2020年度の「石巻かほく」俳句の最優秀賞が東松島市新東名の板垣美樹さん(55)、優秀賞が石巻市丸井戸の水上孝子さん(75)と石巻市小船越の芳賀正利さん(86)に決まった。選者の石母田星人氏が選考した。

<選者・石母田氏から>

 最優秀賞の板垣美樹さんはこの俳壇で最も若い常連の投句者。本年度は持ち味の伸びやかで快活な作品に加えて、ものの本質を掘り下げた力作が光っていた。
 特に<木犀や災禍の空へ星放つ>は普遍性のある震災の句。香りと書かないで香りを表し、それを祈りにつなげたのは見事。<春星や指跡残る火焔土器><向日葵の中に聞こゆる甲子園><道化師の小さきハモニカ地虫出づ>にもひかれた。

 優秀賞の水上孝子さんの作品はどれも印象鮮やかな写生句で安定感がある。本年度は<大西日備前の窯に煉り込まれ><ローカル線十寸穂の芒撫でに来る>など対象を独自の視点で捉えた作品が目についた。

 同じく優秀賞の芳賀正利さんは<紙風船一打一打に変形す><後の月琥珀の中の黒き蟻>などしっかりとした写生に基づく世界を見せてくれた。豊かな詩性にさらに磨きがかかった。


◇受賞者の声・最優秀賞/板垣美樹さん
tmp20210325000018.jpg 初めての受賞で連絡を頂いた時は驚きました。大変光栄です。選評していただいた石母田先生、ありがとうございました。
 石巻かほくの俳句の投稿募集記事を読んだのがきっかけで3年前に始めました。
 自然の風景や暮らしの中で得たインスピレーションを基に続く言葉を考えます。想像することで心を解放してくれる俳句は自分にとって癒やしや励ましになっています。ぬくもりを感じられるような作品を作れるように励みたいです。


※短歌は来年発表
 「石巻かほく」短歌の20年度の最優秀賞については、年度途中で選者が交代したことに伴い、短歌欄が再開した昨年12月以降に寄せられた作品を対象に21年度の最優秀賞などを選び、22年3月に結果を発表します。選考は石巻かほく短歌選者の斉藤梢氏が務めます。

 記者会見などで顔を上げずに話しがちだった菅首相。最近変化が見られます。目をかっと開き、前を見て聴衆に話しかける、時には笑みを浮かべる余裕も見せながら...。この変わりように評判も上々のようです。

 ご本人の努力もあるのでしょうが、それを補助する「文明の利器」が大きな役割を果たしています。「プロンプター」(prompter)です。パソコンからの原稿映像を、離れた場所にある液晶モニターなどに映し出す装置...演説などでは「ハーフミラー」と呼ばれるものが演台の前に設置されます。

 1960年代中頃より米国の歴代大統領が使い始めたのが始まりです。これにより、内容の正確さに加え、顔を上げて説得力のあるスピーチをすることが可能となりました。

 この「プロンプター」は「迅速な、機敏な」「刺激する、うながす」を意味する英語 prompt に由来。「講演者や俳優に文句やセリフを教える装置」(ランダムハウス英和大辞典第2版、小学館)で、そのまま日本語として用いられています。

 日本の能や歌舞伎では舞台後方や役者の背後に控え、必要に応じて舞台進行の諸事を補佐する「後見(こうけん)」という役がありますが、役者のセリフまでは補助しません。

 筆者は大学時代「英語劇研究会」に所属し、シェークスピアをはじめ英米の劇の原語での上演に関わりましたが、客席からは見えない wing(s) と呼ばれる舞台の袖に待機している prompter の先輩にはだいぶ助けられました。

 「プロンプター」と聞くと、青春時代のあれこれの記憶が蘇ってくるのです。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)

【石母田星人 選】

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リハビリの静止三分春の雪   石巻市小船越/三浦ときわ

【評】機能面の能力の低下やその状態を、特定段階まで回復させることは大変なことだ。強い意志も大切だが、訓練を指導する専門職のスタッフや家族など、多くの支えがあってこそ成し遂げられる。この句は、そんな訓練の様子を描いている。リハビリでなくても静止の3分はきつい。それに耐えて体の力を抜くと、窓外に春の雪が舞っているのに気づいた。力のこもる中七から春の雪への解放感が印象的だ。頑張って。

