あるもの探しの旅

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世界 料理人気ランキング、栄えあるNo.1は?

Campione del Mondo, Cucina Italiana !


 英国の大手市場調査会社「YouGov ユーガブ」では、このほど世界24の国と地域の料理についての人気ランキングを発表しました。

【参考】https://yougov.co.uk/topics/food/articles-reports/2019/03/12/italian-cuisine-worlds-most-popular (英文)

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 ネットを活用したオンライン調査で多岐に渡る世論調査を頻繁に実施しているYouGovは、2000年の創業ながら、選挙における世論調査信頼性の高さで確固たる地位を確立。英語の日刊紙では世界最大の発行部数を有する「The Sun サン」と提携しています。

 先刻ご存知の通り、フィッシュ&チップス下画像やローストビーフに代表される伝統的なイギリス料理は、(常食している英国人を除き)評判が芳しくありません。

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 庄イタは某国大統領のような自国第一主義者でもなければ、ましてや人種差別主義者ではありません。ただし、経験則上、味覚音痴が疑われるアングロサクソンが対象の調査であれば、その信憑性に疑問符をつけたいところ。

 その点、当調査の抽出サンプル2万5千人は英国内のみならず、インターネットで結ばれた世界24の国と地域に及んでいます。ここは信頼に値する結果が得られたと考えて差し支えないでしょう。

 以下、興味深い結果が得られた調査内容をご紹介します。

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 今回、調査対象となったのは、イギリス・フィンランド・ノルウェー・スウェーデン・デンマーク・ドイツ・フランス・スペイン・イタリア・アラブ首長国連邦・サウジアラビア・インド・ベトナム・タイ・シンガポール・マレーシア・フィリピン・インドネシア・香港・台湾・中国・日本・オーストラリア・アメリカ合衆国。

 質問項目は
  ①自国の料理が好きか?
  ②好きな外国料理は?

 質問②の選択肢として挙げられたのが、調査対象である24の国と地域の料理にメキシコ・トルコ・韓国・ギリシャ・モロッコ・レバノン・カリブ・ブラジル・アルゼンチン・ペルーを加えた34の国と地域の料理。

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 まず①に対する回答を見ると、自国の料理を好きだと回答した割合が99%と最も高かったのが、わが祖国イタリア。郷土愛を意味するカンパリニズモの国・イタリアの面目躍如といった数字です。

Ribollita@osteria-antica-mescita-san-niccolo.jpg【photo】トスカーナの代表的な家庭料理「Ribollita リッボリータ」。ありあわせの野菜と豆を野菜の滋味が溶け込んだスープでくたくたに煮込み、硬くなったパンを浸して食べる。軽佻浮薄なインスタ映えなどとは無縁ながら、ほっぺが落ちそうなほど美味しい。観光客でごった返すフィレンツェ中心部を避けてアルノ川南岸へ。オルトラノ地区の隠れ家的なオステリア「Antica Mescita San Niccolò アンティカ・メッシタ・サン・ニッコロ」にて

〝イタリア各地に郷土料理はあれど、一括りに包含できるイタリア料理は存在しない〟というのが通説。これは北部・中部・南部・島しょ部ごとに地域性豊かな郷土料理が存在し、郷土の味が一番と考える傾向が顕著ということ。庄イタもその通りだと感じており、回答したイタリア人それぞれの地元料理といった方がより正確でしょう。

 2位の98%がタイとスペイン。インドネシア・マレーシア・フィリピンの東南アジア諸国が97%で同率3位。以下、96%:フランス・ベトナム・台湾・シンガポール、95%:中国、94%:日本・フィンランドと続きます。

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 逆に自国の料理に対する支持が最も低かったのが、81%のノルウェー。隣国のスウェーデンが92%、フィンランドは94%と健闘していますが、畜産が盛んなデンマークも85%に留まります。

 灰汁で戻してソテーなどで食する干ダラ下画像、トナカイなど地元食材が限られる寒冷な北欧2か国の低迷ぶりが目につきます。

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 次いで低いのが84%のアラブ首長国連邦。国際都市ドバイには世界中の料理が軒を連ねます。自国民は伝統料理には目もくれず潤沢なオイルマネーに物を言わせ、世界各国で美食の限りを尽くしているからなのでしょうか。ちなみにUAEで最も人気が高い料理は87%の支持を得たイタリア料理です。

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 自国の料理の支持率が9割を切ったのが、多彩なハム・ソーセージ類はまだしも、骨付き豚スネ肉の煮込みアイスバインと付け合わせにジャガイモ・酢漬けキャベツのザワークラウト上画像・レバークヌーデルスープ下画像など、洗練されたイメージとは程遠い料理が思い浮かぶドイツの85%、そして入植したイギリスの食文化の影響が色濃いオーストラリアの89%。

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 かろうじて9割を超える91%の自国民から支持されたのがイギリス。人口10万人当たりのマクドナルド店舗数が4.38と世界一のアメリカ合衆国も同率で並びます。高所得層でさえ半数以上のアメリカ人は週1回以上ファストフード店を利用しているのだといいます。(☜ 日本とて同店の店舗数は世界5位の2.9。他国のことを笑ってはいられない)

