あるもの探しの旅

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2019/05/24

局地風に関する一考察

Strada per Ciro a Akashi チーロ @ 明石への道


 局地風(きょくちふう。地方風とも)と称される風をご存知でしょうか。

 地球の地軸は23.4度傾いているため日射量は緯度ごと季節ごとに変化します。地球規模で常に循環する大気は、地球の自転により、恒常的に一定方向に吹く偏西風や貿易風となります。

 一方、地形的な要因や昼夜の寒暖差などの要因により、狭い地域で発生する風が局地風。

 イタリアからアルプス山脈を越えてスイス・フランス・ドイツ・オーストリアに向けて吹く南風は「フェーン(Foehn またはFöhn)」。山越えの風が高温をもたらすフェーン現象の語源となった局地風です。

piazza-S-pietro-VENTI.jpg【photo】暴徒化したスペイン王カール5世の軍勢によるローマ劫掠(1527)で破壊の限りを尽くされたローマ。これにより盛期ルネサンスが終焉を迎え、バロックの都へとローマが大きな変貌を遂げた記念碑ともいえるサンピエトロ寺院の内装も手掛けた天才ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598-1680)が1656年から20年以上を要して二重の円柱で囲まれた楕円形に改築したサン・ピエトロ広場。石畳には方角別に呼び名が異なる風の石板が埋め込まれている

 その他、北米大陸に猛吹雪をもたらす「ブリザード(Blizzard)」、アフリカ大陸から地中海を越えてイタリア半島に吹く熱風「シロッコ(Scirocco)」などがよく知られるところです。

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 日本に目を転ずれば「六甲おろし」は、おもに西高東低の気圧配置のもとで六甲山系を越えて神戸・芦屋・西宮地域にかけての表六甲地域に吹き降ろしてくる寒風が語源。おろしには「颪」という「下」と「風」を上下に組み合わせた字をあてています。風の性格がよく分かりますね。

 特A地区の三木市加東市など六甲山系の西側にあたる北播磨ほか兵庫県内で全国の8割を産出する酒造好適米が「山田錦」。西宮神社と目と鼻の先に湧出する良質な「宮水」と出合い銘酒が生まれます。

 神戸市東灘区から西宮にかけての灘五郷(なだごごう)地域は、寒造りの時季に吹く乾燥した六甲おろしの恩恵で酒造りに適した条件を備えています。

Dasai_Kato-shi.jpg【photo】1936年(昭和11)兵庫県明石市の県立農事試験場で誕生した酒造好適米「山田錦」。特に品質が良い特A地区の圃場が広がる三木市から加東市にかけての保湿力の高い粘土土壌の圃場には、明治以来の「村米制度」と呼ばれる大関・菊正宗など酒造メーカーとの契約栽培田を示すのぼり旗が林立する

 江戸時代の日本酒は、夏の暑さを挟んで秋風が吹き始める頃には味が落ちたそうです。ところが、水車で精米歩合を高める技法を編み出し、雑菌の繁殖を抑制する乾燥した六甲おろしのもと、宮水で仕込まれた灘酒は例外でした。

 花崗岩土壌で磨かれる六甲山系の伏流水は、神戸に寄港する外国航路の船員たちから赤道を通過しても水が腐らないため重宝されたそうです。西宮湊から海路江戸へと運ばれた灘の酒は評判を呼び、灘五郷地域に繁栄をもたらす一因となりました。

 よって、六甲おろしは地域に恩恵をもたらす局地風であると言えます。最も端的にそれを示すのは、ライトスタンドからレフト方向に吹く浜風が局地風となる甲子園球場でド派手な格好の猛虎ファンで盛り上がる阪神タイガースの応援歌としてかもしれません(笑)。

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 六甲おろしの他に地理的条件が要因となる局地風として庄イタ的になじみ深いのは冒頭に挙げた「シロッコ」と「清川だし」。

 シロッコは、春先と秋にアフリカ大陸からサハラの砂塵とともに地中海を越えてイタリア半島に吹き寄せる湿った南東風。風速40kmにも達する強風となることもあり、海が時化(しけ)るため、船の欠航が出たり、街路樹がなぎ倒されることも。

