引き継ぐ形で「Torattoria Aria トラットリア・アリア」を昨年9月にオープンしました上画像

【Photo】パレルモの星付きリストランテ「Bye bye Blues」でも料理の腕を磨いただけでなく、ソムリエとイタリア政府公認バリスタの資格も有する谷後斉シェフ。昼は食後にラ・マルゾッコで淹れるエスプレッソをお願いするのが常の庄イタが、気まぐれからシェケラートを所望すると、鮮やかな手つきでシェーカーを振りだした

 ある日のランチコースで前菜3品に続いて登場したのが、シチリア島東部カターニャ県ブロンテ産ピスタッキオソース & モディカチョコ風味のパスタ料理でした。

 パウダー状にしたモディカチョコが、相性の良いピスタッキオと絡み合い味に深みを添えるこの一皿。もともとは今木シェフのスペチャリテだったのだそう。夜に伺った際はマッケローニタイプのショートパスタで、粒状のピスタッキオもトッピングされてきました下画像

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 チョコとピスタチオは鉄板の組み合わせ。これはハマってしまいました。その衝動を抑えるため、チョコラート・ディ・モディカを調達したのです。

 ピスタチオ風味といえば日本ではジェラートやスイーツでおなじみかと思います。産地のカターニャ周辺ではバリエーション豊富なシチリア風Crochetta クロケッタ(=コロッケ)「Aranchino アランチーノ」の具としてや、ペースト状にしてパスタソースとしても活用されます。

 エトナ火山の西方に広がる火山性土壌で育つブロンテ産ピスタッキオの生産量は年間3,500~2,500トンほど。これは全世界の1%にも満たない数字にすぎません。

※ 再生時音楽が流れます

 それでも日本円換算で25億円もの経済効果を人口2万人足らずのブロンテ村にもたらし、色合いから「Oro Verde (=Golden Green)」とも呼ばれるブロンテ産ピスタッキオが、品質において世界の頂点にあることは、事情通の間では周知の事実。

 熟すると白っぽくなる殻で外側を覆われ、ピーナッツのように赤味がかった薄皮に包まれた淡く鮮やかなグリーンの実は目にも鮮やか。 

 9月に入ると一斉に始まる収穫は2年に一度。今年2019年は収穫年に当たっています。

 あぁ、行きたいなぁ...シチリア。

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Trattoria Ariaトラットリア・アリア

Trattoria ARIA.jpg・住:大阪市西区京町堀2丁目3-4 サンヤマトビル2F
・Phone:06-6131-5440
・営:12:00~14:30 18:00~23:00 水曜定休・月一回不定休あり
・URL: https://www.facebook.com/Trattoria.ARIA.osaka/

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2019/01/01

普段使い版 白いダイヤモンド

 Felice anno nuovo a tutti!
 皆さま新年おめでとうございます。
 
 2007年(平成19)に始動した「Viaggio al Mondo~あるもん探しの旅」。
早いもので12年目を迎え、平成最後の年となる2019年で干支も一巡。イノシシの如く今年も駆け巡ります。ご愛顧のほどよろしくお願いします。

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お手軽な朝のプチ贅沢


 〝白いダイヤモンド〟ことイタリア・ピエモンテ州産の白トリュフは、昨シーズン当初不作で100g当たりの取引き相場は€300(37,500円)でしたが、今季は€150~€170(18,750円~21,250円)で推移。昨季の半値ほどといっても、気軽に口にできる代物ではない高級食材に変わりはありません。

giuliano_tartufi-ring.jpg 前回・前々回と2回続きでそれなりの出費を伴う白トリュフまみれ & 銘酒オンパレードの内容となりました。〝白トリュフなど自分には縁遠い話だ〟と、鼻白んだ方がおいでかもしれません。

 そこで今回は庄イタが普段使いしており、1,000円+αで家庭料理に白トリュフのリッチな香りを添えるお手頃な食材をご紹介しましょう。

 毎朝のシンプルなスクランンブルエッグや半熟目玉焼きが一変、プチゴージャスな気分が味わえる一品に変身するはずです。

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Cane-Lagotto-Romagno.jpg 毎年9月21日の白トリュフ収穫解禁から、最盛期の10月から11月にかけては気もそぞろ。巷(ちまた)から届く白トリュフシーズン到来を告げるお誘いに「パブロフの犬」状態になる庄イタ。

 かくも庄イタが白トリュフの香りに敏感なのは、前世ではピエモンテの森でポプラ・ナラ・オークなど照葉樹の周辺を嗅ぎまわるトリュフ犬だったからなのかも。

【Photo】黒い瞳がキュートなトイプードルにはルックスで一歩引けを取るも、性格は社交的で主人に忠実。穴掘りが好きで鼻が利くイタリア原産の「ラゴット・ロマニョーロ」はトリュフハントにピッタリな犬種のひとつ。庄イタの前世はこんな感じ?