 EU諸国では関税の撤廃と物流網の発達により、統合以前と比べて遥かに食材のバリエーションは増えています。EUからの離脱に揺れるイギリスも恩恵に浴し、以前よりは料理が美味しくなったという声もチラホラ。

 誤解が無きよう申し添えますが、自国民の支持率が低かった国の料理を中傷する意図は全くありません。いのちを育む食べ物の価値に貴賤はありません。

 時間に追われ、空腹をただ満たすだけでは、あまりに人生は味気ないと考える庄イタ。少なくとも料理には魅力を感じない国々が下位に甘んじた事実をまずは確認しておきます。

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marinara-pizza-d'oro.jpg【photo】関西に居を移して2年あまり。梅田・西天満・天神橋筋・新町などで十指に余る食べ歩きした大阪市内で初めて納得できるナポリピッツァと出合ったのが、北区中崎町「Pizza d'Oro ピッツァ・ドーロ」のマリナーラ

 次に②好きな外国料理に関する結果をご紹介しましょう。

 集計に当たっては、調査対象となった国別の支持率をもとに平均値を求めたランキングになっています。

 平均84%の支持を獲得して第1位に選ばれたのもイタリア料理。①自国内の支持率ともども、②でも堂々の1位に輝いています。

 極東の国ジパングでガラパゴス的な突然変異で編み出されたケチャップ味の炒めスパゲッティ「ナポリタン」、某イタリアンレストランチェーンの看板メニュー「ミラノ風ドリア」、渋谷「壁の穴」で誕生したという「たらこスパゲッティ」をイタリア料理に含むかは微妙なところ(笑)。

 バブル期にイタ飯ブームを経た日本のイタリア料理は、ポピュラーなシチリア・ナポリ・トスカーナのみならず、ピエモンテ・ジェノヴァ・マルケ・プーリア、さらにはトスカーナ州最南部マレンマ地方など、地域的な細分化と深化を続けています。

napolitan-people-sendai.jpg【photo】令和の時代になっても紙ナプキンで先端を包んだフォークで頂く油で炒めたアルデンテではない昭和レトロな由緒正しいナポリタンを提供する仙台市若林区荒町の喫茶店「ぴーぷる」。喫煙に寛容なオーナーは平成の世に施行された健康増進法などどこ吹く風。時として隣席の副流煙の直撃に耐えなくてはならないのも昭和流。そんな時はスパゲッティを昭和流に「ズズズ...ッ」と大きな音を立ててすすって隣客に逆襲してはいかがだろう

 第2位が平均78%の中華料理。3位には同71%の日本料理が食い込みました。平均70%の同率4位がフランス料理とタイ料理、同68%の同率5位がスペイン料理とアメリカ料理と続きます。

 イタリアが他のG7加盟国の懸念をよそに先陣を切って覚書に署名した「一帯一路構想」を掲げ、全世界最多の人口14億人を擁する中国の影響力は世界を席巻。海外を旅していて中華料理店を目にしないことはありません。

 laCucinaItaliana-UEKI.jpg【photo】心斎橋の喧騒を離れ、シチリアの空気を吸いたくなったらここへ。当分の間ランチのみ営業する「la cucina italiana UEKI ラ・クチーナ・イタリアーナ・ウエキ」。丁寧な仕事ぶりが伝わるある日の「PRANZO B」(税込2,200円)より。アンティパスト、春キャベツのポタージュ、シチリア風レモンとピスタチオのリゾット、ナスを和えたトマトソースにリコッタチーズを削ったスパゲッティ・アッラ・ノルマ。その名はシチリア東部の街カターニャ出身の作曲家ベッリーニのオペラNormaに由来。+600円で人気のシチリア菓子「カンノーロ」とカッフェがセットに

 妥当な結果と言ってよいであろう1位・2位はともかく、3位に日本料理が入ったことは意外な結果でした。西欧や中華圏と比較して油脂やソース類を使う料理が少ない日本料理は、外国人には淡泊な印象を持たれることが多いからです。

 それでも2015年にミラノで食をテーマに開催されたミラノ万博では、日本食を紹介する日本館の入口に最長9時間待ちの長蛇の列が出来ました。そこに整然と並ぶイタリア人の姿に驚かされたものです。秩序立った行動や忍耐強さとは無縁の国民性だとばかり思っていたものですから(笑)。

 日本国外で増殖中の日本料理店は、日本人以外が経営するケースが少なからず存在し、実態が無国籍料理と化している場合も少なからずある点は目をつぶるとして、いまや Sushi, Tempuraは世界に名を馳せ、昆布や鰹のUmamiは西洋料理のグランシェフのイマジネーションを掻き立て、醤油・味噌は世界のグルマンを魅了する有名レストランの厨房で珍しいものではなくなりました。