 シチリアやブーツのつま先からかかとに当たる南イタリア地域を中心に視界不良を引き起こし、アドリア海の海面上昇はヴェネツィアの異常潮位「Acqua altaアックアアルタ」下画像の原因となります。

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 かたや清川だしは、日本海に面した山形県庄内平野と四方を山に囲まれた新庄盆地とに生じる温度差により発生します。岡山県北東部の那岐山麓の「広戸風」、愛媛県四国中央市一帯に四国山地から吹く「やまじ風」と並ぶ〝日本三大悪風〟に数えられます。

 春から秋にかけての雪解けの季節、月山が水源となる立谷沢川と新庄盆地から最上峡を抜けてくる最上川が合流するのが庄内町清川地区。その下流部の狩川地区に向けて吹き抜けてくる冷風は風速20mにも達します。

Wind_Farm_Tachikawa.jpg【photo】清川だしを逆手にとり、風力発電の可能性に着目したのは平成の大合併前。旧余目町と合併して庄内町となった旧立川町は、1991年(平成3)、日本国内の自治体としてはいち早く米国製の100kw大型発電機3基を導入した

 そんな冷害の常襲地帯が深刻な凶作に見舞われた1893年(明治26)9月末、雪解け水を引く取水口近くに植えられる耐冷性がある冷立稲「惣兵衛早生」さえ青立ちする中、3本だけ稲穂を垂れた稲をもらい受けた阿部亀治が4年を要して育種したコメが「亀ノ尾」。

 耐冷性と食味を兼ね備えた亀ノ尾は戦前のコメ作りを支えた基幹品種となります。後世に誕生したコシヒカリ・つや姫・ササニシキなど数々の銘柄米のルーツとなった偉大な品種は、清川だしが吹きすさぶ過酷な環境のもとで誕生したのです。《2008.2拙稿「『亀の尾』の故郷の酒」参照》

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【photo】熊谷神社境内にある「亀之尾発祥乃地」記念碑(庄内町肝煎丑ノ沢)。徳川3代将軍家光の没後、由井正雪が首謀した討幕未遂事件「慶安の変」に参画した熊谷三郎兵衛を祀る。熊谷神社に参詣した阿部亀治が「亀ノ尾」を創出する契機となった3本の稲を発見した由来を記す

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 清川だしにせよ、シロッコにせよ、厄介者の局地風に違いありません。そしてさらに厄介な局地風がアメリカで吹き荒れています。それは世界を混乱の渦に巻き込んでいるトランプ旋風。

 大統領選挙中から支持基盤の保守層受けする極端な自国第一主義を標榜。2020年以降の気候変動対策を定めたパリ協定からの離脱を宣言し、地域経済が停滞する「Rust Beltラストベルト」(「錆びついた地域」の意)と呼ばれる五大湖周辺地域の衰退した製造業や石炭産業の復活を目論み、地球温暖化対策などどこ吹く風です。

 第二次世界大戦後、経済力と軍事力で世界の覇権を握ったアメリカは、台頭する二番手を「モグラたたき」よろしく叩き潰してきました。The nail that sticks up gets hammered down.(☞ 出る杭は打たれる。)

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【photo】1975年(昭和50)、日本のゲームセンターで産声を上げた「モグラ退治」は家庭用ゲーム機にも転用。モグラは国境を越えて海外にも進出。コチラは米国版「Whac-A-Mole」。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主役、マイケル・J・フォックス演じる青年ジョージ・マクフライを恫喝する自己中心的で攻撃的な性格の敵役ビフ・タネンのモデルとされるトランプ大統領なら、モグラを習近平首相の人形に入れ替えるに違いない

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 米国のエズラ・ヴォーゲル博士が1979年に発表した著作「Japan as Number One: Lessons for America(邦題:ジャパン・アズ・ナンバーワン)」は、太平洋戦争後の焦土から復興し、奇跡といわれた日本の高度経済成長の要因を緻密に分析しています。

