河北新報

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2012年9月19日

【ソーシャル, 新聞&ネット】

ソーシャルメディアで「企業コミュニティ」

kigyo_commu.jpg 「ソーシャルメディア進化論」(武田隆、ダイヤモンド社)は、ソーシャルメディアの急激な普及に圧倒されている、すべての企業におすすめです。武田さんはエイベック研究所代表取締役。インターネット、特にソーシャルメディアを使って「企業」と「消費者」を結び付けることを提案しています。「企業」を「新聞社」「河北新報社」に置き換えながら読みました。新聞社の場合、主力商品の新聞、新しい需要開拓を急いでいる複数のデジタル商品があるだけです。多品種展開を得意とする企業とは少し違うかもしれません。報道という、特殊な環境がメーンである点も、やや特殊かもしれませんが、武田さんらが開発してきた「企業コミュニティ」の理論と実践に沿って新聞社コミュニティーのありようを考えてみたい衝動に駆られます。

 武田さんは学生ベンチャーから出発し、ソーシャルメディア・マーケティングの分野で実績を上げてきました。花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンなど約300社の企業コミュニティづくりを支援した実績があります。武田さんのチームの理論と実践の特徴は「企業コミュニティを使って、企業が利益を上げるためのノウハウ」を求めて揺るぎないことです。

 「企業コミュニティ」は何のために作るのでしょう。武田さんは「企業と消費者の距離を縮めることにある。いま、両社はとても遠い場所にいる、なぜ、お互いこんなにも遠い存在になってしまったのだろうか?それは、対話が喪失したからである」「企業コミュニティがもたらすもの。それは市場における対話の復活である」と述べています。

 新聞社は一度にたくさんの読者に新聞を届けます。基本的にマスメディアでした。読者の意見を聞くべく努力もしてきたつもりですが、継続性、深さ、頻度の点で十分だったとはいえません。強力な配達システムが機能してきたこともあり、「市場との対話」は販売現場の個別の努力にゆだねられてきました。新聞の中身についてはもっぱら編集の紙面改革の議論や、広告営業が担当する広告主との交渉に任せられてきました。非読者を含めた「市場との対話」を通じて商品を考える経験はありません。

 若い層を中心に「新聞離れ」が起きています。分厚い「団塊の世代」が高齢化のけん引役になりつつある中、スマートフォンやタブレット端末の登場など、デジタル環境が一段と進みました。「新聞」の根強い支持層だった団塊世代以上の人々が、多様なデジタル情報商品を押しのけ、これまで通り新聞を選んでくれるかどうかは分かりません。

 1日も早く本格的な「新聞社コミュニティー」を実現する必要があります。「消費者」の声に耳を傾け、新聞社の方から消費者に近づいていく以外に、次の時代につながる新聞社像を見出すことはできません。

 幸い、河北新報社には地域SNS「ふらっと」を中心にソーシャルメディアの運用経験があります。「ふらっと」やブログ、ツイッター、フェイスブックの導入を急いだ理由は、もともと、ネットを使いこなす人々との間に多様なチャンネルを作り上げ、地域のネット利用者に「河北さん」と呼んでもらえる環境を実現することでした。まさに「新聞社コミュニティ―」を意識していたわけです。武田さんのチームの取り組みを、思い切り素朴にしたものだったと言えないこともないのではないか、と振り返っているところです。

 
 

投稿者 yoyu : 2012年9月19日 13:54