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早春の庭に陶器の栗鼠隠れ   石巻市小船越/芳賀正利

【評】雪解けの日差しまぶしい庭。昨日まで見えていた陶器のリスが見えなくなった。毎年、春先に姿を消す。後日リスが戻ると庭は春一色に変わる。幻想を伴う句と読めるのは「隠れ」のイメージによる。

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避難所の仮設トイレの霙かな   石巻市三ツ股/浮津文好

【評】強制移動を余儀なくされた作者。最初に身を寄せたのが避難所。そこでの記憶は狭い仮設トイレを出て仰いだ霙(みぞれ)の空。暗い空から不安が降っていた。

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窓大きく開けて青空揚雲雀   東松島市矢本/雫石昭一

【評】「開けて」「青空」「揚雲雀」と頭の「あ」の音をそろえた。明るい「あ」音には躍動感が見える。「大きく」には冬からの解放感が込められている。

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春泥によろけ捜しぬ家族(うから)の身   石巻市開北/星ゆき

春星や親に縁のなき子つれ   石巻市蛇田/石の森市朗

涅槃像津波知らせた人何処   石巻市元倉/小山英智

春色の海変らずに十年目   石巻市門脇/佐々木一夫

復興の起重機ゆする春一番   多賀城市八幡/佐藤久嘉

巻石にそっと触れゆく春の川   石巻市蛇田/高橋牛歩

漁網干す磯に朧の夜が来る   石巻市相野谷/山崎正子

冬花火仰ぎて祈る漁師かな   石巻市駅前北通り/小野正雄

西方に浄土あるとや寒鴉   石巻市丸井戸/水上孝子

連翹や青空深く陽を弾く   東松島市矢本/紺野透光

足首を引き寄せてゐる春の泥   東松島市新東名/板垣美樹

鳥たちの忙しき影や春めきて   石巻市広渕/鹿野勝幸

豆飯や医療にはげむ子と会話   仙台市青葉区/狩野好子

古を語り出すかな雛巡り   石巻市中里/川下光子

蟹缶や思ひを馳せる多喜二の忌   石巻市南中里/中山文

ハンカチにそっと包んで春苺   石巻市吉野町/伊藤春夫

【水戸一志 選】

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球春が明るい年の幕開けに   石巻市蛇田/菅野勇

【評】全国から花だよりが届く。それがどこもかしこも制限付きで、全くパッとしない。ならば野球だ。甲子園の選抜高校野球は仙台育英・島貫主将の選手宣誓で開幕した。プロ野球も始まる。マー君の姿もある。わくわくせずにはいられない。

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二丁投げ横綱級の文春砲   東松島市赤井/片岡シュウジー

生きている地球深層蠢(うごめ)いて   石巻市大街道/岩出幹夫

官機能検査 誤変換と言えず   石巻市あゆみ野/日野信吾

7万円ぺろりとアホをさらけ出し   石巻市築山/飯田駄骨

花見酒今年こそはとスクワット   石巻市不動町/新沼勝夫

ひらがなの顔にやんわり春が来る   多賀城市八幡/佐藤久嘉

コロナ禍も私も怖いリバウンド   東松島市矢本/遠藤恵子

 先月の中旬、米国テキサス州は30年来の寒波に襲われ、14日には一部地域で摂氏零度に達しました。停電により暖房装置が使用できなくなり、また水道管の破裂も伴って数百万人が生活の基盤を失う大惨事に。

 その最中、日本のメディアであまり報じられていませんが、同州選出のテッド・クルーズ(Ted Cruz)上院議員がメキシコのリゾート地へ家族旅行したことが明らかになりました。非難の嵐に見舞われたのも当然でしょう。"public servant"(パブリック・サーバント)...議員の行動を評するCNN放送のコメンテーターから発せられたこの言葉が、とても新鮮に感じられました。

 "public servant"は普通「公僕」と和訳されていますが、最近日本のメディアではあまり用いられないように思われます。しかしながら昨今の世相、特に政治の世界で起きているさまざまな不祥事に接するとき、この言葉の持つ重みを再認識しないではいられません。