 それから10年を経た1989年9月、ソニーがコロンビア・ピクチャーズを買収。翌10月には米国の富を象徴するマンハッタン5thアヴェニューの複合商業施設「ロックフェラー・センター」を三菱地所が買収します。このことが鉄鋼・半導体・自動車など1970年代からくすぶり続けた日米貿易摩擦で積もり積もった米国民の怒りの炎に油を注ぐ結果を招きます

 マネーゲームに浮かれて虎の尾を踏んだ格好になった日本は、不動産バブル崩壊によって急失速。1985年9月のプラザ合意による円高誘導を転機とする〝失われた30年〟と言われる平成の時代、デフレと実質所得の下落に見舞われた日本経済は長期低迷の隘路から抜け出せずにいます。

【Movie】国ごとの製品やサービスの生産総計額を指す国内総生産(GDP)。今後2100年までのGDP上位10か国の推定額をグラフ化。米国は2028年に首位の座を中国に明け渡し、少子高齢化が進む日本は2030年にインドに追い抜かれて第4位に後退。2059年に米国はインドに2位の座をも明け渡す。2072年以降は中国・インド・日本・インドネシア・フィリピンといったアジア諸国が世界経済をリードする

 2028年にはGDPが世界No.1に躍り出る可能性が中国への警戒を露わにする米国の対中貿易戦争は大国同士の覇権争いへと発展。両国のつばぜり合いは長期に及ぶことは避けられません。

 ウイグル民族に対する非人道的な抑圧政策に象徴される共産党一党独裁の習近平体制とメキシコ国境に壁を作り移民排斥を掲げるトランプ政権は、ある意味で表裏一体。互いに一歩も譲らぬ姿勢を見せており衝突は不可避です。

【Movie】冷戦構造下の1984年当時、軍拡競争に明け暮れ覇権を争ったアメリカ・レーガン大統領と(ドナルド・トランプ氏に似ている)ソ連のチェルネンコ書記長に扮した両者が取っ組み合いを繰り広げるMVが話題となった英国出身のバンドFrankie Goes to Hollywood 2枚目のシングル「Two Tribes」。〝When two tribes go to war, A point is all you can score.二つの民族が戦争を始めた時、得るものは多くない(中略)Giving you back the good times.良かった時代に戻してやろう〟。トランプ氏が演説で好んで使うMake America Great Again.(アメリカを再び偉大な国にしよう)とこの曲の一節とが妙に符合する

 トランプ旋風はアメリカ国内の局地風に留まらず、地球的スケールで乱気流を巻き起こしています。そのあおりを受け、日本の中国向け輸出に逆風が吹き景況感が急減速。

 景気がマイナス局面に入ったと内閣府が判断した3月の景気動向指数とは違い、輸出減による数字のマジックで今年1~3月期のGDPは0.5%のプラス成長。エッ、ホント~?

 株価は上がれど、諸物価の上昇に賃金が到底追いつかず、内需は冷え込む一方。選挙対策でぶち上げたアベノミクスによる景気回復を庶民は実感できないままです。

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【photo】風を受けて凧あげに興じる子ども。凧に書いてあるのは、米、砂糖、雑穀、酒、紙類、乾物、綿、太物など。そして酒樽や鰻の絵。世直し一揆や打ちこわしが各地で頻発し、政情不安に揺れた幕末期。その背景となった諸物価の値上がりを風刺する錦絵。アベノミクスの経済効果をアピールする政府発表とは裏腹に、実質所得が伸びない一方で値上げラッシュで国内消費が冷え込む現状と重なる。歌川芳虎「子供遊凧あげくらべ」1865年(慶応元年)

 巨額の対中貿易赤字を抱える米国主導のもとで実行された深圳に本拠を置く通信機器大手「ファーウェイ」製品の禁輸措置の発動が波紋を広げています。

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【photo】トランプ流の強権発動で新機種が発売延期に追い込まれたファーウェイ製スマートフォン。現行機種のファーウェイユーザーにオススメしたいスマホケース

 中国政府も認識しているように、これは長期戦となるであろう米中貿易戦争の序章に過ぎないでしょう。

 4年ごとの大統領選で選出される政権運営への有権者の評価を意味する今年11月の中間選挙。2期目を目指すトランプ大統領は、協調による世界秩序の維持には全く関心がないようです。

