河北新報

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2010年12月28日

【ソーシャル, 新聞&ネット】

地域を語る場づくり/米・ベイエリア ハイパーローカルの現場(03)



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ベイエリアのハイパーローカルメディア「オークランドローカル」は今回取材した中では、最も草の根的かつ地域密着型のメディアのように見えました。設立のきっかけ自体、既存のマスメディアへの批判だったというだけあって、メディアとしての主張は分かりやすく鮮明でした。なるべく市民に近い場所に位置取りし、時には時間と手間のかかる市民とのコミュニケーションを通して、報道すべき内容を決めていくスタンスです。

 あるべき「ハイパーローカル」は、単にカバー範囲が狭く、情報が詳細なだけではありません。スピードや効率性、透明性、記録性など、IT技術を活用したオンラインサービスならではの特徴を理解し、使いこなして初めて可能になるスタイルのようです。

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 「ハイパーローカルの重要な点は地域にしっかりかかわり、発言していくことです」

 オークランドローカルの副編集長のエイミー・ギャーランさんは、メディアと地域との関係を何度も強調しました。実際にどんな報道を心掛けているのでしょう。

 「わたしたちは、市民が必要なニュースや情報を入手できるプラットホームを提供しています。一般にニュースと言われるものでなくとも、たとえば市議会で今、こんなことを議論しているといった、非常に細かい問題を意識的に取り上げます。オークランドはスーパーマーケットが少ないことで知られています。ウェストオークランドやイーストオークランドのような経済的に貧しい地域では、買い物をすること自体、大変な人たちが数多く暮らしています。オークランドトリビューンのような大きな新聞社の場合、スーパーが開店した、閉店した-などの、そのときだけの報道で終わることが多い。オークランドローカルでは、スーパーマーケットと人々の生活を、プロセスとして取り上げ、問題意識をもって追い続けます」

 オークランドローカルが目指すのは、いわゆるジャーナリズムなのか。それとも、もっと別なものをイメージしているのか?そんな疑問をぶつけてみました。

 「ジャーナリズムはわたしたちが目指していることの一部です。大手の新聞社でも、スポーツや芸能など、いわゆるハードジャーナリズムではない分野もあります。同様にわたしたちは、オークランドローカルを、児童買春のようなテーマだけでなく、コミュニティーについて、さまざまに会話できる場所にしたいと考えています。地域組織(Community Organaization)のリーダーや市民が自分の活動や日ごろ考えていることについて、コミュニティーに知らせたいときに使える場を提供したいのです。主流メディアが取り組んでもなかなかうまくいっていないことに挑戦しているつもりです」
 
 オークランドでは常に治安の問題が取り沙汰されがちですが、ギャーランさんが言うように、NPO活動が盛んな地域としても知られています。隣のサンフランシスコも同様ですが、社会問題に近いところにNPO活動は生まれます。ごく一部を除けばNPOは常に運営資金の調達に常に悩んでいます。そんなNPOが活動拠点を築くには、オフィスのレンタル料が安い地域の方が好都合という事情もあります。

 「オークランドでは犬も歩けば棒にあたるといっていいほど、地域組織の数が多い。活動内容も多彩です。そうした地域組織は自分たちの活動の様子を伝えるために電子メールやニュースレターを利用していますが、わたしたちの役割の一つは、彼らが発信したい情報を、グーグルで検索できるオンライン上に配信することです」

▽関連情報
 オークランドローカル

 「ハイパーローカルの現場 米加州ベイエリアから」

投稿者 yoyu : 2010年12月28日 10:45