 「僕(ぼく)」は「人につかわれる男。しもべ。下男」という意味(広辞苑第7版)。「公僕」は「広く公衆、公共に奉仕する者」として官僚など公務員を示す言葉ですが、政治家を指すこともあります。

 public に対する英語は private(プライベート=私的の)ですが、クルーズ上院議員は家庭すなわち private を優先したことから非難の的となったという訳です。

 また、イギリスでは市町村の市民課などに勤務する「一般事務職」の場合は、civil servant と呼ばれます。

 政治および官僚機構において地位が高くなればなるほど、「私物化」はもってのほか。「自分は国民全体に奉仕する servant」という意識を忘れないでほしいものです。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)

 アンデルセンの童話やレゴ、ロイヤルコペンハーゲンでおなじみの国、デンマーク。最近は、国連が発表する幸福度ランキング上位の国としても注目されています。近年、ますます人気を集める北欧デザインのなかでも、デンマークは、ヤコブセンやウェグナーなど数々の巨匠たちを輩出し続けるデザイン大国です。デザイン史に名を残す優品の数々は、シンプルでモダン、機能性と美しさを兼ね備えており、また素材やデザインに見られる自然との親和性は、私たち日本人の価値観にも通じるものです。
 こうした世界を魅了する優れたデザインを生み出し続ける秘訣はどこにあるのでしょうか?
 本展では、デンマーク近代デザインの黄金期とも言うべきミッド・センチュリー以降のデザインを中心に、
デンマーク・デザインの真髄とそれを生み出すデンマーク独自の土壌、文化や社会にも目を向けます。
 本展は,デンマーク・デザイン博物館の協力と構成に関するアドバイスのもと実現するもので、
優れたデザインを生み出し続けるデンマークの魅力に様々な角度から迫ります。

東北歴史博物館へご来館にあたり、こちらの「新型コロナウイルス感染防止の取り組み」をご一読ください。

【斉藤 梢 選】

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問いもせず語りもせずにただ眺む太平洋の同じおおきさ   石巻市大門町/三條順子

【評】二〇一一年三月十一日午後二時四十六分、東日本大震災発生。あの日から十年の歳月の<心の歩み>を、この一首に見る。「問いもせず語りもせずに」の「せず」は、むしろ作者が繰り返し語って眺めてきたことを語る。声には出せない思いを、定型に収めることで、自身の本当の気持ちを知ることもある。短歌はそういう器であろう。目に見える復興と、見えない心の痛みとのバランスをとることは難しい。「ただ眺む」には、さまざまな記憶を胸に置き、現実を見つめている姿がある。あの日の津波の牙は、生活も記憶をも壊し、人命を奪った。それでも今、海は「同じおおきさ」なのだ。気持ちを整えるためには、十年では足りない。

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十年が経てど紙面の一隅に死者と不明の数の重たき   石巻市桃生町/高橋冠

【評】<東日本大震災十年>という新聞記事の多さ。作者が見つめているのは、「紙面の一隅」だ。宮城県の死者数は三月九日現在で、九五四三人。行方不明者数は一二一五人。多くを語らずとも、直接的に心情を表現しなくても「数の重たき」の結句が、作者の深い思いを伝える。命の尊さを噛みしめながらも心底には、この数字への憤りが今もある。

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如月のカレンダーめくれば目の裏に泣けとごとくにあの黒い海水(みず)   石巻市駅前北通り/津田調作

【評】記憶は簡単には薄れない。十年前の「黒い海水」がありありと甦る三月。二月のカレンダーをめくれば十一日という忌日。「泣けとごとくに」は、十年分の心痛であろう。被災はあの日から続いていることを確かに伝え、「黒い」が眼前に迫り来るようだ。

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冬空に光り輝く遠花火鎮魂祈りて両の手合わす   東松島市矢本/奥田和衛

【評】鎮魂の冬の花火。遠くに見える光に手を合わす作者。祈りそのものの「両の手」。詠むことは祈りであり、被災地で生きる作者の心情と日常を残すことでもある。この一首は<声>だ。

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夕暮れのポストに手をば差し伸べて触れる絵手紙春の水仙   石巻市丸井戸/高橋栄子