 その予測困難な言動により、先の読めない世界情勢は混迷の度を深めています。

 そんな中、令和初の国賓としてトランプ大統領が5月25日(土)から日本を訪問します。EU諸国など同盟国にあってすらトランプ政権とは一定の距離を置く首脳が多い中、蜜月ぶりをアピールしてきた安倍首相。これまでの強硬姿勢では進展を見なかった拉致問題の打開を含めて成果が期待されるところです。

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〝令和おじさん〟こと菅義偉官房長官は、20日、野党から内閣不信任案が提出されれば、衆議院を解散する大義となり、衆参同日選挙に打って出る構えを表明しました。

 野党の対立候補一本化態勢が整わない現状を受け、にわかに政権与党から強まってきたのが永田町周辺の局地風といえる「解散風」。秋に消費増税が予定される中、記録的な猛暑となった昨年に続いてこの夏は熱い政治の季節となるかもしれません。

 局地風がテーマだったはずが、気流の乱れが生じて話が二転三転しました。

 ガラリと風向きを変える次回は、局所的にナポリの風が吹く兵庫県明石市のトラットリア・ピッツェリア「Ciro チーロ」について語ります。 

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2019/05/03

世界 料理人気ランキング、栄えあるNo.1は?

Campione del Mondo, Cucina Italiana !


 英国の大手市場調査会社「YouGov ユーガブ」では、このほど世界24の国と地域の料理についての人気ランキングを発表しました。

【参考】https://yougov.co.uk/topics/food/articles-reports/2019/03/12/italian-cuisine-worlds-most-popular (英文)

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 ネットを活用したオンライン調査で多岐に渡る世論調査を頻繁に実施しているYouGovは、2000年の創業ながら、選挙における世論調査信頼性の高さで確固たる地位を確立。英語の日刊紙では世界最大の発行部数を有する「The Sun サン」と提携しています。

 先刻ご存知の通り、フィッシュ&チップス下画像やローストビーフに代表される伝統的なイギリス料理は、(常食している英国人を除き)評判が芳しくありません。

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 庄イタは某国大統領のような自国第一主義者でもなければ、ましてや人種差別主義者ではありません。ただし、経験則上、味覚音痴が疑われるアングロサクソンが対象の調査であれば、その信憑性に疑問符をつけたいところ。

 その点、当調査の抽出サンプル2万5千人は英国内のみならず、インターネットで結ばれた世界24の国と地域に及んでいます。ここは信頼に値する結果が得られたと考えて差し支えないでしょう。

 以下、興味深い結果が得られた調査内容をご紹介します。

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 今回、調査対象となったのは、イギリス・フィンランド・ノルウェー・スウェーデン・デンマーク・ドイツ・フランス・スペイン・イタリア・アラブ首長国連邦・サウジアラビア・インド・ベトナム・タイ・シンガポール・マレーシア・フィリピン・インドネシア・香港・台湾・中国・日本・オーストラリア・アメリカ合衆国。

 質問項目は
  ①自国の料理が好きか?
  ②好きな外国料理は?

 質問②の選択肢として挙げられたのが、調査対象である24の国と地域の料理にメキシコ・トルコ・韓国・ギリシャ・モロッコ・レバノン・カリブ・ブラジル・アルゼンチン・ペルーを加えた34の国と地域の料理。

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 まず①に対する回答を見ると、自国の料理を好きだと回答した割合が99%と最も高かったのが、わが祖国イタリア。郷土愛を意味するカンパリニズモの国・イタリアの面目躍如といった数字です。

Ribollita@osteria-antica-mescita-san-niccolo.jpg【photo】トスカーナの代表的な家庭料理「Ribollita リッボリータ」。ありあわせの野菜と豆を野菜の滋味が溶け込んだスープでくたくたに煮込み、硬くなったパンを浸して食べる。軽佻浮薄なインスタ映えなどとは無縁ながら、ほっぺが落ちそうなほど美味しい。観光客でごった返すフィレンツェ中心部を避けてアルノ川南岸へ。オルトラノ地区の隠れ家的なオステリア「Antica Mescita San Niccolò アンティカ・メッシタ・サン・ニッコロ」にて