 地中深くに潜む白トリュフの香りを探知するや、高ぶる感情そのままに尻尾を激しく振り、前足で〝ココ掘れワンワン〟。収穫の手柄はご主人様に譲り、芳香を漂わせる白いダイヤモンドを地中から見つける度、褒めちぎられ、ご褒美のビスケットにありつけた遠い過去の習性がDNAに深く刻まれているのでしょう。

 日本ではトリュフハントはブタが行うという俗説がまかり通っていますが、それは遥か遠い中世・ルネッサンス期から第二次大戦前のイタリア、ないしはフランスのごく一部に限った話。現在は図体が大きく気性が荒いブタよりもずっと飼いやすく、主人に従順な賢い犬がトリュフ探しに欠くことができない存在の首座に就いています。

Perigord-cochon-truffe.jpg【Photo】フランス中西部ペリゴール地方で19世紀に行われていた黒トリュフハントを撮影したアンティーク・ポストカード。庄イタにとっては言葉すら聞き取れずシンパシーを感じない縁遠い国ゆえ、前世がトリュフ豚だった(!!)などという悪夢のような話は2000%ない。Comment allez-vous? désolé mais.

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 霊長目ヒト科へと転生した現世はさておき(ワンコだったかもしれない)前世では職務に忠実だったためか、獲物の香りは定期的に嗅いでおかないと、どうも落ち着きません。

 さりとて欲求の赴くまま、シーズンを通して本物の白トリュフを常食しようものなら、あっという間に破産してしまいます。

 現実的な解決策としては、代用品にお出まし願うしかありません。〝芸能人は歯が命by Apagard〟ならば〝白トリュフは香りが命〟。
 
tuber-magnatium-pico-pescerosso2018.jpg 北部ピエモンテ州クーネオ県アルバで1928年から開催され、今季で88回目を迎えた白トリュフ見本市ほど歴史が長く、また大規模ではありませんが、マルケ州、トスカーナ州、エミリア・ロマーニャ州などの中部から、ラツィオ州、モリーゼ州などの南部まで白トリュフ祭りが催されており、その産地はイタリア各地に及びます。

 乾燥を防ぐドーム型ガラス容器を開け放つや否や、擦り下ろす前から部屋中に香りが拡散するのがアルバを頂点とする白トリュフの凄さ。

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 アルバのトリュフ専門店「Tartufi Ponzio タルトゥフィ・ポンツィオ」で購入した10月中旬の最も出来が良い時季のアルバ産白トリュフを99%使用したという瓶入りのペースト上画像は、ごく少量でも十分な香りの密度といい、開封後4ヵ月ほどで使い切るまで衰えない持続性といい、実に素晴らしい品質でした。

 強いて欠点を探せば、希少価値の高さゆえ、30g容量で€85(≒ 10,625円)と値が張ること。そして日本では入手困難であることでしょう。

※ 再生時に音声が流れます

 多彩なイタリア製品を取り揃え、阪急百貨店梅田本店で秋に催された「イタリアフェア2018」は、北イタリアがテーマでした。イートインの呼び物は1日限定100食の「アルバ産白トリュフ風味のタヤリン」。一皿6,480円という値付けに尻込みされた方も少なくなかったのでは?

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 Viaggio al Mondo~あるもん探しの旅「プロフィール」をご覧いただければ明らかなように、ライフスタイル自体がイタリアナイズされている庄イタ。たとえ毎年アルバには行けずとも、あるいは年に1回の百貨店催事ではなくとも、常備品の調達ルートは確保してあります。

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 幸いなことに現代のテクノロジーをもってすれば、白トリュフに限りなく近い香りを化学的に再現することは可能です。高嶺の花をぐっと身近に引き寄せる〝リーズナブル版白いダイヤモンド作戦〟で使用するツールこそが、香り付けされたオイル、塩、ペースト、バターなど。

ori-di-langha-sale.jpg 日本でいう〝香りマツタケ、味シメジ〟をイタリアに置き換えれば〝香り白トリュフ、味ポルチーニ〟となります。

 そう、いわく言い難い圧倒的で濃密な香りこそが、多くの人を魅了してやまない白トリュフ最大の魅力。

 そこで用立てたのが、白トリュフ塩「Sale con Tartufo Bianco サーレ・コン・タルトゥフォ・ビアンコ」。

 勤務先近くのモンテ物産アンテナショップ「Pico ピーコ」半期に一度のセールでお安く購入しましたが、通常は1,500円前後の実勢価格で入手可能です。

 地中海に面したフランス・ブルターニュ地方ゲランド産の海塩に、フリーズドライ加工したアルバ産白トリュフ(Tuber magnatum Pico)1.5%相当を混ぜ込み、白トリュフ特有の香気成分である2,4-ジチアペンタンなどの香料を加えた製品です。