雪解けの出羽山脈の山独活に冬の苦味と雪の甘味と   多賀城市八幡/佐藤久嘉

遠き日に児童(こ)らと遊びし歌留多手に百人一首の歌を読み上ぐ   石巻市駅前北通り/庄司邦生

荒れ道を共にあゆみし杖なれば笑顔のうちに一服一服   石巻市門脇/佐々木一夫

おはようと大きな声で挨拶する友は突然白菊に埋もれて  石巻市蛇田/菅野勇

朝食に小松菜三枚ちぎりくる昔ペンだこ出来てた素手で   石巻市高木/鶴岡敏子

残生をのんのん長閑に暮らしたしコロナ禍の中籠もる一年(ひととし)   石巻市中央/千葉とみ子

謙譲も尊敬も同じだと「微妙」常用の中学生が   石巻市渡波町/小林照子

わがいのち安らう耕土雪をかぶりただま白なり春を待ちつつ   石巻市桃生町/三浦多喜夫

庭先の枯葉の下に顔をだし光求める福寿草の花   石巻市桃生町/西條和江

ウイルスも怖いが地震また怖い夜中にグラリ逃げ場うしなう   石巻市桃生町/高橋希雄

目の位置に貼りてまた読む園児からのメッセージカード今年も届く   石巻市向陽町/後藤信子

【水戸一志 選】

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忘れまい支援みぞれの給水車   石巻市蛇田/鈴木醉蝶

【評】3・11から10年の節目を迎えた。被災地に住むそれぞれが「あの時の自分」を回想したことだろう。幸い無事だった作者が思い出すのは、寒空の下で支援の給水車が来てくれたことだという。事の大小ではない。忘れない感謝が胸を打つ。

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早や10年心新たに進みたい   東松島市矢本/鈴屋純次

接待の和牛海鮮毒に化け   石巻市真野/麻糸

春風よはしゃぎたいのに魔がよぎる   石巻市大橋/佐藤慶一

うたた寝し犯人逮捕夢で見る   石巻市桃生町/佐藤俊幸

ほうれん草根っこの赤に惚れました   石巻市桃生町/高橋冠

老いて知る病無きこと財宝と   石巻市蛇田/佐藤久子

まきあーと文化を掲げ歩き出せ   石巻市中里/八木寿子

平成4年から令和元年まで28年間開催された公募展「河北工芸展」。
第1回から28回までの全入賞作品を紹介するアーカイブを作成い
たしました。
河北新報オンラインニュースにてご覧いただけます。

河北新報オンラインニュース
左下の「東北イベント案内」欄に入口がございます。

または直接リンク
河北工芸展・入賞作品アーカイブ

当展は令和元年11月の開催をもって終了となりましたが、
継承する公募展として令和2年11月から「第1回杜のみやこ工芸
展」(主催/公益社団法人宮城県芸術協会ほか)がスタートしまし
た。
詳しくは下記サイト(宮城県芸術協会ホームページ内)をご覧くだ
さい。

第1回杜のみやこ工芸展
受賞者一覧・優秀作品ギャラリー

*かほく「108」ファンドの助成を受けた団体に、活動のその後とwithコロナの工夫を紹介していただきます。随時掲載。

郵便とリモートで教材添削

1対1の学習支援を続けています

外国人の子ども・サポートの会

 https://kodomosupport.jimdo.com/(仙台市)

 外国出身の小学生、中学生、高校生の日本語と教科学習のサポート活動をしています。2010年と2016年に、かほく「108」ファンドの助成を受けて学習教材を購入しました。通常は写真のように、仙台駅近くの「エル・ソーラ仙台」で生徒会員とサポーター会員が並んで勉強をしています。しかし、昨年3月からの学校休業を受けて、子どもたちの家庭に聞き取りを行ったところ、PCやスマホは親が使っていて、子どもが勉強に使えない家庭が多いことがわかりました。それで、郵便を使ったプリント教材の添削をベースにLine、Zoom、Skype などを併用して、1対1で勉強を続けています。コロナ感染の心配がなくなって、また集まって交流会ができる日を待っています。(写真はコロナ禍以前の様子)

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