〝イタリア各地に郷土料理はあれど、一括りに包含できるイタリア料理は存在しない〟というのが通説。これは北部・中部・南部・島しょ部ごとに地域性豊かな郷土料理が存在し、郷土の味が一番と考える傾向が顕著ということ。庄イタもその通りだと感じており、回答したイタリア人それぞれの地元料理といった方がより正確でしょう。

 2位の98%がタイとスペイン。インドネシア・マレーシア・フィリピンの東南アジア諸国が97%で同率3位。以下、96%:フランス・ベトナム・台湾・シンガポール、95%:中国、94%:日本・フィンランドと続きます。

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 逆に自国の料理に対する支持が最も低かったのが、81%のノルウェー。隣国のスウェーデンが92%、フィンランドは94%と健闘していますが、畜産が盛んなデンマークも85%に留まります。

 灰汁で戻してソテーなどで食する干ダラ下画像、トナカイなど地元食材が限られる寒冷な北欧2か国の低迷ぶりが目につきます。

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 次いで低いのが84%のアラブ首長国連邦。国際都市ドバイには世界中の料理が軒を連ねます。自国民は伝統料理には目もくれず潤沢なオイルマネーに物を言わせ、世界各国で美食の限りを尽くしているからなのでしょうか。ちなみにUAEで最も人気が高い料理は87%の支持を得たイタリア料理です。

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 自国の料理の支持率が9割を切ったのが、多彩なハム・ソーセージ類はまだしも、骨付き豚スネ肉の煮込みアイスバインと付け合わせにジャガイモ・酢漬けキャベツのザワークラウト上画像・レバークヌーデルスープ下画像など、洗練されたイメージとは程遠い料理が思い浮かぶドイツの85%、そして入植したイギリスの食文化の影響が色濃いオーストラリアの89%。

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 かろうじて9割を超える91%の自国民から支持されたのがイギリス。人口10万人当たりのマクドナルド店舗数が4.38と世界一のアメリカ合衆国も同率で並びます。高所得層でさえ半数以上のアメリカ人は週1回以上ファストフード店を利用しているのだといいます。(☜ 日本とて同店の店舗数は世界5位の2.9。他国のことを笑ってはいられない)

 EU諸国では関税の撤廃と物流網の発達により、統合以前と比べて遥かに食材のバリエーションは増えています。EUからの離脱に揺れるイギリスも恩恵に浴し、以前よりは料理が美味しくなったという声もチラホラ。

 誤解が無きよう申し添えますが、自国民の支持率が低かった国の料理を中傷する意図は全くありません。いのちを育む食べ物の価値に貴賤はありません。

 時間に追われ、空腹をただ満たすだけでは、あまりに人生は味気ないと考える庄イタ。少なくとも料理には魅力を感じない国々が下位に甘んじた事実をまずは確認しておきます。

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marinara-pizza-d'oro.jpg【photo】関西に居を移して2年あまり。梅田・西天満・天神橋筋・新町などで十指に余る食べ歩きした大阪市内で初めて納得できるナポリピッツァと出合ったのが、北区中崎町「Pizza d'Oro ピッツァ・ドーロ」のマリナーラ

 次に②好きな外国料理に関する結果をご紹介しましょう。

 集計に当たっては、調査対象となった国別の支持率をもとに平均値を求めたランキングになっています。

 平均84%の支持を獲得して第1位に選ばれたのもイタリア料理。①自国内の支持率ともども、②でも堂々の1位に輝いています。

 極東の国ジパングでガラパゴス的な突然変異で編み出されたケチャップ味の炒めスパゲッティ「ナポリタン」、某イタリアンレストランチェーンの看板メニュー「ミラノ風ドリア」、渋谷「壁の穴」で誕生したという「たらこスパゲッティ」をイタリア料理に含むかは微妙なところ(笑)。