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 製造元の「Ori di Langa オーリ・ディ・ランガ」は、アルバ市街地からタナロ川を越えて北西へ5kmほどのピオベジ・ダルバで1980年に創業したトリュフ専門の食品加工業者。

ori-di-langa-sale3.jpg フリーズドライを施しているため、白トリュフは0.3%の重量しかありませんが、素材の持ち味を増幅させる香料の恩恵もあり、瓶の蓋をきつく締めていても漏れ出てくる強烈な白トリュフの香気は、香り付けという目的を達するには充分。

 塩ゆえ摂取量には気を使いますが、スクランブルエッグなら一つまみから二つまみ程度振りかければOK。30g容量とコンパクトなため〝マイ塩〟的に外食する時にも活躍してくれます。

 パッケージには開封から1カ月以内で食べきるよう指示がありますが、実際には数カ月間は香りが飛ぶことなく使えます。 

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 かたや拙宅の最寄りである阪急電鉄神戸線夙川(しゅくがわ)駅構内の食料品店「成城石井」で購入したのが「Sale al Tartufo サーレ・アル・タルトゥフォ」(50g/税込1,500円)。

 こちらは地中海の真ん中に浮かぶサルデーニャ島産の天日海塩を220℃で高温焼成。マグネシウム由来のえぐみが無い塩味にイタリア中部マルケ州ペーザロ・エ・ウルビーノ県Acqalagnaアクアラーニャ産のトリュフ風味が重なります。

sale-al-tartufo2.jpg 四方を海に囲まれたサルデーニャ州は、トラパニを擁するシチリア州と並んで製塩業が盛ん。

 そしてアペニン山脈の山懐に抱かれたアクアラーニャは、中部イタリア地域においてはアルバに引けを取らぬ白トリュフの一大集積地です。

 採取量の減少傾向も手伝って高値を呼ぶアルバ産白トリュフ。秋を迎える頃になると深い霧に包まれるランゲの森で採取されるはずが、5m先すら見通せない霧の先はアクアラーニャの森に繋がっているケースもあるというまことしやかな噂も。

 製造元のイタリア食品輸入業者「アーバ・アンド・イデア」によれば、香料は使用しているものの、開封後は長期保存せず使い切ってほしいとのこと。

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 白トリュフのお手頃な代用品として庄イタお薦めの筆頭格が、エキストラヴァージンオリーブオイル+乾燥白トリュフ+香料の三位一体が生み出す高貴な香りが長く持続する実用性の高い白トリュフフレーバーオイルです。

giuliano-tartufi-olio.jpg コチラは靭(うつぼ)公園近くのイタリア食材専門店「Officina del Gusto オフィチーナ・デル・グスト」でお勧め頂きました。

 昨年4月、JR大阪駅構内北側の大型商業モール「ルクア大阪」B2Fに出現したイタリア食材やドルチェ、飲食コーナーが豊富に揃う「キッチン&マーケット ルクア大阪店」でも取り扱いがあります。

 イタリア中部ウンブリア州ペルージャ県ピエトラルンガで1991年に創業した「Giuliano Tartufi ジュリアーノ・タルトゥフィ」製で、100mℓ容量の1本がオフィチーナ・デル・グストでは1,300円台とお手頃プライス。

※ 再生時に音声が流れます

Cuore verde d'Italia(イタリアの緑の心臓)〟と呼ばれるウンブリア州は良質なオリーブオイルの産地。黒だけでなく白トリュフも採れるピエトラルンガでは、毎年10月にジュリアーノ・タルトゥフィもブース出展する「Mostra Mercato del Tartufo e della Patata Bianca(=トリュフとジャガイモ見本市)」が催されます。

 使い勝手の良いこの白トリュフフレーバーオイル。オイルにしろ、バターにしろ、さまざまな商品を試してきた中では最後まで香りが飛ばないため、目的に適った商品といえます。

 このオイルと白トリュフ塩さえあれば、盛り付けの最後にさっとひと掛けするだけで効果絶大なのです。

 実証実験のため〝みんなでトリュフ放題〟なる企画を実施中の芦屋市にある某ファミレスチェーンGに初潜入を試みました。

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 白トリュフオイルを使用しているというトリュフクリームスープを注文しましたが、〝放題〟と呼ぶには、白トリュフの香りが物足りなさすぎ(笑)。

 税抜299円というお手頃価格から予想はしていましたが、読み通りの展開でした。そこで懐から取り出したのが、念のため持参した必殺ジュリアーノ・タルトゥフィ製の白トリュフオイル。上左画像 さっと一振りするだけで、触れ込み通り芳醇な白トリュフが香るキノコスープに劇的に変身!上右画像

2006_alba-fiera-tartufo.jpg アルバの白トリュフ見本市会場で食べたこのフレッシュ白トリュフたっぷりな目玉焼き上画像そのままのイメージに毎朝の一皿を変身させることだって簡単にできちゃうのですよ。

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