 時代は変わっているのですね。

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 今回の調査によれば、日本人が好きだと回答した外国料理は、中華料理(88%)とイタリア料理(85%)が両雄。次点はポイントをずっと落としてフランス料理(68%)、韓国料理と台湾料理(66%)という結果に。

kobemotomachi-bekkanBotanen-2018.2.6.jpg【photo】かまびすしい呼び込みには耳を貸さず、神戸・南京街の表玄関・長安門からメリケンロード(鯉川筋)を少し山側へ。元町北通の一角で1952年(昭和27)に広東省出身の王熾炳さんが創業。作家陳舜臣はじめ神戸っ子に愛されてきた「別館牡丹園」。現在は2代目王泰康さんが本場の味を受け継ぐ。豆苗の炒め「炒豆苗」・冬季限定の伊勢産カキ広東風お好み焼き「煎生蠔」・海老の卵炒め「滑旦蝦仁」・特製海老の天ぷら「炸大蝦」など一品料理のほか、本格コース料理も

 東京や関西圏には今回の調査対象となった国々の料理店が出揃いますが、日本人は欧州やアジア圏の国々と比べて外国料理の許容範囲が狭いことが読み解けます。

 欧州的な視点からの覇権国家としての影響力が主たる選定の基準であったろう世界三大料理(☞ 大英帝国は資格充分ながら、前述の理由でイギリス料理は落選)。 

 言わずもがなの3国とは、東アジアから黒海を越え、東欧諸国まで及んだ広大な領地に飽き足らず二度にわたる元寇で日本にも食指を伸ばした元朝時代の歴史を繰り返すのか、経済協力を餌にアフリカ諸国に支配力を強め、東南アジアでは海洋進出を目論む中国。次にフィレンツェからアンリ2世に政略結婚で嫁いだカテリーナ・デ・メディチが食文化を洗練させたブルボン王朝や、遠くロシアまで欧州一円に版図拡大を目論んだナポレオン・ボナパルト時代の恩恵に浴するフランス。そしてその一角に名を連ねるのが強大なオスマン帝国の歴史に彩られたトルコです。

the-complete-book-terkish-cooking.jpg【photo】1453年に東ローマ帝国が滅亡した後も、シルクロードの要衝であったコンスタンティノープルには西洋と東洋の食文化が出合い、権勢を誇った歴代スルタンの食卓を飾った宮廷料理が編み出された。その流れをくむ150のトルコ料理を豊富な画像と共に紹介する「The Complete Book of Turkish Cooking」Ghillie Basan著(2013刊)

 大英帝国の礎を築いた女王エリザベス1世統治時代のオスマン帝国の都コンスタンティノープルに交易のため着任した英国大使は、スルタンが催した晩餐会で100種類の宮廷料理で歓待されたといいます。オスマン帝国時代に体系化されたトルコ料理が好きと答えた日本人は、調査対象となった24か国中23番目の39%に過ぎません。

 古(いにしえ)より東西の文化が往来したシルクロードの東端にあたる日本は、諸外国の文化を巧みに取り入れてきました。食文化もしかり。明確な根拠はありませんが、日本人は繊細な味覚を持つといわれます。島国なるが故の傾向なのか性急にその理由を求めることはできません。

 何故なら同様の傾向は中国にも見て取れるのです。平均84%の支持を受けたイタリア料理が好きだと答えた中国人は69%。同様に71%の支持を得た日本料理が好きだと答えた中国人は54%に留まります。

 香港や台湾にはこうした傾向は読み取れないので、自国の文化を至上のものと考える中華思想が中国の人々に根強く残っているのでしょうか。う~む。

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 最後に精神構造がイタリア人である庄イタの当該調査に対する回答を述べておきましょう。

  質問①「Si. スィー。☞ Yes.」(自国の料理とはイタリア料理を指す)
  質問②「スペイン料理・フランス料理・インド料理・メキシコ料理」

kasimir-curry.jpg【photo】大阪のカレー愛好者を唸らせる北浜「カシミール」。一人で店を切り盛りする店主が納得ゆくまでは定刻の12時になっても開店しないため、通常の昼休み時間に食事にありつけることはまず不可能。13時前後の場合が多い手書きによる開店見込み時間の貼り紙を信じて並ぶか、即刻または待ち時間の長さにしびれを切らしてその場を立ち去るかは客の熱意次第。
調整可能な辛さは3辛がスタンダードというものの相当手ごわい。これはある日の「マトンカレー(具だくさんな)ミックスA」(1,100円)10辛(+数百円)。その色あいは、血の池地獄さながら。無謀な挑戦は控えよう

 例外はありますが、スペイン料理は南イタリア料理と、フランス料理は北イタリア料理に相通じます。数多くの香辛料が複雑に響き合うインド料理、サルサソースと唐辛子を多用するメキシコ料理については、辛味に対する耐性が常軌を逸している庄イタにとっては好ましい味つけと感じられます。

 この結果を国別の回答内容と照らし合わせると、な・な・なぁ~んと、①自国(99%)に次いで②好きな外国料理でスペイン料理(87%)、メキシコ料理(77%)がトップ3を占め、庄イタが好きな外国料理として挙げたフランス料理(60%)とインド料理(57%)が10位圏内に入っているイタリア人の回答内容に酷似していたという、さもありなんなオチで締めたいと思います。

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