 バブル期にイタ飯ブームを経た日本のイタリア料理は、ポピュラーなシチリア・ナポリ・トスカーナのみならず、ピエモンテ・ジェノヴァ・マルケ・プーリア、さらにはトスカーナ州最南部マレンマ地方など、地域的な細分化と深化を続けています。

napolitan-people-sendai.jpg【photo】令和の時代になっても紙ナプキンで先端を包んだフォークで頂く油で炒めたアルデンテではない昭和レトロな由緒正しいナポリタンを提供する仙台市若林区荒町の喫茶店「ぴーぷる」。喫煙に寛容なオーナーは平成の世に施行された健康増進法などどこ吹く風。時として隣席の副流煙の直撃に耐えなくてはならないのも昭和流。そんな時はスパゲッティを昭和流に「ズズズ...ッ」と大きな音を立ててすすって隣客に逆襲してはいかがだろう

 第2位が平均78%の中華料理。3位には同71%の日本料理が食い込みました。平均70%の同率4位がフランス料理とタイ料理、同68%の同率5位がスペイン料理とアメリカ料理と続きます。

 イタリアが他のG7加盟国の懸念をよそに先陣を切って覚書に署名した「一帯一路構想」を掲げ、全世界最多の人口14億人を擁する中国の影響力は世界を席巻。海外を旅していて中華料理店を目にしないことはありません。

 laCucinaItaliana-UEKI.jpg【photo】心斎橋の喧騒を離れ、シチリアの空気を吸いたくなったらここへ。当分の間ランチのみ営業する「la cucina italiana UEKI ラ・クチーナ・イタリアーナ・ウエキ」。丁寧な仕事ぶりが伝わるある日の「PRANZO B」(税込2,200円)より。アンティパスト、春キャベツのポタージュ、シチリア風レモンとピスタチオのリゾット、ナスを和えたトマトソースにリコッタチーズを削ったスパゲッティ・アッラ・ノルマ。その名はシチリア東部の街カターニャ出身の作曲家ベッリーニのオペラNormaに由来。+600円で人気のシチリア菓子「カンノーロ」とカッフェがセットに

 妥当な結果と言ってよいであろう1位・2位はともかく、3位に日本料理が入ったことは意外な結果でした。西欧や中華圏と比較して油脂やソース類を使う料理が少ない日本料理は、外国人には淡泊な印象を持たれることが多いからです。

 それでも2015年にミラノで食をテーマに開催されたミラノ万博では、日本食を紹介する日本館の入口に最長9時間待ちの長蛇の列が出来ました。そこに整然と並ぶイタリア人の姿に驚かされたものです。秩序立った行動や忍耐強さとは無縁の国民性だとばかり思っていたものですから(笑)。

 日本国外で増殖中の日本料理店は、日本人以外が経営するケースが少なからず存在し、実態が無国籍料理と化している場合も少なからずある点は目をつぶるとして、いまや Sushi, Tempuraは世界に名を馳せ、昆布や鰹のUmamiは西洋料理のグランシェフのイマジネーションを掻き立て、醤油・味噌は世界のグルマンを魅了する有名レストランの厨房で珍しいものではなくなりました。

 時代は変わっているのですね。

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 今回の調査によれば、日本人が好きだと回答した外国料理は、中華料理(88%)とイタリア料理(85%)が両雄。次点はポイントをずっと落としてフランス料理(68%)、韓国料理と台湾料理(66%)という結果に。

kobemotomachi-bekkanBotanen-2018.2.6.jpg【photo】かまびすしい呼び込みには耳を貸さず、神戸・南京街の表玄関・長安門からメリケンロード(鯉川筋)を少し山側へ。元町北通の一角で1952年(昭和27)に広東省出身の王熾炳さんが創業。作家陳舜臣はじめ神戸っ子に愛されてきた「別館牡丹園」。現在は2代目王泰康さんが本場の味を受け継ぐ。豆苗の炒め「炒豆苗」・冬季限定の伊勢産カキ広東風お好み焼き「煎生蠔」・海老の卵炒め「滑旦蝦仁」・特製海老の天ぷら「炸大蝦」など一品料理のほか、本格コース料理も

 東京や関西圏には今回の調査対象となった国々の料理店が出揃いますが、日本人は欧州やアジア圏の国々と比べて外国料理の許容範囲が狭いことが読み解けます。

 欧州的な視点からの覇権国家としての影響力が主たる選定の基準であったろう世界三大料理(☞ 大英帝国は資格充分ながら、前述の理由でイギリス料理は落選)。 

 言わずもがなの3国とは、東アジアから黒海を越え、東欧諸国まで及んだ広大な領地に飽き足らず二度にわたる元寇で日本にも食指を伸ばした元朝時代の歴史を繰り返すのか、経済協力を餌にアフリカ諸国に支配力を強め、東南アジアでは海洋進出を目論む中国。次にフィレンツェからアンリ2世に政略結婚で嫁いだカテリーナ・デ・メディチが食文化を洗練させたブルボン王朝や、遠くロシアまで欧州一円に版図拡大を目論んだナポレオン・ボナパルト時代の恩恵に浴するフランス。そしてその一角に名を連ねるのが強大なオスマン帝国の歴史に彩られたトルコです。

the-complete-book-terkish-cooking.jpg【photo】1453年に東ローマ帝国が滅亡した後も、シルクロードの要衝であったコンスタンティノープルには西洋と東洋の食文化が出合い、権勢を誇った歴代スルタンの食卓を飾った宮廷料理が編み出された。その流れをくむ150のトルコ料理を豊富な画像と共に紹介する「The Complete Book of Turkish Cooking」Ghillie Basan著(2013刊)

 大英帝国の礎を築いた女王エリザベス1世統治時代のオスマン帝国の都コンスタンティノープルに交易のため着任した英国大使は、スルタンが催した晩餐会で100種類の宮廷料理で歓待されたといいます。オスマン帝国時代に体系化されたトルコ料理が好きと答えた日本人は、調査対象となった24か国中23番目の39%に過ぎません。

 古(いにしえ)より東西の文化が往来したシルクロードの東端にあたる日本は、諸外国の文化を巧みに取り入れてきました。食文化もしかり。明確な根拠はありませんが、日本人は繊細な味覚を持つといわれます。島国なるが故の傾向なのか性急にその理由を求めることはできません。

 何故なら同様の傾向は中国にも見て取れるのです。平均84%の支持を受けたイタリア料理が好きだと答えた中国人は69%。同様に71%の支持を得た日本料理が好きだと答えた中国人は54%に留まります。

 香港や台湾にはこうした傾向は読み取れないので、自国の文化を至上のものと考える中華思想が中国の人々に根強く残っているのでしょうか。う~む。

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 最後に精神構造がイタリア人である庄イタの当該調査に対する回答を述べておきましょう。

  質問①「Si. スィー。☞ Yes.」(自国の料理とはイタリア料理を指す)
  質問②「スペイン料理・フランス料理・インド料理・メキシコ料理」

kasimir-curry.jpg【photo】大阪のカレー愛好者を唸らせる北浜「カシミール」。一人で店を切り盛りする店主が納得ゆくまでは定刻の12時になっても開店しないため、通常の昼休み時間に食事にありつけることはまず不可能。13時前後の場合が多い手書きによる開店見込み時間の貼り紙を信じて並ぶか、即刻または待ち時間の長さにしびれを切らしてその場を立ち去るかは客の熱意次第。
調整可能な辛さは3辛がスタンダードというものの相当手ごわい。これはある日の「マトンカレー(具だくさんな)ミックスA」(1,100円)10辛(+数百円)。その色あいは、血の池地獄さながら。無謀な挑戦は控えよう

 例外はありますが、スペイン料理は南イタリア料理と、フランス料理は北イタリア料理に相通じます。数多くの香辛料が複雑に響き合うインド料理、サルサソースと唐辛子を多用するメキシコ料理については、辛味に対する耐性が常軌を逸している庄イタにとっては好ましい味つけと感じられます。

 この結果を国別の回答内容と照らし合わせると、な・な・なぁ~んと、①自国(99%)に次いで②好きな外国料理でスペイン料理(87%)、メキシコ料理(77%)がトップ3を占め、庄イタが好きな外国料理として挙げたフランス料理(60%)とインド料理(57%)が10位圏内に入っているイタリア人の回答内容に酷似していたという、さもありなんなオチで締めたいと思います。

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